おすすめの秋植え球根9選

おすすめの秋植え球根9選

夏が過ぎ、朝晩が過ごしやすい気候になってきたら、そろそろ秋植え球根の季節です。秋植え球根は種類が豊富で育てやすいものが多く、華やかな花が楽しめるため初心者の方におすすめです。

今回は、秋植え球根の概要と一般的な育て方、おすすめの球根9種類を厳選し、寄せ植えの楽しみについてもご紹介します。春に向けてどの秋植え球根を植えようか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

秋植え球根とは?

秋植え球根とは?

球根の主な原産地のサイクルに合わせ、国内では秋に植えて冬に栄養を蓄え、春の開花が終わったら夏に休眠させるタイプの球根を「秋植え球根」と呼びます。日本の夏が苦手な品種は球根が腐敗しやすいため、花が咲き終わった後に掘り上げて風通しのよい場所で保管してください。暑さに強い品種は、数年間植えたままでも管理できます。

秋植え球根の選び方

秋植えを含むすべての球根を選ぶときは、下記をチェックしましょう。

  • 品種や育て方などの記載があるか
  • 大きくて重さがあるか
  • 硬くてしっかりしているか
  • 色やつやがよいか
  • 傷が付いていないか

なお、一般的に球根は外皮に覆われたものを選びますが、品種によっては皮がないものやはがれているものもあります。

共通の植え方と管理

関東では気温が低くなる10月頃に植え付け、間隔や深さは品種ごとの説明に従いましょう。鉢やプランターでは、根が張れるように地植えよりもやや狭く浅めに植えてください。基本的に花だんは水やりをしませんが、猛暑などで極端に乾燥したときは朝か夕方に水を与えます。鉢やプランターは乾燥しやすいので、毎朝水やりを行いましょう。

ほとんどの球根は、生育中に「追肥(ついひ)」としてゆっくり効果の出る化成肥料を土に置きます。開花後に「お礼肥(おれいごえ)」として肥料を与える品種もあります。秋植え球根を植えたままにするときは、茎や葉が自然に枯れたら切り取ります。暑さに弱い品種は、葉などが枯れた頃に掘り上げ、「分球(ぶんきゅう)」して増えた箇所の身を分けてください。

掘り上げた球根は、ネットなどに入れて風通しのよい日陰で夏を越しますが、保管せずにすぐ植え付ける品種もあります。なお、一部の球根には毒性があるので、小さいお子さんやペットが触ったり口に入れたりしないようにしましょう。

秋植え球根の植え方については、「【春にきれいに咲かせたい!】秋植え球根の植え方を紹介」の記事も参考にしてください。

おすすめの秋植え球根9選

おすすめの秋植え球根9選

それでは、おすすめの秋植え球根を生長後の高さである「草丈(くさたけ)」が低いものから順に9種類ご紹介します。

①クロッカス

クロッカス

概要

アヤメ科サフラン(クロッカス)属に分類されるクロッカスは「ハナサフラン」とも呼ばれ、80もの原種がある人気の植物です。鮮やかな黄や紫、白のほか、白地に紫の線が入ったタイプもあり、水耕栽培も楽しめます。草丈は5~15cmと愛らしく、数年は植えたままでよいため初心者の方におすすめの秋植え球根です。

育て方

10月以降に、地植えでは間隔をおよそ5~7cm空け、深さは5cmほどを目安に植え付けます。開花時に化成肥料を与え、咲き終わった花は摘み取りましょう。数年に1度のタイミングで掘り上げ、分球した部分は身を分けて保管します。なお、クロッカスは病害虫の心配がほとんどありません。

②ムスカリ

ムスカリ

概要

ムスカリは、キジカクシ科またはヒヤシンス科やユリ科に分類され、40~50の品種があり「グレープヒヤシンス」とも呼ばれます。青紫や白、ピンク、黄の花色が楽しめ、グラウンドカバーのほか水耕栽培もできます。草丈は10~30cmと低めですが、非常に丈夫で数年は植えたままで育つおすすめの品種です。

育て方

早く植えると葉ばかりが伸びるため、10月下旬に植え付けましょう。間隔は5~15cm、深さは5cmくらいが目安です。葉が伸びすぎたときは、春先に一度刈り込んでもかまいません。

球根を大きくする場合は、開花後に化成肥料を追肥します。花が終わった茎は根元から切り取り、葉は黄色くなったらカットします。数年に1度は掘り上げ、分球した部分を分けて保管しましょう。病害虫の被害はほとんどありませんが、まれに株元に白い菌が付着する「白絹病(しらきぬびょう)」を発症することがあります。

