大切な虫をケアしよう【カブトムシを長く育てるコツ】

大切な虫をケアしよう【カブトムシを長く育てるコツ】

夏に向けて虫たちもますます活動を活発化させている今日この頃ですが、夏といえばやっぱり「カブトムシ」の季節。子ども時代、飼育ケースでカブトムシを育てた経験のある人も多いのではないでしょうか。昔に比べ、身近でカブトムシを捕まえられる環境が減ってしまった今、自宅でカブトムシを育ててみませんか。

国産のカブトムシの場合、寿命は幼虫時代を含めてだいたい12ヵ月~15ヵ月くらい。成虫になってからだと1ヵ月~3ヵ月くらい。飼育していると長生きしますが、野外では雄は3週間、雌は1ヵ月が平均寿命と言われています。決して長くはない期間だからこそ、大切に育ててあげたいものです。そのためにも、虫のケアに関する知識は必須。

そこで今回は、カブトムシの飼育方法はもちろん、カブトムシが快適に少しでも長く暮らせるように用意したいモノなどについて紹介いたします。

採集?それとも購入?まずはカブトムシを確保

採集?それとも購入?まずはカブトムシを確保。

自分で捕まえて飼うのが昆虫飼育の醍醐味と言えますが、採集に行く時間がない人はペットショップやネット通販などでも手軽に購入できます。

それでも自分で捕まえたカブトムシを飼いたいという人は、カブトムシが生息する場所や採集方法などを調べてぜひチャレンジしてみてください。カブトムシは山や雑木林の「クヌギ」や「コナラ」といった広葉樹の樹液に集まります。朝の早い時間帯がおすすめです。

カブトムシ(成虫・幼虫)の飼育に必要なモノ

カブトムシの成虫・幼虫を育てる上で必要なモノを紹介します。カブトムシを捕まえる、あるいは購入する前に用意しておきましょう。特に幼虫の飼育に適した「発酵マット」は、飼育ケースに入れる前に、「ガス抜き」という数日間空気にさらす作業が必要となるため、前もって準備しておくことをおすすめします。

飼育ケース

飼育ケースは成虫や幼虫を育てるための容器です。何匹飼育するかによって大きさを選びましょう。特に幼虫期は大きな成虫に育つようスペースに余裕を持たせてあげることが重要です。

マット(飼育用の土)

自然の中で成虫が好むクヌギやコナラのチップなどを配合した成虫用のマットや、栄養価が高い腐葉土を人工的に模した幼虫用のマットなど、成長段階に合わせたさまざまなマットがあります。

エサ

成虫のエサとしては「ゼリー」が一般的です。バナナやリンゴなどの果物もおすすめ。スイカやメロンなど水分の多い果物はオシッコの量が増えるため、飼育ケースが不衛生になりがちです。幼虫は発酵マットから栄養を摂るため特にエサを用意することはありません。

のぼり木

のぼり木を置いてなるべく自然と同じような環境にしてあげましょう。カブトムシはひっくり返ると自力ではなかなか起き上がることができません。そのためにも掴まるための木が必要です。エサとなるゼリーが固定できるようエサ置き用の穴がついた便利なタイプもあります。

スプレー

湿気を好むため、マットが乾いてきたらスプレーで加水します。

ディフェンディングシート

小バエの侵入を防いだり、マットの保湿にも効果的です。

幼虫・成虫、カブトムシの育て方

幼虫・成虫、カブトムシの育て方

カブトムシは「幼虫」と「成虫」では育て方が大きく異なります。幼虫期も成虫期もつねに健やかな状態で飼育できるように、成長に合わせて正しい飼育の知識を身につけましょう。

幼虫の飼育方法

<幼虫飼育に必要なもの>

  • 飼育ケース
  • ディフェンスシート(小バエの侵入を防ぎ、保湿にも効果的)
  • 発酵マット(腐葉土の状態を人工的に再現したもので、幼虫の飼育床としておすすめ)
  • 新聞紙やビニールシート(発酵マットをガス抜きするときに使用)
  • タライ(発酵マットを加水するときに使用)
  • スプレーボトル+水(加水するため)

