アブが発生する原因とは?アブの退治方法と予防対策

アブが発生する原因とは?アブの退治方法と予防対策

アブに刺されるという話は、普段あまり聞きませんが、夏になると水辺でのレジャー中などにアブに刺されるという被害が増えてきます。
アブが飛んでいるとは気がつかないで刺される事が多いのです。
刺されてしまうと虫刺されによるつらい症状も出てくるので、出来ればアブによる被害は避けたいものです。

アブはどのような虫なのでしょうか。
そして発生する原因や被害に遭わないようにどのような対策をすればよいのかもご紹介します。

アブの生態について

アブは昆虫綱ハエ目ハエ亜目の分類でハエの仲間になります。
日本で生息しているアブの種類は100種類ほどいるのですが、その中には吸血する種類も10種類ほどいます。
その中でもよく見かけるアブの種類をご紹介します。

アブの種類

シオヤアブ

大型のアブで大きさが20~30㎜ほどあります。
日本全国に分布しており、全体的に白っぽい毛が生えています。
肉食なので主に昆虫を食べます。
時にはカマキリなどの自分よりも大きい虫をとらえたり、スズメバチを捕食する事もある獰猛な性格です。

ウシアブ

北海道から九州に分布し、体長は17~25mm、全体的に灰緑色っぽい色で、腹部に淡黄色の三角斑が確認出来ます。複眼が緑色です。
主に家畜の血を吸いますが、時には人間の血を吸う事もあります。

アカウシアブ

北海道から九州と対馬まで分布し、体長は20~30mmほどあり、一番大型のアブの種類になります。
腹部に黒と黄色の帯状の模様が入っており、見た目はスズメバチに似ています。

イヨシロオビアブ

北海道から九州に分布し、体長が10~15㎜、胸背部は黒灰色で腹部に白と黒の帯状の模様が入っています。
特に東北地方、北陸地方では地域によってオロロ、コシジロとも呼ばれており、農作業の時に被害に遭う人が多くなる種類です。

シロフアブ

北海道から九州と対馬まで分布し、体長が14~19㎜、黒地に灰白色の斑紋が入っています。
人や牛を好んで吸血します。

キンイロアブ

北海道から九州に分布し、体長9~12mm、全体が黄金色で、複眼は緑色です。
牛や馬などの家畜動物に吸血する事が多く、人にも吸血しようとします。

アブのライフサイクルと生態

産卵して卵の期間から1、2週間程度で幼虫となり、幼虫の期間は種類にもよりますが1年から3年と長いです。
天候などの環境によっては更に期間が長くなる場合もあります。
蛹になってからは1、2週間ほどで成虫となり、成虫の生存期間は1か月ぐらいです。
成虫になってからは3日ほどで吸血や産卵が出来るようになります。

アブの成虫の頭は半球型で複眼は大きく、複眼の境目上部に3つの単眼があります。
複眼の間から短い触角が生えています。
翅(はね)は2枚で、全体的に短い毛が生えています。
口器は大顎と小顎が剣状になっており、唇弁(しんべん)があります。

アブの吸血方法

アブは口器の大顎と小顎を使い皮膚を切り裂くように傷をつけます。
そして出血してきた血液を唇弁で吸血します。

吸血するのはメスだけ

アブは栄養源として花蜜や樹液を摂取しているのですが、メスは産卵の時期になるとたんぱく源を求めて吸血します。
吸血する事で卵巣を発育させ、産卵しています。

活動時間について

アブは昼行性です。被害に遭いやすいのは主に朝方と夕方です。

温度を察知する

アブは温度があるものに集まる習性があります。
そのため、体温がある恒久動物やエンジンをかけている車の温度を察知して集まります。

動きが速い

アブは虫の中でも飛行速度が速く、記録されている最高速度では145㎞ととても速いです。

二酸化炭素への反応

アブは牛や馬、人などが呼吸した際に吐き出す二酸化炭素にも反応して集まってくる傾向があります。
また、車に集まってくるもう一つの理由として車の排気ガスにも二酸化炭素が含まれているという事が考えられます。

