2019年9月15日 | 虫
ブユ(ブヨ・ブト)が発生する原因とは?ブユの習性を知って対策しよう!
人を刺すイメージがあることから、ハチやアブなどと一括りにされている感のあるブユ。関東ではブヨ、関西ではブトとも呼ばれるこの虫は、実はアブと同じハエの仲間。ブユによる被害は、実際には刺すのではなく、皮膚を咬みちぎってそこから吸血します。
体質によってはアレルギー性の強い腫れやかゆみを引き起こし、場合によっては患部が赤く腫れ上がり激しい痛みや疼痛、発熱などを伴い、完治するまで1~2週間かかることも。
今回はそんな厄介な「ブユ」について、生態や発生原因、予防や咬まれたときの対策法などを解説します。
ブユの画像をご覧になりたい方はこちらから ⇒ ブユ|Wikipedia
ブユの生態や特徴
お尻の毒針で「刺す」ハチに対して、皮膚を「咬みちぎり吸血する」ブユは、人への被害や見た目もアブに近い昆虫です。ただし、その被害はアブよりも深刻というやっかいな存在。そんなブユについて詳しく見ていきましょう。
種類・特徴
ブユは、ハエ目(双翅目)カ亜目ブユ科に属する昆虫の総称。人などの哺乳類から吸血する衛生害虫です。体長は約3~6mm。小さなハエのような見た目をしていて、体の色は全体的に黒っぽく、腹部は黒と黄色の縞模様をしています。
世界では約1,450種類、日本では約60種類のブユが確認されていますが、なかでも「アシマダラブユ」や「アオキツメトゲブユ」という種類は、全国的に生息するブユの代表格。特に「アオキツメトゲブユ」は激しく人を襲う種類であると言われています。
発生時期・生息地
ブユが発生する時期は3~10月頃。湿度を好み梅雨時期(6月)から9月頃にかけて活動が活発化します。北海道から九州、南西諸島まで全国的に分布するブユは、渓流などのきれいな水辺に生息。日光を遮るたくさんの木に囲まれた場所はブユにとって絶好の棲み処となるため、川沿いのキャンプ場などに多く発生します。特に肌の露出が増える夏場は、朝方や夕方など比較的涼しい時間帯に活動するため注意が必要です。
咬まれるとやっかいな存在ですが、きれいな水辺に生息するブユの幼虫は水質の指標昆虫として一役買っています。水質汚染に弱いため、住宅街などではほとんどその姿を見ることはありません。
生態
ハチが巣などを守るために攻撃してくるのに対して、ブユは生きるためのエサとして吸血します。吸血するのは産卵時の雌のみ。タンパク質などの栄養補給のために吸血します。雄や産卵時以外の雌は花の蜜などをエサとしています。
ブユは春から夏にかけて交尾を行い、きれいな水場に産卵します。卵は約10日で孵化し幼虫となり、ひょうたんを細長くしたような姿(約6mm)で水辺の岩の表面や水草などにくっついて生活。3~4週間で水中のまま蛹となり、約1週間で羽化。成虫したブユ(雌)の寿命は約1ヵ月と言われています。そんなブヨの一番の天敵がトンボ。その他の昆虫や爬虫類、両生類、哺乳類などさまざまな生物のエサとなります。
習性
アブとの違いの一つとして、アブは吸血時に単独で襲い掛かりますが、ブユは発生数が多いため被害が集中しやすいことが挙げられます。早朝、地面から湧き出るように突然大群で押し寄せ、日が昇るとこつぜんと姿を消し、日没時に再び襲ってくることも。こうしたことからブユの吸血活動には、照度と湿度が深く関係していると考えられ、夏でも曇りや小雨の日など、あまり気温が高くないときは一日中飛び回っていることがあるので十分に注意しましょう。
ブユの被害について
暑い時期に血を吸う害虫と言えば真っ先に蚊を思い浮かべると思いますが、「産卵に必要なタンパク質をなどの栄養素を摂取するために人に寄ってくる」という吸血の理由においては、ブユは蚊やアブと同じ。ただし、吸血する際「皮膚を咬みちぎる」という生態からアブに近い害虫ですが、その被害はアブよりも深刻です。
ブユの被害・症状
ブユは皮膚を咬みちぎって吸血するので咬まれると赤い出血点や流血、水膨れが現れます。吸血の際に唾液腺から麻酔のような物質(毒素)を注入するため、吸血直後はそれほどかゆみを感じなくても翌日以降に症状が出ることがあり、患部が赤く腫れ上がり激しい痛みや疼痛、発熱などの症状が1~2週間続くことも。
