2020年4月10日 | 園芸・ガーデニング
除草剤の種類と使い方。農薬登録のありなしでどう使い分ける?
「庭の雑草を簡単に処理したい」と思うものの、どの除草剤を選べばよいか迷う人が多いかもしれません。除草剤には「農薬」として登録されたものと未登録のものがあり、場所によって使用できる種類などが決められていることをご存知でしょうか。
この記事では、除草剤の種類と選び方をわかりやすく解説し、使い方や注意点についてもご紹介します。また除草剤の種類には大きく「液状」「粒状」とに分かれ、それぞれの特徴や使用方法についてもご紹介します。
除草剤の使い方を正しく理解して、雑草を手軽に処理しましょう!
除草剤の出番!雑草によるトラブル
一般的に「雑草」と呼ばれる植物は多種多様ですが、主にイネ科やキク科に属する種類が多く、1年で枯れる「一年草(いちねんそう)」、根や地下茎が残って何年も生存する「多年草(たねんそう)」などに分類されます。雑草が生長すると見栄えが悪くなるだけでなく、虫が寄り付いて繁殖したり、アレルギーの原因になる花粉をまき散らしたりすることがあります。
また、雑草が繁殖すると、本来育てている作物や草花の栄養が不足したり、日光が当たらなくなる可能性が出てきます。さらに、雑草が伸びた建物は外からの見通しが悪くなり、留守がちな印象を与えるため防犯上もよくありません。そのほか、雑草が周囲へ伸びると近隣へ迷惑がかかることもあるので、早めに処理をしましょう。
除草剤の種類と選び方
それでは、除草剤を選ぶ際のポイントをご紹介します。
農薬登録の有無を確認
多くの除草剤が流通し、成分や含有量、残留性などの安全性が問われた経緯から、厳重に取り締まる手段として「農薬取締法」が改正されました。同法では、人が管理する畑や植物を植えた庭、公園などの雑草に対し、「農薬として登録されていない除草剤」の使用を禁止しています。
したがって、畑や植物を植えた庭などに散布するときには、農薬として登録された除草剤を使用しなければなりません。厳しい検査に合格し、農薬として登録された除草剤のパッケージには[農林水産省登録第○○号]と表記されています。農薬の使用に抵抗がある場合も、説明書に従って正しい使い方をすればまず問題はありません。
一方、通路や空き地など、人が植えた植物がない場所に散布するときには、「農薬登録のない除草剤」が使用できます。農薬登録のない除草剤には、同法で「農薬として使用できない」旨の表記が義務付けられています。
【参考サイト】
環境省 「非農耕地専用と称する除草剤の販売等について」
農林水産省 「農薬として使用することができない除草剤の販売等について」
除草剤の形状から選ぶ
続いて、除草剤を形状で選ぶ方法をご紹介します。
液状のタイプ
即効性を重視するときには、効果が早く出る液状の除草剤がおすすめです。液をそのまま散布するものと、水で薄めてから散布するものがあります。どちらも雨が降ると成分が流れてしまう種類が多いので、晴れの日を選んで作業しましょう。また、薬剤の拡散を防ぐためにも、風が強い日は使用を控えてください。
家の周辺に散布する液状の除草剤は、フマキラーの「カダン除草王シリーズ ザッソージエース」をおすすめします。
ザッソージエースは庭木を植えた場所でも使える除草剤で、雑草の表面から成分がすばやく浸透して根まで枯らします。容器から簡単に散布できる上、除草成分がすばやく浸透するため、散布後に雨が降っても流れてしまう心配がありません。
粒状のタイプ
粒状の除草剤はゆっくりと効果を発揮するタイプで、土に直接まいて使用します。駐車場や空き地などの広い場所におすすめで、成分が根まで届いて枯らし、効果が長く続く点が特長です。雑草が大きく生長する前や、発芽する前に使用すると効果があります。一般的に、粒状の除草剤は効果が3~6カ月続きます。
粒状の除草剤は、雨上がりなどの適度に地面が湿っているときに散布すると浸透しやすくなります。ただし、直後に雨が降るときは成分が流出するので天気予報などを確認しながら散布しましょう。また、液状の除草剤と同様に、強風時の使用も避けてください。
フマキラーの「カダン除草王シリーズ オールキラー粒剤」は家の周辺だけでなく、駐車場や空き地などに幅広く使える粒状の除草剤です。成分が根に届いて枯らした後、効果は終了〜約6カ月続きます。雑草が生える前に散布すれば、予防としても効果があります。
枯らす植物を選ぶ
除草剤の中には、特定の植物を枯らすように開発された「選択性除草剤」と呼ばれる商品も見かけます。イネには影響を与えずに周辺の雑草だけを枯らすものや、芝生には影響を与えずに中に生える雑草だけを枯らすものなどがその代表です。植物の種類を選んで枯らしたいときには、選択性の除草剤を選ぶことをおすすめします。
