2020年4月10日 | 園芸・ガーデニング
家庭菜園でのピーマンの育て方やコツをご紹介【初心者でも安心】
栄養が豊富で、さまざまな料理と相性がよいピーマン。育て方のポイントを押さえれば、初心者の方も家庭菜園でピーマンを育てられます。
今回は、夏野菜の代表格であるピーマンの基礎知識と育て方のポイント、栽培に必要なものと具体的な育て方、ピーマンに起こりやすいトラブルと対策についてご紹介します。この機会に、家庭菜園でたくさんのピーマンを育てませんか?
家庭菜園で人気のピーマンとは
はじめに、ピーマンの基礎知識についてご紹介します。
ピーマンの分類と歴史
ピーマンはパプリカやトウガラシと同じ仲間で、ナス科トウガラシ属に分類されます。15世紀に、コロンブスがピーマンの原産地である中南米からスペインに持ち帰り、香辛料としてヨーロッパを中心に世界中へ広まったと言われます。
日本には16世紀の南蛮(なんばん)貿易で最初のピーマンが持ち込まれ、明治の初頭に食べやすく品種改良されたピーマンが伝わりました。
ピーマンに含まれる栄養
ピーマンのビタミンCの含有量はレモンの3倍、トマトの5倍と多めで、βカロテンや食物繊維も豊富です。赤いピーマンはさらに栄養価が高く、βカロテンやビタミンCは緑のピーマンの2倍以上、ビタミンEは5倍以上も含みます。ピーマンの栄養価は加熱しても損なわれにくいので、さまざまな料理に使用して摂取しましょう。
ピーマンの主な種類
ピーマンは大型、中型、長型などに分けられ、一般的な緑のピーマンは「薄肉(うすにく)中型種」と呼ばれます。現在のピーマンは、従来よりも香りや苦みが控えめで食べやすく品種改良されています。
また、大型で甘みがある「ベル赤系」のパプリカや、品種に関わらず色が付いたピーマンのほか、緑のピーマンが熟して黄色や赤になったものを総称して「カラーピーマン」と呼びます。
ピーマンの育て方【3つのポイント】
家庭菜園のピーマンの育て方は、3つのポイントを押さえましょう。
① 一番花と整枝(せいし)
ピーマンは、最初に咲く「一番花」を摘むと、後の生育がよくなってたくさんの実が収穫できます。その後、メインの茎と一番花の下から伸びる茎を2本残す「整枝」をし、脇から出る芽も随時取り除きましょう。
② 水やりと肥料
ピーマンは乾燥を嫌うので、土の様子を見ながら適宜水やりをしてください。ただし、過湿が続くと根が傷むなどの影響が出ます。また、ピーマンは肥料を多く必要とするため、定期的に与えて育てましょう。
③ 虫よけ対策
ピーマンは害虫が付きやすいので、虫よけネットや後にご紹介する「コンパニオンプランツ」を利用して虫よけ対策をします。害虫を見つけたら、すぐに駆除して繁殖させないことが大切です。
家庭菜園のピーマン栽培で必要なもの
家庭菜園でピーマンを栽培するときには、シャベルやじょうろなどのほか、以下のものを用意しましょう。ベランダなどの小スペースで栽培する場合は、深さが30cmほどのプランターが必要です。
土と肥料など
同じ科の植物を同じ場所で続けて育てると、「連作障害(れんさくしょうがい)」が出てよい作物が育ちません。プランターでは野菜用の土を新しく用意し、畑ではピーマンやトマト、ナスなどのナス科の植物を育てた場所を避けて栽培してください。
酸性の土を中和するための石灰も用意し、前もって土づくりをしておきましょう。また、原料に植物や魚の骨などを用いた「有機質肥料」や、有機質肥料に土やもみ殻などを加えて発酵させた「ぼかし肥料」などがおすすめです。
タネまたは苗
ピーマンはタネから栽培もできますが、温度管理などが難しいため、初心者の方は苗の購入をおすすめします。15~20cmくらいの高さで茎が丈夫な苗がよく、つぼみが付いていれば理想的です。ピーマンは寒さに弱いので、5月頃に並ぶ苗を購入して植え付けましょう。
支柱や虫よけネットなど
ピーマンの茎は折れやすいため、植え付け後はすぐに仮の支柱で支えます。固定用のビニールタイや麻ひもなども早めに用意しましょう。また、害虫の予防には、虫よけネットや不織布(ふしょくふ)などをそろえてください。
そのほか、土の乾燥や雑草を予防するマルチング用の「敷きわら」なども必要です。パプリカなどの栽培期間が長い品種は、雨よけも設置しましょう。
コンパニオンプランツ
異なる植物を近くに植えて、互いによい影響を与えるコンパニオンプランツもおすすめです。ピーマンはネギやニラ、インゲン、枝豆などと相性がよく、害虫を避けたり病気を予防したりする効果が期待できます。
【保存版】家庭菜園でのピーマンの育て方
それでは、家庭菜園におけるピーマンの具体的な育て方をご紹介します。
基本の土づくり
畑の土は古い根や石、ゴミなどを取り除いた後、日光に当てて消毒しましょう。植え付けの2週間前までには、石灰を混ぜて中和しておきます。その後、堆肥(たいひ)や腐葉土(ふようど)を加えてなじませ、植え付けの1週間ほど前には「元肥(もとごえ)」として肥料を混ぜます。
プランター用には新しい土がおすすめですが、古い土を再利用するときはナス科の植物を植えた土を避け、同様に土づくりをしてください。
