エキナセアの育て方や気になる病害虫対策について解説

エキナセアの育て方や気になる病害虫対策について解説

「エキナセア」という花をご存じでしょうか。トゲ状に丸く盛り上がった中心部が印象的なキク科の花で、近年ではハーブとしての効能も注目されています。

今回は、エキナセアの基礎知識と育て方のポイント、栽培に必要なものと育て方、栽培時のトラブルと対処法についてご紹介いたします。

エキナセアの基礎知識

エキナセアの基礎知識

はじめに、エキナセアについて基礎知識を深めましょう。

エキナセアとは?

キク科ムラサキバレンギク属(エキナセア属)に分類される多年草で、和名のムラサキバレンギク(紫馬簾菊)や、パープルコーンフラワー、エキナケアと呼ばれることもあります。主に北アメリカの乾燥した草原などに生育しているため、丈夫で育てやすい点が大きな魅力です。

ギリシャ語でハリネズミを意味するエキナセアは、トゲ状の中心部に由来する名前です。先住民のネイティブアメリカンはエキナセアを鎮痛や傷の治療に使ったとされ、欧米では古くから医療用のハーブとして導入されています。日本には1920年代に観賞用として持ち込まれ、近年さまざまな効能にも注目が集まるようになりました。

エキナセアの種類など

エキナセアの原種はエキナセア・プルプレア(purpurea)とエキナセア・パラドクサ(paradoxa)で、この2種をもとにさまざまな品種が誕生しています。日本ではプルプレアの仲間が多く流通し、ほとんどが60~100cmほどの高さにまで生長します。

エキナセアの開花期は6~10月頃で、色はピンクや赤、オレンジ、黄色、白などと豊富です。近年では、八重咲きや二色咲き、葉が細いものや背丈が小さめの品種もあります。

バラゾウムシを寄せつけるエキナセアは、バラのコンパニオンプランツとして利用されることもあります。また、高さを生かした寄せ植えや、切り花、ドライフラワーとしても楽しむことができます。

ドライフラワーについては、「ドライフラワーの簡単な作り方を解説【インテリアやプレゼントにも最適!】」の記事もご覧ください。

ハーブとしての活用

エキナセアは、ドイツの国家機関によって医療用のハーブとして認定されているほか、米国ハーブ製品協会が発行する「メディカルハーブ安全性ハンドブック」(Botanical Safety Handbook)にも掲載されています。

医療用のエキナセアはプルプレアとアングスティフォリア(angustifolia)、パリダ(pallida)の3種で、免疫力の向上が期待できることで注目されています。基本的には開花後に収穫し、茎や葉、根を水洗いして刻み、乾燥してから使用します。

ただし園芸用の品種や、家庭で加工したハーブティーなどについての効能は定かではありません。また、小さい子どもや、キク科植物にアレルギーのある方などは、ハーブとしての使用を避けるようにしましょう。

【参考】厚生労働省ejim 「エキナセア」

エキナセアの育て方のポイント2つ

エキナセアの育て方のポイント2つ

エキナセアは丈夫な植物ですが、育て方として次の2点を押さえておきましょう。

① 日当たりと水やり

草原に自生する植物なので、日当たりと風通しのよい、やや乾燥した環境で育てましょう。過度の湿り気と、乾燥しすぎに気をつけて管理してください。

② 開花後の摘み取り

花が咲き終わったら、すぐに花の部分を切り取りましょう。株の衰弱や病気を防ぐだけでなく、開花期を長く楽しむことにつながります。

エキナセアの栽培に必要なもの

エキナセアの栽培に必要なもの

エキナセアの栽培には、シャベルやじょうろなどの基本的なツールのほかに次のものが必要です。

タネまたは苗

タネはインターネットで購入できますが、育て方がやや難しいため、初心者の方は苗から栽培することをおすすめします。茎がしっかりして葉の色が濃く、ポットの底から根が見える苗を選びましょう。タネを入手したときは、ポットやトレイも用意してください。

土と肥料など

念のため、前年にキク科植物を育てた土の使用を避け、病気を予防しましょう。花だんの土の改良には、石灰やたい肥、腐葉土(ふようど)などを用意します。鉢やプランターで栽培するときは、草花用の培養土でかまいません。タネから栽培するときは、タネまき用の土も用意します。

また、観賞用として育てる場合は化成肥料を、ハーブティーに利用する場合は魚粉や植物由来の有機質肥料を、それぞれおすすめします。

そのほか

ベランダなど狭いスペースでの栽培や、寄せ植えにする際は、鉢やプランターも用意してください。虫の多い時期は防虫ネット、夏の日差しが強い場所では遮光ネットも必要です。寒冷地では、保温用の敷きわらや腐葉土などもそろえましょう。

なお、エキナセアの茎はしっかりしていますが、風の強い場所で育てるときや茎が細いときは、支柱や園芸用のビニタイ(ワイヤー入りのひも)もあると安心です。

エキナセアの育て方

エキナセアの育て方

それでは、エキナセアの育て方を順にご説明いたします。

土の下準備

花だんの土は古い根や石などを取り除いて下から掘り返し、日光消毒をしてください。植えつけの2週間前に石灰をまいて酸性の土を中和し、たい肥や腐葉土(ふようど)を混ぜて下準備をします。植えつけ1週間前には、元肥(もとごえ)として肥料を加えましょう。