一般的な除草剤は、散布した場所の植物はすべて枯らす「非選択性除草剤」がほとんどです。
作用機構で選ぶ
雑草を処理するときには、除草剤をかけた部分だけ枯らす「接触型」と、根まで成分が届いて枯らす「移行型」があります。
近年では、両方を兼ね備えた「ハイブリッド」と呼ばれる液剤もあります。また虫よけの効果を含む種類もあります。
フマキラーの「根まで枯らす虫よけ除草王プレミアム」は、除草成分だけでなく殺虫や虫よけの成分も配合した非農耕地用の除草剤です。除草の効果は最大で50日、虫よけの効果は最大で1カ月続きます。薬剤は容器から簡単に散布でき、建物の周りや通路、樹木や草花などを植えていない庭の除草におすすめです。
除草剤の使い方と注意点
除草剤の使い方を具体的にご紹介します。
用意するもの
除草剤で雑草を処理するときは、下記のものを用意しましょう。薬剤が皮膚に触れないように注意し、暑い日でも長そで・長ズボンを着用の上、作業してください。
- 除草剤
- 専用のじょうろまたは噴霧器(ふんむき)など
- 長そで・長ズボン
- マスク
- ゴム手袋または園芸用手袋
- 帽子
- 長靴
- 保護用メガネ(あれば安心)
なお、自宅から離れた場所で作業するときには、飲み物やタオル、噴霧器用の電池なども用意しましょう。
タイミングと天気・時間帯
除草剤はそれぞれの説明書に従い、使い方や回数を守って使用してください。先述したように、液状の除草剤は晴れの日に使用し、風がある日の作業は避けます。太陽の熱で成分が蒸発しないように、朝か夕方に散布する種類の除草剤もあります。ただし、通学路沿いでまく場合は、子どもが登下校などで通る時間帯を避けましょう。
粒状の除草剤は、雨上がりなどで土が湿っているときに散布すると効果があります。液状の除草剤は雑草が伸びてきたらすぐ散布し、粒状の除草剤は1年に2回、春と秋に散布するときれいな状態を保てます。
除草剤の使い方
除草剤の一般的な使い方は下記の通りですが、量と面積の割合はそれぞれの商品に従って使用してください。
液状のタイプ
ご紹介したように、液状の除草剤はそのまま散布するものと水で薄めて使用するものがあります。そのまま使える除草剤は、容器の注ぎ口に複数の穴があるタイプや、スプレー式のタイプがあります。
水で薄めるタイプは説明書に従って希釈(きしゃく)し、専用のじょうろや噴霧器を使用して散布します。指定された量よりも薄くすると効果が弱くなり、濃すぎると薬害が出ることがあるので注意してください。液状の除草剤は、枯らしたい植物の全体に薬剤がかかるように散布しましょう。
粒状のタイプ
粒状の除草剤の使い方は簡単で、処理したい地面の全体にまんべんなく散布するだけです。面積が広いときには、縦方向にまいた後に横方向にまくとムラになりません。商品によっては、計量して散布できる容器が付いている種類もあります。より均一に散布したいときには、専用の「散粒器(さんりゅうき)」の使用をおすすめします。
高さが20~30cm以上に伸びた雑草は、短くカットしてから散布するとより効果があります。
除草剤を使う際の注意点
最後に、除草剤を散布する際の注意点をまとめました。
農薬登録の有無の確認
先述したように、畑や植物を植えた庭などには農薬として登録された「農耕地用」の除草剤を使用し、植物を植える予定がない庭や空き地、駐車場などは「非農耕地用」の除草剤を選びましょう。
周辺の環境
除草剤をまくときは近隣へ配慮し、子どもやペットが遊ぶ場所への散布は控えてください。また、2m以内に田畑や河川などがある場所も使用しないようにしましょう。さらに、傾斜地では除草剤の成分が下に流れるだけでなく、植物の根で土壌の流出を抑えている地域もあるため、散布は控えてください。
排水とツールの共用
除草剤の容器や、薬剤を入れたじょうろ・噴霧器などを洗った水は成分が含まれるので、排水口ではなく土に流して処分しましょう。また、じょうろや噴霧器は共用にせず、除草剤を専用に使うものを用意してください。
手洗い・うがい
除草の作業が終了したら、手や顔を洗ってうがいをします。作業用の衣服は着替え、状況によってはシャワーを浴びましょう。そのほか、除草については「お庭の除草方法。手軽にできる除草対策や除草剤の使い方について解説」もご覧ください。
除草剤の種類は農薬登録の有無を調べて正しい使い方を
今回は、種類が豊富な除草剤の選び方と使い方、注意点についてご紹介しました。畑や植物を植えた庭などには農薬として登録されたものを使い、その中でも即効性を重視するときは液状の除草剤を選びましょう。通路や空き地などには非農耕地用の除草剤が使えるので、雑草の状況に合わせて形状を選んでください。
除草剤の使い方を再度確認して、雑草の処理を手早く済ませましょう。