③ハナニラ

ハナニラ

概要

ネギ科ハナニラ(イフェイオン)属のハナニラはユリ科やヒガンバナ科に分類されることもあり、属名から「イフェイオン」とも呼ばれます。花色は白や黄色、ピンク、青で、葉や球根はネギの香りがします。草丈は15~25cmほどですが非常に丈夫で、日照時間が1日数時間の「半日陰(はんひかげ)」でも育ち、庭のすき間やロックガーデンなどにもおすすめです。

育て方

植え付けは9月以降に行い、間隔はおよそ5~6cm、深さも5cmを目安にしてください。肥料は必要ありませんが、球根を大きくするときは開花期に少量を与えましょう。花が終わったら摘み取り、葉は自然に枯れてから切り取ります。

数年に1度は混み合った所を掘り上げ、分球した部分を分けてすぐ植え替えましょう。花を残してタネを取れば、翌年にまいて育てられます。病害虫の心配はほとんどありませんが、まれにアブラムシが付くことがあります。

④ヒヤシンス

ヒヤシンス

概要

ヒヤシンスはキジカクシ科またはヒヤシンス科、ユリ科に分類されます。栽培の歴史は長く2,000を超える品種がありますが、国内では10種ほどが流通します。多くはオランダで改良された「ダッチ系」で草丈は20cmくらいに育ち、近年ではピンクや赤、青、紫、白、黄があります。

見た目が華やかな上に香りがよく、水耕栽培もできるため初心者の方におすすめです。ヒヤシンスは寒さに強いので、寒冷地でも地植えできます。

育て方

植え付けは10月中旬以降に行い、間隔は10cmほど、深さは5~8cmを目安にします。芽が出た状態でポットに植えた「芽出し球根」は、根や芽を傷付けないように土ごと取り出し、同じくらいの深さに植え付けてください。

つぼみが出たら少量の肥料を与えますが、開花以降の追肥は球根が腐ることがあります。開花後は茎を残して摘み取り、葉が黄色くなったら掘り上げます。ヒヤシンスは分球が起こりにくいので、増やす際は球根の底に清潔なナイフで切れ込みを入れますが、初心者の方は難しいかもしれません。ヒヤシンスは球根の外部が白く腐る「白腐病(しろぐされびょう)」などにかかることがあります。

⑤フリージア

フリージア

概要

アヤメ科フリージア属のフリージアは、香りがよく切り花にもおすすめの秋植え球根で、南アフリカには12種類の野生種が残ります。花色は黄やピンク、白、赤、オレンジ、紫などと豊富で、草丈は20~50cmくらいです。花びらが重ならない「一重(ひとえ)」や複数に重なる「八重(やえ)」があります。

育て方

9月下旬になったら、間隔は5~10cmほど、深さは5cmを目安に植え付けましょう。寒さに弱いので、霜に当てないようにわらや腐葉土などでマルチング(土の表面を覆うこと)を施し、鉢やプランターは軒下などに置いてビニールなどで保護します。

葉が出たら少量の追肥を行い、終わった花は適宜摘み取ります。葉が枯れたら掘り上げ、つるして保管しましょう。毎年同じ土に育つ「連作」を嫌うため、翌年は違う場所か土を入れ替えて植え付けます。フリージアは、葉に褐色の模様が出て白い菌が広がる「菌核病(きんかくびょう)」にかかるケースがあります。

⑥スイセン

スイセン

概要

ヒガンバナ科スイセン(ナルキッスス)属のスイセンは地中海沿岸が原産で、栽培の歴史は古く2万以上の品種があります。英国王立園芸協会の登録品種は1万を超え、現在は13の系統に分類されます。香りがよく花の形は多様で、色は黄色や白、オレンジ、ピンクなどがあります。草丈は、10~50cmくらいとさまざまに楽しめる点もおすすめです。

育て方

9月下旬になったら植え付け、大きい球根の間隔は15~20cmほど、中小のものは10~15cm空けましょう。深さは6~10cmを目安にし、追肥とお礼肥も与えます。

開花後は茎の付け根からカットし、葉は枯れてから切り取りましょう。数年に1度掘り上げ、分球した部分は分けて保管します。スイセンは、葉に黄色のすじが入る「モザイク病」や葉が灰緑色になり枯れる「軟腐病(なんぷびょう)」のほか、アブラムシの被害に遭うことがあります。

⑦チューリップ

チューリップ

概要

ユリ科チューリップ属のチューリップも品種によって草丈が異なり、10~70cmくらいとさまざまに楽しめます。オランダ王立球根生産者協会に登録された品種は6,500を超え、開花期による4つの分類と花の形や大きさなどから15の系統に分かれます。花色は赤や白、ピンク、黄、オレンジ、紫、黒などがあり、初心者の方におすすめです。

