秋田県ってどんなところ?秋田の文化・食べ物・お祭り・県名の由来などを紹介!

秋田県ってどんなところ?秋田の文化・食べ物・お祭り・県名の由来などを紹介!画像提供:秋田県観光連盟

47都道府県を順にご紹介するシリーズ、今回は「秋田県」です。かつて複数の有力者に支配され、混乱が続いた東北地方。しかし、秋田県は米作りを中心とする農業と林業、鉱業を中心に大きく発展し、数々の文化を築き上げました。世界遺産に登録された自然と遺跡、歴史や文化がぎっしりと詰まった秋田県の魅力をお楽しみください。

秋田県の基本情報

はじめに、秋田県の基本情報をご紹介いたします。

歴史と産業

秋田県には、2万年以上も前の旧石器時代から人々が生活していたと考えられています。東北地方の北部はかつて蝦夷(えみし)と呼ばれる人々が支配し、独特の文化を築きました。和銅5年に「出羽国(でわのくに)」が誕生、天平(てんぴょう)5年に蝦夷から守るための出羽柵(でわのさく)が現在の秋田市に設置された後、秋田城が築城されました。

奈良から平安時代の秋田県は東アジアとの交易が盛んで、秋田城はかつて中国にあった「渤海国(ぼっかいこく)」の窓口であったと考えられています。9~10世紀は有力者による争いが激しい時代で、出羽と陸奥(むつ:現在の秋田県の一部や青森県、岩手県など)を治めた清原氏(うじ)の勢力は、後に奥州(おうしゅう)藤原氏へ継承されました。

鎌倉時代には、鹿角(かづの)郡に成田氏、比内(ひない)郡に浅利氏などが地頭(じとう)として就任、戦国時代には各地の大名による争いが勃発(ぼっぱつ)。関ヶ原の戦いの後、慶長7年に常陸国(ひたちのくに:現在の茨城県)から佐竹氏が入国しました。

秋田市の久保田城を本拠地とした佐竹藩は、およそ260年の間に新田の開発や鉱山の開拓、各種文化の発展に尽力しました。明治元年に出羽国は羽前(うぜん)と羽後(うご)に分かれ、同4年の廃藩置県で12県が誕生、後に現在の秋田県の区域が確立します。

明治時代は西洋の農業や新しい技術の導入を積極的におこない、大正時代には農地の転用が増えたものの、昭和に入ると国が開墾と発電に向けた事業に着手。戦後も雇用対策として農地の開拓を進め、経営者の育成などに力を入れました。また、秋田県は現在も良質な秋田杉の産地で知られ、秋田港は世界的な貿易港として機能しています。

平成9年には、東北新幹線に乗り入れた特急「こまち」(秋田新幹線)が開通し、東京とのアクセスがよくなりました。近年では、電気機械や電子部品などの企業が秋田県に進出。能代(のしろ)市にはロケットの燃焼実験施設があることから、宇宙に関する教育や人材の育成も注目されています。

面積と人口

秋田県の面積はおよそ11,638㎢で、東北地方で3位、全国では6位の広さです。13市・9町・3村から成り(令和3年12月現在)、地域は「鹿角(かづの)」「北秋田」「山本」「秋田」「由利(ゆり)」「仙北(せんぼく)」「平鹿(ひらか)」「雄勝(おがち)」に分かれます。

県人口は936,319人(令和3年11月1日現在)で、全国では38番目です。もっとも人口が多い市は秋田市(304,334人)で、横手市(86,718人)、大仙(だいせん)市(78,604人)と続きます(令和3年4月現在)。

【参考】
秋田県「秋田県の人口と世帯(月報:令和3年11月1日現在)」
国土地理協会「2021年4月調査 市町村別 人口・世帯数(日本人住民+外国人住民)」

県の位置と県庁所在地

秋田県は北緯約38~40°、東経約139~140°に位置し、西部は日本海に面しています。青森県との県境は世界遺産で知られる白神(しらかみ)山地、岩手県との県境には奥羽(おうう)山脈が連なります。

