スズメバチが発生する原因とは?スズメバチの習性を知って対策しよう

スズメバチが発生する原因とは?スズメバチの習性を知って対策しよう

害虫被害で恐れられているのがハチによる被害です。
中でもスズメバチによる被害は年々増加しており、活動を始める春先から自治体への相談件数も多くなってきます。
スズメバチによる被害は時として命に関わる事もありますので、出来れば被害に遭わないようにしたいものです。

どのような習性があるのか、そして発生する原因や被害に遭わないようにするにはどうすれば良いのかも含めて対策をご紹介します。

スズメバチの生態について

スズメバチは67種類、日本では16種類が確認されています。
種類によって攻撃性や、巣の作り方に違いがあります。
被害に遭う可能性がある代表的なスズメバチをご紹介します。

スズメバチの種類

オオスズメバチ

東アジアに広く分布し、女王バチの体長が40~55mm、働きバチの体長が27~40mm、雄バチが27~45mmほどあります。
頭部はオレンジ色で胸部は黒色、腹部は黄色と黒色の縞模様がある大型のスズメバチです。
毒性も強く、非常に獰猛な性格のため、他のスズメバチの巣を攻撃する事もあります。

キイロスズメバチ

女王バチの体長が25~28mmで、働きバチの体長が18~24mmほどあります。
ケブカスズメバチとも呼ばれ、日本で最も小さい種類、そして多く見られるスズメバチの種類になります。
頭部は黄色で、胸部は黒色、肩部は黄色、腹部は濃褐色と黄色の縞模様で、全体的に黄褐色の毛で覆われているのも特徴です。
オオスズメバチと同じぐらい攻撃性は強いです。
球状の巣を作り、50㎝ぐらいの大きさでは1000匹ほどのキイロスズメバチが住んでいると考えられています。

コガタスズメバチ

女王バチの体長が25~29mm、働きバチの体長が22~27mmほどで、見た目がオオスズメバチと似ています。
オオスズメバチよりは温厚な性格です。
民家の軒下や、庭に生えている木の中、植え込みなどに巣をつくる事もあります。
女王バチと幼虫しかいない時期はとっくりを逆さにしたような形の巣をつくります。
そして幼虫が成長して働きバチが増えてくるようになると球状の巣になります。

ヒメスズメバチ

体長が22mm~37mmほどあり、オオスズメバチの次に大きい種類になります。
攻撃性はオオスズメバチよりは低く、毒性も弱いです。
屋根裏や土の中などの閉鎖的な場所に巣をつくります。
幼虫がアシナガバチの幼虫を食べるため、アシナガバチの巣を襲う事があります。

オスバチは毒針を持たない

攻撃するのはメスの働きバチのみになります。
毒針は産卵管が変化したものになり、メスしか産卵管は持っていないためにオスは刺してくる事はありません。

繁殖の時期は更に攻撃性が高くなる

スズメバチの繁殖は9月から10月に盛んになります。
この時期は攻撃性が高いので、巣からかなり離れた場所でも攻撃してくる事があります。

スズメバチの巣は特徴的

ミツバチの巣は巣板が下に垂れる形になっており、アシナガバチの巣はシャワーヘッドのような形になります。
スズメバチの巣は球状の巣に出入り口が1つという特徴があるので区別しやすいです。
他にもスズメバチは土の穴を利用して巣をつくる事もあります。

巣を乗っ取る種類もいる

スズメバチの中でもチャイロスズメバチは他のスズメバチの巣を乗っ取り、自分が女王バチとして更に巣を繁栄させていくという方法をとります。

スズメバチによる被害について

スズメバチによる被害について

ハチによる被害は刺される事です。
ハチに刺され死亡してしまう人も毎年10〜20人ほどいると厚生労働省の発表でもありますが、その中で被害が多いのがスズメバチになります。

