千日紅(センニチコウ)の育て方を種まきから植えつけまで徹底解説

千日紅(センニチコウ)の育て方を種まきから植えつけまで徹底解説

コロンとした愛らしい姿と、美しい色合いが印象的な千日紅。開花期が長いだけでなく、ドライフラワーにしてさまざまなクラフトを楽しめる点も大きな魅力です。今回は、千日紅の基礎知識と育て方のポイント、具体的な育て方、トラブルと対処法、千日紅をドライフラワーにして楽しむ方法などについてご紹介いたします。

千日紅の基礎知識

千日紅の基礎知識

はじめに、千日紅の基礎知識をご紹介いたします。

千日紅の概要

ヒユ科センニチコウ属(ゴンフレナ属)に分類され、一年草と多年草の品種があります。千日紅の名前は、開花期が長く花の色が変わらないことに由来し、千日草(センニチソウ)とも呼ばれます。

花のように見える丸い部分は、「苞(ほう)」と呼ばれる葉の一部が変化したものです。苞の色には赤やピンク、白、紫、黄などがあり、すき間から小さな花が咲きます。ここでは便宜上、苞が集まった丸い部分を花と呼びます。開花期は5~11月と長く、原産地が熱帯のため暑さと乾燥に強く育てやすい点がメリットです。

江戸時代の初期には日本に伝来していたとされ、盆や秋彼岸のころに咲き花期が長いことから、仏花に多く用いられました。現代では、栽培だけでなく寄せ植えやクラフトの花材としても人気があります。

寄せ植えについては、「寄せ植えの基本と作り方。初心者でもおしゃれに仕上げるコツも解説!」の記事をご覧ください。

千日紅の種類

千日紅には、100を超える種類があります。よく見かけるものはピンクや紫、白などの花を咲かせる一年草のグロボーサ種(Gomphrena globosa)で、背が高いものと小型のものが流通します。赤や黄色の花が咲くものは「キバナセンニチコウ」と呼ばれる多年草のハーゲアナ種(Gomphrena. haageana)で、背が高く伸びます。

近年では、背が高めで花火のように咲くプルケラ種(Gomphrena. pulchella)の「ファイヤーワークス」も人気があります。

千日紅の育て方【3つのポイント】

千日紅の育て方【3つのポイント】

千日紅の育て方は、次の3点がポイントです。

① 土と肥料

千日紅は、乾燥気味で栄養分が少ないやせた土地を好みます。栽培するときは水はけのよい土を用意し、肥料を少なめに施しましょう。

② 植えつけ

苗を植えつけるときは、深さやぐらつきに気をつけてください。後述の方法に沿って作業し、病気を予防しましょう。

③ 花がら摘み

開花期が長いため、咲き終わった花(花がら)をこまめに摘んで株の衰弱を防いでください。クラフトに使用するときは、花の直径が2cmくらいのものを収穫します。

千日紅の栽培に必要なもの

千日紅の栽培に必要なもの

千日紅を栽培するときは、次のものを用意してください。

基本のツール

千日紅の栽培には、シャベルやジョウロ、園芸用のハサミが必要です。鉢やプランターに植える際には、筒状の「土入れ」を使用すると便利です。

花だんまたはプランター

毎年同じ場所で栽培すると、病気や生育不良などの「連作障害(れんさくしょうがい)」が出やすくなります。花だんに植える際は、前年に同じヒユ科の植物を植えた場所を避けてください。鉢やプランターで育てるときは、ネットに入れた鉢底石も必要です。

タネまたは苗

タネの発芽率が高いので、育て方はそれほど難しくありません。タネ、育苗(いくびょう)用のトレイまたは小分けになったセルトレイ、園芸用のポット、タネまき用の土、霧吹きなどを用意します。

苗を購入する場合は、茎が太く葉の緑が鮮やかで、根元がグラグラしないものを選びましょう。つぼみがついていれば、花が早く咲きます。

肥料・支柱など

花だんの土を下準備するときは、たい肥や腐葉土(ふようど)、石灰が必要です。水はけの悪い土には、赤玉土(あかだまつち)や軽石などを加えてください。生育に合わせて、粒状の化成肥料を少なめに施しましょう。

