ダンゴムシが大量発生する原因とは?ダンゴムシの習性を知って対策しよう!
指などでカラダをつつくとまん丸になるユニークな特徴で、子どもたちに人気の愛されキャラとも言える「ダンゴムシ」。
人に危害を加えることもなく、落ち葉などを食べて土壌を豊かにしてくれる益虫としての一面を持つ一方で、大切に育てている花や野菜、苔などを食べてしまうといった困った一面もあります。
「えっ、ダンゴムシって野菜を食べるの?」と意外に思われた人もいるかと思いますが、このように“丸まる”以外はあまり知られていないダンゴムシ。
そこで今回は、そんなダンゴムシの生態や習性について解説するとともに、大切な作物を守るための対策について紹介していきます。
正式名称は「オカダンゴムシ」ムシとつくけれど虫じゃない?
丸まった姿がお団子に似ていることからその名がついたと言われるダンゴムシですが、正式名称は「オカダンゴムシ」。名前に「ムシ」とついているものの、実はエビやカニなどの仲間で、生物分類学上では節足動物の中の甲殻類に分類されています。
世界共通の学名は「Armadillidium vulgare」といい、同じように危険を感じると体を丸くする「アルマジロ」の名がついています。アルマジロの語源となったスペイン語の「Armado」には「武装した」という意味があるようです。
よく見かけるのは「オカダンゴムシ科」のダンゴムシ
日本で生息するダンゴムシの種類は、大きく「オカダンゴムシ科」「コシビロダンゴムシ科」「ハマダンゴムシ科」の3つに分けられます。その中でもよく見かけるのが「オカダンゴムシ科」に属する「オカダンゴムシ」と「ハナダカダンゴムシ」です。
実はこの2種類は外来種で、一説によると明治時代に船の積み荷に乗ってきたと言われています。オカダンゴムシ科のダンゴムシは世界に広く分布し、その種類は地球上では約300種、国内では約50種と推定されています。
しかし、ダンゴムシについてはまだまだ分かっていないことが多く、その他の種類についてはまだそれほど確認されていないようです。
ダンゴムシの生態や特徴
庭や公園などにあるちょっと大きな石をひっくり返してみると、わりと簡単にダンゴムシを見つけることができます。このように人間の生活圏に暮らす身近な生き物なのに、まだまだ知られていないダンゴムシ。その生態について見ていきましょう。
特徴・形態
ダンゴムシの最大の特徴は体をまん丸にすることができるということ。これは外敵から身を守るためと言われています。のろのろした印象がありますが、ダンゴムシは本来夜行性で、夜になるとわさわさと活動的に動き回ります。
夜行性の理由については、昼間は石の下などに隠れていることで天敵(鳥、トカゲ、カエル、クモ、ムカデなど)から身を守るとともに、日光による水分の蒸発を防ぐためと言われています。
ダンゴムシ(大人)の体長はおよそ1cm。体は14の大節からできています。
- 1節:頭(触覚、口、目がついています)
- 2~8節:胸(1節ごとに1対の足がついています)
- 9~13節:お腹(生殖器、呼吸器官、尻尾肢がついています)
また、ダンゴムシは成長の過程で脱皮を数回行います。脱皮した抜け殻はカルシウムが豊富なため、脱皮したあと自らが食べてしまいます。
ダンゴムシに似た姿形をした生き物でワラジムシがいます。同じく「等脚目」に属する仲間ですが、ワラジムシはダンゴムシのように体が丸まることはありません。
生息場所
湿った場所を好み、落ち葉や枯れ葉の下、石の下や木の根元、最も身近な場所ではプランターや植木鉢の下などのジメジメした場所で見つかることもあります。
活動時期
一年を通して見かけることができるダンゴムシですが、活動時期はだいたい2月~11月くらいと言われています。寒い時期には地中に潜ったり、石の下などでひっそりと冬眠します。4月~9月に繁殖期を迎え、一度の繁殖で数十から数百の幼生を産みます。
ダンゴムシの寿命はおよそ2~4年と言われています。
ダンゴムシの良いところ、悪いところ
まずはダンゴムシの良いところから見ていきましょう。こちらはなんと言っても冒頭でも述べた通り土壌を豊かにしてくれるという点です。
ダンゴムシは枯れ葉などを食べることで土の中の有機物を分解しやすい状態にしてくれます。また、ダンゴムシの糞を微細昆虫が食べることでも土が豊かになります。
悪いところは、植物の葉や茎(特に新芽)、根っこなどを食べてしまう点です。大切に育てた花や野菜をダメにしてしまうため、ガーデニングをされる人にとって、ダンゴムシ=害虫と思っている人が多いようです。
ダンゴムシが大量発生する原因は?
