蚊の種類でかゆみは違う?アレルギー反応によるかゆみには型がある

蚊の種類でかゆみは違う?アレルギー反応によるかゆみには型がある

蚊に刺されたかゆみが嫌でない人はいないでしょう。気にして掻けば掻くほど患部はただれ、かゆみは激しさを増します。我慢しようにも気になって仕方がありません。
激しい痛みなら放置して鎮まるのを待つ気持ちにもなりますが、それほどでもありません。どうしても気になって患部に手が伸びます。

そんなかゆみの原因は蚊の唾液に含まれた血液を凝固させない成分と麻酔作用を含む成分によるアレルギー反応です。だから、刺された蚊の種類によってかゆみは微妙に違うのです。また、かゆみ自体も刺された人の体質や体調によって微妙に違うようです。蚊に刺されると起こるかゆみはどんな要素で引き起こされているのでしょう。

【参考】虫さされの症状・原因|くすりと健康の情報局

アレルギー反応とは

アレルギー反応とは

アレルギー反応とは、人間が本来持つ抗体反応の一部です。免疫反応は体内に入ってきた異物(抗体)を排除しようとする生命体の反応です。免疫反応は生命体にとっては不可欠な生理反応で多くの生物が持ち合わせています。

その免疫反応の中で、特定の抗原に対して過剰に反応してしまうのがアレルギー反応です。このアレルギーを引き起こす由来をアレルゲンと呼びます。

私たち人間の生活環境でアレルゲンとしてはスギ花粉、小麦、酵母、ゼラチン、米などそれぞれ体質によって違います。しかし、喘息を引き起こしたり、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹や発疹を引き起こしたりと私たちの日常生活にも身近な問題となり始めています。

蚊をはじめとする虫刺されの多くはそれぞれの昆虫の発する有毒な物質に対してのアレルギーであることが多いです。特に蚊に刺された場合は蚊が血液の凝固を防ぐために体内に流し込む唾液に対しての反応なのです。

だから、蚊に刺されていることがわかったら、すぐに叩き潰したりしないで血を吸っている蚊を指で弾き飛ばすべきだといわれています。それは上からたたきつぶすと、蚊の体内に吸い込まれた蚊の唾液をもう一度体の中に戻すことになるからです。
蚊の唾液はそれほど私たちの身体にとって入ってきてほしくないものなのです。

【参考】アレルギーを知ろう アレルギー反応|一般社団法人日本アレルギー学会

かゆみのメカニズム

かゆみのメカニズム

蚊に刺されたかゆみはアレルギー反応ですが、私たちの身体に入ってどのような作用でかゆみは起こるのでしょうか。

蚊に刺されたかゆみには二つの種類があります。一つは蚊に刺されてすぐの即時型といわれるものです。もう一つはしばらくしてからぶり返すようなかゆみです。それぞれは違ったメカニズムが作用して引き起こされています。

まず即時型のかゆみについて説明します。

蚊の唾液が侵入するとそれを排除しようとする現象が起こります。皮膚の表面にたくさん存在するマスト細胞(肥満細胞)と呼ばれる細胞から盛んにヒスタミンを放出するのです。これがかゆみ神経を刺激することでかゆみを感じるようになるのです。

このため、蚊に刺された初期の段階では抗ヒスタミン剤を含んだ薬が効果的です。抗ヒスタミン剤によってマスト細胞から分泌されるヒスタミンをブロックしてかゆみや腫れ赤みを抑えるのです。これが蚊にさされた時にすぐに起こるかゆみの構造です。

ちなみにマスト細胞は肥満細胞といわれますが、これはマスト細胞が異物に反応してヒスタミンを放出しているときに細胞自体が肥満したように膨れるためにそう言われています。ヒトが肥満になる細胞ではありません。肥満の原因になる細胞は脂肪細胞です。

次に蚊に刺されてもすぐにかゆみを感じず、数時間から翌日くらいにかゆみを感じるようになることもあります。これは遅発型のかゆみといわれます。遅発型は即時型のかゆみとは全く違うメカニズムです。

遅発型のかゆみには白血球が作用しています。白血球も体内に入り込んだ異物を排除しようとする作用を持っていることはよく知られています。蚊に刺されてしばらくすると白血球が異物を排除しようとして毛細血管に集まり、かゆみや炎症を起こす物質を放出して、蚊の唾液を排除しようとします。このとき周辺の毛細血管は拡張し、細胞間に血液の成分が染み出て腫れが発生します。このときかゆみ神経が刺激されかゆみを感じることになります。

このときのかゆみは長引きます。時には1週間から2週間も継続することもあります。このため、遅発性のかゆみについては白血球の活動を抑えるステロイド成分の薬が効果的です。

即時型のかゆみも遅発型のかゆみもヒトの持つ免疫作用が原因ですが、即時型がマスト細胞の活動によるもの、遅発型が白血球の活動によるものと、かゆみの原因になるものが違うのです。

【参考】かゆみのしくみ│かゆみナビ

蚊によって違うかゆみ

蚊によって違うかゆみ

蚊は世界に3500種類以上存在し、日本にも100種類以上存在します。そのうち血液を吸うものは52種類といわれています。しかし、生息域が狭いもの、積極的に吸血しないものを除くと、ヒトを刺す蚊は8種類いるといわれています。さらに全国で目にすることができるものという点ではヒトスジシマカとアカイエカが代表的な吸血性のある蚊でしょう。

