シバンムシとは?生態や発生時期・駆除方法を解説

シバンムシとは?生態や発生時期・駆除方法を解説

「シバンムシ」という名前を聞いたことがなくとも、その小さな虫の姿は目にしたことがあるのではないでしょうか。茶色や赤褐色のぷっくりとした愛らしいフォルムの虫ですが、幼虫は雑食性で小麦粉などの粉モノや乾燥麺、漢方薬やタバコなど、何でも食べてしまいます。このため、食品害虫として食品工場や貯蔵倉庫に被害をもたらすケースもみられます。

そこで今回は、シバンムシの生態や発生時期、さらにシバンムシの被害にお悩みの方のため、駆除方法についても解説いたします。

シバンムシとは

シバンムシとは

甲虫目シバンムシ科に属する、体長2~3mm前後の小型の甲虫です。漢字で書くと「死番虫」。想像していた字と少し違うと思った方もいるのではないでしょうか。この名の由来は、シバンムシの雌雄が求愛行動の際に発するコチコチいう音が、死へのカウントダウンを刻む秒針の音のように聞こえるとして、英語で「Death watch beetle」と呼ばれていたからといわれます。このような興味深いエピソードをもつシバンムシについて、生態や特徴などをご紹介いたします。

生態

世界に2000種以上いるとされ、日本には137種が生息するというシバンムシは、北海道から沖縄まで日本全土に分布。ほとんどの種が樹木を加害するのに対し、わずか一部の種(タバコシバンムシ、ジンサンシバンムシ)の幼虫期に雑食性がみられ、さまざまな食品を食害する「貯穀害虫」として問題視されています。

幼虫のエサとなるのは、粉類や菓子類、漢方薬や乾燥麺類。成虫はそれらを探し求めて食品工場・製薬工場・家庭などに出現、さまざまな食品に入り込み、食べ物の隙間などに産卵。一度に約70個産卵して、数を増やしていきます。食品などを食害しますが、人を刺したり噛みついたりして、人に危害を加えることはありません。

特徴

幼虫期から成虫期を通して、ゴマ粒くらいの小さなサイズの虫です。発育のサイクルは卵→幼虫→蛹→成虫で、1年のうちに13回現れます。

幼虫

幼虫は体長2~3mm前後。カブトムシやコガネムシの幼虫を小さくしたような姿のイモムシで、体は乳白色です。孵化してからおよそ40日で蛹化(ようか)して成虫になります。

成虫

成虫の大きさも幼虫とほとんど変わらず、体長2~3mm前後。茶色や赤褐色の、ぷっくりとした愛らしいフォルムです。カブトムシの雌などにも似た形をしていますが、頭部が下を向いていて、背面からは確認できません。成虫は午前中ほとんど活動せず、午後から夜間にかけて活発に活動します。光に誘引されやすく、ライトトラップなどにも捕獲されることがあります。

時期

種によって若干異なりますが、だいたい4~11月ごろに現れます。ただし、暖房の効いた暖かい室内では、年間を通して現れることがあります。

代表的な種類

日本に生息する150種以上のうち、代表的なものとして生活環境下でも見ることができるのが、「タバコシバンムシ」と「ジンサンシバンムシ」です。世界に数多く生息するシバンムシの多くが樹木を加害するのに対し、この2種は食品を加害する「食品害虫」として問題視されています。

タバコシバンムシ

一般家庭で多く見られるのがこの種です。もともとタバコの葉をよく加害していたことからこの名がつきました。成熟した幼虫の体長は約3.5㎜で体は黄白色、雑食性のシバンムシの中でもずば抜けて雑食で、粉類、菓子類、乾燥麺類をはじめ、タバコの葉や畳、ゴザをエサにすることもあります。

関東周辺では5~11月にかけて2~3回現れ、夏季には約40日で成虫になります。成虫の寿命は20日前後で、成虫になると食べ物をとりません。成虫の体長は1.7~3.1mm、赤褐色で黄色の微毛に覆われています。コロンとした体型と光沢のあるボディ、鋸歯状の触覚が特徴です。

ジンサンシバンムシ

乾燥した薬用ニンジンを加害することから、ジンサン(人参)シバンムシと呼ばれます。粉類、菓子類、乾燥麺類などのほか、漢方薬などから大量発生することがあります。成熟した幼虫の体長は約3.5㎜で、体は黄白色。年に1~3回現れ、成虫は5~10月ころまで活動。暖房の効いた室内では、冬季でも出現します。

夏季の場合、卵は約10日で幼虫になり、40~45日で蛹化。蛹で10日前後過ごしたのち、成虫になります。成虫の寿命は10~20日、雌は生涯に約75個の卵を産みます。成虫の体長は1.7~3.5mm、赤褐色で黄色の短毛に覆われています。タバコシバンムシよりも若干細長く、触覚は先端の3節が大きく目立ち、上翅には縦条が見えるのが特徴です。

