花を贈るときにはマナーが大切!開店祝いやお見舞いなどシーン別に紹介

花を贈るときにはマナーが大切!開店祝いやお見舞いなどシーン別に紹介

お祝いや記念日、弔事などに欠かせない花のギフト。日本は、古くから伝わるしきたりなどを大切にする傾向があるため、花を贈る際もマナーを確認してからお届けしましょう。

今回は、花を贈る理由と歴史、贈る際の基本マナーのほか、シーン別の注意点とおすすめの花をご紹介いたします。

花を贈る理由と歴史

花を贈る理由と歴史

お祝いや弔事などでは、なぜ花が用いられるのでしょうか。はじめに、花を贈る理由と歴史からご覧ください。

お祝い・慶事の花

お祝いやパーティーなどの場には、華やかで楽しい雰囲気を作り出す花が欠かせません。よい花言葉をもつ花を贈れば、縁起を担いだり相手に気持ちを伝えたりすることも可能です。開店祝いで並ぶ豪華な花々は、人々の目を引いて集客につなげるだけでなく、立札に書かれた贈り主との関係をアピールする手段としても有効です。

花束の起源は紀元前の古代ギリシャ・ローマ時代までさかのぼり、西洋ではギフトとして日常的に用いられました。国内では、平安時代の「源氏物語」に男性から女性へ花を贈る場面が登場しますが、基本的には教養の高い男性がたしなむ華道などを中心に発展します。

幕末から明治にかけて西洋の文化が伝わると、花束や花かごを女性に贈る風習や、洋装の結婚式で花嫁がブーケを持つスタイルなどが徐々に浸透しました。

葬儀・法事の花

仏教では、「六波羅蜜(ろくはらみつ)」と呼ばれる6つの修業が必要とされています。また、仏教における蓮(はす)の花は生命力や清浄の象徴であり、泥の沼地という厳しい環境下でも美しく花を咲かせることから、人々の生き方の見本とされます。

墓に花を供える行為は、苦しみや悲しみに耐え、気持ちを制して穏やかな心をもつ「忍辱(にんにく)」の修業につながるとされます。一般的には、故人の冥福(めいふく)を祈りながら、供養のひとつとして花を供えると考えてよいでしょう。

埋葬時に花を添えた痕跡(こんせき)は、今から約5~7万年前のイラク北部や、1万2千年前のイスラエルの遺跡などで発見されています。国内では、「日本書紀」の神話に登場する「伊弉冉尊(いざなみのみこと)」の墓に花を供えて祀(まつ)ったという記録があり、平安時代の終わりには墓に花を供える習慣が定着したとされます。

花を贈る基本のマナー4つ

花を贈る基本のマナー4つ

花を贈るときには、次に挙げる4つのマナーを参考にしましょう。ただし、宗派や地域の風習がある場合はそちらを優先してください。

① 色と種類

赤い花には華やかなイメージがありますが、「赤字」や「火事」、「血」を連想させるため、贈るシーンを選びましょう。弔事では、華やかな色を選ばずに白をベースにした花を贈ります。また、日本で古くから仏花として使われるキクを、お祝い用に贈るのはタブーです。お見舞いにはキクやシクラメン、鉢植えを避けるなどのマナーがあります。

② 花言葉や好みなど

花言葉の中には、アジサイの「移り気」、ムスカリの「失意」などのようにネガティブなものも含まれます。贈る際は、お祝いの種類に合うものを調べておくと安心です。基本的には相手の好みを優先し、親しい間柄であれば希望を聞いてから贈っても構いません。ただし、雰囲気が合わないものや大きすぎるサイズ、手間のかかる花は避けましょう。

③ 熨斗(のし)・立札(たてふだ)

開店祝いや上場祝いなど、ビジネスの場で花を贈るときは熨斗や立札を用意してください。小さめのアレンジメントには熨斗をつけ、中~大きい花には札を立てることが一般的です。熨斗や立札に記載する内容は、購入の際に指定してください。親しい間柄の場合は、カードや手紙を添えてもよいでしょう。

④ 贈るタイミング

お祝いの品は早めに贈るのが基本ですが、相手の状況に合わせて手配してください。開店祝いは忙しい当日を避け、前日または1週間前までに贈りましょう。上場祝いは、早いほど自社のアピールにつながります。新築・引っ越し祝いに関しては、当日を避けて落ち着いたころに届けます。葬儀の花は、必ず知らせを受けてから手配してください。

【シーン別】花を贈る際のマナーと種類

【シーン別】花を贈る際のマナーと種類

ここからは、贈る際の具体的なマナーと花の種類などを、シーン別にご紹介いたします。

開店・開業祝い

開店祝いやオフィスの開業祝い、クリニックの開院祝いなどは以下を参考にしてください。

花を贈る際の注意点

先述のとおり、「赤字」や「火事」を連想させる赤は、開店祝いにふさわしくありません。購入する際は、リボンなどのラッピングにも気をつけましょう。また、香りの強い花、花粉が落ちる花、手入れの必要な花も避けてください。配送は、開店の1週間前から前日までを指定します。