飼育ケースに、ガス抜きと加水した発酵マットを敷き詰めてそこで幼虫を育てます。

① 発酵マットのガス抜きを行います
日陰に新聞紙やビニールシートを広げ、その上に発酵マットを広げます。山の土のような匂いになるまで、その状態のまま数日間放置します。

② 発酵マットに加水します
タライにガス抜きした発酵マットを入れ、少しずつ水を加え、よく混ぜます。手で握ったときカタチが残り、水がにじまない程度になればOKです。

③ 飼育ケースにガス抜きと加水した発酵マットを入れます
①②を行った発酵マットを飼育ケースに手で押し固めるように詰めていきます。ケースの7割くらいの高さまで詰めたら、その上に2cmくらい柔らかく詰めます。

④ 飼育ケースのフタをして日陰で2~3日放置します
ケースにマットを入れたらフタをして日陰に置きます。2~3日してマットが発熱していなければ幼虫をセットできます。マットが熱を持っていたら①〜④の作業をもう一度繰り返します。

※栄養価の高い「発酵マット」ですが、ガス抜きなど手間がかかるのが難点。初心者の方にはガス抜きの必要がない「完熟マット」がおすすめです。

【ガス抜きの必要性】
カブトムシの幼虫飼育には、栄養価が高い熟度の低い発酵マットが最適ですが、熟度が低いと再発酵する確率も上がります。再発酵するとガスが充満し温度が上昇するため、中で暮らす幼虫たちが熱くて死んでしまう恐れがあります。ガス抜きは、こうした再発酵を防ぐために行います。

⑤ 幼虫を飼育ケースに入れます
飼育ケースに敷き詰めたマットに、幼虫が入るくらいの穴を掘ります。そこに幼虫を置いてあげると自分でマットの中に潜っていきます。大きいケースで複数匹飼育する場合は穴を掘る(幼虫を置く)間隔を空けます。小さいケースの場合は1ケースに1匹がおすすめです。

⑥ 幼虫が潜ったらディフェンスシートをはさんでフタをします
幼虫が潜ったらフタをして飼育がスタートします。フタをする際、小バエの侵入を防ぐためディフェンスシートをはさみます。マットの保湿にも効果があります。

⑦ 飼育スタート
飼育ケースを日陰の涼しい(20℃~25℃くらい)ところに置いて飼育をはじめましょう。幼虫はおもに発酵マットから栄養を摂ります。マットの表面がフンだらけになってきたら新しいマットに交換します。マットが乾いているときはスプレーなどで加水します。

一般的なサイクルで見ると、幼虫期は10月~5月。5月~6月にかけてサナギになり、6月~7月にかけて羽化して成虫になります。幼虫のカラダが黄色くなってきたら、サナギになる準備をはじめている状態で、この頃になるとエサをほとんど食べなくなります。

サナギになる前に「蛹室(ようしつ)」という部屋(空間)を作ります。成虫になるためにはこの空間がとても大切です。蛹室を壊してしまう恐れがあるため、この時期にはマットの交換は行わないようにしてください。


<幼虫飼育の注意点>

  • 小さいケースの場合は1ケース1匹がおすすめ。
  • 大きいケースで複数育てるときは互いに接触しないように間隔をあけること。
  • 幼虫がマットの上に出てくるときはマットの状態が悪くなっている可能性が高い。マットが乾いていたらスプレーで加水する。マットの表面がフンだらけの場合、エサが不足している可能性があるのでマットを交換する。
  • サナギになる準備がはじまるため4月に入ったらマットの交換は控える。

成虫の飼育方法

<成虫飼育に必要なもの>

  • 飼育ケース
  • ディフェンスシート(小バエの侵入を防ぎ、保湿にも効果的です)
  • ハスクチップ(ヤシの実の外皮を粉砕したもの。無臭のため室内での飼育におすすめ)
    ※その他ハスクチップは成虫を観察しやすいといった利点もありますが産卵には適していません。
  • のぼり木(自然に近い環境を演出。ひっくり返ったときに掴まって起き上がる役割もあります)
  • エサ皿
  • エサ(昆虫ゼリーなど)
  • スプレーボトル+水(加水するため)

