2022年8月20日 | 園芸・ガーデニング
【マリーゴールドの育て方】増やし方や寄せ植え・注意すべき病害虫を紹介
春から夏の花壇を彩る、かわいいマリーゴールド。育て方が簡単で、初心者の方も気軽に栽培できる花です。今回はマリーゴールドの育て方を中心に、増やし方や寄せ植え、トラブルと対処法などについてご紹介いたします。
マリーゴールドの基礎知識
はじめに、マリーゴールドの基礎知識からご覧ください。
マリーゴールドとは
春から秋まで花期が長く、1株でたくさんの花をつけるマリーゴールド。花も大きいものから小さいもの、大ぶりなものと多彩です。花の色も黄色だけではなく、オレンジやクリーム色に加え、最近では2色のコンビネーションになっているものや色変わりするものまでさまざまな新品種があり、人気が高まってきています。
種からでも簡単に育つため、種を植えて苗作りから挑戦するのもおすすめ。また、切り戻した枝から挿し芽をすることで増やすこともできますよ。
原産と歴史
マリーゴールドの名前は、聖母マリアに由来します。聖母マリアの祝日に咲いていることから、「マリア様の黄金の花」マリーゴールドと呼ばれるようになりました。
マリーゴールドは、メキシコ原産のキク科植物から品種改良された花です。品種は大きくフレンチ種とアフリカン種に分かれています。
フレンチ種
草丈がコンパクトにまとまっていて、小さめの花をたくさん咲かせます。メキシコからヨーロッパに渡ってきた際、フランスを経由して広がったためにフレンチ種と呼ばれるようになりました。
アフリカ種
草丈が高く、花は花弁が重なった手まりのような形をしています。大きいものだと草丈は120cmほどにもなり、花も直径10cmを超えるものもあります。アフリカ種という名は、原産のメキシコからスペインに渡り、アフリカ北部に広がってから世界中に広まったことに由来します。切り花としても人気の花です。
寄せ植えに
寄せ植えにもぴったりなマリーゴールド。寄せ植えで一緒に植えたい、真夏でも元気な花をいくつかご紹介いたします。
ペチュニア
夏の定番の一年草です。色も花の形もさまざまな品種があります。マリーゴールドと開花の時期が同じなので寄せ植えにちょうどよい花です。
ペチュニアについては「【ペチュニアの育て方】種まきの方法や初心者におすすめの品種も紹介」の記事をご覧ください。
ベゴニア
ベゴニアもマリーゴールドと開花の時期が同じで、好む環境も似ている花です。寄せ植えにすると相性抜群です。園芸品種も多く、花も大きなものから小花まであり色も多彩。
葉っぱの色も好みのものが選べます。グリーンのきれいな色から、シックな赤っぽい色、ダーク系の色もおしゃれです。
ベゴニアについては「【ベゴニアの育て方】毎日のお手入れ方法や植え付け・増やし方を解説」の記事をご覧ください。
センニチコウ(千日紅)
真夏の暑さに強い丈夫なセンニチコウ。すっとした花茎に小さな丸い花が個性的です。乾燥気味のほうが好きなのも、マリーゴールドとぴったりです。
センニチコウについては「千日紅(センニチコウ)の育て方を種まきから植えつけまで徹底解説」の記事をご覧ください。
コリウス
夏の定番、きれいな葉を楽しむコリウスも寄せ植えにおすすめです。マリーゴールドと同様によく育ちます。育ちすぎるとマリーゴールドが隠れてしまうこともあるので、こまめにせん定して形を整えてください。
メギ
メギは落葉性の低木です。かわいらしい葉が四方に伸びる姿で、寄せ植えのよいアクセントになります。水はけのよい乾き気味の環境でもよく生育するので、マリーゴールドとの寄せ植えにもぴったりです。
寄せ植えについては「寄せ植えの基本と作り方。初心者でもおしゃれに仕上げるコツも解説!」「春の寄せ植えを楽しもう!おすすめの花や苗選びのポイントを解説」の記事をご覧ください。
コンパニオンプランツに
植物から放出される化学物質が、他の植物や生物に影響を及ぼすことがあります。アレロパシーとも呼ばれるこの効果をうまく使い、いくつかの作物を一緒に植えてお互いの生育が良くなる関係が「共栄植物(コンパニオンプランツ)」です。
マリーゴールドもそんなコンパニオンプランツとして有名で、センチュウ防除に効果が高いことがよく知られています。マリーゴールドの葉を茂らせ畑にすき込むと、センチュウの密度低下に有効です。また、オンシツコナジラミ、ヤガ、ミナミキイロアザミウマなどの害虫を防ぐ効果もあり、5月ごろにナスやピーマン、トマトなどのそばにマリーゴールドの苗を植えると、防除効果が期待できます。
【参考】
農研機構、クマモトネグサレセンチュウに対する数種植物の密度低減効果
農研機構、土着天敵を活用する害虫管理の最新技術
マリーゴールドの育て方のポイント2つ
マリーゴールドは丈夫で育てやすい花ですが、重要なお手入れのポイントが2つあります。
① 花がら摘み