スタンド花を贈る際は、置き場所やサイズ、雰囲気などを考慮して選び、立札の手配も忘れずにおこなってください。

おすすめの花と形状

もっとも人気のある花は、高級感があって花もちもよく、花粉やにおいが気にならない胡蝶蘭(こちょうらん)の鉢植えです。プレオープンに招待されたときは、花期の長い胡蝶蘭を贈ると本番の開店まで楽しめます。そのほかにはアレンジメントが一般的で、ビジネスが関わる場合はスタンド花を贈ります。

希望があれば、観葉植物やプリザーブドフラワー、光触媒(ひかりしょくばい)をほどこした造花などでもよいでしょう。

観葉植物については、「インテリアグリーンで室内の雰囲気をおしゃれに!おすすめのインテリアグリーン12選」の記事をご覧ください。

新築・引っ越し祝い

続いて、新築・引っ越しのお祝いの花についてご紹介いたします。新しい建物の場合は新築祝い、中古の場合は引っ越し祝いを贈ります。

花を贈る際の注意点

「火事」をイメージする赤い花や、赤系のラッピングを避けてください。また、黄色いカーネーションの「軽蔑」、マリーゴールドの「嫉妬」など、ネガティブな花言葉をもつ花には注意が必要です。配送は引っ越しの当日を避け、相手の希望に合わせて翌日以降を指定します。新築祝いは、建築してから半年までに贈るのが一般的です。

かしこまった場面では熨斗や木札、カジュアルな場面ではカードなどを添えて贈りましょう。

黄色い花については、「黄色い花を咲かせよう!黄色い花の種類を春・夏・秋・冬の季節ごとに紹介」の記事でご紹介しています。

おすすめの花と形状

胡蝶蘭やバラ、ユリ、トルコギキョウなどの華やかな花が喜ばれます。引っ越した当初は、手間のかからない鉢植えやアレンジメントがおすすめです。希望がない限り、極端に大きいサイズは避けてください。新築・引っ越し祝いには、プリザーブドフラワーや観葉植物なども喜ばれます。生活が落ち着いたころに贈る場合は、おしゃれな寄せ植えでもよいでしょう。

寄せ植えについては、「寄せ植えの基本と作り方。初心者でもおしゃれに仕上げるコツも解説!」の記事を参考にしてください。

結婚・出産祝い

結婚や出産祝いの花は、以下を参考にして贈りましょう。

花を贈る際の注意点

赤ちゃんのいる家庭には、においの強いものや花粉が出るもの、世話が大変なものを避けてください。また、アジサイの「移り気」、マリーゴールドの「嫉妬」などの花言葉をもつ花はふさわしくありません。新婚旅行や里帰りなどで自宅にいない場合もあるので、相手の都合に合わせて配送を手配しましょう。

おすすめの花と形状

ヒマワリ、トルコギキョウ、センニチコウ、黄色を除くバラなどの華やかな花が適しています。落ち着くまでは世話ができないため、手のかからないアレンジメントがおすすめです。希望があれば、プリザーブドフラワーや観葉植物などでも構いません。複数で贈るときは、メンバーの名前を書いたカードなどを添えるとよいでしょう。

ヒマワリについては「【ひまわりの育て方】さまざまな種類やサンフィニティが見られる施設も紹介」、センニチコウについては「千日紅(センニチコウ)の育て方を種まきから植えつけまで徹底解説」の記事でもご紹介しています。

誕生日・記念日など

誕生日・記念日など

誕生日や記念日には、華やかな花のギフトが喜ばれます。

花を贈る際の注意点

西洋では白いユリを葬儀に使用するため、お祝いに選ばないほうが無難です。花束の場合、本数は4・9・13の数字を避けましょう。バラの場合、15~17本は「ごめんなさい」などのネガティブな意味があるので適しません。配送する場合は当日または数日前までに届くように手配し、やむを得ず遅れるときは手紙などで謝罪の気持ちを伝えてください。

おすすめの花と形状

誕生日や記念日に贈る花はバラが人気で、複数の種類を混ぜるとさらに華やかです。渡す状況に合わせて、花束またはアレンジメントを選んでください。パーティーの会場で渡すときは、持ち帰る際の負担にならないサイズを贈りましょう。相手が希望すれば、プリザーブドフラワーや観葉植物などを贈ることもあります。