鉢やプランターで栽培するときは、市販の草花用の土を使うと便利です。背が高く伸びる品種は、支柱とビニタイも必要です。

【初心者も安心】千日紅の育て方

【初心者も安心】千日紅の育て方

それでは、千日紅の育て方を順にご紹介いたします。

土の下準備

花だんの土は古い根や小石などを取り除き、下から掘り返して日光消毒します。植えつけの2週間くらい前に石灰を混ぜて酸性の土を中和し、たい肥や腐葉土を加えてなじませてください。水はけが悪いときは、赤玉土や軽石などを加えます。植えつけの1週間くらい前になったら、化成肥料を少なめに混ぜておきます。

鉢やプランターの古い土を再利用するときは、前年にヒユ科の植物を栽培したものを避け、同様に下準備をしましょう。

タネから育てるとき

発芽適温は20~25℃なので、タネまきは4~5月ころが適しています。千日紅のタネには綿毛がついているため、土や砂と一緒にこすり合わせて中身を取り出してください。近年では、綿毛を取り除いた「クリーンシード」のタイプもあります。

育苗用トレイにタネまき用の土を入れ、タネが重ならないようにバラまきにするか、浅い溝を作ってすじまきにします。セルトレイには、土を入れてタネを1粒ずつまいてください。軽く土をかぶせてから霧吹きで水を与え、日陰に置いて発芽までは乾燥させないようにしましょう。

発芽後は日なたに置き、本葉が2~4枚になったら1本ずつ園芸用ポットに植え替える方法と、花だんや鉢などに植えつける方法があります。ポットに植え替えたときは、本葉が6枚くらいになるまで育ててから植えつけます。

苗の植えつけ

苗の植えつけは、5~8月が適しています。ポットから取り出すときは、土を崩さないように注意してください。株の間を20~30cmほど空け、苗の土と植える土の表面が同じくらいの高さになるように作業しましょう。鉢に植えるときは直径15cmの5号鉢に1株、幅65cmのプランターには2株が適しています。

植え方が深くて根元が過湿になったり茎に傷がついたりすると、立枯(たちがれ)病を発症することがあります。植えつけの深さに気をつけ、不安定な株には早い時期から支柱を立ててください。

水やりと花がら摘み

基本的に花だんには水やりをしませんが、近年のような猛暑が続くときは土の状態に合わせて早朝に水を与えてください。鉢やプランターは、土の表面が乾燥したときに水やりをします。春や秋は午前中に1回、真夏の間は早朝と夕方の計2回を目安にしましょう。なお、千日紅は過湿を嫌うため、雨の日は鉢を軒下(のきした)などに移動させてください。

また、千日紅を長く楽しむには花がらを摘む作業が欠かせません。全体を観察して、花の下側が変色してきたものを摘み取りましょう。クラフトに使用するときは、花の直径が2cmくらいのものをどんどん収穫してください。

摘芯と切り戻し

背が高く伸びる品種は、植えつけから2週間後くらいに摘芯すると分岐してボリュームが出ます。地面から数えて、葉のつけ根である節(ふし)を2つ残して先端をカットしましょう。生長したら支柱を立てて茎をビニタイで留め、倒れないようにしてください。

全体に伸びすぎたときは、対になった葉を1~2組残して切ると再び新しい芽が出てきます。クラフトの使用も兼ねて、新芽を残しながらこまめに切り戻してもよいでしょう。

肥料の与え方

追加の肥料は、基本的に必要ありません。肥料が多すぎると、葉ばかり茂って花が咲かなくなることがあります。生育がよくない場合は、花だんでは最初の花を収穫するころ、鉢やプランターでは月に1回くらいのペースで肥料を追加してください。

タネの採取

開花期の終わりに、生育のよい花を選んで残しましょう。花が枯れてカサカサになったら、苞をばらして中のタネを採り出します。通気性のよい紙袋などに入れ、冷暗所で翌年まで保管してください。