植え付けのポイント
ピーマンは寒さが苦手なため、植え付けは十分に気温が上がった5月頃に行いましょう。苗にたっぷりの水を含ませてから取り出し、株の間は50cmほど空けて植え付けます。プランターには2つの苗が限度で、間は50cmほど空けます。
植え付けた後は、敷きわらなどで株の根元を保護して乾燥を防ぎます。ピーマンの茎は弱いので、植え付け後はすぐに仮の支柱で支えて倒れないようにしてください。また、早い時期からネットや不織布などをかぶせて、虫よけ対策もしましょう。
夏場の水やり
ピーマンは乾燥と過湿に気を配り、夏場は適宜水やりをしてください。プランターは毎朝水やりを行い、畑の土が乾いたときにも水を与えます。乾燥が続くと葉が全体に下を向き、よい花が咲かなかったり実が奇形になったりします。
過湿のときは葉が全体に小さく育ち、下の葉は下向きに伸びてだんだんと黄色くなるなどの症状が出ます。パプリカやカラーピーマンなどの栽培期間が長い品種は、雨よけを設置して梅雨や長雨の過湿による影響を防ぎます。
一番花と整枝
先述したように、最初に咲いた一番花は摘み取って株を大きく育てましょう。メインの茎である「主枝(しゅし)」が伸びたら、長い支柱をしっかりと立ててビニールタイなどで留め付けます。その後、主枝と一番花の下から伸びる2本の茎を「側枝(そくし)」として残し、そのほかの茎や脇から伸びる芽は取り除きます。
側枝が伸びたら、さらに2本の支柱をクロスして倒れないように固定し、茎を留めながら育てます。側枝が分岐して混み合った部分は、随時カットして風通しをよくしてください。
肥料の与え方
植え付けて1カ月ほど過ぎたら、マルチングの下から「追肥(ついひ)」として肥料を与えます。ピーマンは肥料を好むので、その後も2週間に1度のペースで定期的に追肥をしてください。
収穫のポイント
ピーマンの収穫期間は7~10月で、一般的なピーマンは開花しておよそ15~20日後に実を収穫できます。たくさんの花に対して、実が付くのは5~6割くらいです。収穫の際は枝を折らないように気を付け、はさみで丁寧にカットしてください。収穫と同時に実の近くに伸びた脇芽も取り除き、伸ばした3本の茎に栄養が行き渡るようにしましょう。
株が弱ってきたときは、実が小さいうちに収穫して株の回復を促します。カラーピーマンはさらに日数を置いて実の色付きを待ち、ツヤがあるうちに収穫しましょう。緑のピーマンをカラーピーマンとして収穫するときには、全体の半分くらいに抑えて株の衰弱を防いでください。
ピーマンだけでなく、家庭菜園で収穫できる野菜は「ガーデニング初心者におすすめしたい手軽に栽培できる野菜10選」を参考にしてください。
ピーマン栽培のトラブルと対策
最後に、家庭菜園でピーマンに起こりやすいトラブルと対策をご紹介します。
ピーマンに多い病気
植え付けた後に高温多湿の環境が続くと、株の下から徐々に枯れる「立枯病(たちがれびょう)」になることがあります。また、ウイルスが原因で葉にモザイクのような模様が出る「モザイク病」や、カルシウム不足などで実の下から黒く枯れる「尻腐れ病(しりくされびょう)」にかかる場合もあります。
ピーマンに付く害虫
ピーマンを好む害虫は多く、主にアブラムシやヨトウムシ、カメムシ、タバコガなどが付きます。特にアブラムシやカメムシなどは、病気の原因につながるウイルスを運ぶため、早い時期に虫よけネットや不織布などをかぶせて予防してください。
家庭菜園の野菜に害虫が付いたときには、フマキラーの「カダンセーフ」がおすすめです。カダンセーフは、食品成分由来の膜が病害虫を包んで退治。害虫は呼吸ができずに窒息死し、病原菌も栄養を得られず死滅します。屋内での使用や、お子様・ペットのいるご家庭でも安心してご使用いただけます。また活力成分の天然アミノ酸とAO(アルギン酸オリゴ糖)を配合していますので、病害虫対策だけでなく植物の生育もサポートする優れものです。
実が曲がる
ピーマンの実が曲がる原因は、主に気温の高さや日光の強さ、土の養分の過不足、水の不足などが挙げられます。特に実が多く付く時期は曲がりやすいので、枝が混み合うところをカットし、花の数を減らすなどの対策をしてください。曲がった実は食用にできますが、極端に硬いときは処分しましょう。
実が付かない
先述したように、ピーマンの花から実が付くのは全体の5~6割ですが、花が大量に散るときには株が弱っている可能性があります。水やりと追肥をして、枝が混み合うところを整理して風通しをよくしてください。その後、実が付いたときは小さいうちに収穫して株の負担を減らし、様子を見ましょう。
ピーマンの育て方を覚えて家庭菜園に挑戦!
今回は、家庭菜園におすすめのピーマンについて、基礎知識と具体的な育て方、起こりやすいトラブルと対策をご紹介しました。ピーマンの育て方は、一番花の摘み取りと整枝のほか、水やりと定期的な肥料、害虫に注意することがポイントです。毎日の観察を欠かさなければ、初心者の方も家庭菜園でピーマンを栽培できます。
この夏は、栄養が豊富なピーマンを育てておいしくいただきましょう!