ヒトスジシマカは体長約4.5㎜全体的に黒ですが腹部に白い縞模様があり、関節部分が白く縞模様に見えます。やぶや森林など屋外にいるので「ヤブカ」などといわれます。午後から夕方に活動してやぶや森に訪れる人を刺します。刺されると強いかゆみに襲われます。刺された跡が大きく腫れあがることもあるので注意が必要です。さらに、デング熱やジカ熱などの感染症を媒介しますので注意しましょう。

ヒトスジシマカの仲間のオオヤブカは体長7㎜とほかの蚊よりも一回り大きく、刺すと激しいかゆみをもたらします。

これに対してアカイエカはイエカの仲間です。体長は5.5㎜ほど、黄褐色で、黄色味を帯びた色をしています。イエカはその名の通り、家屋にいることが多い蚊です。昼の明るいうちは屋内に停まっておとなしくしていますが、夜ヒトが寝静まると活動を開始して血を吸います。夜中に耳障りな鳴き声を立てるのもイエカの仲間です。夜にヒトを刺しに来るので、朝起きたら蚊に刺されてかゆみに襲われているのもイエカたちの仕業です。ヤブカに比べればかゆみは強くありませんが、知らないうちに刺されていることが多いので治療が遅れて患部が悪化することも多いです。

また、フィラリアなどの感染症を媒介することでも知られています。蚊の種類によって刺された跡の症状やかゆみの強さが違うので注意しましょう。

体質や年齢によっても違うかゆみ

蚊に刺されたかゆみには刺されたヒトの年齢や体質、世代によって症状の違いが生まれてきます。それぞれによって治療や対応も違ってきます。蚊に刺されてもしっかり区別して対応すればより軽度な症状で済むのです。蚊の刺された症状は大きく次の4つに分類できます。

1. 遅延型

遅延型

蚊に刺された後1日から2日後になってかゆみが現れます。主に蚊の唾液に対しての免疫が十分に発達していない乳幼児が表す症状です。即時型のマスト細胞からヒスタミンが分泌されるような免疫作用が未発達な段階でしばしば起こる症状です。

マスト細胞の働きが鈍いので蚊の唾液が体内に侵入しても十分に排除しようとする作用が働きません。それでも蚊の唾液は人体にとっては異物です。人体に侵入してきた蚊の唾液に対して白血球による排除効果が働いてしまうときにおこることになります。

白血球による反応は腫れや炎症を起こすのでかゆみや腫れが長引き、1週間から2週間もの間、激しいかゆみを伴う場合があります。乳幼児に多いので無意識に、患部をかきむしって悪化させるケースがとても多いです。患部がただれてさらに悪化、合併症を併発することもあるので注意してください。

2. 即時型

蚊に刺された直後15分以内に現れる症状です。皮膚の表面のマスト細胞が蚊の唾液に反応してヒスタミンを分泌して侵入を妨害しようとする反応です。何回か蚊に刺され、マスト細胞の反応が盛んになり、幼児以降青年期までが多く見せる症状です。強いかゆみに襲われますが、かゆみがあまり長く続かないのも特徴です。

3. 即時型+遅延型

蚊に刺された直後かゆみに襲われ、その後も長くかゆみが継続してしまう症状です。小学生くらいの年代に特に多い症状です。蚊に刺されて、マスト細胞によるヒスタミンの分泌により蚊の唾液成分を排除しようとする反応にとどまらず、しばらく時間をおいて白血球による免疫反応まで引き起こす症状です。かゆみが一旦収まってもすぐぶり返し、さらに長く継続するのでたちが悪いです。

小学生くらいの年代の子供たちはマスト細胞による免疫反応でヒスタミンの分泌も始まりますが、まだまだ十分な免疫活動ができないため、白血球による免疫反応も引き起こしてしまうのです。

強いかゆみが長く継続することになるのでどうしても患部を掻いてしまいます。その結果、患部の炎症を悪化させたり、患部から雑菌が侵入して合併症を起こしたりという危険性も生まれます。小学生くらいの年代は自己管理も困難なため親の心配の種になります。
的確な処置が必要です。当然、蚊媒介の感染症に対しても要注意です。

4. 無反応型

無反応型

蚊に刺されてもかゆみも腫れも起きないケースです。ヒトの身体には免疫力があり、対外異物に対して排除しようとしますが、慣れてくるといつの間にか同化できるようになります。乳幼児が蚊や虫刺されに強いかゆみを起こすのもアレルギー反応ですが、何回か刺されて慣れてくるとそれほど大きな免疫反応を引き起こすことはなくなります。さらに、年齢とともにアレルギーは弱まっていきます。壮年からシニアになると蚊に刺されても強い反応をみせなくなるのもそのためです。

蚊に刺された後のかゆみは人体の持つ免疫反応に伴うアレルギーです。年齢を重ねるほどにアレルギー反応は弱くなるものです。

しかし、蚊に刺されてもかゆみを感じることが少なくなるからといって、蚊に刺されることを恐れなくなるのはよいことではありません。蚊は感染症も媒介するので、蚊に刺されることに無頓着になっては感染症に侵される危険も一段と高くなります。蚊に刺されることは年齢に関係なく十分に注意しましょう。

【参考】虫と皮膚炎|公益社団法人東京都ペストコントロール協会

最後に

蚊に刺されたときの反応は年齢とともに弱くなります。蚊の唾液へのアレルギー反応も回数を重ねることで弱まっていくのです。しかし、かゆみの元となる蚊の唾液も人間にとっては異物です。成人よりも幼いころに蚊に刺されることの方が、かゆみの強さも強いと考えた方がいいですね。いくら刺されているうちに反応が弱くなるといっても、虫刺されが身体にいいわけがありません。

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