タネをまくときは、先述の方法で綿毛を取り除いてから作業します。ただし、品種によっては前年と同じ色の花が咲かない場合もあります。

挿し木と越冬

ファイヤーワークスは、挿し木で増やすことも可能です。若い茎を10cmほどの長さにカットし、下部の葉を取り除いて30分ほど水を吸わせます。挿し木用の土に茎を挿し、霧吹きなどで水を与えて管理すると新芽が出てきます。

また、多年草のファイヤーワークスやキバナセンニチコウは、全体が枯れたら3分の1くらいまで切り戻して越冬させましょう。ファイヤーワークスは寒さに強いため、暖地では屋外で越冬できます。キバナセンニチコウははじめから鉢植えにするか、秋に掘り上げて鉢に移してから室内に移動させて冬を越しましょう。

千日紅のトラブルと対処法

千日紅のトラブルと対処法

続いて、千日紅に起こりやすいトラブルと対処法についてご紹介いたします。

千日紅の病気

葉が黄色くなり茎の下部が腐敗して枯れる「立枯病」にかかることがあります。植えつけの際は、深さやぐらつきに気をつけて作業してください。また、梅雨などで湿度が高く風通しも悪いときは、葉に赤紫色のはん点が出る「斑葉(はんよう)病」に注意しましょう。

病気が疑われる部分を見つけたら、すぐに取り除いてください。日ごろから、混み合う部分の茎をカットしたり収穫を兼ねてせん定したりして、風通しをよくしましょう。

千日紅の害虫

高温で乾燥した環境が続くと、ハダニがつきやすくなります。猛暑が続くときは、葉に霧吹きで水を与えて予防しましょう。また、ハダニにはフマキラーの「カダンプラスDX」や「カダンセーフ」が有効です。

梅雨時の夜間には、ナメクジが寄ってくることもあります。ナメクジの予防には、フマキラーの「ナメクジバリア粒剤」がおすすめです。まくだけで、ナメクジを1.5ヵ月よせつけない効果を発揮します。耐水性があるので雨に強く、ナメクジに直接散布して駆除することも可能。リンゴに含まれる成分を使用しているため、お子様やペットのいるご家庭でも安心してお使いいただけます。なお、ナメクジバリア粒剤は農薬登録品ではありませんので、植物への直接散布や根元周辺には使用しないでください。

千日紅をドライフラワーに

千日紅をドライフラワーに

最後に、千日紅をドライフラワーにして楽しむ方法をご紹介いたします。収穫後葉を取り除いて同じ長さに切り、茎を束にしてひもで結びます。花を下に向け、エアコンの効いた部屋でつるして乾燥させます。2週間くらいで花が乾燥したら完成です。

ほかのドライフラワーと束にして、ブーケやスワッグ(壁飾り)にすると華やかに仕上がります。リースやトピアリー、フレームなどのクラフトに使用するときは、花の部分を切り取って接着剤ではりつけます。画像のように、ドライフラワーを専用のオイルに漬け込むハーバリウムの花材としてもおすすめです。

なお、ドライフラワーにした千日紅からタネが採れることもあるので、しばらく観賞した後にチェックしてみてください。

ドライフラワーについては、「ドライフラワーの簡単な作り方を解説【インテリアやプレゼントにも最適!】」の記事もご覧ください。

千日紅の育て方のポイントは3つ

千日紅の育て方のポイントは3つ

今回は、千日紅の育て方を中心に、基礎知識と育て方のポイント、トラブルと対処法、千日紅をドライフラワーで楽しむ方法などについてご紹介いたしました。千日紅の育て方のポイントは、少なめの肥料、適度な深さの植えつけ、こまめな花がら摘みの3点です。千日紅は暑さに強く育てやすい植物なので、この夏はぜひ栽培に挑戦してみてください。

「For your LIFE」で紹介する記事は、フマキラー株式会社または執筆業務委託先が信頼に足ると判断した情報源に基づき作成しておりますが、完全性、正確性、または適時性等を保証するものではありません。

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