育て方

10月を過ぎたら植え付け、間隔は10~15cmほど、深さは5~10cmを目安にし、向きをそろえて並べます。葉が出たら追肥を行い、開花後は花の部分を摘み取って葉が枯れたら掘り上げます。

分球した箇所は分けて保管しますが、多くの場合球根が小さくなって翌年は花が咲きにくくなります。チューリップは「モザイク病」や葉に黄色いはん点が出る「褐色斑点病(かっしょくはんてんびょう)」などのほか、アブラムシが付きやすいので注意してください。

⑧ラナンキュラス

ラナンキュラス

概要

キンポウゲ科キンポウゲ(ラナンキュラス)属のラナンキュラスは、複数の薄い花びらが重なる華やかな花がおすすめの秋植え球根です。仲間は400~500種類に上り、草丈は30~50cmくらいに育ちます。切り花としても人気が高く、花色は赤やピンク、黄、白、オレンジなど多岐にわたります。

育て方

植え付けは11月以降に行いますが、球根の急激な水分の吸収による腐敗を防ぐためにあらかじめ吸水処理をします。「水ごけ」や園芸用の土「バーミキュライト」などを湿らせて球根とともにビニール袋に入れ、冷暗所でゆっくり吸水させて球根が膨らんだら植え付けます。

土で吸水させるときは、湿らせた土に間隔を15cm、深さは2~3cmに植えて涼しい場所に置き、水は与えません。およそ10日後に球根が膨らんだら水やりを開始し、冬は霜に当てないようにビニールなどをかぶせます。

葉が出たら追肥を行い、加湿にならないように管理しましょう。ラナンキュラスは、菌の付着した花びらの落下が原因で「灰色かび病」にかかりやすいため、開花後の花は注意して摘み取ってください。葉が枯れたら掘り上げて分球し、洗浄してから乾燥させ、つるして保管します。害虫は、アブラムシが付くことがあるので注意しましょう。

灰色かび病については、「【被害が広がる前に対処しよう!】灰色かび病の症状と対策について」をご覧ください。

⑨ユリ

ユリ

概要

ユリ科ユリ属に分類されるユリの原種は100種類ほどがありますが、そのうちヤマユリなどの15種類は日本に自生します。「オリエンタル系」や「スカシユリ系」は原種を交配して作られます。花色は白や黄、オレンジ、赤、ピンクなどと豊富で、切り花にも利用されます。ユリの草丈は50cmくらいから2m近くになる品種もあります。

育て方

外皮がないユリの球根は乾燥していないもの、根が伸びているものを選びましょう。品種によって好む日光量が異なるので、植える場所は説明書に従ってください。植え付けは10月以降に行い、間隔は球根3個以上で20cm以上、深さは球根2個分で10cmほどを目安にします。

生育中は定期的に追肥をして、終わった花は摘み取ります。茎や葉は枯れるまで残し、毎年掘り上げて分球した部分を分け、すぐに新しい土に植えましょう。保管するときは、ピートモスやおがくずとともにビニールに入れます。ユリは葉にすじが出たり委縮したりする「ウイルス病」などのほか、アブラムシが付くことがあります。

秋植え球根の寄せ植え

秋植え球根の寄せ植え

秋植え球根は、1つの鉢やプランターに複数の植物を植える「寄せ植え」も楽しめます。寄せ植えは、開花する時期や日当たり、湿度の好みが合うものを組み合わせましょう。画像のようなヒヤシンスとムスカリのほか、チューリップとムスカリやハナニラなど、草丈の違いを生かした組み合わせがおすすめです。

植える深さを2段に分ける球根の寄せ植えを「ダブルデッカー」、3段は「トリプルデッカー」と呼びます。ダブルデッカーの場合、深さのある鉢やプランターの底に石を敷いて土を3分の2ほど入れ、チューリップなどの大きい球根を並べます。球根の頭が出るくらいに土を入れ、2段目にムスカリなどの小さい球根を並べます。

土をかぶせて鉢やプランターの縁から数cm下になるまで軽く押さえ、水やりの際に土があふれないようにしましょう。最後に水を与え、上記の育て方と同様に管理します。そのほか、チューリップとパンジー、ムスカリとビオラ、スイセンとアリッサムなど球根ではない植物との組み合わせもおすすめです。

春を華やかに彩る秋植え球根を選ぼう

春を華やかに彩る秋植え球根を選ぼう

今回は、おすすめの秋植え球根9種類を一般的な育て方とともにご紹介しました。それぞれの秋植え球根の性質を理解し、適した方法で植え付けと管理を行えば翌年もよい花が期待できます。秋植え球根の栽培に慣れてきたら、華やかな寄せ植えもぜひ挑戦してください。

来年の春を心待ちにしながら、お好みの秋植え球根を選びましょう!

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