アブによる被害について

アブによる被害について

アブによる被害で困るのが吸血による被害です。
特に蚊と違って腫れ方、痛みなどがひどいので刺された後も長く苦しむ事になります。

吸血被害

アブは産卵前の栄養摂取の目的で吸血をします。
吸血する際に蚊のように刺して吸血をする方法ではなく、皮膚を切り裂いて出血してきたものを吸血するという方法なので痛みを強く感じます。
そして刺された場所に対してのかゆみや腫れ、痛みによる症状が2週間から3週間ほど続きます。

これはアブの唾液に含まれている特殊なたんぱく質が有毒成分だという事がわかっており、唾液成分がかゆみなどの症状を引き起こしています。

刺された時の応急処置として、まず刺された場所を水でよく洗浄します。
もし、ハチなどの被害時にも使用できる毒の吸引器を持っている場合は刺された部分の毒をすぐに吸い出してみて下さい。
これらの処置によって後から出てくる腫れなどの症状も軽く済む事があります。
その後、止血や殺菌をして冷やしておくと良いでしょう。

ステロイドの軟膏か抗ヒスタミン剤の塗り薬を塗るようにして下さい。
どちらかの成分が入っていれば効果がありますが、最近の虫刺され薬にはステロイドと抗ヒスタミン剤が両方入っているものも販売されています。
両方の成分で早めに炎症をおさえるほうがより効果的なので、両方入っている薬を利用しても良いでしょう。

処置をする際に、傷口からばい菌が入ると傷口が化膿してしまったり、とびひやリンパ管炎といった二次感染の被害も出てきますので、洗浄、殺菌をしっかりとするようにして下さい。

そしてまれではありますが、アブに刺される事によってアナフィラキシーショックを起こす例もあります。
アブに刺されてからじんましん、呼吸が苦しい、血圧の低下といった症状が出た場合は、すぐに病院に行き、アブに刺された事を伝えるようにして下さい。

家畜への被害

家畜を飼育している農家の場合、牛や馬などもアブによる吸血被害が出てきます。
そのため皮膚炎の発症リスクがあります。
また、吸血被害によるストレスもありますが、アブが飛び回る事により家畜がストレスを感じるようになるといった被害も出てきます。

そしてアブは家畜類に対してフィラリア症やトリパノゾーマ、牛白血病といった感染症の媒介をするともいわれています。

【参考】牛の吸血昆虫対策|愛知県西部家畜保健衛生所

感染症について

野兎病

動物由来感染症です。
本来はマダニによる感染症と考えられていましたが、アブによる感染例も報告されているので念のために注意しておきたい感染症の一つです。
1週間の潜伏期間の後に発熱をはじめ悪寒、頭痛、筋肉痛、関節痛といった症状が出ます。
主に北半球で発症が確認されている感染症になります。
日本国内では1999年の発症があった以降は報告されていません。

【参考】野兎病とは – 厚生労働省-戸山研究庁舎

ロア糸状虫症

西アフリカ、中央アフリカの熱帯雨林で媒介される感染症です。
メクラアブというアフリカに生息しているアブによって感染します。
感染してから発症するまでに数年かかりますが、早い場合は4か月ほどで発症した例もあります。
アブに刺された傷口から幼虫が体内に入り込み皮下組織で成虫となります。
線虫が出している物質に対してアレルギー反応が出ていると考えられていますが、かゆみを伴う腫れが症状として出てきます。
症状は腕や脚、胸部、顔面などに出やすいですが、眼球に侵入してくる例もあります。
熱帯アフリカだけに存在するフィラリアの一種になりますので、日本国内での発症は報告されていません。
ロア糸状虫症は海外渡航がきっかけで感染する可能性もありますので、アフリカへの渡航の際に注意しておきたい感染症になります。

【参考】ロア糸状虫症 |MSDマニュアル プロフェッショナル版

アブが発生する原因について

アブが発生する原因について

アブは気がついたら周辺に飛んできて刺されてしまったという被害に遭いやすいです。
アブが発生してしまう原因にはどのようなものがあるのでしょうか。
どのような場所にアブが発生しているのかも含めて把握しておきましょう。

