【チューリップの育て方】植え付け時期は?球根の植え方や肥料・水やりも紹介

【チューリップの育て方】植え付け時期は?球根の植え方や肥料・水やりも紹介

春の花と聞くと、チューリップを思い浮かべる方も多いことでしょう。紅葉のたよりが届く頃に球根を植えれば、翌春きれいな花を観賞することができます。

今回は、チューリップの基礎知識と育て方のポイント、植え付けと具体的な育て方のほか、トラブルと対処法などをご紹介いたします。

チューリップの基礎知識

チューリップの基礎知識

まずはチューリップについての知識を深めましょう。

チューリップの概要

チューリップは、ユリ科チューリップ属の多年草で寒さに強く、地下に球根の組織をもちます。原産は、トルコを中心とした中東や北アフリカ、地中海などで、150ほどの原種が自生しています。登録されるチューリップは5000種を超え、国内では20~30の原種と数百種類の園芸用品種が流通します。

開花期は3~5月上旬ですが、1株あたりの開花の日数は5~10日、長くて2週間ほどです。赤、白、ピンク、黄、オレンジ、紫など花の色が豊富なだけでなく、花びらの形状もさまざまに楽しむことができます。外側に位置する3枚の花びらは、内側の花びらを守る役目をもつ「がく」が変化したものです。

チューリップの歴史

チューリップは、かつてトルコを含むアナトリア半島などで権力をふるったオスマン帝国で栽培されていました。16世紀にオランダに伝わり、関連書物が出版されると、瞬く間に球根が高値で取引され、盗難に遭うほどの人気を博しました。

俗に言う「チューリップ・バブル」とは、17世紀にチューリップの球根が爆発的に高騰した後、突然価値が下がった事案を指します。こうした激動のさなかも栽培や品種改良を続けたオランダは、世界的に有名なチューリップの産地へと発展しました。

国内では、江戸時代の末期に使節がフランスから球根を持ち帰り、幕府の研究施設で栽培したのが最初とされています。明治30年代に西洋の球根が輸入されると、新潟県の花き農家が本格的にチューリップの生産に乗り出しました。その後、富山県などでも栽培が始まり、現在では主に富山県で球根を、新潟県で切り花を生産・輸出しています。

チューリップの種類

チューリップは、1981年にオランダ王立球根協会によって制定された方法を基本として分類されます。

開花の時期では、次の4つに大別します。

  • 早生(わせ)・・・4月上旬から中旬に咲く
  • 中生(なかて)・・・4月中旬から下旬に咲く
  • 晩生(おくて)・・・4月下旬から5月上旬に咲く
  • 原種・・・早生より早く咲く

花びらの形状や咲き方では、以下を含む15種類に分類します。

  • 一重咲き系・・・花びらが一重(ひとえ)
  • 八重咲き系・・・花びらが八重(やえ)
  • トライアンフ系・・・メジャーで花色が豊富
  • ダーウインハイブリッド系・・・大型で丈夫に育つ
  • ユリ咲き系・・・花びらの先が外側に反る
  • パーロット咲き系・・・花びらの切り込みがオウムの頭をイメージさせる
  • フリンジ系・・・花びらの縁がフリルのように華やか
  • レンブラント系・・・ウイルス病から改良された模様入り
  • 原種系・・・背丈が小さく葉が細め

など

チューリップの育て方のポイント3つ

チューリップの育て方のポイント3つ

チューリップの育て方は、次の3点がポイントです。

① 気温が下がったら植え付け

球根は9月頃から出回りますが、すぐに植えずに気温が下がるまで待ちましょう。紅葉が見頃になったら植え付け、寒さに当ててください。

② 水やりを忘れずに

球根を植えた後は、乾燥させないことが大切です。発芽する前も球根は生長しているので、適切なタイミング(後記)で水やりをしてください。

③ 開花後の対応

花が終わったら、茎を折って花を摘み取りましょう。葉が枯れるまで水やりを続け、後述の要領で球根を掘り上げます。

チューリップの栽培に必要なもの

チューリップの栽培に必要なもの

チューリップを栽培するときは、シャベルやジョウロのほかに次のものを用意しましょう。

球根

チューリップの球根は、大きくて硬く、重さがあり、傷・カビ・はん点・変色などがないものを選んでください。すでに芽が出たものは十分に育たないおそれがあるので、初心者の方は購入を避けましょう。球根は涼しい場所で保管し、気温が下がってから植え付けます。

