2019年9月13日 | 園芸・ガーデニング
ドライフラワーの簡単な作り方を解説【インテリアやプレゼントにも最適!】
「美しい花を長く観賞したい」という願いから誕生したドライフラワーは、世界中で幅広い世代に愛されています。ドライフラワーは生花よりも長く観賞できるだけでなく、多様なアレンジが楽しめる点も魅力です。今回は、ドライフラワーの基礎知識とおすすめの植物、4つの作り方のほか、ドライフラワーのおしゃれな飾り方や扱い方などをご紹介します。
花が好きな方は、ぜひ手作りのドライフラワーに挑戦してみてください。
そもそもドライフラワーとは
ドライフラワー(dried flower)とは、インテリア用に花や実、葉などを乾燥させたもので、海外では特に色や姿が残るものを「everlasting flower(永遠の花)」と呼ぶこともあります。ドライフラワーを楽しめる期間は植物によって異なりますが、数カ月~半年くらいが一般的で、色があせて花や葉が散る頃が寿命と考えられます。
ドライフラワーは、17~18世紀のヨーロッパ北部において、植物を冬の室内で長く観賞する目的で作られたと言われています。同時に薬草や香料の研究も盛んになり、フラワーアレンジメントの流行とともに各地に普及します。国内では、1695年の園芸書で乾燥させたセンニチコウを冬に楽しむ方法が紹介されていますが、広く知られるようになったのは1960年代に入ってからです。
なお、混同されやすい「プリザーブドフラワー」は、ドライフラワーよりも発色がよく生花に近い仕上がりが特長のインテリアです。完成までには手間と時間がかかり、数年は美しく観賞できる点も異なります。プリザーブドフラワーは1980年頃からヨーロッパ各地で研究が始まり、日本では1990年代の終わりに紹介されました。
ドライフラワーにおすすめの植物
ドライフラワーに向いている植物は、主に次のような種類が挙げられます。
花を楽しむもの
花そのものを楽しむには、元の形や色が残りやすい品種を選びましょう。
- バラ
- カスミソウ
- ラベンダー
- スターチス
- カーネーション
- ヒマワリ(小さめの品種)
- アジサイ
- センニチコウ
- ミモザ など
実を楽しむもの
かわいらしい実を持つ植物のドライフラワーも、インテリアにおすすめです。
- 南天
- サンキライ
- トウガラシ
- マツボックリ
- クルミの殻 など
葉や形を楽しむもの
ハーブなどの葉のほか、愛らしい形を楽しめる植物も楽しめます。
- オリーブ
- ユーカリ
- マリーゴールド
- ゲッケイジュ
- シロタエギク
- アスチルベ
- ラグラス
- コバンソウ
- 綿花 など
ドライフラワーに向かない植物
花びらに水分が多い品種は乾くまでに時間がかかり、乾燥後は花の色が悪くなったり花びらが取れたりするため、初心者の方にはあまりおすすめできません。また、ワスレナグサなどのごく小さな花は、乾燥するとさらに小さくなり美しく仕上がらないので避けましょう。
- ユリ
- チューリップ
- カラー
- ツバキ
- 胡蝶蘭(こちょうらん)
- 多肉植物
- ごく小さな花 など
ドライフラワーの簡単な作り方
ドライフラワーの作り方のポイントは、短時間で乾燥させることと、花の場合は開花直後のものを使用することです。それでは、ドライフラワーの4つの作り方と染色についてご紹介します。
1.ハンギング法
ハンギング法は最も簡単な作り方で、ほとんどの植物に対応できます。
用意するもの
- ドライフラワーにしたい植物
- ひもや輪ゴム
作り方
① 植物は1~2本に分けます。
② ぬれている部分や、余分な葉はカットします。
③ 茎の端をひもか輪ゴムでしばります。
④ 直射日光を避けて、風通しのよい場所につるします。
⑤ 1~2週間でドライフラワーに仕上がります。
【注意点】
乾燥すると茎が細くなるため、ひもや輪ゴムがゆるいときはドライフラワーが落下することがあります。また、梅雨時などで湿度が高いときには作業を避けましょう。
2.シリカゲル法
「シリカゲル」の主成分は二酸化ケイ素で、球の表面に空いたごく小さい「孔(こう)」と呼ばれる穴が水分を吸収します。シリカゲルは食品や薬品、電化製品の保管用として有名ですが、ドライフラワー用の粒子が細かいタイプも販売されています。
シリカゲル法は、バラやヒマワリ、カーネーションなどの花の色や形をしっかり残したいときに適した作り方です。ただし、茎を長く残せないため、完成したものは小さいアレンジメントやインテリアに使用しましょう。使用後のシリカゲルは、加熱をして水分を飛ばせば再利用できるので、説明書に従って作業してください。
用意するもの
- ドライフラワーにしたい花
- ドライフラワー用のシリカゲル
- 密閉できるタッパーやびん
- はさみ
- スプーン
作り方
① 花の下の茎を2cmくらい残してカットします。
② 密閉できる容器の底に、シリカゲルを1cmほどの高さに敷きます。
③ ドライフラワーにしたい花を置きます。
④ スプーンを使って花びらのすき間にもシリカゲルを入れ、全体を埋めます。
⑤ 密閉して1週間ほど置くと完成します。電子レンジを使う方法もありますが、こまめに様子を見る必要があるため、初心者の方は難しいかもしれません。
【注意点】
シリカゲル法で作ったドライフラワーは空気に触れると変色しやすいので、密閉して保管してください。また、小さいお子さんやペットが口に入れないように注意しましょう。
3.ドライインウォーター法