体質によってはアレルギー性の強い腫れやかゆみを引き起こし、場合によっては腫れが1ヵ月以上続き、慢性湿疹となると完治まで数年かかることもあると言います。また、ブユに何ヵ所も吸血された場合、リンパ管炎やリンパ節炎を併発したり呼吸困難などに陥ることもあります。
ブユの被害にあわないためには
ブユはきれいな水辺を生息域とするため、住宅街などで見かけることはめったにありませんが、キャンプや音楽フェスなどの野外でブユの生息域に近づくときは、しっかりとブユ対策をしてから出かけるようにしましょう。
水辺は特に注意
ブユは渓流などのきれいな水辺と、日光を遮るたくさんの木に囲まれた場所に生息しています。ブユが吸血するのは水辺付近に限られ、100m以上離れると被害は半減すると言われています。川で釣りや水遊びをするときは特に注意しましょう。
ブユ対策におすすめの服装
ブユに吸血されないためには、夏場でも長袖・長ズボンで肌の露出をおさえるのが一番です。帽子や手袋をすればさらに安全です。特に足元が狙われやすく、ストッキングの上からでも吸血することがあるため、厚手の靴下を履いたり、ズボンの裾から侵入されないように靴との間にすき間をつくらないようにしましょう。
また、ブユは普段暗い場所で生活しているため、光を反射しやすい目立つ色は居心地が悪く嫌います。
虫よけ
暑いときに長袖・長ズボンはきつい…という人や、絶対に咬まれたくない人は、肌が露出する部分に虫よけをしておきましょう。
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もしブユに咬まれてしまったら
どんなに対策を講じていてもブユに咬まれてしまうことはあります。そんなときにも慌てずしっかり対応できるように、ここでは「ブユに咬まれたときの対処法」について解説します。
応急処置
- 咬まれた患部を水で洗い流します。
- 患部を指で強く挟んでブユの毒素を絞り出します。このとき、注射器のような器具「ポイズンリムーバー」があると便利です。この毒素をできるだけ早く、しっかり取り除くことでその後の症状を緩和することができます。
※1,2の応急処置を行ったあとは、患部をしっかり消毒します。患部は咬み傷のため放っておくと化膿する恐れがありますのでご注意ください。
かゆみや腫れが出たら
かゆみや腫れが出てきたら保冷剤や氷で患部を冷やします。しっかりと冷やしたあとは、患部に虫刺され用の薬を塗って様子をみます。
かゆみが出ても絶対にかかないようにしましょう。かいてしまうと、その箇所からバイ菌が入って化膿する恐れがある上、一度かいてしまうともっとかゆくなってしまうので注意しましょう。かきすぎると治ったあともシミとして残ってしまうことがあります。
放っておくと、ひどくなる場合も
ブユに咬まれて放っておくと、患部が水膨れになることがあります。すぐに治まる場合は問題ありませんが、同じ箇所に何度もできてしまう場合は要注意。水膨れの下で患部が化膿して「結節性湿疹」を引き起こす場合があります。「結節性湿疹」になってしまうと完治が難しく、何年も腫れが引かないということもあります。
また、ブユに咬まれてしまった人は「ブユアレルギー」の可能性があり、虫刺されが重症化する恐れも。さらに、咬まれた部位によっては1ヵ月経ってもかゆみや腫れが引かないというケースもあり、そのまま放っておくと「リンパ管炎」や「リンパ節炎」を引き起こす恐れもあります。なかには、「呼吸困難」を起こし命にかかわることもあるため、十分注意しましょう。
発展の恐れがある症状・病気
- 結節性湿疹
- ブユアレルギー
- リンパ管炎
- リンパ節炎
- 呼吸困難
症状がひどい・不安な場合は病院へ
腫れがひどく、かゆみがおさまらない場合は、速やかに病院で受診しましょう。ブユに吸血された患部は、「ブユ刺咬症(しこうしょう)」という傷病のため、基本的には皮膚科がおすすめです。腫れやかゆみ具合などを診てもらい、症状に合った処置をしてもらいましょう。
まとめ
ブユは皮膚を咬みちぎって吸血するため、単なる虫刺されとは異なります。蚊などに比べて傷口も深いため、「たかが虫刺され」と思って油断していると、思わぬ事態に発展することがあるのでご注意ください。
まだまだキャンプや音楽フェスなどアウトドアレジャーを楽しみたい季節。ブユが生息するきれいな水辺に近い場所にお出かけの際は、十分な対策をしてお出かけください。