1992年、エジプトのツタンカーメンの王墓が発見された際、遺物の中にジンサンシバンムシの死骸が見つかったという歴史的なエピソードがあります。

【参考】はるかなるスカラベ/虫の雑学

家の中で出やすい場所

家の中で出やすい場所

雑食性のシバンムシは、エサを求めて家の中のさまざまな場所に現れます。乾燥食品を好み、素麺やパスタ、米や麦などの穀類、小麦粉などの粉類を求めてキッチンなどに出現。

特に古くなった食品によく集まり、長らく放置されている乾燥麺や調味料の中で大量発生するケースもあります。ウールやカシミヤなどの動物性繊維も好むため、クローゼットなどにも生息。畳をエサにし、食害した穴に産卵する種(タバコシバンムシ)もあります。

シバンムシが好むエサ

シバンムシが好むエサ

シバンムシが現れる場所は、好むエサのある場所でもあります。一体どのようなものをエサにするのかご覧ください。

粉類

小麦粉、米粉、トウモロコシ粉、ホットケーキミックスなどの粉類を好んでエサにします。そのため製粉工場をはじめ、パン屋さんやパンの製造所などに出現。小麦粉やパンくずがたまりやすい器具や棚の隙間などに生息するケースが多いようです。

菓子類

クッキー、ビスケット、カンパン、チョコレートなどの菓子類も好んでエサにします。

乾燥麺

うどん、そば、そうめん、パスタなどの乾燥麺も大好物。袋に穴を開けて侵入することもあるので、袋を開けたあとはタッパーなどフタ付きの容器で保存するようにしましょう。

その他

その他、鰹節や調味料、香辛料なども食害するほか、漢方薬、ペットフード、タバコ、ドライフラワーなど食品以外を加害することもあります。さらに、書籍や古文書などを加害する種(フルホンシバンムシ、ザウテルシバンムシ)や、絵画や屏風などを加害する種(ケブカシバンムシ)もあります。

シバンムシによる被害

エサとなる粉類や菓子類、乾燥麺類など食品や食品以外のものまで食べてしまうシバンムシ。ここではシバンムシによって起こる被害についてご説明いたします。

食品を食い荒らす

パン屋さんのパンや菓子類や乾燥麺など、シバンムシの幼虫が商品を食害することで売り物にならなくなってしまいます。

異物混入になってしまうリスク

産卵のために成虫が食品に入り込んだり、食品から卵や幼虫などが見つかったりすることがあります。こうなると「異物混入」として、食品工場や漢方薬を扱う製薬工場などに深刻な被害が発生します。

シバンムシは人を噛んだり刺したりする?

食品のパッケージやビニール袋などを噛んで穴を開けて内部に侵入するシバンムシですが、人を噛んだり危害を加えたりすることはありません。

シバンムシによる二次被害に注意

人を噛んだり刺したりすることはありませんが、シバンムシ(タバコシバンムシ、ジンサンシバンムシ)の幼虫に寄生する「アリガタバチ」には注意が必要です。体長約1.5~2mmで、アリのような見た目のアリガタバチは人を刺し、刺されると激しい痛みやかゆみが出ます。

アリガタバチについては、「アリガタバチが発生する原因とは?アリガタバチの習性を知って対策しよう」で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。

シバンムシの予防・防除方法

シバンムシの予防・防除方法

貯蔵している食品に集まってくるシバンムシ。ここでは、食品への侵入予防と防除する方法をご紹介いたします。

集まってくる原因を取り除く

シバンムシを寄せつけないためにも、集まってくる原因は取り除くようにしましょう。「封を切った麺類はしっかり封を閉じる」「落としたパンくずはきれいに掃除する」など、食品の整理や保存方法に気をつけることが大切です。

また、しばらく使っていない粉末の調味料などは、中に侵入していることがあるので確認してみましょう。パスタなど食品のパッケージを噛んで穴を開けて侵入することもあるため、しっかりとした容器で保管するのがおすすめです。

見つけたら粘着テープを活用する

産卵でたちまち数を増やすため、見つけたらただちに取り除きましょう。小さくて一匹ずつ捕まえるのが大変な場合、粘着テープにくっつけると簡単に取り除くことができます。

トラップやフェロモントラップを活用する

性フェロモンを利用したトラップで、雄の成虫を捕獲することができます。

まとめ

シバンムシのように、食品に混入するおそれがある虫の存在は、特にそれを商品とする人たちとって深刻な悩みの種といえます。また、人体へ直接的な害は及ぼさない小さな虫ですが、食品の中で見つけたら決して気分のよいものではありません。

シバンムシが家の中にも生息していないかどうか、しばらく放置している食品や調味料などは、ぜひ一度確認してみてください。

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