ダンゴムシが大量発生する原因のひとつとして考えられているのが、そこがダンゴムシにとって過ごしやすい場所であるということです。主食となる落ち葉、湿気を含んだ土、大好物の作物の新芽など、ダンゴムシにとって快適な環境が整えばそこは最高の住処となります。
また、ダンゴムシは一度の繁殖で数十から数百の幼生を産むため、心地よい住処で繁殖期を迎えるとダンゴムシが大量発生する原因となります。
ダンゴムシの駆除・退治方法
ここでは大切な作物にダンゴムシが発生した場合の駆除や退治の方法について紹介します。
落とし穴を仕掛ける
ダンゴムシを大量捕獲する方法として「落とし穴」を仕掛けるというのがあります。用意するのは、ジュースなどの空き缶と、エサとなる野菜の余りなど。ダンゴムシはコーヒーの臭いを嫌うため、コーヒーの空き缶はおすすめしません。
<落とし穴の作り方>
(1)ジュースなどの空き缶の上部を切り取ります。
(2)缶の中にエサとなる野菜など入れ、ダンゴムシがいる場所に埋めます。この際、切り口が地面より低くなるように埋めます。
(3)エサにおびき寄せられてダンゴムシが缶の中へ。一度落ちると上がってくることはできません。
※捕獲したダンゴムシは、自然に放したり、腐葉土づくりに役立てることができます。
酢や木酢液を散布する
酢の臭いを嫌う虫は多く、ダンゴムシも同様にこの臭いを嫌います。そこで、酢を水で5%くらいに薄めたものをスプレーボトルにつくって散布します。
また、ガーデニングでよく使われる木酢液を散布するといった方法もあります。木酢液を使用するときは水で200~500倍に薄めて散布します。
濃いめのコーヒーを散布する
濃いめのコーヒーを冷ましてからスプレーボトルに入れて、そのまま吹きかけるという方法もあります。注意すべきは、コーヒーはシミになりやすく植物や野菜に色がつく恐れがあるという点です。スプレーした付近がコーヒーで汚れる可能性が高いため、拭き掃除も忘れずに行うようにしましょう。
もう1点、コーヒーがらを撒くのはNG。ダンゴムシはコーヒーの臭いは苦手でもコーヒーがらは大好きという変わった特徴があります。
殺虫剤を使用する
確実にダンゴムシを仕留めたいなら殺虫剤の出番です。ダンゴムシの駆除用としてもさまざまなタイプが販売されています。殺虫効果があるため、ペットや小さなお子さんがいるご家庭では十分注意が必要となります。
スプレータイプ
ダンゴムシの体に直接スプレーするため、確実かつ即効性の高い殺虫剤です。
粉末タイプ
庭などに撒くとその部分がバリアのようにダンゴムシの侵入を防いでくれる長期型の殺虫剤です。玄関などに撒けば家の中への侵入を防ぐことができます。
誘引タイプ
エサとして食べさせて駆除するタイプの殺虫剤です。粒状やペレット状の薬剤をダンゴムシが出現しそうな場所に撒いて使用します。山のように盛っておけば目印にもなるので、こうした使い方もおすすめです。
フマキラーでは、ダンゴムシに効果のあるスプレータイプ・粉末タイプ・誘引タイプの園芸用殺虫剤を多数取り揃えております。
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ダンゴムシの予防・対策
ダンゴムシが生息する場所はダンゴムシにとって住み心地がいい場所と言えます。つまり、ダンゴムシが住みにくい環境とすることこそ、ガーデニングの花や野菜を守るための第一歩と言えます。
落ち葉や枯れ葉を取り除く
大切に育てている花や野菜に良いとされる環境は、ダンゴムシにとっても住みやすい環境です。特に落ち葉や枯れ葉はダンゴムシの大好物。少しでもダンゴムシによる作物の被害をなくすためにも、落ち葉や枯れ葉はこまめに掃除して風通しのいい環境をつくっておくようにしましょう。
ジメジメした場所をなくす
ダンゴムシは湿った土が大好きです。晴れた日が続くと土の表面は乾燥していきますが、少し大きな石をひっくり返すと湿気を含んだ色の違う土が現れます。そして、そこにはかなりの確率でダンゴムシの姿も…。
こうした石のほかにも野積みにされた瓦の下や、庭先に置きっぱなしのバケツやプランターの下などはとてもジメジメしているので、こまめに移動させることも大切です。
土を掘り起こして、表面を乾燥させる
土の表面が乾燥していても少し掘ると湿気を含んだ土が現れます。そこで、ダンゴムシが出現する付近の土を掘り返して、下のほうの湿った土を乾燥させます。少し手間のかかる作業ですが、こうすることでダンゴムシが好むジメジメした場所を減らすことができます。
ハーブで忌避させる
虫を駆除する方法としてハーブが用いられるケースがあります。スペアミントは石の下などに隠れている虫を這い出させる効果があるなど、まさにダンゴムシの駆除にはもってこいです。ペパーミントでも同様の効果が期待できます。
ラバンジンというハーブにはダンゴムシの定着阻害効果があり、シナモンは近寄ってきた虫を引き帰らせる効果が期待できます。
また、ハーブとは異なりますがマリーゴールドは除虫菊花植物としてダンゴムシを近寄らせない効果が期待できます。
ダンゴムシを忌み嫌わず、上手に付き合う気持ちも大切に
ダンゴムシは屋外であれば比較的どこでも見かけることのできる存在です。そのため、一時的に駆除したとしても、またすぐに姿を現す可能性があります。
大切に育てている花や野菜などに良いとされる環境は、ダンゴムシにとっても住みやすい環境です。そこで駆除や退治する意識とともに、つねに“ダンゴムシが住みにくい環境”を整えておくことが予防の第一歩です。
また、ダンゴムシは土壌を豊かにしてくれる益虫としての一面も持ち合わせており、生態系のバランスを考えた上でも、ダンゴムシと上手に付き合っていくのも大切なことと言えます。