家庭菜園でのナスの育て方やコツをご紹介【初心者でも安心】

家庭菜園でのナスの育て方やコツをご紹介【初心者でも安心】

「一富士二鷹三茄子(いちふじにたかさんなすび)」の言い伝えにも登場するナスは、古くから「成す」につながる縁起の良い野菜として親しまれてきました。

ナスは家庭菜園においても人気が高く、長い期間の収穫が楽しめる野菜の1つです。今回は、ナスの豆知識や育て方のポイント、準備するもの、具体的な育て方とトラブルをまとめました。

育て方のコツをつかめば初心者の方もナスの栽培ができるので、ぜひ挑戦してみてください。

家庭菜園でも育てられるナス

家庭菜園でも育てられるナス

初めに、ナスについての豆知識を簡単にご説明します。

ナスの分類と歴史

ナス科ナス属に分類されるナスはインド東部が原産のため、日光が大好きで暑さに強い野菜です。13~15世紀のヨーロッパではナスの花を観賞するだけでしたが、その後アメリカに伝わって多くの品種が改良されました。

日本には中国などのアジア諸国から伝来し、平安時代の書物にはナスの栽培方法が記載されています。江戸時代には、作物を早く育てて出荷する「促成栽培」の研究により、初物のナスが珍重されて高額になったため「初物禁止令」が出た歴史があります。現在は、7~11月は茨城や栃木などの露地もの、12~6月は高知や福岡などのハウス栽培のナスが1年中流通します。

ナスに含まれる栄養

ナスは調理方法が多彩でおいしい野菜ですが、93.2%が水分でビタミン類はごくわずかです。しかし、ほかの野菜に比べてカリウムや食物繊維が豊富で、カロリーは100gあたり22kcalと低い点が特長です。また、皮の色の成分である「アントシアニン系色素」が「ポリフェノール類」に属することから、抗酸化作用や動脈硬化、高血圧、視力回復などの効果も期待できます。

ナスの主な種類

ナスは国内だけでも200以上の種類があり、市販のほとんどは「中長(ちゅうなが)ナス」の仲間で「長卵形(ちょうらんけい)ナス」とも呼ばれます。中長ナスより長い20~25cmのタイプは「長(なが)ナス」、さらに長い40~45cmは「大長(おおなが)ナス」に分類されます。

また、「賀茂(かも)ナス」で有名な「丸ナス」や欧米の品種を改良した「米(べい)ナス」、重さが10~20gの「小(こ)ナス・小丸(こまる)ナス」などがあります。近年では、皮の色が薄い緑や白の品種やイタリア野菜のナスも見かけます。

ナスの育て方の4つのポイント

ナスの育て方の4つのポイント

ナスの育て方として、次の4つのポイントを確認しておきましょう。

① 水やりと日光

ナスはたくさんの水分と共に育つため、水切れに気を付けてください。特に、プランター栽培では日課として毎朝水やりを行いましょう。また、ナスは日照時間が多いほど収穫量が増えておいしく育つので、日当たりのよい場所を選んで栽培します。

② 整枝(せいし)などをしっかりと

多くのナスをおいしく育てるには、必要な枝だけを残す「整枝」や枝の先端を切る「摘芯(てきしん)」、数枚の葉を残してカットし、新しい枝の生育を促す「切り戻し」が大切です。整枝や摘芯、切り戻しについては、後の育て方の項目で詳しくお伝えします。

③ 肥料も定期的に

ナスの生育には、水分と同時に肥料もたくさん吸収します。収穫期間は定期的に肥料を与えておいしい実を育てましょう。

④ 更新せん定で秋ナスも

初夏に植え付けたナスは、後にご紹介する方法で「更新せん定」を行い、不要な枝を取り除けば長い期間の収穫が可能です。

ナスの栽培で必要なものは?

ナスの栽培で必要なものは?

初心者の方に向けて、ナスの栽培時に用意するものをピックアップしました。

プランター栽培もできる

ベランダや駐車スペースなどでナスを育てるときには、プランター栽培も可能です。20リットル以上の大型のプランターに対し、ナス1株を植え付けましょう。

栄養が豊富な土

ナスの根は深く張るので、栄養が豊かで水分が多い土をよく耕しておきます。石灰やたい肥も準備し、下記にご紹介する方法で土づくりをしましょう。

苗またはタネ

ナスの苗は、茎が太くて葉が大きく、生き生きとしているものを選びます。病害虫を予防するには、ほかの植物を土台にした「接木(つぎき)苗」がおすすめです。ナスはタネからも育てられますが、温度や湿度の管理に少々手間がかかります。

