春になると増えてくる害虫!夏に備えた病害虫対策が重要?
少しずつ寒さが緩んで日ごとに気温が上がってくると、植物だけでなくさまざまな虫が活動をはじめます。ガーデニングや家庭菜園に取り組む際は、早い時期からの対策が欠かせないといえるでしょう。
今回は、春に増える主な害虫の概要をご紹介し、夏に向けて春からおこなう病害虫対策について解説いたします。
春に増えるやっかいな害虫
春になると活動をはじめる主な害虫の概要は、次のとおりです。
アオムシ
本来はモンシロチョウの幼虫を指しますが、ガやチョウの幼虫のうち毛やトゲがない緑色のものを総称することもあります。キャベツやブロッコリーなどアブラナ科の植物につき、葉や新芽などを食べます。葉が食べられている、黒いフンが落ちているなどの状況は、アオムシが活動しているものと考えられます。
アオムシについては、「アオムシが発生する原因とは?アオムシの退治方法と予防方法」の記事をご覧ください。
アブラムシ
体長1~3mmくらいの小さな虫で、主に黄緑色や褐色の種が大量にすみつきます。とくに春から初夏、初秋に多く発生し、あらゆる植物の葉や茎から汁を吸います。アブラムシが媒介したウイルスによってモザイク病が発生したり、排せつ物に菌が付着してすす病を誘発したりするので、放置せず早急な対応が必要です。
アブラムシについては「アブラムシが発生する原因とは?アブラムシの退治方法と予防方法」、モザイク病については「モザイク病とは?モザイク病が発生する原因と対策について」、すす病については「すす病とは?すす病が発生する原因と対策について」の記事を参考にしてください。
コナガ
幼虫は小さめのアオムシに似た姿で、成虫は1cmに満たないガです。とくに春と秋に多く発生し、キャベツやブロッコリーなどアブラナ科の植物につきます。幼虫は葉の裏で葉肉を食べ、成虫も葉の裏側を食べるため、葉の表側からは透けて見えます。キャベツを栽培しているときは、中心部の新芽や結球後の内部が被害に遭うこともあります。
ハムシ
ハムシの仲間は非常に多く、キュウリなどウリ科の植物につくウリハムシ、カーネーションなどの草花につくクロウリハムシ、アブラナ科の植物につくダイコンサルハムシなどの種があります。春から秋に活動し、とくにウリハムシやクロウリハムシは5~8月にかけて多く発生します。葉や新芽、花、根などが食害に遭い、最終的に株が枯れることもあります。
カメムシ
非常に種類が多く、悪臭を放つため「ヘコキムシ」「ヘッピリムシ」などと呼ぶ地域もあります。4~10月にかけて発生し、野菜や草花、庭木、果樹などのあらゆる植物について茎や実などの汁を吸います。被害に遭うと葉や茎、実などが変形し、葉に穴が開くこともあります。カメムシを手でさわるとにおいがつくので、作業の際は気をつけましょう。
カメムシについては、「カメムシが大量発生する原因とは?カメムシの退治方法と予防対策」の記事で詳しくご紹介しています。
カイガラムシ
ほぼ年間を通して活動する害虫で、庭木や果樹などに集団でついて汁を吸います。カイガラムシの排せつ物に菌が付着すると、すす病を発症することもあるので注意してください。貝殻のように硬くなった成虫はブラシなどでこすり落とすか、繁殖した枝ごと切り落とします。卵や幼虫の段階で見つけたときは、薬剤などで駆除してもよいでしょう。
カイガラムシについては、「カイガラムシが発生する原因とは?カイガラムシの退治方法と予防対策」の記事をご覧ください。
アザミウマ
体長1~2mmほどの細長い虫で、「スリップス」とも呼ばれます。5~11月に多く発生し、草花や野菜、果樹などのあらゆる植物について汁を吸います。主に花につく害虫ですが、葉の萎縮(いしゅく)や奇形、褐色のはん点などをもたらすケースもあります。ウイルスを媒介することもあるので、こまめに花がらを摘み取って予防しましょう。
ヨトウムシ
昼間は株元などの土の中に隠れて夜に活動するため、「夜盗虫」の名前がつきました。ヨトウガの幼虫やハスモンヨトウなどの種類があり、春から初夏、初秋に多く発生します。草花やアブラナ科、ウリ科の野菜などにつき、生まれて間もない幼虫は葉を裏側から食べます。成長すると食欲が旺盛になり、小さな株であれば一晩で葉を食べつくすこともあります。
ヨトウムシについては、「ヨトウムシ(夜盗虫)が発生する原因とは?ヨトウムシの退治方法と予防対策」の記事を参考にしてください。
ダンゴムシ
石や落ち葉、植木鉢の下など湿度の高い場所にすみつき、手でさわると体を丸める甲殻(こうかく)類の生き物です。主に朽ちた葉などを食べるため益虫(えきちゅう)とする場合もありますが、新芽や茎、根が被害に遭うケースも見られます。冬の間は石などの下で冬眠し、春から初秋に繁殖期を迎えます。
