【アサガオの育て方】日々の手入れや増やし方・病害虫を解説

【アサガオの育て方】日々の手入れや増やし方・病害虫を解説

アサガオは多くの方が小学校1年生の授業で育てた経験のある花ですね。5月に種から植えたアサガオを持ち帰り、観察日記をしなければならないご家庭も多いのではないでしょうか。日本の夏の気候によく合った育てやすいアサガオを、あの時よりもたくさん咲かせてみませんか。

今回は、アサガオの育て方や日々の手入れ方法を詳しく解説していきます。またアサガオの花の増やし方や種のとり方、注意が必要なトラブルと対処法などについてご紹介いたします。

日本の夏の代名詞アサガオの基礎知識

日本の夏の代名詞アサガオの基礎知識

はじめに、アサガオとはどのような花なのでしょうか。

アサガオの分類と歴史

アサガオは、ヒルガオ科サツマイモ属の一年草です。中南米地域起源で、日本へは奈良時代に中国から漢方薬として渡来したと考えられています。青系統のみであったアサガオは江戸時代に一変します。突然変異のアサガオ(変化アサガオ)が大流行し、日本中でさまざまな色や形に品種改良され育てられました。アサガオ(園芸道楽)は江戸時代の三大道楽のひとつとされるほどでした。

アサガオの品種

アサガオは日本アサガオと西洋アサガオの大きく二つに分かれています。その違いや主な品種は次のとおりです。

日本アサガオ

日本アサガオは、元は中国から渡来したもので、1000年以上日本で愛されてきたものになります。つる性の一年草で、葉にくびれがあり細かい毛がついています。

日本アサガオの品種は、小学校でも栽培される「大輪アサガオ」、突然変異により変わった葉や花をもつ系統の「変化アサガオ」の大きく2系統に分けられます。それぞれ多くの園芸品種があり、色や形もさまざまなものがあります。

西洋アサガオ

西洋アサガオとは、明治時代以降に日本に渡来したアサガオの事です。8月から11月と花期が長く、日本アサガオは午前中に咲き終わるのに対し、西洋アサガオは昼を過ぎ夕方ごろまで咲いているのが特徴です。葉はつるんとしておりハート形で、1つのわき芽から、5~6と多くの花芽をつけます。

西洋アサガオの品種には、青色の花で模様がない「ヘブンリーブルー」、白色に青や紫の絞り模様が入っている「フライングソーサー」、種をつけない宿根草で青い花を咲かせる「宿根アサガオ」などがあります。

アサガオのグリーンカーテン

アサガオのグリーンカーテン

夏の強烈な日差しを防ぎ、冷暖房費が抑えられるなどエコ活動につながる「グリーンカーテン」。アサガオはグリーンカーテンにもピッタリの植物です。比較的病気にも強く手入れが簡単。旺盛につるをのばして生育し、きれいな花を楽しめます。

グリーンカーテンについては、「初心者でもできる美しいグリーンカーテンの作り方」の記事でも詳しく説明しています。

アサガオの花の増やし方ポイント2つ

アサガオの花の増やし方ポイント2つ

アサガオは育てやすい花ですが、つぎつぎと花を咲かせるためのお手入れポイントが2つあります。

①   摘心

アサガオはそのまま育てると頂点のつるの成長が優先され、わき芽はあまり出ません。そのため成長点を摘み取る摘心(てきしん)をします。そうすることでわき芽の成長をうながし、花をたくさん咲かせるようになります。

②   置き場所

アサガオは昼の時間が短くなる頃に花をつける、という性質があります。日没後でも家の明かりや街灯などで暗くならない場所だと花が咲かないこともあります。夜は暗くなる場所に置くようにしましょう。

また、アサガオは午前中に日の当たる場所に置くようにしましょう。一日中日が当たる場所、特に西日の当たる場所は真夏になると暑くなりすぎるので避けてください。特に、小学校の教材の植木鉢は土の量が少なく、暑くなりやすいので注意してください。

アサガオの栽培に必要なもの

アサガオの栽培に必要なもの

アサガオの栽培に必要なものをまとめました。

土や肥料など

庭や花だんに地植えするときは、石灰や腐葉土(ふようど)を用意します。水はけをよくするために赤玉土を用意してもいいですね。

鉢やプランターの栽培では草花用の土と、化成肥料を用意します。鉢植えの培養土を自作する場合は、赤玉土7:腐葉土3で混ぜ、化成肥料を少量加えた土を作ります。鉢植えで古い土を利用するときは花だんと同様に準備します。

