2021年10月20日 | 園芸・ガーデニング お役立ち情報
【秋からはじめる園芸】秋に植えて春に華やかな花壇にしよう
「春にならないと、園芸は楽しめない」と思う方が多いかもしれません。確かに、園芸には「春」のイメージがつきものですが、春に華やかな花壇を楽しむには、秋から準備をはじめることをおすすめします。
今回は「秋からはじめる園芸」として、春の開花に向けた秋の作業と注意点、秋から楽しめる花と春まで待つ花、春に再び楽しめる花について、具体的にご紹介いたします。
春の開花に向けた秋の作業
春の開花に向けて、秋から園芸をはじめる際の作業は次のとおりです。
開花期が長い花の植えつけ
秋から園芸を楽しむには、開花期が長く寒さに強い花がおすすめです。開花中は下記のような手入れや冬越しの準備が必要ですが、寒い冬の間も花を絶やさずに楽しめる点がメリットです。寒さに強い花は基本的に丈夫なので、初心者の方も気軽に栽培できます。
鉢やプランターに植えるときは、草花用の土を用意すると簡単です。花壇の土は下から掘り返して日光に当て、石灰を混ぜて中和します。たい肥、腐葉土(ふようど)などを加え、植えつける1週間くらい前に肥料を混ぜてから植えてください。
多年草(たねんそう)の植えつけ
「多年草」とは、生育期の後も根が残って翌年も新芽を出す草花を指します。特に、地上部が枯れて根が残る多年草を「宿根草(しゅっこんそう)」と呼びます。チューリップなどの球根類も、多年草の仲間です。
多年草は、本格的な寒さが来る前に植えつけ、十分に根を張らせて冬に備えましょう。すでに花が咲いているものは、秋から楽しめます。冬の間は、下記の要領で保温しながら管理してください。うまく越冬できれば、春に華やかな開花を楽しめます。
チューリップについては「【チューリップの育て方】植え付け時期は?球根の植え方や肥料・水やりも紹介」、球根については「【春にきれいに咲かせたい!】秋植え球根の植え方を紹介」「おすすめの秋植え球根9選」の記事で詳しくご紹介しています。
一年草(いちねんそう)のタネまき
タネから芽が出て開花し、枯れるまでのサイクルが1年以内の草花を「一年草」と呼びます。春に開花する植物の中には、秋にタネをまく種類もあります。冬の寒さに強いものも多いので、経験者の方は秋のタネまきにも挑戦してみましょう。
一般的には、園芸用のポットにタネまき用の土を入れてタネをまきます。発芽するまでは乾燥しないように霧吹きなどで水を与え、ビニールなどをかぶせて保温してください。
秋からはじめる園芸の注意点
秋から園芸をはじめるときは、次の点に注意しましょう。
植えつけなどのタイミング
8月上旬の「立秋」を過ぎると、暦のうえでは秋とされます。しかし実際には気温が高いため、植物の植えつけには適しません。越冬する植物の多くは暑さを苦手とするので、10月以降の快適な気候を迎えてから作業しましょう。
また、タイミングが遅すぎて朝晩に冷え込む時期から準備をはじめると、根が十分に育たなかったりタネが発芽しなかったりして、春の開花が望めません。植えつけやタネまきのタイミングを見極め、適切な時期に作業をはじめましょう。
手入れのポイント
鉢植えの植物は日当たりのよい場所に置き、土の表面が乾いたら午前中に水やりをしましょう。秋の時点ですでに開花しているものは、咲き終わった花(花がら)をこまめに摘み取って株の衰弱や病気を防いでください。
台風や豪雨などの荒天時は、鉢植えを風雨の当たらない場所に移動し、花壇の苗は支柱とビニールなどで保護しましょう。なお、品種によっては秋以降に切り戻しをするとしばらく花が観賞できないうえ、新しい茎が伸びたころには開花期が終了してしまうこともあります。切り戻しのタイミングは大切といえるでしょう。
冬のマルチングなど
秋に植えつけた植物は、冬越しの準備が欠かせません。寒さに強い品種でも、霜が降りるような日は保温の対策をしましょう。鉢植えは周囲に新聞紙や不織布(ふしょくふ)を巻いたり、玄関に取り込んだりして管理してください。花壇の植物には、マルチングとして株元に敷きわらや腐葉土(ふようど)を施して越冬します。
冬越しについては「冬のガーデニングで気をつけるポイント」、マルチングについては「園芸におけるマルチングとは?効果や使用方法、注意点をわかりやすく解説」の記事をご覧ください。
秋のパフォーマンスが素晴らしい花
それでは、秋から楽しめる花を2種類ご紹介いたします。
マム
- キク科デンドランセマ属
- 多年草
- 開花期:9月ころから春
アメリカで1950年代に小型の園芸用品種として開発された鉢植えの菊を指し、「ポットマム」「ガーデンマム」などと呼ばれます。フマキラーのグループ会社「FSブルーム」では、「ジジ」「シェリル」「ダニエル」などを扱っています。
品種によっては摘芯(てきしん)しなくても茎がよく分岐し、秋からたくさんの花を咲かせます。花がらをこまめに摘み取り、冬に開花が落ち着いたら3分の1くらいまで切り戻してください。春につぼみが出たら、さらにボリュームがあるドーム状の花姿を楽しめます。
ゼラニューム
- フウロソウ科テンジクアオイ属(ペラルゴニウム属)
- 多年草など
- 開花期:3~12月
