【プランターでいちご栽培!】初めてでも上手にできる甘くておいしいいちごの育て方

【プランターでいちご栽培!】初めてでも上手にできる甘くておいしいいちごの育て方

甘くておいしい人気のいちごを、家庭で育ててみませんか?いちごは、場所を取らずに育てられるプランター栽培がおすすめです。今回は、初めて栽培する方に向けて、いちごの基礎知識と育て方のポイント、栽培に必要なものと具体的な育て方、トラブルと対処法についてご紹介いたします。

いちごに関する基礎知識

いちごに関する基礎知識

栽培を始める前に、いちごに関する基礎知識を身につけましょう。

いちごの分類と歴史

いちごはバラ科イチゴ属の多年草で、栽培用品種はオランダイチゴ総称されます。いちごの歴史は非常に古く、スイスの石器時代の遺跡からいちごのタネが発掘されています。

アメリカ原産のバージニアイチゴが1600年代に、アメリカやチリ原産のチリイチゴが1700年代に、それぞれヨーロッパへと渡りました。その双方がかけ合わされ、18世紀末にオランダイチゴとして定着したのです。

日本には江戸時代にオランダから持ち込まれ、明治時代には本格的な栽培も始まりました。1890年代には国産の「福羽(ふくば)いちご」が誕生、その後福羽をもとにさまざまな品種が作られました。

いちごの栄養と旬

ビタミンCの含有量が100gあたり62mgと多く、食物繊維やカリウムも豊富に含まれます。大粒のいちごは5粒くらい、普通サイズのいちごでも8粒ほどで、成人1日あたりのビタミンC必要摂取量である100mgを補完できます。

本来の旬は5月で、一般的なプランター栽培では4~6月に収穫します。もっとも糖度が高いのは12~3月のハウス栽培のいちごで、クリスマス用に多く出荷されます。

【参考】
文部科学省 「日本食品標準成分表」
厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2020年版) 水溶性ビタミン」

いちごの種類

いちごの原種は25ほどで、国内にも野生種の「シロバナノヘビイチゴ」と「ノウゴウイチゴ」があります。現在の品種は250以上と考えられ、毎年のように新しいいちごが誕生します。店頭でよく見かけるいちごは栃木県の「女峰(にょほう)」や「とちおとめ」、福岡県の「とよのか」などで、いずれも福羽を品種改良したものです。

いちごには、年に1回収穫する「一季(いっき)成り」と、春から秋にかけて長期間収穫できる「四季成り」があります。また、病気に強いものや多くの実が成るもの、甘みが強いものなど、さまざまな品種が流通しています。

いちごの育て方のポイント4つ

いちごの育て方のポイント4つ

続いて、プランターでいちごを栽培するときのポイントを4つご紹介いたします。

① 植えつけ

茎のつけ根の「クラウン」が見える深さに植えつけます。また、「ランナー」と呼ばれる茎の反対側に花がつくので、植える際は向きを考慮しましょう。

② 置き場所

プランターは日当たりと風通しがよい場所に置き、冬の間も屋外の寒さに当てて育ててください。

③ 人工授粉

そのままでも実はつきますが、開花期に筆などを使用して人工授粉をするとさらにたくさんの実がつきます。

④ ランナーのカット

冬の間や開花期、収穫期に伸びるランナーはこまめにカットして、株が衰弱しないようにしてください。

いちごのプランター栽培で用意するもの

いちごのプランター栽培で用意するもの

いちごをプランターで育てるときには、基本的なツールのほかに下記のものを用意しましょう。

いちごの苗

苗は、10月頃店頭に出回ります。初心者の方は一季成りで病気に強い品種や、「作りやすい」と表記された品種を選びましょう。茎が太く、葉は濃い緑で厚みがあり、本葉が3~4枚以上ついた苗がおすすめです。

また、ポットの底から根が見える苗は生育がよいと考えられます。ランナーを切った跡があれば、植える際に役立つので確認しましょう。近年では、苗とプランターなどがセットになった栽培用キットも販売されています。

プランター

深さ15~20cmほどの一般的なものでかまいません。いちご用として苗を3つ植えて重ねられるタイプや、周囲にポケットがついたタイプもあります。育てるスペースが狭いときや、おしゃれな庭づくりをするときは、いちご用のプランターがおすすめです。

土と肥料

プランターで栽培するときは、野菜や果実用の市販の土を新規に購入して使うと簡単です。古い土を再利用する場合は、日光消毒して石灰で中和し、たい肥や肥料などを混ぜて準備します。なお、前年に同じバラ科の植物を育てた土は、連作(れんさく)障害が出て病気にかかりやすいため使用を避けてください。

魚の粉などを原料にした有機質肥料の中でも、いちごの栽培ではとくにリン酸の配合が多めのものを選ぶとよく育ちます。

そのほか

冬には、土の表面をおおうマルチング用の敷きわらや、チップなどを用意しましょう。また、虫や鳥の被害を避ける防虫ネットや不織布(ふしょくふ)、人工授粉をする際の筆や綿棒なども必要です。

なお、コンパニオンプランツとして近くに植えるとよいのは、ハーブの「ボリジ」です。ミツバチの授粉をうながす効果が期待できます。

【プランターでいちご栽培】基本の育て方

それでは、いちごのプランター栽培について順にご紹介いたします。

植えつけのポイント

横長のプランターには、20~25cmほどの間隔をあけて2~3株を植えましょう。根元のクラウンがやや隠れるくらいの深さに植えることがポイントです。ランナーの切り口を後ろ側にして植えると、花が手前に咲くので簡単に収穫できます。