コンパニオンプランツ

植物を育てるときには、お互いの生育を助け合う「コンパニオンプランツ」をおすすめします。ナスと相性の良い野菜は、病気を抑制するネギ、虫除けになるマリーゴールドやナスタチウム、生育がよくなるエダマメなどがあります。

ただし、コンパニオンプランツを植えても病害虫の被害が出ることもあるので、こまめに観察を行いましょう。

支柱で誘引しよう

株の数が少ないときには、苗のすぐ横に1本、両側に2本の支柱を立て下部を交差させて留めます。たくさんの株を育てるときには、およそ5つに1本の割合で外側に傾くように支柱を立て、丈夫なひもを横方向に渡します。生長に伴って、ひもの段数を増やしてください。

野菜には有機質肥料を

有機質肥料は、「草木灰(そうもくばい)」や「油かす」などの植物性のタイプと、「魚かす」や「鶏糞(けいふん)」、「牛糞(ぎゅうふん)」などの動物性のものがあります。

初心者の方は、バランスよく配合された「有機配合肥料」を使うと便利です。苗を植え付ける2週間ほど前に、「元肥(もとごえ)」としてこれらの有機質肥料を土に混ぜておきます。

初心者必見!家庭菜園のナスの育て方

初心者必見!家庭菜園のナスの育て方

それでは、家庭菜園におけるナスの育て方を順にご紹介します。

ナスを育てる土づくり

畑の土は深く掘り返して直射日光に当て、2週間ほど消毒します。石灰を混ぜ込んで中和し、腐葉土、たい肥を加えてなじませます。植え付ける2週間ほど前には先述した元肥を混ぜて、栄養をたっぷり含んだ土を用意しておきましょう。

たくさんの苗を育てるときには、土を一段高く盛る「畝(うね)」を作って植え付けると、日当たりや根の張り方、排水などがよくなりナスの生育を促進させます。

タネまきと苗の植え付け

タネから育てるときは2月中旬頃から始め、育苗用の箱に土を入れて深さ1cmくらいの溝を作り、0.5~1cm間隔でタネをまきます。軽く土をかけ、霧吹きなどで水やりをして25~30度の温度に保ってください。発芽したら20度くらいで保温し、本葉が1~2枚の頃に1本ずつポットへ移植します。およそ15度の温度を保って本葉が7~8枚まで育ったら、苗の間を50~60cmほどあけて土に植えます。

市販のナスの苗は、4~5月頃に出回るので同様に植え付けましょう。泥はねを防ぐには、植え付け時にビニールや藁などのマルチングを行うと安心です。なお、苗の周りに短い支柱を4本立てて「あんどん」のようにビニールなどでおおい、虫除けの薬剤を株元にまくとその後の管理が楽です。

水の管理を忘れずに

先述したように、ナスはたくさんの水分を吸収して育つ植物です。植え付け後や猛暑などで土が乾燥したときには、早朝か夕方に水やりを行います。プランターの土は乾きが早いので、毎朝水を与えましょう。

整枝のポイント

植え付け後は仮の支柱で苗を支えると、風などで枝が折れる心配がありません。一番花が咲いたら、メインの「主枝(しゅし)」と一番花のすぐ下から伸びる「側枝(そくし)」を2本残してカットし、3本に整枝します。

枝はひもなどで支柱にゆるく留め付け、葉が込み合わないように気を付けましょう。整枝後に伸びるわき芽は、随時取り除きます。また、真夏の間は下部の古い葉を取って病気を予防しましょう。

肥料を与える時期

定植して3週間ほど過ぎたら1度肥料を与え、その後の収穫期間は2~3週間に1度を目安に追肥を行います。肥料は株元ではなく、根の先にあたる葉先の真下に施しましょう。肥料が不足すると、ナスの花の中心にある「雌(め)しべ」が「雄(お)しべ」に埋もれて見えなくなります。

摘芯(てきしん)と切り戻し

側枝に実が1~2個付いたら、側枝の先を摘芯します。実を収穫した後に側枝の下部の葉を1~2枚残して切り戻すと、新たなわき芽が出て次の花が咲き結実します。この「摘芯→収穫→切り戻し」のサイクルを繰り返せば、たくさんのナスが収穫できます。7月中旬に入ったら主枝の先端も摘芯しましょう。

また、側枝の実は1つだけにして、収穫の度に側枝の根元から切り戻す方法もあります。うまく手入れができれば、後にご紹介する更新せん定を行わずに済むこともあります。

ナスの収穫は早朝に

ナスの花が咲いてから15~20日頃に収穫できますが、1~2番目の実は小さいうちに収穫して今後の生育に備えてください。中長ナスは、12~15cmくらいの長さが収穫の目安です。