イベント・発表会など

イベントや舞台の公演などでは、スタンド花や楽屋花(がくやばな)などを贈ります。小規模な発表会や展示会などでは、お祝いとねぎらいの気持ちを込めて花を贈りましょう。

花を贈る際の注意点

スタンド花を贈る場合は、「高さは〇cmまで」「バルーン禁止」といった会場の規約の確認が必要です。スタンド花や楽屋花には立札を用意し、ホールの番号や公演名も記載して贈りましょう。出演者の希望があれば従い、場の雰囲気を乱すものや派手すぎるものを避けて選んでください。花の持ち込みを禁止している会場は、受付に預けましょう。

おすすめの花と形状

イベントや公演用には、カラフルで華やかな花が適しています。歌舞伎などでは楽屋花に胡蝶蘭の鉢植えを贈りますが、一般的にはアレンジメントがおすすめです。ステージなどで手渡すときは、花束を用意します。出演者が複数の発表会などでは、相手と自分の名前を記載したカードを添え、持ち帰る際の負担を考えてやや小さめのものを贈りましょう。

ビジネス上のお祝い

続いて、上場や移転、就任、昇進や栄転、退職などのビジネスに関する花についてご紹介いたします。

花を贈る際の注意点

上場祝いは、なるべく早く豪華な花を届けることが自社のアピールにつながるため、上場する当日の朝に届くように手配します。セレモニーを開催するときは会場に届けるケースもあるので、確認してから配送してください。ビジネスが関わるお祝いの花には、立札も忘れずに用意しましょう。なお、市場のランクを下げて上場する場合は、お祝いを贈りません。

おすすめの花と形状

上場や移転、就任のお祝いは胡蝶蘭の鉢植えが一般的で、3または5本のタイプを選んでください。移転祝いは、基本的に開業や引っ越し祝いと同様に考えます。社内の昇進や栄転、退職祝いは一般的なギフト用の花を選び、持ち帰りやすいサイズの花束かアレンジメントを用意します。状況に合わせて、カードや寄せ書きなどを添えて渡しましょう。

栄転や退職祝いなどで花の配送を頼む場合は、相手が午前中で退社する可能性も考え、早い時間に手配すると安心です。

お見舞い

お見舞いに贈る花を選ぶときは、少し注意が必要です。

花を贈る際の注意点

「根づく」が「寝つく」につながる鉢植えは、お見舞いにふさわしくありません。また、血を連想させる赤い花、葬儀を連想させる白い花やキク、「死」や「苦」の発音が含まれるシクラメン、花ごと落ちるツバキなども避けてください。においの強い花や、花粉が落ちる花もお見舞いに適しません。

なお、病院によっては花の持ち込みや花びんの使用について規定があるため、お見舞いに行く際は事前に確認しましょう。

おすすめの花と形状

お見舞いには、「希望」や「前進」の花言葉をもつガーベラがおすすめです。また、オレンジのバラの「健やか」、トルコギキョウの「希望」、ヒマワリの「あなたを見つめる」なども適しています。前向きな気持ちになれるように、明るい色の組み合わせを選んでください。生花を持ち込めない場合は、プリザーブドフラワーがよいでしょう。

葬儀と法事

葬儀や法事に花を贈る際は、宗派や地域の風習に合わせてください。

花を贈る際の注意点

仏教では葬儀の花を「供花(くげ・きょうか)」と呼び、一般的にスタンド花やアレンジメントを贈ります。スタンド花はサイズや取引する業者などが関わるので、葬儀場に申し込むことをおすすめします。立札には、会社名や「〇〇一同」などと記載します。香典や供花を辞退する葬儀もあるため、あらかじめ確認してから手配しましょう。

葬儀の花は必ず訃報(ふほう)を聞いてから用意し、お通夜に届ける場合は当日の午前中以降に手配してください。一周忌までの花は白を基調にしますが、紫や青をプラスしてもよい地域もあります。2年目以降は、故人の好みや地域の風習に合わせた花を贈りましょう。

おすすめの花と形状

葬儀や法事の花は、長持ちして花びらが散らかりにくいキクを中心に、ユリやリンドウ、ラン、トルコギキョウなどを用います。ユリは花粉が落ちるので、おしべを取り除いておきましょう。初七日や四十九日、初彼岸、新盆などには手入れのしやすいアレンジメントがおすすめです。一周忌には、白い胡蝶蘭の鉢植えなどを贈ってもよいでしょう。

お墓参りでは仏花をお供えしますが、造花を推奨する寺院や霊園もあるため、事前に確認してください。

花を贈る際はマナーを心得て

花を贈る際はマナーを心得て

今回は、花を贈る理由と歴史、基本のマナーのほか、覚えておきたい注意点とおすすめの花をシーン別にご紹介いたしました。美しい花々は、贈る側・贈られる側双方の心を和ませます。花を贈るときは古くからのしきたりや地域の風習などのマナーに沿って、適切な花をお届けしましょう。

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