アブが活動しやすい温度

アブは18℃から30℃の気温の時に活動しやすい虫なので、暑すぎたり寒い冬の時期には活動しなくなります。
そのためアブの主な発生時期は6月から9月になります。

自然豊かな環境があれば繁殖できます

アブは巣を持ちません。
木や草といった葉の裏に卵を産み付けますし、幼虫も土や水中で生息していくので、自然が豊かな環境さえあればアブは発生してしまいます。

レジャーをする場所にいる事が多い

山や河辺といった自然に囲まれた場所はアブにとって繁殖場所になります。
そのため、レジャーを楽しもうと森林や川、沼、湿地、渓谷などの水辺にいった際にアブに刺されてしまう事が多くなります。

家畜がいる場所にも多い

アブは哺乳類の血を吸血しようとするだけでなく、家畜の糞尿に卵を産み付ける事もあります。
牧場や家畜が飼育されている場所は発生しやすい環境になります。

アブへの予防対策

アブへの予防対策

アブに刺されてしまうと腫れなどの症状がひどくなるので、なるべく被害を避けるようにしたいものです。
アブが寄ってきやすい環境にならないように予防対策をしてみましょう。

色に注意する

アブは赤や黒の色を好んで集まる傾向があると言われています。
そのため、水辺でのレジャーの際には赤や黒、紺色などの服を避けた方がアブ対策になります。
また、頭髪も黒なので集まりやすいです。
帽子などをかぶって頭髪が目立たないようにするのも効果的です。
車に関しては紺色や黒い車は日光で温度が上がりやすいため、アブが集まりやすい傾向があります。

虫よけを利用する

アブが発生しやすい水辺に行く際は、虫よけを使って対策をするのが効果的です。
最近の虫よけは効果時間も長くなってきていますが、念のため外出先でも使用できるように常備しておくと安心です。
特に足首やひざから下の箇所に刺される事が多いので、ひざから下の部分は虫よけをムラなく塗るようにして下さい。


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車はエンジンを止める

レジャー先で車を一時的に停車させた際に、たくさんアブがぶつかってくるように集まってきたという経験をしたという人もいると思います。
これはエンジンの熱や車の排気ガスに反応して集まってきてしまうためです。
すぐに車の外に出ないでエンジンを切り、しばらく待っているとアブも他の場所に移動するようになります。

厚手の生地の服がおすすめ

アブは服の上からでも刺してきます。
そのため薄手の長袖などを着ていても被害に遭う可能性が高いので、厚手の生地の服を着るようにした方が刺されにくくなります。

ハッカ油を利用する

アブ対策でハッカ油を利用している人もいます。
30mlのスプレー容器に

・消毒用エタノール 5ml
・ハッカ油 3滴ほど

を入れ、混ぜます。

・精製水 25ml

を後から入れ、混ぜたものをアブ除け対策として使う人もいます。
精製水を先に入れてしまうと分離してしまうので、エタノールとハッカ油を混ぜて馴染ませてから精製水を加えて下さい。

虫よけ効果はありますが、ハッカのにおいが消えると効果が無くなります。
大体30分ぐらいと効果の持続時間が少ないので、こまめにスプレーするようにした方が良いです。

アブの退治方法

アブに対応している殺虫剤を準備しておく方法がおすすめです。噴射するだけで退治できます。

まとめ

アブは移動スピードも速く、気がついたら刺されてしまっていたという状況になりやすいので、予防できるように虫よけを常備しておくと安心です。

また、アブがたくさん集まってきてしまった時に備えて殺虫剤を準備しておくとより心強いです。
刺されると後から出てくる症状に悩まされる事になるので、被害に遭わないように事前に対策をとるようにしましょう。

「For your LIFE」で紹介する記事は、フマキラー株式会社または執筆業務委託先が信頼に足ると判断した情報源に基づき作成しておりますが、完全性、正確性、または適時性等を保証するものではありません。

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