2019年8月1日 | 虫
アブとハチの違いは?それぞれの特徴や見分け方、注意すべきこと
黄色と黒の体で飛び回り、人や動物を刺すイメージのあるアブとハチ。ぱっと見ではなかなか区別がつかないという方も多いのではないでしょうか。似ているようでいて、大きな分類で見てみると、アブはハエの仲間で、ハチはアリの仲間。アブがハチに似ているのは、天敵から身を守るための擬態とも言われています。
実際にアブやハチの被害にあったとき、その対処の方法も若干異なるため、その虫がどちらかわかるように、アブとハチの特徴などについて解説していきます。
アブ(虻)について
分類
アブは昆虫網ハエ目ハエ亜目の分類でハエの仲間です。日本に生息するアブの種類はおよそ100種類ほど。中には吸血する種類も10種類ほどいます。
特徴
半球型の頭部に大きな複眼と、複眼の境目上部に3つの単眼を持ち、複眼の間から短い触覚が生えています。羽は2枚で全体的に短い毛が生えています。口器(こうき)は大顎と小顎が剣状になっていて、唇弁(しんべん)があります。
生態
産卵して卵の期間から1~2週間程度で幼虫となり、幼虫の期間は種類により異なるものの1年から3年と比較的長く、天候など環境によってはさらに期間が長くなる場合もあります。蛹(サナギ)になってからは1~2週間ほどで成虫となり、成虫としての生存期間はおよそ1ヵ月です。
日本に生息するアブは、シオヤアブ、ウシアブ、アカウシアブ、イヨシロオビアブ、シロアブ、キンイロアブなどの種類がいます。
ハチ(蜂)について
分類
ハチは昆虫網ハチ目の分類でアリの仲間です。日本に生息するハチの種類は4,000種以上、世界的には20万種類以上いると言われています。
特徴
半球型の頭部に大きな複眼と、複眼の境目上部に3つの単眼を持ち、複眼の間から触覚が生えています。2対4枚の羽を持ち、この羽を使って空中で静止(ホバリング)することができます。お尻には針を持っていますが、この針は卵を産むための産卵管が変化したもの。そのため、雄には針がなく、人を刺す危険のあるハチは雌である働きバチなのです。
生態
ハチの活動時期は3月から11月頃。春先に女王バチが巣作りをはじめ、夏までに働きバチを産卵しながら巣を大きくしていきます。巣が大きくなった夏ごろから繁殖期がはじまり、繁殖を終えて新しい女王バチが誕生したら、巣は放置されてほとんどのハチは冬になる前に活動を終えます。
日本にいる4,000種のハチの中で、社会性があるのはスズメバチ(16種)、アシナガバチ(11種)、ミツバチ(2種)の計27種となり、いずれも攻撃性に違いはあるものの、人間を刺すこともあり、十分に注意しなくてはいけません。
アブとハチの違い
アブとハチをそれぞれ比較しながら、その違いを見ていきましょう。
アブ | ハチ | |
---|---|---|
体長 | 10~30mm | 15~30mm |
体の色 | 薄い黄色と黒色 | 黄(オレンジ)色と黒色 |
体の特徴 | 体にくびれがないハエのような形 | アリのように頭と胸と腹の間がくびれている |
羽の数 | 2枚 | 2対4枚 |
飛行 | 直線的に素早く飛行。一箇所に静止(ホバリング)しない | 曲線的にゆっくり飛ぶものが多く、時々静止(ホバリング)状態になる |
攻撃性 | 口で咬む・吸血する | 毒針で刺す |
毒針の有無 | なし | あり |
刺されて(噛まれて)しまったら | その場を離れ、傷口を水で洗い流す。アブが残した血が止まりにくい成分が出るように、血を絞り出す。早めにステロイド系のクリームを塗る | その場を離れ、傷口を水で洗い流して毒を出す |
営巣場所 | 木や草の裏など | 軒下、屋根裏、木の根元など |
活動時期 | 6~9月 | 5~11月 |
攻撃性が高くなる時期 | 巣を持たないため、特に攻撃性が高くなることはない | 7~10月 |
巣の特徴 | 巣を持たない | ボール型、平らな形、外皮を持たないものなど種類によってさまざまな巣があります |
主な種類 | シオヤアブ、ウシアブ、アカウシアブ、イヨシロオビアブ、シロアブ、キンイロアブ | オオスズメバチ、キイロスズメバチ、クロスズメバチ、ヒメスズメバチ、コガタスズメバチ、ミツバチ |
アブとハチの大きな違い(見分け方)をまとめると、以下のようになります。
<アブ>
- 体にくびれがない
- 羽の数は2枚
- ホバリングしない
- 活動時期は6〜9月
<ハチ>
- 体のくびれがない
- 羽の数は2対4枚
- ホバリングする
- 活動時期は5〜11月
アブに咬まれないようにするには
アブの被害にあうとチクッと痛みが伴います。そのため、アブもハチのように刺すと思っている人は多いと思いますが、実は針を刺すのではなく、口器(こうき)の大顎と小顎で皮膚を咬みちぎり、そこから血を吸います。
アブが吸血するのは産卵前の栄養摂取のため。血液を卵の栄養源とするために、ウシやブタなどの家畜や人に近づいてきます。ちなみに人の血を吸うのは「ウシアブ」などのごく一部の種類。雄のアブは吸血せず、木から出る樹液や果物の果汁をエサとしています。
巣を守るために攻撃を仕掛けるハチと違い、蚊のように自らの栄養摂取のために近づいてくるアブはちょっとやっかいな存在です。ここでは、できるだけアブの被害にあわないための対策を紹介します。