花だんや鉢またはプランター

アサガオを鉢植えにするときは6号鉢(直径18cm)以上、または横長のプランターを用意します。グリーンカーテンにする場合、幅が60cm以上の横長のプランターなら2、3株植えられます。

地植えにする場合は植える場所に注意します。前述したように、夜でも街灯で明るい場所は花付きが悪くなります。街灯から離れた、日当たりと風通しのいい場所を選びましょう。

タネまたは苗

アサガオの種は良く発芽するので、種から育てるのをおすすめします。種を購入するときは、発芽処理しているものを選ぶようにしましょう。自分で昨年収穫した種など、発芽処理していない種をつかうときは後述の要領で発芽処理します。

アサガオの苗は春から初夏に店頭に並びます。苗を購入して育てるのも手軽でおすすめです。

支柱やネットなど

つる性のアサガオには支柱が必要です。丸い鉢や庭では三本の支柱に丸い輪のあんどん支柱、プランターにはメッシュ支柱やトレリスを準備します。

グリーンカーテンの場合は、園芸用の支柱とネットを用意します。ネットの設置が難しい場合はメッシュ支柱やトレリスを使うといいですね。グリーンカーテン用の支柱セットもありますのでサイズが合うならご利用ください。

【つぎつぎ咲きます】アサガオの育て方

【つぎつぎ咲きます】アサガオの育て方

それでは、アサガオの育て方を順にご紹介いたします。

土の下準備

花だんで地植えするときは、種を植える2週間以上前に土を50cmくらいの深さまで耕し、ごみや小石などを取り除きます。日光に当てて消毒し、石灰をまいて土壌を中和させましょう。たい肥と腐葉土のほか、水はけをよくするために軽石や赤玉土を加えてもいいですね。

植えつける1週間ほど前に、元肥として、粒状の化成肥料を混ぜてください。プランターの土を再利用するときも、同様に作業しましょう。

種まきの方法

種まきの方法

アサガオの種は、気温が20度から25度になったころにまきます。関東地方以南は5月中旬、関東より北の地域は5月下旬ころが目安です。花壇や植木鉢に直接まいても、ポリポットで育苗してもいいですね。1ヵ所に3~5個をまき、双葉がそろった頃に状態の良いものを2本残して間引きます。

園芸店で購入する種は発芽処理済みのものがほとんどのため、適期に植えたアサガオは問題なく発芽します。

しかし、自分で収穫したアサガオの種を使う場合は注意が必要です。アサガオの種は硬実種子(こうじつしゅし)といい、硬く水分を含みにくいため発芽しにくいのです。そのため発芽処理をしましょう。

発芽処理とは、アサガオの種にやすりや爪切りなどで傷をつけ給水させやすくすることです。アサガオの種の内側の先端にある「へそ」という発芽部を傷つけないように、カーブしている外側の部分などにやすりや爪切りで少しずつ削っていきます。中の白っぽい部分が少し見える程度まで削ります。

日々の手入れ~水やり

アサガオの水やりは朝、土の表面が乾いているならたっぷりとあげます。鉢植えのときは、夏になると基本的に毎日水やりをしましょう。日中になり気温が高くなってから水をやると、土中の水の温度が上がってしまい根を傷めます。朝に水やりができなかったときは、夕方気温が下がってから水やりをしましょう。

日々の手入れ~肥料

アサガオの肥料は、植え付けのときに元肥として粒状化学肥料のほか、植え付け後3週間後を目安に追肥します。肥料は液体、固形どちらでも大丈夫です。液体肥料は10日に1回、固形肥料は1ヵ月に1回が目安です。

日々の手入れ~誘引や摘心

本葉が5~8枚ほどになると、下から5枚目の本葉の上でつるを切る「摘心」をします。成長点を切ることで、わき芽を大きく育てるためです。伸びてきたわき芽は上から3つだけ残します。下の方からでるわき芽は、風通し良く株を大きく育てるために摘んでしまいましょう。

その後わき芽の本葉が5枚以上になったころに2回目の摘心をすると、さらにわき芽がのび花を増えます。

つるが伸びてきたら、支柱に誘引していきます。日本アサガオの鉢植えのときは、あんどん仕立てがちょうどよくできます。3本の支柱に丸い輪のついた、あんどんのような支柱に誘引していきますが、つるが必ず右巻きになるように支柱に巻きつけていきましょう。アサガオのつるは自然に右巻きになるよう巻きついていきますが、安定して支柱につるを固定させるため園芸用のテープやひもを使うと便利です。

開花後の手入れ

アサガオの花がらは、がくの下からはさみで切り取ります。花がらを置いておくと種ができ、種をつけると株が弱り花の数が減ってしまいます。株を育て、花を楽しむ期間は花がらを摘むようにしましょう。