鉢やプランターの古い土を使うときも、上記のように下準備をしてから植えつけます。

タネまきと植えつけ

タネまきの適期は春または秋で、気温が15~25℃で発芽します。園芸用のポットまたはトレイにタネまき用の土を入れ、3~5cm間隔に1~数粒ずつまきましょう。軽く土でおおって静かに水やりをし、新聞紙などをかぶせて乾燥を防ぎます。

発芽後は日光に当て、本葉が3~4枚になったら1本ずつポットに植え替えます。本葉が7~8枚に育ったら植えつけましょう。植えつけは4~5月または10月頃がよく、株と株の間はおよそ30cm空けてください。一般的な65cm幅のプランターには、3株が目安です。

置き場所と水やり

花だんは日当たりと風通しのよい場所を選び、鉢やプランターも日光によく当てて育てましょう。ただし、真夏の日差しは強すぎるので、午後は日陰に置くか、遮光ネットをかけるとよいでしょう。また、エキナセアは加湿を嫌うため、梅雨や長雨の時期は鉢やプランターを軒下(のきした)などへ移動してください。

基本的に花だんには水やりをしませんが、猛暑で日照りが続いたときなどは早朝または夕方に水を与えてください。鉢やプランターは土の表面を観察し、乾いていたら水やりをします。夏の間は、朝と夕方に土の状態をチェックして適宜水やりをしましょう。

エキナセアはやや乾燥した環境を好みますが、土の中まで完全に乾くと株が弱るので気をつけてください。

肥料の与え方

エキナセアはやせた土でも育つため、基本的には追加の肥料を与えません。ただし、葉の色が薄くなるときは月に1度くらいのペースで肥料を与えてください。肥料が多すぎると、株が軟弱に育って病気のリスクが高まるだけでなく、花が咲きにくくなったり茎が倒れやすくなったりします。

そのほかの管理

ハーブティーなどに使うときは、開花して中心部が盛り上がった頃に収穫します。花が咲き終わったらすぐに摘み取って、病気や株の衰弱を防いでください。開花後に葉のつけ根の節(ふし)の上まで切り戻すと、再び茎が伸びて開花する品種もあります。なお、多くの株を植えているときには、花が咲く前に一部の株を半分の高さまでに切り戻すと開花がずれて、長く楽しむことができます。

タネを採取する場合は、開花期の後半の花を残し、花びらが垂れて色あせた頃に花ごと切り取ります。通気性のある紙袋などに入れてつるしておくと自然にタネが落ちるので、来年用に冷暗所で保管しましょう。

冬越しのポイント

多年草のエキナセアは、生育期が過ぎると地上部が枯れて根だけ残ります。枯れた部分を取り除き、名前を書いたプレートを立てて管理を続けましょう。鉢やプランターは日の当たる場所に置いて同様に水やりをしますが、冬の間は少し頻度を減らします。

エキナセアは耐寒性があるため、暖地では特に保温の必要がありません。寒冷地では、敷きわらや腐葉土などで土をおおって保温すると安心です。

株分けや植え替え

植えつけから3年くらい過ぎると株が大きくなり、茎が集まる部分が蒸れて黄色くなることがあります。大きく育ったエキナセアは根ごと掘り上げ、株を2~3つに分けて植え直しましょう。

また、鉢やプランターで育てる場合、底から根が出たときはひと回り大きなものに植え替えます。エキナセアの生長によっては、1年に1回くらいのペースになるかもしれません。基本的に、植え替えや株分けは春または秋に作業します。

エキナセアのトラブルと対処法

エキナセアのトラブルと対処法

エキナセアは被害が少ない植物ですが、育て方や環境によっては病害虫に悩まされる場合があります。

心配される病気

葉や茎に白いはん点がつくうどんこ病や、枯れた花などに灰色のかびが発生する灰色かび病、土の表面や根元が白くかびる白絹病(しらきぬびょう)などにかかることがあります。病気が疑われる部分はすぐに除去し、被害の拡大を防いでください。

病気を防ぐためのポイントとしては、清潔な土を用意する、同じ科の植物を続けて栽培する連作(れんさく)を避ける、茎や葉が密集した部分をカットして風通しをよくする、枯れた花や葉などを取り除く、などが挙げられます。

【関連記事】
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害虫を発見したら

まれにアブラムシやハダニ、ヨトウムシ、フキノメイガなどがつくことがあります。見つけたときはすぐに駆除し、虫の多い時期は防虫ネットなどをかぶせましょう。被害が広がったときには、適切な薬剤を使用してください。

エキナセアの栽培には、アブラムシやハダニのほか、うどんこ病などにも効果があるフマキラーの「カダンセーフ」がおすすめです。カダンセーフは、食品成分由来の膜が病害虫を包んで退治。害虫は呼吸ができずに窒息死し、病原菌も栄養を得られず死滅します。屋内での使用や、お子様・ペットのいるご家庭でも安心してご使用いただけます。また活力成分の天然アミノ酸とAO(アルギン酸オリゴ糖)を配合していますので、病害虫対策だけでなく植物の生育もサポートする優れものです。

丈夫で育てやすいエキナセアをもっと身近に

丈夫で育てやすいエキナセアをもっと身近に

今回は、エキナセアの基礎知識や育て方などについてご紹介いたしました。

ハーブティーとして楽しむこともできるエキナセアは、丈夫で育てやすい植物です。しかし育て方や環境によっては、思わぬトラブルが起こることもあります。置き場所と水やり、開花後の手入れのほか、病害虫を防ぐ管理を心がけましょう。

この機会に、スタイリッシュで色鮮やかなエキナセアを育ててみませんか?

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