少ない水で徐々に乾燥させ、花びんに飾ったままインテリアとしてドライフラワーに仕上げる方法です。カスミソウやアジサイなど、ソフトなイメージや形を残したいときに適しています。
用意するもの
- ドライフラワーにしたい植物
- 花びん
- 水
作り方
① 花びんに少量の水を入れますが、水の交換や追加は必要ありません。
② 植物を挿して、風通しのよい場所に置きます。可能であれば、扇風機などで風を当てましょう。
③ 1~2週間でドライフラワーが完成します。
【注意点】
茎が柔らかい植物や花が重たい植物は、乾燥後に茎が曲がるケースがあります。植物が曲がりそうなときは、作り方をハンギング法に変更して乾燥させましょう。
4.グリセリン法
「グリセリン」は、植物の油脂や石油で作られた無色透明のとろみのある液体で、化粧品や医薬品、潤滑剤などに使用されます。柔らかい仕上がりのグリセリン法は、植物の色やボリュームを残したいときにおすすめの作り方です。グリセリンを吸収させる方法は生花に、グリセリンに浸す方法は葉や実に向いています。
用意するもの
- ドライフラワーにしたい植物
- 市販のグリセリン
- 熱湯
- 容器
- はさみ
- ラップ、キッチンペーパーなど(浸す方法)
作り方
〔共通〕
① グリセリン1に対し、熱湯を2~3の割合で加えて混ぜます。
② グリセリン液を冷まします。
〔吸収させる方法〕
③ 吸い上げがよくなるように、茎の先を十字に切ったり繊維をつぶしたりしておきます。
④ 容器に数cmのグリセリン液を入れて植物を挿します。
⑤ 1週間以上置き、全体に液が浸透したら完成です。
〔浸す方法〕
③ バットなどの平たい容器に数cmのグリセリン液を入れ、植物を浸します。入れ口の広いびんの場合は、植物がすべて浸る量の液を入れます。
④ ほこりよけのラップをかけて、1週間ほど置きます。
⑤ 植物を取り出し、キッチンペーパーなどで液をふき取ります。
【注意点】
熱湯を扱うときは、やけどなどに注意してください。花の部分は液に浸さず、茎から吸い上げるようにしましょう。古い植物や弱った植物は、きれいに仕上がらないこともあります。
ドライフラワーの染色
アクセントとして色が付いたドライフラワーを使用したいときには、染色も可能です。植物用の染料を使用してドライフラワーを染める方法と、カスミソウなどの生花に染料を吸わせた後に乾燥させる方法があります。配合や作り方などは、染料の説明書に従って作業してください。
ドライフラワーのおしゃれな飾り方
手作りのドライフラワーが完成したら、おしゃれなインテリアとして楽しみましょう。
リースやスワッグ
ドライフラワーのリースは土台にパーツをひとつずつはり付け、「スワッグ」と呼ばれる壁掛けはドライフラワーを束にして作ります。複数の花や葉などを組み合わせれば、より華やかなインテリアに仕上がります。傷みが出た部分は取り外し、新しいドライフラワーと交換するとさらに長く観賞できます。
ブーケや髪飾りなど
どちらもドライフラワーを必要な長さに切り、二つ折りのワイヤーを添えます。片方のワイヤーを、茎ともう一方のワイヤーに巻き付けます。その上からフローラルテープを巻いたものを複数作ります。ブーケやコサージュは、これらのパーツを束にして仕上げます。
髪飾りは、ピンや髪留めなどにパーツを固定したり、まとめ髪に1本ずつ挿したりして使用します。余ったパーツは、おしゃれな一輪挿しに飾ってインテリアとしても楽しめます。
一輪挿しについては、「【一輪挿しでお部屋を華やかに!】一輪挿しの魅力や楽しみ方を紹介します」の記事もご覧ください。
びんや額を利用する
花や実、小さい植物で作ったドライフラワーを、シンプルなガラスびんに詰めるインテリアもおすすめです。1種類だけでなく、異なる種類をブレンドすると変化が楽しめます。また、額の中央にドライフラワーを並べてはり付けると、立体感があるインテリアに仕上がります。びんや額の本体も、麻ひもやリボン、英字新聞などで飾ると華やかさが増します。
サシェで香りを楽しむ
ハーブのドライフラワーは、小さい袋に詰めた「サシェ」に利用できます。小さいサイズは虫除けや香り袋に、大きいサイズは安眠用のグッズとして楽しめます。近年では、シリコン型に香りを付けたワックスを流し込み、ドライフラワーなどでアレンジする「ワックスサシェ」も人気があります。
レジンアクセサリーなど
ドライフラワーの実や葉、花びらは、樹脂を固めて作る「レジンアクセサリー」や、専用のオイルに植物を漬け込む「ハーバリウム」の材料としても使用できます。そのほか、ネイルのパーツや、押し花用の資材としても人気があります。センスを生かして、すてきなインテリアを完成させましょう。
ドライフラワーを扱う際の注意点
完成したドライフラワーは花びらなどが取れやすいため、丁寧に扱ってください。直射日光や多湿を避けた場所に置き、ほこりが付いたときには筆やハンディモップなどでそっと払いましょう。万が一、カビが発生したり虫が付いたりしたときは処分をおすすめします。
手作りのドライフラワーですてきなインテリアを
今回は、ドライフラワーの作り方とおしゃれなインテリアについてご紹介しました。
ドライフラワーは複数の作り方がありますが、初心者の方はまずハンギング法から試してみてください。自分で手作りしたドライフラワーは愛着がわくので、大切に長く観賞できるように扱い方も覚えておきましょう。
オリジナルのドライフラワーが完成したら、インテリアとして楽しむだけでなく、大切な方へのプレゼントにもおすすめします。