【デイジーの育て方】種まきや植えつけ・病害虫対策を解説

【デイジーの育て方】種まきや植えつけ・病害虫対策を解説

小型の愛らしい花が魅力的なデイジー。彩りの少ない季節に咲く貴重な花のひとつで、育て方も簡単なので初心者の方も気軽に栽培できます。

今回は、デイジーの基礎知識と具体的な育て方、トラブルと対処法などについてご紹介いたします。

デイジーの基礎知識

デイジーの基礎知識

はじめに、デイジーの基礎知識からご覧ください。

デイジーの概要

デイジー(daisy)はキク科ヒナギク属に分類され、「デージー」や「ヒナギク(雛菊)」、「イングリッシュデイジー」と呼ぶこともあります。本来は多年草ですが、夏の暑さが苦手なため一年草として扱います。ヨーロッパ原産で、古くから薬用として栽培されていました。ヨーロッパでは数々の伝説や物語、詩のほか、絵画や刺しゅうの技法などにも登場し、夢占いや恋占いにも用いられます。日本には、明治時代の初期に伝わりました。

デイジーの種類は非常に多く、開花期の12~5月ごろには主に白やピンク、赤、紫などの花を咲かせます。デイジーの花は、中央に集まる「管状花(かんじょうか)」と周囲の花びらにあたる「舌状花(ぜつじょうか)」から成ります。主に、花びらが平たいグローサ種と筒状のフィストゥローサ種に分かれ、咲き方は一重(ひとえ)や八重(やえ)、ボールのようなポンポン咲きがあります。花のサイズは3cmくらいが主流ですが、近年では大型のタイプも流通します。種類が豊富で育て方も簡単なことから、寄せ植えにしても楽しめます。

寄せ植えについては、「寄せ植えの基本と作り方。初心者でもおしゃれに仕上げるコツも解説!」「【寒さに負けない!】冬の寄せ植えにおすすめの植物12選」の記事で詳しくご紹介しています。

似た花との見分け方

デイジーに似たキク科の花は、サイズや葉の形などで見分けます。

  • マーガレット

キク科モクシュンギク属(アルギランセマム属)の低木で、キク科特有のシュンギクのような葉をもちます。基本的には、デイジーよりも花が大きめです。

  • ノースポール

キク科フランスギク属(レウカンセマム属)の一年草で、キク科特有の葉をもちます。花の大きさはデイジーと似ていますが、独特のにおいがあります。

  • カモミール

ローマンカモミールはキク科ローマカミツレ属(カマエメルム属)の多年草で、一般に茎や葉が細く、デイジーよりも花が小さめです。ジャーマンカモミールはキク科コシカギク属(シカギク属)の一年草で、やはり茎や葉は細めです。花の中心部が盛り上がり、花びらが反り返る点が特徴です。

また、「ブルーデイジー」はキク科ルリヒナギク(フェリシア)属の多年草、「ユリオプスデイジー」はキク科ユリオプス属の低木で、どちらもデイジーよりも大きめです。

キク科の花については、「【菊(キク)の育て方】植え替えや挿し木の仕方は?病気・害虫対策も解説」「【ひまわりの育て方】さまざまな種類やサンフィニティが見られる施設も紹介」の記事もご覧ください。

デイジーの育て方のポイント2つ

デイジーの育て方のポイント2つ

デイジーの育て方は、次の2点がポイントです。

① 花がら摘み

咲き終わった花(花がら)をこまめに摘み取ってください。枯れた花をそのままにすると、病気や株の衰弱を引き起こすリスクが高まります。

② 冬越しの対策

デイジーは寒さに強い植物ですが、霜の降りる日や雪が降る日、寒冷地では後にご紹介する方法で冬越しの対策をしましょう。

デイジーの栽培に必要なもの

デイジーの栽培に必要なもの

デイジーを栽培するときは、ジョウロなどの基本的なツールのほかに次のものを用意してください。

花だんまたは鉢など

デイジーを花だんに植えるときは、日当たりと水はけのよい場所を選びましょう。デイジーは生育不良などの連作障害(れんさくしょうがい)が出にくい植物ですが、何年も同じ場所に植えるとトラブルが発生することもあるため、なるべく場所を変えて栽培してください。鉢やプランターのサイズは、目的や置き場所に合わせて選びましょう。

連作障害については、「連作障害とは?連作障害を防いで野菜を育てる方法や予防策を紹介」の記事で詳しくご紹介しています。

タネまたは苗

タネから栽培するときは、好みに合わせて色や咲き方などを選んでください。種類が豊富なデイジーは、同じ時期に異なる品種を育てることも可能です。タネまきの作業には、育苗箱(いくびょうばこ)またはセルトレイ、園芸用のポット、タネまき用の土、霧吹きなどが必要です。

苗を購入する場合は、葉や茎の色がよく、ヒョロヒョロしていないものを選んでください。デイジーは秋に植えつけるので、ポットの穴からのぞいてすでに根がしっかりと張っている苗を選びましょう。つぼみや花がついている苗は、植えつけてすぐに花を楽しめます。

土と肥料など

デイジーを花だんで育てるときは、石灰やたい肥、腐葉土(ふようど)を用意してください。鉢やプランターで栽培するときは、市販の草花用の培養土が便利です。植えつける際に元肥として粒状の化成肥料を加え、開花中は化成肥料または液体肥料を与えましょう。冬の間は、環境に合わせて敷きわらなどのマルチングを施します。

マルチングについては、「園芸におけるマルチングとは?効果や使用方法、注意点をわかりやすく解説」の記事を参考にしてください。

【初心者におすすめ】デイジーの育て方

【初心者におすすめ】デイジーの育て方

それでは、デイジーの育て方を順にご紹介いたします。

土の下準備

花だんの土は、深く掘り返して小石や古い根などを取り除きます。日光に当てて消毒し、石灰を混ぜて酸性の土壌を中和させましょう。たい肥や腐葉土を加え、植えつける1週間くらい前に化成肥料を混ぜて準備します。鉢やプランターの古い土を再利用するときも、同様に準備してから植えつけてください。

