コンパニオンプランツを活用して野菜を栽培しよう!植え方や組み合わせ一覧

コンパニオンプランツを活用して野菜を栽培しよう!植え方や組み合わせ一覧

「コンパニオンプランツ」とは、近くで栽培すると互いによい影響を与え合う植物を指します。コンパニオンプランツを取り入れるとさまざまな効果が期待できるため、近年では家庭菜園でも活用する方が増えています。

今回は、コンパニオンプランツの基礎知識と植え方、相性のよい野菜と悪い野菜、コンパニオンプランツを導入した菜園の手入れについてご紹介いたします。

コンパニオンプランツの基礎知識

コンパニオンプランツの基礎知識

はじめに、コンパニオンプランツについての基礎知識を深めましょう。

コンパニオンプランツとは

「コンパニオンプランツCompanion plants、海外ではCompanion plantingとも)」は、近くで栽培すると互いに病害虫の予防や生長の促進などの効果が期待できる植物で、「共栄作物」や「共存作物」とも呼ばれます。

その起源は、アメリカの先住民族インディアン(インディオ)によるトウモロコシとカボチャ、インゲンを組み合わせた「スリーシスターズ」といわれます。これらを近くに植えると、トウモロコシに絡んで生長するインゲンが土壌を豊かにし、地をはって育つカボチャが雑草や乾燥を抑制するとされています。

また、アジアで生まれた混植(こんしょく)や間作(かんさく)の技術は、ヨーロッパからアメリカを経由して日本に戻り、コンパニオンプランツの呼び名で広く普及しました。科学的に証明されていないものもあるとはいえ、古くからの経験が伝承され、現在ではさまざまな組み合わせが知られています。

ヨーロッパに伝わる「ポタジェガーデン」も、コンパニオンプランツを効果的に取り入れた菜園の1つです。

ポタジェガーデンについては、「フランス式の家庭菜園「ポタジェガーデン」で収穫も楽しめる庭作りを!」で詳しくご紹介しています。

コンパニオンプランツの役割と効果

コンパニオンプランツを取り入れた菜園には、次のような効果が期待できます。

病気の予防

代表的な例では、ヒガンバナ科(旧ネギ科)の植物の根に共生する拮抗菌(きっこうきん)が、ウリ科やナス科の青枯病(あおがれびょう)や立枯病(たちがれびょう)、つる割れ病などを予防します。また、抗菌力をもつ香りの成分が、病気を予防するケースもあります。

害虫の予防

香りの強いシソ科やセリ科、キク科などの植物をコンパニオンプランツとして植えると、害虫がそのにおいを嫌ってメインの植物に近寄らなくなります。また、さまざまな植物を混植すると害虫がにおいを探知できず、目当ての植物までたどりつかない傾向があります。

生長の促進

異なる種類の植物を植えると、土壌にすむ微生物の種類が増えて土の環境がよくなり、双方の生育が促進される点もメリットです。また、葉や茎などから分泌される物質が互いの生長を促したり、花からの分泌物によりハチやアブを呼び寄せて授粉を助けたりするケースもあります。

栄養の供給

マメ科の根に共生する根粒菌(こんりゅうきん)は、大気中に漂う窒素(ちっそ)を取り込み、大切な栄養素として周辺の植物に供給する働きをします。また、異なる種類の植物はそれぞれが別の成分を必要とするため、土の中で互いに融通しながら栄養を吸収します。

空間の利用

コンパニオンプランツは、空間を有効に利用できる点もメリットです。背の高い植物の株元に別の植物を植えたり、生育の速さが異なる植物を組み合わせて収穫の時期をずらしたりなど、限られたスペースで収穫量を増やすことが可能です。

バンカープランツとは

「バンカープランツ(Banker plants)」とは、駆除したい害虫の天敵や、天敵のエサとなる虫を呼び寄せる植物で、「おとり植物」とも呼ばれます。高齢化により農薬散布には労力が必要になりますが、天敵農薬(昆虫)であれば虫が勝手に退治してくれるため労力が大幅に低減しますし、また薬剤抵抗性も生じません。組み合わせによっては土の環境を整えたりイノシシなどを防除したりする効果も期待できます。

バンカープランツは、直接よい影響を与え合う関係ではありませんが、大きく分類するとコンパニオンプランツとみなされるのが一般的です。

コンパニオンプランツの植え方

コンパニオンプランツの植え方

続いて、コンパニオンプランツの植え方について解説いたします。

混植とは

混植とは、同じ敷地内に複数の異なる植物を植えることです。メインの植物を単体で栽培したときの収穫量に加えて、サブの植物も収穫できる点がメリットです。

交互に植える

異なる植物を1株ずつ交互に植えたり、メインの植物を5~10株植えるごとにサブの植物を1株植えたりする方法です。組み合わせの例としては、キャベツとソラマメ、ブロッコリーとレタスなどがあります。

囲んで植える

メインの植物の周りにコンパニオンプランツを植える方法で、バンカープランツでも取り入れます。組み合わせの例としては、トマトの周囲にバジル、ジャガイモの周囲にネギなどの植え方があります。