置き場所

いちごを植えたプランターは、屋外の日当たりと風通しがよい場所に置いてください。夏は遮光ネットで保護をするか、午前中の数時間だけ日光に当てましょう。強風が当たる場所や室外機の吹き出し口の前は、葉が乾燥するので避けてください。

プランターの水はけがよければ雨に当たってもかまいませんが、豪雨や台風のときは移動して苗が傷まないようにしてください。

日々の水やり

プランターの土の状態を確認して、表面が乾いているときは水をたっぷりと与えましょう。冬の間も、マルチングの下の土を観察しながら水やりを続けます。夏は、夕方に土の表面をチェックして、乾いていたら水を与えてください。

いちごは乾燥に弱いため、毎日の土の観察が大切です。

冬越しの方法

寒さに強いいちごは、マイナス5~6℃までなら生育に支障が出ません。冬の間は土の表面に敷きわらなどのマルチングをほどこし、屋外で育てましょう。ただし、霜が降りるほどの寒さが続くときは、不織布(ふしょくふ)などをかぶせて保温します。また、雪の日は重さで苗が傷むこともあるので、軒下(のきした)などにプランターを移動してください。冬の間に咲いた花や、伸びたランナーは取り除きましょう。

四季成りのいちごは、秋頃に日当たりのよい室内に移動してください。夜間も光を当て、室温を低めにして管理すると甘い実をつけます。

肥料の与え方

一般的には、活動が再開する2月頃と花が咲き始める頃、実が大きくなる頃に与えます。品種によって適した施肥の時期が異なるため、注意してください。肥料が多すぎたり、植えつけの直後や冬の間に肥料を与えたりすると、よい実がつかず病気になりやすいので気をつけましょう。

授粉と手入れ

3月頃に花が咲き始めたら、筆などで花の中心に軽く触れて人工授粉をしましょう。暖かくなると害虫の活動が活発になり、鳥などに実を取られることもあるため、プランターに防虫ネットをかぶせると安心です。

傷んだ葉や茎、伸びたランナーはこまめに取り除き、葉が茂るときは下部の古い葉を取って風通しをよくしてください。生育が悪い実や形が悪い実も取り除き、充実した実に栄養を行き渡らせましょう。

収穫の楽しみ

一般的には、授粉から40~50日後に収穫できます。実が赤く熟したら、どんどん収穫しましょう。収穫期もランナーはカットして、株が弱らないようにしてください。6月以降に実がつかなくなったら、収穫期は終了です。

子株の増やし方

収穫後、ランナーを伸ばします。土を入れた園芸用ポットの上にランナーの根元を置きます。根づいたらそのまま2~4本目のランナーを伸ばし、同様にポットを用意して育てます。1本目の子株は育ち過ぎている上、親株の病気を受け継いでいるおそれがあります。若くて育てやすい2~4本目の子株を残しましょう。

それぞれが根づいたら、ランナーを切り離して来年用に栽培します。子株も同様に管理し、秋になったらプランターに植えつけてください。

いちごのトラブルと対処法

いちごのトラブルと対処法

最後に、起こりやすいトラブルと対処法についてご紹介いたします。

かかりやすい病気

葉や茎に白いはん点がつくうどんこ病や、傷の部分や枯れた花に繁殖して灰色のかびが発生する灰色かび病などにかかる場合があります。病気の部分を発見したら、早急に取り除いてまん延を防いでください。万が一、被害が広がったときには適切な薬剤を使用することも大切です。

うどんこ病については「【園芸の大敵!】うどんこ病とは?うどんこ病が発生する原因と対策について」、灰色かび病については「【被害が広がる前に対処しよう!】灰色かび病の症状と対策について」の記事を参考にしてください。

害虫にも注意

いちごにはアブラムシ、ハダニ、ヨトウムシ、コガネムシ、ナメクジなどの害虫がつくことがあるので、見つけ次第すぐに駆除しましょう。果物や野菜に害虫が繁殖したときは、食品の成分を使用した薬剤を用意すると安心です。

フマキラーの「カダンセーフ」は、食品成分由来の膜が病害虫を包んで退治。害虫は呼吸ができずに窒息死し、病原菌も栄養を得られず死滅します。屋内での使用や、お子様・ペットのいるご家庭でも安心してご使用いただけます。また活力成分の天然アミノ酸とAO(アルギン酸オリゴ糖)を配合していますので、病害虫対策だけでなく植物の生育もサポートする優れものです。

そのほかのトラブル

そのほか、いちごの栽培で起こりやすいトラブルは下記の通りです。

花が咲かない

冬の寒さに当てなかったり、肥料が多すぎたりすると花が咲きません。プランターは冬も屋外に置いて管理し、適切な量の肥料を与えてください。葉が多く茂るときやランナーが多く出るときは、肥料の量が多いと考えられます。

実が成らない

人工授粉をしても実が大きくならない原因は、肥料の多さや株の衰弱などが挙げられます。肥料の量を見直し、葉が混み合う部分は取り除いてください。

実が甘くない

日光不足や冬の気温の影響で、実が甘くならないことがあります。プランターは日当たりのよい場所に置き、冬は過度の保温をせずに管理しましょう。冬の夜間の気温が8度を上回ると、糖度が落ちて実が小さくなります。

実が赤くならない

白っぽい実が成るのは、日光不足や窒素分の過多、低温などが考えられます。置き場所や肥料の量、冬の管理方法を見直しましょう。品種によっては、実があまり赤くならないものもあります。

プランターでいちごを育てよう

プランターでいちごを育てよう

今回は、プランターで栽培するいちごについて、基礎知識や育て方などをご紹介しました。いちご栽培のポイントは、植えつけと置き場所、人工授粉やランナーの管理、そして病害虫を発見したらすぐに対処することです。この機会に、愛らしいいちごをプランターで栽培しませんか?

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