県庁所在地は秋田市で、久保田城の跡地を整備した「千秋(せんしゅう)公園」、重要文化財に指定されている「秋田市赤れんが郷土館」などの観光スポットがあります。

県名の由来

日本最古の歴史書である「日本書紀」には、斉明 (さいめい)4年に将軍の阿倍比羅夫(あべのひらふ)が北方に遠征した際、水軍を雄物(おもの)川河口沖の「齶田浦(あぎたうら)」に停泊させた記録が残っています。

また、天平5年の「続日本紀(しょくにほんぎ)」に「秋田村(あきたむら)高清水岡(たかしみずのおか)」という地名が登場することから、律令国家における支配の過程で生まれた呼び名と考えられています。

秋田県の文化

秋田県の文化

続いて、秋田県に伝わる主な文化をご紹介いたします。

なまはげ

「なまはげ」は男鹿半島に伝わる年神(としがみ)です。鬼の面とミノ・出刃包丁のいでたちで「泣ぐ子はいねがー」と家に上がり込む伝統行事が、国の無形民俗文化財に指定されています。囲炉裏(いろり)で怠ける人の手足にできた火斑(なもみ)をはいで懲らしめる「なもみはぎ」が語源とされ、男鹿に来た漢の武帝と鬼を追い払う伝説が関連すると考えられています。

秋田音頭

三味線(しゃみせん)や太鼓(たいこ)、笛などの陽気なお囃子(はやし)にのせて手踊りを披露する秋田県の民謡です。県の名物や社会風刺などを盛り込んだ歌詞を、軽妙なリズムで語り歌います。寛文(かんぶん)3年、城下で流行した踊りに柔術(じゅうじゅつ)の動きを取り入れ、秋田藩主の佐竹義隆(よしたか)に披露したものが起源とされます。

秋田美人

世界3大美人の小野小町(おののこまち)が秋田県の出身とされることから、「秋田小町」とも呼びます。秋田美人は背が高く、色白で面長、切れ長の目と通った鼻すじなどが特徴とされます。日照時間の短さや湿度の変化の少なさなどが肌の美しさに影響する説、秋田県に移り住んだロシアやヨーロッパの人々の遺伝による説などが伝わっています。

曲げわっぱ

国の伝統工芸品に指定されている秋田杉の容器で、主に大館(おおだて)市で製作されます。秋田杉の中でもっとも美しい柾目(まさめ)の部分を薄くはぎ、熱湯につけてから成型するなどの作業は、すべて職人の手仕事によるものです。起源はおよそ1300年前とされ、17世紀後半に大館城の城主であった佐竹氏が、武士の副業に奨励して発展しました。

マタギ

クマやカモシカなどの獣(けもの)を狩るマタギの文化は、平安時代の秋田県が発祥とされます。マタギの主な集落は北秋田市阿仁(あに)町の根子(ねっこ)や打当(うっとう)、比立内(ひたちない)で、周辺にはブナの原生林が残ります。現在はマタギで生計を立てる人々はいませんが、狩猟の技術が受け継がれて各種イベントなどが開催されています。

秋田県の食文化・食べ物

秋田県の食文化・食べ物画像提供:秋田県観光連盟

秋田県の食文化のうち、主なものをご紹介いたします。

きりたんぽ

白米をつぶして串(くし)に巻き、表面を焼いたもので、県北部の鹿角(かづの)地方などが発祥とされます。200年以上前の木こりやマタギの人々が、山に持参したおにぎりを木の棒に巻きつけ、焼いて食べたことが起源です。よく似た形状である「短いガマの穂」の略が「たんぽ」の語源とされ、鍋(なべ)料理に切って入れたため明治時代に「きりたんぽ」と命名されました。「米どころ秋田」を代表する郷土料理として、広く親しまれています。