同じ穴に植える

ヒガンバナ科の根に共生する微生物の効果を利用する方法で、メインの植物を植える穴に数本のネギなどを一緒に植えつけます。組み合わせの例としては、トマトとニラ、キュウリとネギなどがあります。

間作とは

間作は、列ごとに異なる植物を植える方法です。1つの畝(うね)に2列の場合は1列ずつ別の植物を植え、3列の場合は中央と両側の列で別の植物を植えます。畝でメインの植物を栽培し、畝の間に異なる植物を植える場合もあります。組み合わせの例としては、ニンジンとダイコン、ニラとコマツナなどです。

輪作(りんさく)とは

輪作とは、同じ場所で異なる科の野菜を順に栽培する方法で、リレー栽培とも呼ばれます。異なる科の野菜を植えると土壌の栄養分の偏りがなくなり、病害虫の予防も期待できます。組み合わせの例としては、エダマメ→ニンジン→エダマメや、ジャガイモ→ハクサイ→ジャガイモなどがあります。

コンパニオンプランツ~相性がよい野菜の科

コンパニオンプランツ~相性がよい野菜の科

コンパニオンプランツの組み合わせを覚えるには、野菜の科に注目するとよいでしょう。相性がよい科の主な組み合わせは、次のとおりです。

相性がよい野菜の科

アブラナ科(キャベツ、ハクサイなど)

  • キク科(レタス、シュンギクなど)
  • セリ科(ニンジン、ミツバなど)

ナス科(トマト、ナスなど)

  • マメ科(エンドウ、インゲンなど)
  • ネギ科(ニラ、ネギなど)

ウリ科(キュウリ、ゴーヤなど)

  • マメ科(エンドウ、インゲンなど)
  • ネギ科(ニラ、ネギなど)

キク科(レタス、シュンギクなど)

  • アブラナ科(キャベツ、ハクサイなど)

セリ科(ニンジン、ミツバなど)

  • アブラナ科(キャベツ、ハクサイなど)

イネ科(トウモロコシなど)

  • マメ科(エンドウ、インゲンなど)

コンパニオンプランツ~相性のよい野菜一覧

コンパニオンプランツ~相性のよい野菜一覧

続いて、おすすめのコンパニオンプランツの組み合わせをご紹介いたします。

春~夏野菜

春から夏に収穫できる主な野菜のコンパニオンプランツは、次のとおりです。なお、野菜の種類によっては秋~冬に収穫できるものもあります。

野菜 コンパニオンプランツ 主な効果 植え方
トマト
(ナス科)
ネギ ヒガンバナ科 病気の予防 混植・間作
ニラ
ニンニク
インゲン マメ科 生長の促進
エダマメ
シソ シソ科 害虫の予防
バジル
パセリ セリ科 生長の促進
セロリ 害虫の予防
レタス キク科 生長の促進
アスパラガス キジカクシ科 病害虫の予防

トマトの育て方については、「家庭菜園でのトマトの育て方やコツをご紹介【初心者でも安心】」の記事をご覧ください。

野菜 コンパニオンプランツ 主な効果 植え方
ナス
(ナス科)
ネギ ヒガンバナ科 病気の予防 混植・間作
ニラ
ニンニク
インゲン マメ科 生長の促進
エダマメ
シソ シソ科 害虫の予防
バジル
パセリ セリ科
レタス キク科 生長の促進

ナスの育て方については、「家庭菜園でのナスの育て方やコツをご紹介【初心者でも安心】」の記事をご覧ください。

野菜 コンパニオンプランツ 主な効果 植え方
ピーマン
(ナス科)
ネギ ヒガンバナ科 病気の予防 混植・間作
ニラ
ニンニク
インゲン マメ科 生長の促進
エダマメ
シソ シソ科 害虫の予防
バジル
パセリ セリ科

ピーマンの育て方については、「家庭菜園でのピーマンの育て方やコツをご紹介【初心者でも安心】」の記事をご覧ください。

野菜 コンパニオンプランツ 主な効果 植え方
キュウリ
(ウリ科)
ネギ ヒガンバナ科 病気の予防 混植・間作
ニラ
ニンニク
エダマメ マメ科 生長の促進
シソ シソ科 害虫の予防
バジル
パセリ セリ科
ラディッシュ アブラナ科
トウモロコシ イネ科 生長の促進 間作

キュウリの育て方については、「家庭菜園でのきゅうりの育て方やコツをご紹介【初心者でも安心】」の記事をご覧ください。

野菜 コンパニオンプランツ 主な効果 植え方
ゴーヤ
(ウリ科)
ネギ ヒガンバナ科 病気の予防 混植・間作
ニラ
ニンニク

ゴーヤの育て方については、「家庭菜園でのゴーヤの育て方やコツをご紹介【初心者でも安心】」の記事をご覧ください。

野菜 コンパニオンプランツ 主な効果 植え方
トウモロコシ
(イネ科)
インゲン マメ科 生長の促進 間作
エダマメ
キュウリ ウリ科 生長の促進
カボチャ
野菜 コンパニオンプランツ 主な効果 植え方
エダマメ
(マメ科)
トマト ナス科 生長の促進 混植・間作
ナス
ピーマン
キュウリ ウリ科
トウモロコシ イネ科 間作
ニンジン セリ科 害虫の予防 輪作
ホウレンソウ ヒユ科 生長の促進
野菜 コンパニオンプランツ 主な効果 植え方
ラディッシュ
(アブラナ科)
キュウリ ウリ科 害虫の予防 混植・間作
バジル シソ科
レタス キク科 生長の促進