飼育ケースに、ハスクチップなどを敷きそこで成虫を育てます。

① 飼育ケースにハスクチップを敷きます
カブトムシが潜れる深さまでハスクチップを敷きます。

② のぼり木をセットします

③ エサ皿にエサを置きます
飼育する数だけエサ皿をおきます。成虫1匹につき1~2日で1個が目安となります。

④ カブトムシを入れます

⑤ ディフェンスシートをはさんでフタをします
小バエの侵入を防ぎ、保湿にも効果的です。

⑥ 飼育スタート
飼育ケースを日陰の涼しい(20℃~25℃くらいの)ところに置いて飼育をはじめましょう。チップ(マット)が乾いているときはスプレーなどで加水します。


<成虫飼育の注意点>

  • カブトムシは夜行性のため夜に羽音などを立てることがある。
  • 動き回ってエサのゼリーなどをひっくり返してしまうことがある。
  • エサを切らさないようにする。
  • 1つのケースに複数いるとケンカをすることがある。ケンカがひどい場合はケースを分ける。エサ皿は飼っている数だけ用意する。

卵を産ませてみよう

卵を産ませてみよう

カブトムシを飼育したらぜひ卵を産ませてみましょう。成虫が交尾して卵が産まれ、幼虫となり、サナギとなり、そして成虫へ。こうしたカブトムシの命のサイクルをイチから観察すること、カブトムシについてより深く知ることができます。

<産卵に必要なモノ>

  • 飼育ケース×2(卵が産まれたら別のケースで育てます)
  • 産卵用マット(完熟マット、黒土マットなど)
  • とまり木
  • エサ(ゼリー、バナナなど)
  • スプーン

複数匹飼育している場合、産卵用に別のケースを用意します。ケースの中にマットを入れ、雄と雌をペアで同居させます。

産卵用のマットは「完熟マット」や「黒土マット」がおすすめです。交尾は木の上で行うことが多いためケースの中にとまり木を入れ、エサも用意します。

卵の産ませ方

成熟した雄と雌のペアを同居させておけば自然と交尾をします。確実に交尾をさせる場合は、雌の上に雄をやさしく乗せます。ただし、羽化したばかりの成虫だと交尾や産卵がうまくできません。

羽化してから成熟するまでだいたい1~2ヵ月。「エサを食べはじめた」「食べる量が増えた」「羽をはばたかせる」といった行動が見られはじめたら成熟している可能性が高いと言えます。

毎日コツコツ、一生で約100個を産卵

カブトムシの雌は毎日コツコツと1~2個卵を産み、一生のうち約100個の卵を産みます。野外だと雌の寿命は1ヵ月なので生涯の産卵数は50個くらいが平均とされています。

交尾をしたあとは注意深くマットを観察するようにしましょう。カブトムシの卵は1~3mmで白い米粒のような形をしています。

卵が見つかったら

マットの上に卵を見つけたら卵に触れないように慎重にスプーンですくって別のケースに移します。成虫が動き回った際、卵を傷つけてしまう恐れがあるため、卵は別で育てるようにしましょう。産卵後、10日前後で小さな幼虫になります。

毎日のこまめなケアで元気なカブトムシを育てましょう

カブトムシは幼虫の時期と成虫になってからでは、マットやエサなど用意するものが異なります。成長の段階に合わせて、適した環境で育てることが大切です。

また湿気を好むためマットの状態には特に気を配り、乾燥していたらスプレーで湿らせ、フンが溜まってきたらフンを取り除いたり、マットを交換したりするようにしましょう。

こうしてこまめに観察やケアをすることで、いろんな気づきや発見が見つかるかもしれません。この夏、ぜひカブトムシの飼育を楽しんでみませんか。

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