収穫の時期が遅れると、固くなって食感の悪い実になるので気を付けましょう。ナスなどの実の成る植物は夜に栄養分を蓄えるため、早朝の収穫がおすすめです。

更新せん定で秋まで収穫

株が弱りわき芽が伸びなくなったら、すべての枝の葉を1~2枚まで残す更新せん定を行います。同時に、株元から30cmほどの土を掘り起こして根も短くカットします。掘った場所に追肥を行い、水もたっぷり与えて様子を見ましょう。

株が若返ってわき芽が伸びてきたら、同様に手入れをすると秋まで収穫ができます。

ナスの栽培で起こりやすいトラブル

ナスの栽培で起こりやすいトラブル

ナスを栽培していると、次のようなトラブルが発生することがあります。

実が固い・つやがない

受粉せずに結実すると、実が生長せずに固くなる「石ナス」と呼ばれる症状が出ます。石ナスが大量に発生するときは、受粉をさせるかホルモン剤を使用します。また、実に光沢がなく表面に凹凸が出るものは「つやなし果」や「ボケナス」と呼ばれ、水分不足が原因で起こります。これらのナスは味が悪いため、食用におすすめしません。

変形した実が付く

ナスの変形果としては、双子の実や別の細い実が飛び出す「舌出し果・天狗(てんぐ)ナス」などがあります。これらは生育時の温度の低さや水分不足、肥料の過多などが原因です。変形したナスは通常どおり食べられます。

ナスに多い病気

ナスの苗に発症する病気の中で、主なものを挙げます。

  • うどんこ病

下部の葉や茎などに白い粉のようなはん点が付き、次第に広がる病気です。日照不足や乾燥が原因で発症します。

うどんこ病については「【園芸の大敵!】うどんこ病とは?うどんこ病が発生する原因と対策について」でも詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。

  • 灰色かび病

主に花弁や実のくぼんだ箇所から灰色のかびが広がります。低温多湿の環境下で胞子が飛散し、葉や茎にまん延することもあります。

灰色かび病については「【被害が広がる前に対処しよう!】灰色かび病の症状と対策について」でも詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。

  • 青枯(あおがれ)病

高温時に発症しやすく、元気に育っていた苗が青いまま突然に枯れる病気です。薬剤で土壌の消毒を行いますが、病気に強い接木苗も販売されています。

  • 半身萎凋(はんしんいちょう)病

土壌内の菌が原因で、株や葉の半分だけがしおれたり枯れたりする病気です。日光や薬剤で消毒したきれいな土を使用し、下記にご紹介する「連作(れんさく)」を避けることで病気を防げます。

そのほかにも、ナスは「黒枯(くろかれ)病」や「すすかび病」、「菌核(きんかく)病」など多数の病気が発症します。いずれも病変した部分を取り除いて薬剤を散布しますが、あらかじめ泥はねを防いだり葉が茂る部分をカットしたりして病気を防ぎましょう。

ナスに付きやすい害虫

ナスの苗にはアブラムシやカメムシのほか、「チャノホコリダニ」や「テントウムシダマシ」などが付いて汁を吸ったり葉を食べたりします。また、「ヨトウムシ類」が夜間に茎や葉を食べるケースもあります。害虫を見つけたら早急に駆除し、適切な薬剤で対処しましょう。

栽培は連作を避けて

毎年同じ場所で同じ植物を栽培する「連作」は、栄養不足や特定の病原菌が残ることが原因で病害虫が発症しやすくなります。ナスだけでなく、同じナス科のトマトやピーマン、じゃがいもなどを栽培した場所は3~4年、状況によっては6~7年あけましょう。

ナスの育て方をマスターして家庭菜園に挑戦!

ナスの育て方をマスターして家庭菜園に挑戦!

今回は、ナスの豆知識と家庭菜園におけるナス栽培のポイントや具体的な育て方などをご紹介しました。ナスの育て方では日当たりと水やり、肥料、整枝のほか、側枝の「摘芯→収穫→切り戻し」のサイクルを覚えておきましょう。

また、「秋茄子は嫁に食わすな」の解釈の1つにもあるように、秋のナスはうまみが凝縮するため特に味がよくなります。暑さで株が弱ってきたら、ぜひ更新せん定をして長い期間の収穫を目指してください。

「For your LIFE」で紹介する記事は、フマキラー株式会社または執筆業務委託先が信頼に足ると判断した情報源に基づき作成しておりますが、完全性、正確性、または適時性等を保証するものではありません。