秋~冬野菜

秋から冬に収穫できる主な野菜のコンパニオンプランツは、次のとおりです。なお、野菜の種類によっては春~夏に収穫できるものもあります。

野菜 コンパニオンプランツ 主な効果 植え方
ネギ
(ヒガンバナ科)
トマト ナス科 病気の予防 混植・間作
ナス
ピーマン
ジャガイモ
キュウリ ウリ科
ゴーヤ
コマツナ アブラナ科 間作
ホウレンソウ ヒユ科 混植
野菜 コンパニオンプランツ 主な効果 植え方
ジャガイモ
(ナス科)
ネギ ヒガンバナ科 病気の予防 混植・間作
サトイモ サトイモ科 生長の促進
サツマイモ ヒルガオ科 輪作
ハクサイ アブラナ科
野菜 コンパニオンプランツ 主な効果 植え方
キャベツ
(アブラナ科)
ソラマメ マメ科 害虫の予防 混植・間作
レタス キク科
シュンギク
セロリ セリ科
野菜 コンパニオンプランツ 主な効果 植え方
ブロッコリー
(アブラナ科)
レタス キク科 害虫の予防 混植
シュンギク
ショウガ ショウガ科 生長の促進

ブロッコリーの仲間であるロマネスコの育て方については、「【美しい見た目!】家庭菜園でロマネスコを栽培する方法や調理方法をご紹介」の記事をご覧ください。

野菜 コンパニオンプランツ 主な効果 植え方
コマツナ
(アブラナ科)
ネギ ヒガンバナ科 害虫の予防 間作
ニラ
ニンジン セリ科 混植
シュンギク
野菜 コンパニオンプランツ 主な効果 植え方
ホウレンソウ
(ヒユ科)
ネギ ヒガンバナ科 病気の予防 混植
エダマメ マメ科 生長の促進 輪作
野菜 コンパニオンプランツ 主な効果 植え方
ニンジン
(セリ科)
ダイコン アブラナ科 害虫の予防 間作
コマツナ 混植
エダマメ マメ科 輪作
サトイモ サトイモ科 生長の促進 間作
野菜 コンパニオンプランツ 主な効果 植え方
サトイモ
(サトイモ科)
ダイコン アブラナ科 生長の促進 混植
ジャガイモ ナス科 間作
ニンジン セリ科
ショウガ ショウガ科 混植

相性の悪い組み合わせ

相性の悪い組み合わせ

野菜類の組み合わせによっては、病害虫が発生したり生育が悪くなったりします。相性が悪い野菜の主な組み合わせは、次のとおりです。

相 性 が 悪 い 野 菜 な ど 主なトラブル
トマト × ナス 病害虫が発生
ナス科 ナス科
ナス × トウモロコシ ナスの生育不良
ナス科 イネ科
ジャガイモ × キャベツ ジャガイモの生育不良
ナス科 アブラナ科
キュウリ × インゲン 害虫が発生
ウリ科 マメ科
ダイコン × ネギ ダイコンが変形
アブラナ科 ヒガンバナ科
レタス × ニラ レタスの生育不良
キク科 ヒガンバナ科
ニンジン × インゲン 害虫が発生
セリ科 マメ科
マメ科 × ヒガンバナ科 生育不良
野菜全般 × ラベンダー ローズマリー

コンパニオンプランツの手入れのポイント

コンパニオンプランツの手入れのポイント

最後に、注意しておきたい栽培ポイントについてご紹介いたします。コンパニオンプランツの導入で、必ずしも病害虫の予防や生長の促進などの効果が現れるとは限りません。植物の栽培は日々の観察を心がけ、トラブルの早期発見に努めましょう。

混植した場所は、葉や茎が混み合って風通しが悪くなる傾向にあります。弱った葉を取り除き、伸びすぎた茎をカットするなどして病気を予防してください。また、害虫を見つけたときはすぐに駆除することも大切です。

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コンパニオンプランツを植えて野菜を元気に!

コンパニオンプランツを植えて野菜を元気に!

今回は、コンパニオンプランツの基礎知識と植え方、相性のよい野菜と悪い野菜、コンパニオンプランツを導入した菜園の手入れについてご紹介いたしました。互いによい影響を与えるコンパニオンプランツの活用には、相性のよい科の組み合わせを覚えることをおすすめします。

家庭菜園でもコンパニオンプランツを効果的に取り入れ、新鮮でおいしい野菜をたくさん収穫しましょう。

「For your LIFE」で紹介する記事は、フマキラー株式会社または執筆業務委託先が信頼に足ると判断した情報源に基づき作成しておりますが、完全性、正確性、または適時性等を保証するものではありません。

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