タネのまき方

タネまきは、8~9月におこないます。育苗箱またはセルトレイにタネまき用の土を入れ、タネをパラパラとまきます。デイジーのタネは発芽に光が必要な好光性種子(こうこうせいしゅし)なので、ごくわずかな土をかぶせるかそのまま管理します。

タネをまいたら明るい日陰に置き、霧吹きの水を与えるか、底面から吸水させましょう。発芽するまでは、土が乾燥しないように気をつけてください。発芽したら明るい場所に置き、日光に当てる時間を少しずつ増やします。

発育の悪い芽を引き抜く間引き(まびき)の作業をおこない、葉と葉が重ならないように間隔を空けてください。本葉が2~3枚くらいに育ったら、ポットに植え替えて管理しましょう。本葉が7~10枚くらいのころに、花だんや鉢などに植えつけます。

植えつけのポイント

デイジーの植えつけは、9~11月が適期です。本格的な寒さが来る前に植えつけて、根をしっかりと張らせましょう。植えつける間隔は、品種に合わせて15~20cmくらいが目安です。鉢植えは、直径18cmくらいの6号鉢に1株が適しています。

寄せ植えにするときは大きめの鉢を選び、デイジーを手前または周囲に植えるとバランスがよく収まります。根がしっかりと張っている苗は、周囲の土を軽く崩してから植えつけましょう。植えつけ後はたっぷりと水を与え、鉢植えは数日ほど明るい日陰に置いて様子を見ながら、少しずつ日光に慣らしてください。

日々の管理

花だんの水やりは、基本的に必要ありません。鉢植えのデイジーは、土の表面を観察して乾いていたら午前中の暖かい時間に水やりをします。秋以降の水やりは2日に1回くらいになることもありますが、乾燥しすぎないように注意してください。

育て方のポイントでお伝えしたとおり、花がらを茎の根元から摘み取って健康な株に育てましょう。並行して、生育の悪い茎や枯れた葉などもこまめに取り除きます。寄せ植えにしたときはほかの草花の様子も観察し、同様に手入れをしてください。

追加の肥料は、春になったら与えるのが一般的です。化成肥料は月に1回、液体肥料は1~2週間に1回を目安にします。

冬越しの方法

デイジーは寒さに強い植物ですが、本格的な冬の間は冬越しの対策をするとよいでしょう。花だんのデイジーは根元に敷きわらや腐葉土などでマルチングを施し、寒冷地ではビニールや不織布(ふしょくふ)をかぶせて保温します。

鉢やプランターに植えたデイジーは、北風が強く当たらない日なたに置きましょう。大雨や雪の降る日などは、軒下(のきした)に移動させてください。霜が降りる日や雪が降る日は、鉢の周囲に不織布などを巻いて保温すると安心です。

冬越しについては、「冬のガーデニングで気をつけるポイント」の記事をご覧ください。

切り戻しとタネの採取

春を迎えて株が大きくなったときは、全体的に茎を切り戻しても構いません。通気性がよくなって新芽が出れば、再び開花を楽しめる可能性があります。

花期の終わりには、タネを採取することも可能です。花が枯れるまで待ち、茎の根元から切り取ってタネを採り出してください。乾燥させてから通気性がよい紙の封筒などに入れ、冷暗所に置きます。

夏越しは可能?

もともとデイジーは多年草なので、経験者の方は夏越しに挑戦してみましょう。花だんで育てたデイジーは、鉢に植え替えます。高さを半分くらいに切り戻し、涼しくて風通しのよい明るい室内に移動させてください。

室内でも同様に、土の表面が乾いたときに水を与えましょう。ヨーロッパや北海道では自生する地域もあるので、根が張って丈夫な株であれば屋外の涼しい場所で夏越しできるかもしれません。

デイジーのトラブルと対処法

デイジーのトラブルと対処法

デイジーは比較的トラブルの少ない植物ですが、春を迎えるとアブラムシなどの害虫がつくこともあります。害虫を見つけたらすぐに駆除して、繁殖を防いでください。

フマキラーの「カダン お庭の虫キラーダブルジェット」は200種以上の虫に効果があるスプレー剤で、ガやカメムシ、ユスリカなどの飛ぶ虫をすばやく退治できます。また、クモやアリ、ムカデ、ダンゴムシなどの地をはう虫にも効果があります。

舞い散りが植物にかかっても枯れにくいので(※1)、庭木や花だんの周りでも安心して使用でき、虫が好みそうな場所にあらかじめスプレーしておけば、およそ1ヵ月(※2)虫の住みつきを予防することも可能。ただし、雨がかかったときには効果が弱まるため、追加でスプレーしてください。

※1 植物への直接噴霧は避けてください
※2 クモ・アリ・ムカデ・ダンゴムシ。雨がかからない条件での試験結果

育て方が簡単なデイジーは初心者におすすめ

育て方が簡単なデイジーは初心者におすすめ

今回は、デイジーの基礎知識と具体的な育て方、トラブルと対処法などについてご紹介いたしました。デイジーの育て方のポイントは、花がら摘みと冬の管理の2点です。小型でほかの植物とも相性のよいデイジーは、寄せ植えにしても楽しめます。豊富な種類の中から、ぜひお気に入りのデイジーを見つけてください。

「For your LIFE」で紹介する記事は、フマキラー株式会社または執筆業務委託先が信頼に足ると判断した情報源に基づき作成しておりますが、完全性、正確性、または適時性等を保証するものではありません。

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