年明けになると、芽が出た状態の「芽出し球根」も流通します。すぐに植え付けたい場合や春に寄せ植えをする際は、芽出し球根を選ぶとよいでしょう。水耕栽培をするときは、一般的な球根ではなく水耕栽培用を購入してください。

鉢やプランター、花だん

チューリップは根が張るので、鉢やプランターは30cm程度深さのあるタイプを使用しましょう。花だんに植える際は、日当たりがよく前年にチューリップを栽培していない場所を選んでください。

土と肥料など

鉢やプランターで栽培するときは、市販の草花用の培養土で構いません。水はけをよくするため、ネットに入れた鉢底石を敷きます。

花だんや鉢の古い土を再利用する場合は、植え付けの2週間ほど前までに土を下から掘り返し、ゴミや古い根などを取り除いて日光消毒します。石灰をまいて中和した後、たい肥と腐葉土(ふようど)を加えましょう。1週間ほど前に粒状の化成肥料を混ぜ、植え付けの準備をします。

チューリップの植え付けと育て方

チューリップの植え付けと育て方

それでは、チューリップの植え付けと具体的な育て方をご紹介いたします。

植え付けのポイント

チューリップの植え付けは、次の手順でおこないましょう。

植え付ける時期

植え付けは紅葉の見頃を目安にして、北海道では10月中旬~11月下旬、関東では11月上旬~12月中旬、九州では11月下旬~12月下旬か、遅くとも年内に作業してください。チューリップは開花の日数が短いため、長く観賞したいときは球根を多めに用意し、植えるタイミングをずらす方法をおすすめします。

植え付けの方法

球根を植える深さは、鉢やプランターの底から10~15cmくらい、土の表面から10cmくらいです。球根の間隔は2~3cmほど空け、茎の方向がそろうよう向きを同じにして並べてください。

花だんには、表面から10cmくらいの深さ、球根の2~3個分の間隔を目安に植えます。土を静かにかぶせたら、たっぷりと水を与えましょう。

芽出し球根は芽や根を傷めないように扱い、購入した状態と同様に球根の表面が見える深さに植え付けます。

秋に植える球根については、「おすすめの秋植え球根9選」「【春にきれいに咲かせたい!】秋植え球根の植え方を紹介」の記事も参考にしてください。

寄せ植えにするとき

ムスカリなどの球根や、ほかの草花との寄せ植えもおすすめです。この場合は、1層目として底から10cmくらいの中央にチューリップの球根を植え、土をかぶせます。2層目は、チューリップと重ならない位置にほかの球根や草花を植えます。芽出し球根は浅めに植えるため、2層にする必要はありません。

寄せ植えの基本については、「寄せ植えの基本と作り方。初心者でもおしゃれに仕上げるコツも解説!」の記事で詳しくご紹介しています。

鉢の置き場所

球根を植えた鉢は、冬も屋外に置いて寒さに当てます。ただし、霜が降りる日には不織布(ふしょくふ)やビニールなどで鉢をおおって、凍らないようにしてください。春に発芽した後は、日当たりと風通しのよい場所に置きます。

育て方にもよりますが、開花した鉢植えは数時間ほど日の当たる半日陰に置くと、花を長く楽しむことができます。なお、球根の多くは毒性をもつため、小さなお子さんやペットが掘り出したり食べたりしないよう、置き場所に注意してください。

水やりのタイミング

球根を植え付けた鉢やプランターは、土の表面が白く乾いたら水やりをして、乾燥させないようにします。球根は発芽しなくても根が生長しているので、水やりを続けましょう。開花中はもちろん、開花後も葉が枯れるまで水やりをして、球根に栄養を蓄えさせます。冬から春の間は、午前中の太陽が昇った時間帯に水やりをしてください。

花だんは基本的に水やりをしませんが、1週間ほど晴れが続いたときは全体に水をまいて乾燥を防ぎましょう。

肥料の与え方

チューリップは、基本的に追加の肥料を与えません。大きい花を開花させるときは、12月中旬または芽が出た頃に1度与えます。寄せ植えにした場合は、ほかの植物の状態に合わせて液状の肥料を与えてください。なお、開花後のお礼肥(おれいごえ)は、球根が腐敗するリスクがあるので避けましょう。