【参考】厚生労働省

突然、スズメバチがたくさん飛んできて一斉に刺されるという被害があります。
これは巣の周りで見張りをしている働きバチがいて、巣に近づいてくるものに対して敵かどうかを確かめようとしてまとわりついて来ます。

ホバリングをしながらあごをカチカチと鳴らす威嚇音も出してきます。
この時に手で払ったりすると、スズメバチを刺激してしまい、興奮したハチが刺そうとしてきますし、毒液を噴射します。

この毒液には仲間に敵が来たというのを知らせるための警報フェロモンが含まれています。
そのため、警報フェロモンを察知した多くの働きバチが巣を守ろうと一斉に出てきて攻撃をするのです。

スズメバチに刺された場合の対処

スズメバチの場合、刺されると激しい痛みが生じて腫れてしまいます。

もし刺された場合は水道水で洗い流し、ハチ用の毒の吸引器がある場合は毒を吸い出すようにします。
唾液と一緒に体内に取り込んでしまう可能性がありますので、口で吸い出すのは絶対に避けて下さい。
後は患部を冷やしながら病院に行ってください。

怖いのは腫れてしまう事だけではありません。
スズメバチの毒に対するアレルギー反応が出る事があります。
症状としては発汗・吐き気・頭痛・腹痛・蕁麻疹・顔面蒼白・冷汗・立ちくらみなどです。
特に2回目以降に刺された場合は、ハチの毒に対して抗体が出来ている人の割合は10%ほどいるといわれています。

この場合、アナフィラキシーの症状が出る事があり、呼吸が苦しくなったり、血圧が下がり生命に危険が及ぶ可能性もあります。
実際にスズメバチによるアナフィラキシーの症状が出た場合、刺されてから1時間以内で死亡している例が多いです。
そのため2回以上刺されている人は、10分から15分以内に病院に行き、スズメバチに刺されたという事を伝え、処置してもらうようにした方が良いでしょう。

1回目に刺された時に意識がもうろうとするような症状が出た人は、2回目の時にはアナフィラキシーショックに注意したほうが良いといわれています。

とはいえ、1回目だから安心できるという訳でもありません。
オオスズメバチの場合、毒性が強いので1回だけ刺されても死亡する例があります。
スズメバチに刺されたら病院へ行くようにしましょう。

【参考】ハチ毒とアナフィラキシー|J-Stage

スズメバチの発生原因について

スズメバチの発生原因について

スズメバチが発生してしまう原因として巣を作る場所や環境の変化などが考えられます。

巣を作るのに適した場所がある

スズメバチは巣の周辺に来た人を敵と判断して巣と女王バチを守ろうとして襲ってきます。
スズメバチが発生する原因になるのは、近くに巣がある事が関係してきますが、どのような場所に巣を作るのでしょうか。

スズメバチは木の根元部分を利用した土の中や、樹木の空洞を利用した閉鎖されている空間に巣を作る傾向があります。
民家でも屋根裏などは閉鎖されている空間に当てはまるので、巣をつくるのに適しています。

一方、働きバチの数が増え、巣の規模が大きくなると、民家の軒下や倉庫の屋根下などの広い空間に巣を作る場合もあります。
庭では、生えている木の中や植え込みを利用して巣をつくる事もあります。

特にオオスズメバチなどは土の中の穴を利用して巣を作るために蜂の巣がある事に気がつきにくいので注意が必要です。

巣を作るのは4月、5月あたりに越冬をした女王バチが巣作りに適した場所を探し1匹で巣を作りながら産卵をし、仲間を増やしていきます。

都市部にも増えてきているスズメバチ

都市部ではキイロスズメバチとコガタスズメバチが増えてきています。
その考えられる原因として環境の変化があります。
キイロスズメバチとコガタスズメバチはエサの選り好みをあまりしない種類です。
町の中にたくさん木が植えられるようになりエサとなる昆虫が増えました。

タンパク源として昆虫などを食べるので都市部でもエサに困る事がありません。
また、キイロスズメバチとコガタスズメバチの天敵にもなるオオスズメバチやカマキリが都市部で減少している事も増えてきている原因と考えられています。