ダンゴムシについては、「ダンゴムシが大量発生する原因とは?ダンゴムシの習性を知って対策しよう」の記事で詳しくご紹介しています。
ナメクジ
カタツムリと同じ軟体動物の仲間で、貝殻が退化した生き物とされます。湿った場所を好んで夜になると活動しますが、雨の日は日中も見かけることがあります。ヤスリ状の歯舌(しぜつ)と呼ばれる部分で、新芽や柔らかい葉、花びらなどを削り取って食べます。初夏や初秋に多く発生し、ナメクジが移動した部分には白く光った線が残ります。
ナメクジについては、「ナメクジとカタツムリの違いは?それぞれの特性を徹底解説」の記事をご覧ください。
春におこなう病害虫の対策
それでは、春からおこなう病害虫対策についてご紹介いたします。植物を栽培するときは、毎日の観察で病気や害虫の早期発見を心がけましょう。
手作業で除去
規模が小さめの庭や菜園であれば、被害の出た部分をハサミやピンセットなどで取り除く方法がもっとも手軽で簡単です。ただし、病気や害虫は必ずしも植物の表面に出ないので、日々の観察は葉の裏や株の根元などもチェックしましょう。
手作業で取り除いた葉や虫などは放置せず、ゴミ袋に密閉して処分してください。また、混み合った部分の茎を切り取り、風通しをよくする作業も大切です。
ネット類をかける
防虫ネットや不織布(ふしょくふ)、寒冷紗(かんれいしゃ)、苗のキャップなどを使用して物理的に害虫を防ぐ方法もあります。ネット類は被害が出てから使用するのではなく、植物の芽が出た直後や、苗を植えた直後の設置が適しています。
なお、風の吹く日などはネット類の隙間から害虫が入り込むケースもあるので、設置後もときどき状態をチェックして不具合を直してください。
仕掛けや忌避剤
アブラムシの対策には、光る素材のテープやネット、アルミホイルのほか、黄色い粘着板やテープを設置する方法が知られています。また、ナメクジにはビールを入れた容器、ダンゴムシには野菜を入れた容器を土に埋める落とし穴などが有効です。
ヨトウムシの対策としては、ペットボトルの胴部分を数cm幅に切ったものを、小さい苗にかぶせる方法があります。新しく植えた苗や発芽したばかりの鉢植えは、底の穴をネットでふさいだり、高い場所に移動したりするとよいでしょう。
そのほか、市販の忌避剤を置いたり、酢や木酢液(もくさくえき)を薄めたものなどを散布したりする方法もあります。鉢植えや花だんなどの周辺も見直し、ジメジメしない環境を整えることもポイントです。
野菜の害虫と対処法については、「知っておきたい野菜に発生する害虫とそれぞれの対処法」の記事も参考にしてください。
コンパニオンプランツ
近くに植えると互いによい効果を与える植物のことで、キャベツにはセリ科やキク科、キュウリにはマメ科やヒガンバナ(ネギ)科などの組み合わせがあります。また、「おとり」として害虫を寄せつける「バンカープランツ」を植える方法もあります。
ただし、コンパニオンプランツやバンカープランツだけで病害虫を防ぐのは難しいため、先述の諸対策に加えて補助的に導入してみてください。
コンパニオンプランツについては、「コンパニオンプランツを活用して野菜を栽培しよう!植え方や組み合わせ一覧」の記事で詳しくご紹介しています。
薬剤の使用
病害虫の被害が大きいときや、栽培するスペースが広いときは、それぞれの病気や害虫に効果のある薬剤を適切に使用しましょう。ただし、同じ薬剤を使い続けると病害虫に耐性がつくため、複数の異なる薬剤をローテーションして散布することをおすすめします。
なお、農薬は農薬取締法に基づいて厳しい検査を受けたものが流通しており、商品には「農林水産省登録第○○号」の表記が義務づけられています。説明書をよく読み、正しく使用すれば心配はありません。もし気になる場合は、食品など天然の成分を用いた商品もあるので探してみてください。
春の病害虫対策には
春の病害虫対策には、フマキラーの「カダン お庭の虫キラーダブルジェット」がおすすめです。200種以上の虫に効果があるスプレー剤で、ガやカメムシなどの飛ぶ虫をすばやく退治し、ダンゴムシなどの地をはう虫にも効果を発揮します。
植物にかかっても枯れにくいので、庭木や花だんの周りでも安心して使用できます。虫が好む場所にあらかじめスプレーしておけば、およそ1ヵ月すみつきを予防することも可能。ただし、雨がかかったときには効果が弱まるため、追加でスプレーしてください。
病害虫の対策は春からスタート!
今回は、春に活動をはじめる主な害虫の概要をご紹介し、春におこなう病害虫対策について解説いたしました。
害虫の種類や特徴を理解し、日々の観察で早期発見を心がければ、思わぬまん延を防げます。一般的な対策と並行して、コンパニオンプランツも導入してみてください。植物の最盛期に向けて、春から病害虫の対策に取り組みましょう。