稲庭(いなにわ)うどん

やや細めでツルツルとした喉(のど)ごしと滑らかな舌ざわりが特徴で、日本三大うどんのひとつと称されます。熟練した職人が「練る・綯(な)う・伸ばす・干す」の4つの工程を手がけ、「綾掛け(あやがけ)」と呼ばれる手延べの技術によってコシが生まれます。江戸時代初期に、稲庭地区の麺(めん)職人の技術を基にして製法が確立しました。

いぶりがっこ

ダイコンを縄で編んで小屋の中につるし、燻(いぶ)してから調味液に漬け込む「いぶりがっこ」。「がっこ」とは、秋田の方言で漬物を意味します。いぶりがっこの発祥地である横手市山内の三又(みつまた)集落は、気候の影響で屋外干しができないことから、室内で保存食を作る方法が編み出されました。各家庭で異なる調味液のレシピは、現在も継承されています。

比内鶏(ひないどり)

国の天然記念物に指定されている鶏で、基準をクリアした「比内地鶏(ひないじどり)」は日本三大美味鶏(びみどり)のひとつといわれます。うまみ成分が豊富ながらもあっさりとしており、脂肪分が少なく弾力のある点が特徴です。県北部が産地で、鶏にストレスを与えない放し飼いまたはケージに入れない平飼い(ひらがい)で管理されます。

ハタハタ

県民の生活に深いかかわりをもつ魚で、漢字では「鰰」と書きます。年末に大漁を迎えるハタハタは神の恵みの魚とされ、江戸時代より前から普段の食事や保存食に用いられています。煮つけや干物、塩漬け、粕(かす)漬けのほか、米と発酵させた「ハタハタ飯寿司(いずし)」、ハタハタを発酵させた魚醤(ぎょしょう)の「しょっつる」などがあります。

秋田県の伝統行事・祭り

秋田県の伝統行事・祭り画像提供:秋田県観光連盟

秋田県に伝わる主な伝統行事や祭りは、次のとおりです。

ユネスコ無形文化遺産の行事

先述した「男鹿のなまはげ」は、全国の来訪神行事の9件とともに「来訪神:仮面・仮装の神々」としてユネスコ無形文化遺産に登録されています。また、国指定の重要無形民俗文化財である鹿角市の「大日堂舞楽(だいにちどうぶがく)」は、ユネスコ無形文化遺産の「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」に記載されています。

そのほか、「山・鉾(ほこ)・屋台行事」として仙北市の「角館祭りのやま行事」、秋田市の「土崎(つちざき)神明社祭の曳山(ひきやま)行事」、鹿角市の「花輪祭の屋台行事」が登録されています。

秋田竿燈(かんとう)まつり

五穀豊穣や無病息災を願って秋田市内でおこなわれる8月の祭りで、国の重要無形民俗文化財に指定されています。笛や太鼓などのお囃子に合わせ、多数の提灯(ちょうちん)がついた竿(さお)を熟練の「差し手」が手のひらや額などで支える技を披露します。もっとも大きいものは竿の長さが12mで、46個の提灯が連なります。江戸時代の病や邪気を払う「ねぶり流し行事」が原型とされます。

大曲(おおまがり)の花火

大仙市の雄物川河畔で8月に開催される大規模な花火大会です。昼の部では色のついた煙で空に模様を描く「煙竜(えんりゅう)」、夜の部では打ち上げ花火の技術を競い合い、内閣総理大臣賞や経済産業大臣賞などが授与されます。明治43年に開催された諏訪神社の「奥羽六県煙火(えんか)共進会」からはじまり、100年以上の歴史があります。

横手のかまくら

横手市内で2月におこなわれる小正月(こしょうがつ)の行事です。高さ3mくらいに積み上げて固めた雪の内側を掘って正面に神棚を作り、中で子どもたちが甘酒(あまえこ)やおもちなどをふるまいます。江戸時代に、雪の壁にお神酒(みき)などを供えて子どもの無病息災を祈ったり、井戸の近くの雪穴に水神様を祀(まつ)ったりした風習が融合したものとされます。