常緑で開花期が長く育てやすい植物で、葉に香りがあるセンテッドゼラニュームや葉の形がアイビーに似たアイビーゼラニュームなども同じ仲間です。FSブルームでは「カリオペ」「アメリカーナNEO」「カリエンテ」などを扱っています。
一重や八重、複色などボリュームのある花を、秋から楽しむことができます。過湿を嫌うため、水を与え過ぎたり長雨に当てたりしないようにしてください。花がらは茎ごとカットして、枯れた葉も取り除きます。冬は霜に当てないように管理し、翌春の開花を待ちましょう。
春まで持つ・春にもう一度楽しめる花
続いて、秋に植えて春に楽しめる花をご紹介いたします。
パンジー
- スミレ科スミレ属
- 一年草
- 開花期:10~5月
ヨーロッパ原産の一年草で、もともとは花が大きいものをパンジーとして分類しました。FSブルームでは花の直径が12cmほどまで育つ「ボニータ」や「デルタスピーディー」「コロッサス」などを扱っています。
寒さに強く育てやすい品種で、色やサイズが豊富にそろうため寄せ植えにもおすすめです。秋から咲いているものも多く、冬を越せば春にいっそう華やかな開花を楽しめます。日当たりと風通しのよい場所を選び、花がらをこまめに摘んで管理しましょう。
寄せ植えについては、「寄せ植えの基本と作り方。初心者でもおしゃれに仕上げるコツも解説!」「【寒さに負けない!】冬の寄せ植えにおすすめの植物12選」「春の寄せ植えを楽しもう!おすすめの花や苗選びのポイントを解説」の記事で詳しくご紹介しています。
ビオラ
- スミレ科スミレ属
- 一年草
- 開花期:10~5月
パンジーと同様ヨーロッパ原産の一年草で、もともとは花が小さいものをビオラとして分類しました。FSブルームでは、分岐しやすく短い日照時間でもよく開花する「ペニー」を扱っています。管理の方法は、基本的にパンジーと同じで構いません。
キンギョソウ
- オオバコ科(ゴマノハグサ科)キンギョソウ属(アンティリナム属)
- 多年草だが暑さに弱いため一年草として扱う
- 開花期:4~6月
金魚のようにふくらんだ花が特徴で、英語では竜になぞらえて「スナップドラゴン」と呼びます。花の色やサイズが豊富で、一重や八重もあり、花壇や鉢植え、切り花と幅広く楽しめます。FSブルームでは「スナップティーニ」「スナップタスティック」を扱っています。
背が高くなる品種は、支柱を立てて倒れないようにしてください。寒さに強いため、簡単な保温で越冬すれば翌春は華やかな開花が楽しめます。開花期は、花がらをこまめに摘み取りながら管理しましょう。
ナデシコ
- ナデシコ科ナデシコ属(ダイアンサス属)
- 一年草、二年草、多年草
- 開花期:4~8月(四季咲き性もあり)
秋の七草のひとつで古くから自生し、万葉集にも登場するなじみ深い植物です。常緑で寒さに強く、花の色や品種が豊富に楽しめます。FSブルームでは「ベンティパフェ」「スーパーパフェ」「ダイアブンダ」を扱っています。
花壇は日当たりと風通し、水はけのよい場所を選んで植えつけましょう。冬越しも容易で、春になれば多くの花を観賞できます。開花中は花がらを摘み取り、不要な茎をせん定してください。鉢植えの多年草は、秋または春にひと回り大きな鉢に植え替えます。
デイジー
- キク科ヒナギク属
- 一年草
- 開花期:12~5月
ヨーロッパや地中沿岸が原産の一年草で、「ヒナギク」の名でも知られます。花の色は白やピンク、赤などで、さまざまな種類が流通します。サイズが小さいので、寄せ植えや花壇の縁取りにして楽しみましょう。
秋に植えて保温をしながら越冬すれば、春に多くの花が観賞できます。花がらは、茎のつけ根からカットしてください。花はヒマワリと同様、「管状花(かんじょうか)」と呼ばれる管状の中心部と「舌状花(ぜつじょうか)」と呼ばれる花びらの部分から成ります。
ヒマワリについては、「【ひまわりの育て方】さまざまな種類やサンフィニティが見られる施設も紹介」の記事を参考にしてください。
ネメシア
- ゴマノハグサ科ネメシア属
- 一年草、多年草
- 開花期:10~6月
一年草だけでなく、耐暑性や耐寒性に優れた宿根ネメシアも多く流通します。一年草のネメシアは青や白、赤、黄などの鮮やかな花が多く、宿根ネメシアは主に青や白、ピンクなどが中心ですが、現在はさまざまな品種が続々と誕生しています。
ネメシアは開花後に花びらが散りやすいので、こまめに拾って病気を予防してください。少し花の数が減る冬は、マルチングなどで保温して春に備えましょう。品種によっては、開花の勢いが落ち着いたころに切り戻しをおこないます。
そのほか、春の花については「春に咲く花10選 ~たくさんの花々に囲まれて思いっきり春を感じよう~」「【春にきれいに咲かせたい!】秋植え球根の植え方を紹介」の記事でもご紹介しています。
秋に植えて春に華やかな花壇を楽しもう
今回は秋からはじめる園芸として、秋に取りかかる作業と注意点、秋から観賞できる花と春に楽しめる花を、具体的にご紹介いたしました。秋に植えつける花は、開花期が長く寒さに強いものを選び、日々の手入れと冬越しの管理に勤しみましょう。春の華やかな花壇を心待ちにしながら、お好みの花をお選びください。