種を取るために実を残す場合も、花びらは取るようにしましょう。置いておくと枯れた花びらからカビが生えるなどのトラブルにもなります。実を残して花がらを取る際は、がくの部分を優しくつまみ、反対の手で花がらだけをつまんでそっと抜き取ります。種のとり方はこの後説明します。

【アサガオの増やし方】種のとり方

【アサガオの増やし方】種のとり方

アサガオの種のとり方について、詳しく説明します。

種のとり方

日本アサガオは10月に入ると枯れてきます。9月に入ると花がらを摘まず来年用の種を育ててみましょう。西洋アサガオは11月ごろに枯れてくるため、10月に入った頃花がらを摘むのを止めます。

アサガオは花が枯れると緑色の実が残り、だんだん枯れたような茶色に変化していきます。1ヵ月ほどたち、実、がく、そしてがくの下の茎まで茶色になった頃が収穫適期です。実をこぼさないよう、茎の部分からはさみなどで収穫します。そのままにしておくと種がはじけ落ちてしまうので注意が必要です。

種の保存

種の収穫後、薄皮を取り除き黒い種だけを取り出します。紙を敷いてその上に種を並べて、1ヵ月ほど常温で乾燥した場所に置き乾燥させます。

その後、花の名前や日付などを書き入れた紙袋に入れ、ビニール袋や缶などに入れて保存します。冷暗所や、冷蔵庫に置いておくのがいいでしょう。

保存した種の注意点

種は数年保存できますが、徐々に発芽率が落ちてきます。なるべく翌年にはまいてあげて、また種を収穫するようにしましょう。

前述したようにアサガオの種は硬実種子といってそのままではなかなか発芽しません。やすりや爪切りで硬い種子を傷つけ発芽をよくする処置する必要があります。

アサガオの病害虫と対処法

アサガオの病害虫と対処法

最後に、アサガオに起こりやすい病害虫と対処法についてご紹介します。

アサガオの病気

アサガオは、湿度が高い時期に発生する白く粉を吹いたようになる「うどんこ病」や、茶色く葉が溶けたようにカビの生える「灰色かび病」。葉がべとついて色があせたり変色したりする「べと病」、葉にモザイクのような模様が出る「モザイク病」などにかかることがあります。

病気と思われる部分はすぐに取り除きビニール袋に入れて捨て、まん延を防いでください。ウイルスが原因とされるモザイク病には薬剤が効かないので、ひどいようなら株ごと抜き取る場合もあります。

うどんこ病は「【園芸の大敵!】うどんこ病とは?うどんこ病が発生する原因と対策について」、灰色かび病は「【被害が広がる前に対処しよう!】灰色かび病の症状と対策について」、べと病は「べと病とは?べと病が発生する原因と対策について」、モザイク病は「モザイク病とは?モザイク病が発生する原因と対策について」の記事で詳しく紹介しています。

アサガオの害虫

アブラムシやハダニ、ヨトウムシ、エビガラスズメの幼虫などがつくことがあります。害虫は見つけ次第すぐに駆除して、被害の拡大を防ぎましょう。

アブラムシは5月ごろから新芽やつるにつきます。ハダニは梅雨明けから9月ごろまで、葉の裏によくつき、葉の表面には黄色い異常となって現れます。9月からはエビガラスズメの幼虫が葉を食害します。幼虫は大きくなると10cmほどまで成長し葉の被害も大きくなるため注意してください。ヨトウムシは栽培期間中いつでも見られ、つるを切断したり種や葉を食べたりと被害も深刻になります。

アサガオの病害虫対処法

アサガオの栽培には、フマキラーの「カダンセーフ」をおすすめします。

食品成分由来の膜が病害虫を包んで退治。害虫は呼吸ができずに窒息死し、病原菌も栄養を得られず死滅します。屋内での使用や、お子様・ペットのいるご家庭でも安心してご使用いただけます。また活力成分の天然アミノ酸とAO(アルギン酸オリゴ糖)を配合していますので、病害虫対策だけでなく植物の生育もサポートする優れものです。

アサガオを育てて夏を華やかに!

アサガオを育てて夏をはなやかに

今回はアサガオの育て方を中心に、基礎知識やアサガオの種類、増やし方や手入れについてご紹介いたしました。

アサガオは日本の夏の気候にあった花です。基本的な手入れを覚えれば簡単につぎつぎと咲くアサガオを育てられます。そして種を収穫すれば翌年も楽しめます。アサガオを育てて、花が少なくなりがちな真夏の庭をは華やかにしませんか!

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