温暖化との関係

スズメバチが増えてきている原因の一つとして温暖化も関係しているのではないかといわれています。
温暖化により冬の気温も高めになりますので、女王バチの越冬成功率が高くなるのと、冬の寒い期間が短くなる事で繁殖期間が長くなる事が考えられます。

スズメバチの被害に遭わないために

スズメバチはハチの中でも集団で行動する種類になります。
刺されると命に関わる事もありますので、被害に遭わないために以下の対策を覚えておき、遭遇した際に極力被害を受けない行動をとりましょう。

黒いものへの対策

黒いものに対して攻撃するので、目や頭髪、黒い服には注意する必要があります。
スズメバチがいるような場所に近寄ることは避けるべきですが、自分の敷地内に巣を作られ遠くから確認する必要があるなどの場合は、黒い衣服で行くのは避ける、ゴーグルをつける、頭髪は帽子などで隠すという対策を取りましょう。

強い香りは避ける

スズメバチがいるような場所に香水や柔軟剤の香りが強い衣服を着ていったり、制汗剤をつけていくと香りに反応してしまいます。
香水や香りの強い柔軟剤・制汗剤などの使用は控えた方がよいでしょう。

手で払わない

スズメバチが近くに来て手で払おうとすると刺激を与える状態になり、敵が来たと判断して攻撃対象となってしまうので仲間のスズメバチを呼び寄せる可能性もあります。

静かに退散する

スズメバチから離れようとした行動が原因でかえってハチを刺激してしまい刺されてしまう被害例が多いです。
スズメバチは自分の巣と女王バチを守ろうとするため、巣に近づいたりしただけで攻撃してくる事もあります。

もし1匹スズメバチを見かけたという場合、近くにスズメバチの巣がある可能性が高いです。
巣があったり、スズメバチがホバリングしながらカチカチと音を出していた場合、慌てずに静かに後退していくと、極力刺激を与えずに離れる事ができます。

庭で捕獲器を使用する

庭先で巣を作られる事がこれまでに何回かあり、困っているというお宅におすすめです。
屋外の木に捕獲器をつるす事でスズメバチを誘引して捕獲するものが販売されています。
巣を作る場所を探している女王バチを捕獲する事で巣を作るのを事前に防ぐ対策に役立ちます。

【参考】職場のあんぜんサイト:労働災害事例

スズメバチの巣の駆除について

スズメバチの巣の駆除につい

スズメバチの巣を見つけた時、どのような対応をするのが一番良いのでしょうか。
ハチの中でもスズメバチの巣の駆除は特に危険なので、自治体、業者へ相談をする必要があります。
人の出入りがある場所に巣がある場合は、早めに駆除した方が良いでしょう。

スズメバチの場合、刺される被害により死亡例も多い事が知られているので、巣の駆除には身の危険があります。
巣の大きさが大きいほどハチの数が多いと予想できます。
特に15cm以上の巣の駆除は大変危険です。
巣が大きい小さいに関わらず、必ず専門の害虫駆除業者や自治体に相談して駆除してもらうようにして下さい。

【参考】ハチの巣を見かけたら | 中野区公式ホームページ

まとめ

いつの間にか庭や軒先にスズメバチの巣を作られてしまっていたと経験をしたお宅もあると思います。
巣の規模が大きくなり働きバチが増えてしまう前に早めに対処する方が良いので、あらかじめ巣作りの時期に当たる4月ごろから捕獲器を設置する方法がオススメです。

スズメバチ用の殺虫剤をあらかじめ購入しておくと見つけた際にすぐに対応できるので便利です。また、巣を作りそうな場所にあらかじめスプレーしておくと巣作り防止効果のあるハチ用殺虫剤もあります。
生活圏内に巣が作られてしまう事がないように、普段から軒先や屋根裏などは巣を作られていないかチェックしておくようにしてみて下さい。

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