発生場所を知る
種類にもよりますが、アブの幼虫はきれいな水の中や、林の湿った土の中に生息しています。そのため、山の中にあるキャンプ場や川などにはアブが多く発生します。屋外プールなどにも発生するので、レジャーなどで水辺に出かける際は、十分な対策を心掛けましょう。
虫よけを使用する
川遊びやプールなど水辺はアブが発生しやすいので、虫よけでしっかりアブ対策をしておきましょう。特に足首やひざから下はアブに狙われやすいので、虫よけをムラなく塗るようにしましょう。
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その他、アブに効果のある殺虫剤はこちら⇒ フマキラー【殺虫剤】アブ
色に注意する
アブは黒や紺、赤などのはっきりとした色に集まる傾向があります。水辺でのレジャーの際は、服の色などにも注意しましょう。また、髪の毛が黒いとアブが集まりやすいので、帽子などをかぶって黒い毛を目立たなくするのも効果的です。
車のエンジンをとめる
レジャー先で車を一時的に停車させた際にアブが集まってきた、こんな経験をされた人もいるのではないでしょうか。アブはエンジンの熱や排気ガスに反応して集まってきます。そんなときは、すぐに車の外に出ずに、エンジンを切ってしばらく待つことで、アブが他の場所に移動するようになります。
もしアブに咬まれたら
アブに咬まれると、咬まれた箇所のかゆみや腫れ、痛みによる症状が2~3週間ほど続きます。アブは血を吸うときに唾液を出すのですが、この唾液に含まれている特殊なたんぱく質が有毒成分で、かゆみなどの症状を引き起こします。また、唾液には血液が固まらないようにする成分が含まれているため、噛まれたときはこの成分を出すように、血液を絞り出すようにします。
ハチに刺されないようにするには
続いてはハチの対策です。社会性のあるハチは巣を守るため(家族を守るため)に攻撃を仕掛けてきます。ハチや巣を見かけたらとにかく近づかないのが一番。ここでは、ハチの被害にあわないための対策を紹介します。
見かけたら絶対に近づかない
ハチは山林の土の中から家の軒先までいろんな場所に巣をつくります。巣の場所がわかっていれば近づかなければいいのですが、知らずに近づいてしまった場合は静かに立ち去りましょう。ハチは警戒心が強く、不用意に近づかなければ刺してくることは少なくなります。
濃い色の服装は避ける
黒などの濃い色は、ハチにとっての攻撃色。黒い色のものは本能的に敵だと認識して攻撃する習性があります。理由として、ハチの天敵である熊の色が黒に近いからという説があるようです。
洗濯物を取り込む際は要注意
洗濯物を取り込もうとしたらハチがついていた、という経験をされた人もいるのではないでしょうか。これは、洗剤や柔軟剤の香りにつられ餌場があると勘違いして寄ってきてしまうため。洗濯物を取り込む際は、ハチがついていないか確認してから取り込みましょう。
巣をつくりそうな場所に殺虫スプレーをする
家のまわりでハチが巣をつくりそうな場所に忌避スプレーを撒くのも効果的です。雨などで殺虫効果が薄れることもあるので、定期的にスプレーしましょう。
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ハチ・アブダブルジェットは、高濃度に配合した「速効殺虫成分」に、「羽ばたき停止成分」と「行動停止成分」をプラス。最大11mまで届くダブルジェット噴射で、離れた場所からでも危険なハチの動きを止めて速効退治します。しかも、「持続殺虫成分」が巣に戻ってきたハチや新たに羽化したハチにも効果を発揮して巣ごと退治。巣をつくりそうな場所にあらかじめスプレーしておけばハチを寄せつけず巣づくりも防ぎます。
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もしハチに刺されたら
ハチに刺されると激しい痛みが出て、刺された患部が赤く腫れ上がります。ハチに刺されたら、すぐにその場を離れ、傷口を洗って毒を出します。その際、リムーバー(毒吸引器)があると便利です。毒を出したら、虫刺され薬を塗り、患部を保冷剤で冷やします。
アナフィラキシーショックには十分な注意を!
スズメバチなど強い毒を持つ生き物に刺されたときに起こるアナフィキラシーショックですが、アブに咬まれたときにも起こることがあるのでしょうか。
そもそもアナフィラキシーショックとは、過剰なアレルギー反応のこと。自分の体に合わないもの、自分の体が異物と認めたものに対して起こる症状で、これが過剰に出てしまうことで深刻な事態へと発展することが危険視されています。
スズメバチほどではないにせよ、アブに咬まれた場合もアレルギー反応として強い痛みやかゆみが出てしまうことがあるので、十分注意をしましょう。
まとめ
アブとハチは似ているイメージがありますが、見た目や飛び方、攻撃の目的や手法などが異なり、まったく違う虫であることがお分かりいただけたでしょうか。アブとハチそれぞれの特徴や対策法を知ることで、被害にあう可能性を低くすることができます。万が一、被害にあったときはどちらも素早く患部を水で洗い流してから薬を塗りましょう。
山や川などにお出かけの際は、十分な対策をして自然のレジャーをお楽しみください。