開花後の管理

花が開ききったら、花びらが落ちる前にすぐ下の茎を手で折って摘み取ります。ハサミを使うと病気にかかりやすいため、なるべく手で折り取ってください。先述のとおり、開花後は葉が黄色く枯れるまで水やりを続けます。

原種のチューリップは、環境が合えば数年ほど植えたままでも楽しめますが、一般的な品種は夏を越すことができません。葉が枯れて茎が倒れたら、球根を掘り上げましょう。土を落として日陰で乾燥させ、塊が大きい場合は手で分けます。茎や葉、根を取り除いてネットなどに入れ、風通しのよい涼しい場所につるして夏を越してください。

秋に植え付ける際は、専用の消毒液に球根を浸してから作業します。ただし、関東より南の地域では夏に腐敗しやすいため、毎年新しい球根を購入することをおすすめします。

チューリップの水耕栽培

チューリップを水耕栽培で育てるときは、水耕栽培用の球根を購入しましょう。専用の容器も購入できますし、ペットボトルなどで作ったものでも構いません。球根を容器にセットしたら、涼しい日陰で管理します。ときどき水を入れ替え、容器を清潔に保ちましょう。根が伸びてきたら、日の当たる場所に移動して育てます。

チューリップのトラブルと対処法

チューリップのトラブルと対処法

最後に、チューリップに起こりやすいトラブルと対処法をまとめます。

年内に芽が出た

植え方が浅いときや暖冬のときは、年内に芽が出ることがあります。植え付けが浅かったときは、上から土をかぶせましょう。植え方には特に問題がないと思われる場合は、雪の日や霜が降りる日に敷きわらなどのマルチングで芽を守り、様子を見てください。

発芽しない・咲かない

球根が発芽しない原因は、冬期間の乾燥、加湿による腐敗、寒さ、栄養不足などが考えられます。鉢植えは、先述のタイミングで水やりを続けてください。ただし、水をやりすぎたり、鉢の排水が悪かったりすると球根が腐敗します。草花と寄せ植えにしていない鉢は、発芽まで日陰に置いてもよいでしょう。

また、2~3年目の球根は十分な栄養が得られず、芽が出ても途中で枯れたり開花しなかったりするケースがあります。数年目の球根は、発芽後に肥料を追加して様子を見ましょう。

被害に遭いやすい病気

花や葉、球根などに褐色(かっしょく)のはん点が出る褐色はん点病に気を付けてください。また、害虫が運ぶウイルスが原因で、葉にモザイク状の模様が出たり花びらの色がすじ状に抜けたりするモザイク病にかかることもあります。

モザイク病については、「モザイク病とは?モザイク病が発生する原因と対策について」の記事もご覧ください。

アブラムシに注意

チューリップはアブラムシの被害に遭いやすいので、見つけたときはすぐに駆除しましょう。アブラムシは植物の汁を吸うだけでなく、アリを寄せ付けたりモザイク病などのウイルスを運んだりするため注意が必要です。

チューリップに付いたアブラムシには、リニューアルしたフマキラーの「カダンセーフ」がおすすめです。病害虫対策と植物の活力アップを同時に期待できる薬剤です。食品の成分を原料としているので、小さなお子さんやペットがいるご家庭でも安心してご使用いただけます。

チューリップの育て方はポイントを押さえて

チューリップの育て方はポイントを押さえて

今回は、チューリップの基礎知識と具体的な育て方、トラブルと対処法などをご紹介いたしました。球根を植えたら乾燥させないことと寒さに当てることが、上手な育て方のポイントです。また、病気を予防するために開花後の花は摘み取り、アブラムシのチェックと駆除も忘れずにおこなってください。

紅葉の季節が到来したら、来春の開花をイメージしながらチューリップの球根を植えて、春を楽しみに待ちましょう。

「For your LIFE」で紹介する記事は、フマキラー株式会社または執筆業務委託先が信頼に足ると判断した情報源に基づき作成しておりますが、完全性、正確性、または適時性等を保証するものではありません。

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