秋田県の建築物・遺産

秋田県の建築物・遺産画像提供:秋田県観光連盟

秋田県の主な建築物や遺産は次のとおりです。

白神山地

秋田県北西部と青森県南西部にまたがるおよそ13万haの広大な山岳地帯を指し、世界最大級のブナの原生林が残されています。多種多様な動植物が生息し、貴重な生態系が繰り広げられていることから、一部が平成5年に世界遺産に登録されました。自然の環境を保護するために、人の手を加えない「核心地域」が設けられています。

白神山地ビジターセンター
住所:青森県中津軽郡西目屋村大字田代字神田61-1
公式サイト:http://www.shirakami-visitor.jp/

北海道・北東北の縄文遺跡群

世界文化遺産に登録された「北海道・北東北の縄文遺跡群」は、縄文時代における1万年以上におよぶ人々の生活や文化が残った17の遺跡による構成資産です。そのうち秋田県では、北秋田市の「伊勢堂岱(いせどうたい)遺跡」と鹿角市の「大湯(おおゆ)環状列石」の2つの遺跡が登録されています。

北海道・北東北の縄文遺跡群公式サイト:https://jomon-japan.jp/

●伊勢堂岱遺跡
住所:北秋田市脇神伊勢堂岱
公式サイト:https://www.city.kitaakita.akita.jp/isedotai

●大湯環状列石
住所:鹿角市十和田大湯字万座45
公式サイト:https://www.city.kazuno.akita.jp/soshiki/sangyokatsuryoku/kankokoryu/gyomu/2/9/2/1804.html

角館(かくのだて)の武家屋敷

角館を治めた芦名義勝(あしなよしかつ)が、元和6年に造成した城下町です。「武家屋敷通り」は重要伝統的建造物群保存地区に選定されており、県や市の史跡、県の有形文化財に指定されている武家屋敷が現存します。角館は武家屋敷が立ち並ぶ「内町(うちまち)」と町人が居住した「外町(とまち)」に分かれ、それぞれに趣が異なります。

住所:仙北市角館町表町下丁など
公式サイト: https://www.city.semboku.akita.jp/sightseeing/spot/07_buke.html

久保田城跡

秋田藩主佐竹氏の居城で、「日本100名城」に選ばれています。丘陵に築いた平山城(ひらやまじろ)の形式とわずかな石垣、天守閣をもたない点が特徴です。跡地の一部は千秋公園として整備されており、現存する「御物頭御番所(おものがしらごばんしょ)」と復元した「表門」、「御隅櫓(おすみやぐら)」を見学できます。

住所:秋田市千秋公園1-39
公式サイト:https://www.city.akita.lg.jp/kanko/kanrenshisetsu/1002685/1009870/index.html

康楽館(こうらくかん)

明治43年に建設された国内最古の木造の芝居小屋で、国の重要文化財と県の有形文化財に指定、近代化産業遺産に選定されています。かつて小坂(こさか)鉱山の厚生施設として開業し、一度は需要が減ったものの昭和61年に町営で営業を再開。現在は各種イベントのほか、回り舞台(まわりぶたい)などの設備を見学するツアーが開催されています。

住所:鹿角郡小坂町小坂鉱山字松ノ下2
公式サイト:http://kosaka-mco.com/

秋田県の県民の日

秋田県の県民の日画像提供:秋田県観光連盟

昭和40年、廃藩置県により秋田県が誕生した8月29日を「県の記念日」に制定。令和3年には県の誕生から150年を迎えました。県の記念日には、県立公園などの施設の無料開放やホテルの割引、各種イベントなどの記念行事が開催されます。

まとめ

まとめ画像提供:秋田県観光連盟

今回は、秋田県の概要や各種の文化と伝統行事、遺産や建築物などについてご紹介いたしました。農業と林業、鉱業を中心に発展した秋田県は、世界遺産をはじめ全国的に知られる食文化、伝統行事などが盛りだくさんの地域です。子育て環境なども充実し、住みやすさでも人気を誇る秋田県に出かけてみませんか。

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