花が終わったら花茎の根元から摘み取ります。花茎を摘み取ることで側枝が伸び、2~3本の花芽が出てきます。花がらをそのままにしておくと、種を作ることに株の養分を使うことになり、花付きが悪くなります。また、花が枯れて病気の原因にもなるため、こまめに摘み取るようにしましょう。
② 摘芯、切り戻し
切り戻しは株が大きく育って混み合ってきたときにおこないます。花芽を切り、混み合った部分は根元から茎をおとし、風通しをよくすると病気の予防にもなります。
切り戻した枝は、挿し芽にして増やすこともできます。下部の「増やし方【挿し芽】」の項目で詳しくご説明いたします。
マリーゴールドの栽培に必要なもの
マリーゴールドを栽培するときは、次のものを用意してください。
土と肥料など
花だんで栽培するときは、石灰や腐葉土(ふようど)、たい肥、粒状の化成肥料が必要です。水はけが悪いようなら赤玉土を混ぜましょう。鉢植えには、市販の草花用の土と赤玉土、鉢底石(はちぞこいし)、化成肥料を用意してください。鉢底石は、ネットに入れて使用すると便利です。鉢植えの古い土を再利用するときは、花だんと同じ資材を使用して準備します。
花だんや鉢など
花だんで栽培するときは、日当たりと水はけのよい場所を選びましょう。乾燥に強く丈夫ですが、雨が多い環境には弱いため気をつけてください。キク科の植物は連作障害が出ることもありますが、マリーゴールドには連作障害がありません。前年と同じ場所でも元気に育ちます。
寄せ植えにするときは、植物の数に合わせて大きめの鉢を選びましょう。鉢の素材は、通気性のよい素焼き(テラコッタ)や、ガラス繊維を用いたグラスファイバー製がおすすめです。
タネまたは苗
苗には、育苗ポットに3本植えのものや、1本植えのものなどがあります。植えている本数が多いほど豪華になるのでおすすめです。
マリーゴールドは種からも育てられます。種まきをするときは、トレイと種まき用の土、園芸用のポット、霧吹きも用意しましょう。
マリーゴールドの育て方
それでは、マリーゴールドの育て方を順にご紹介いたします。
土の下準備
花だんの土は、植え付けの2週間くらい前から準備します。深く掘り返して古い根や小石などを取り除きましょう。日光に当てて消毒し、石灰を混ぜて酸性の土壌を中和させてください。水はけが悪いようなら赤玉土を加え、腐葉土とたい肥を混ぜてなじませます。植え付けの1週間くらい前には、元肥となる粒状の化成肥料を加えて準備します。鉢やプランターの古い土を再利用するときも、同様に作業してください。
鉢植えの場合は市販の花用培養土を使用すると便利です。市販の培養土を使う場合は3割ほど赤玉土を加えると、水はけがよくなるのでより生育がよくなります。
種から育てる
マリーゴールドは3月ごろから4月下旬、桜が咲いたころが種まきの適期です。発芽適温は20~25℃。ポットに種まき用培土を入れ、種を3~5粒ずつまき、5mmくらい覆土します。水を与えるときは霧吹きでやさしく与えます。
本葉が2~3枚になったころ1本立ちか3本立ちに間引きします。本葉が4~5枚まで育つと植え付け適期です。
苗の定植
苗は株間20~30cmで植え付けます。地植えの場合は苗ポットと同じ程度の植え穴を掘り、苗を一株ずつ植えていきます。苗の根がポットの底まで回っているようなら、軽くほぐしましょう。苗上部の土は軽く落とし、枯れた下葉があればきれいにとります。植え付けた後は、たっぷりと水を与えてください。花に水をかけないように注意しましょう。
鉢やプランターに植える場合は、1株だと6号鉢、3株だと8号鉢が目安です。大きくなったら、ひと回り大きめの鉢に植え替えるとよいでしょう。横幅が65cmほどのプランターを使うときは、3株くらい植えられます。
鉢底石を敷いた鉢に、土を3分の2ほど入れます。鉢にポットから出した苗をおいて植え位置を決め、周りに土を隙間なく埋めていきます。土の表面が鉢のふちより2cmほど低くなるようにしましょう。その後水やりをします。培養土を使う場合は最初の給水が悪いので、何回かに分けてたっぷり水やりをしてください。
日々の管理
鉢植えは日当たりのよい場所においてください。真夏はとくに、西日の当たらない場所を選びましょう。
水の与えすぎは枯れる原因になります。土の表面が乾いてからたっぷり水やりをします。真夏になると水分をよく吸うので、水切れに注意が必要です。鉢植えのときは、土の表面を観察して乾いていたら午前中に水を与えてください。春は1日に1回、真夏は早朝と夕方、1日2回が水やりの目安です。
育て方のポイントでお伝えしたように、マリーゴールドは花期が長くたくさんの花が咲くため、こまめに花がらを摘み取りましょう。花がらは花茎の根元からはさみで摘み取ります。同時に、弱った茎や枯れた葉なども取り除いてください。
肥料の与え方
追肥は植え付け2週間後から与えます。液肥の場合は月2回くらいが目安。水やりのときに液肥を水に薄めて与えます。粒状肥料の場合は、月1回くらいが目安です。鉢のふちに指で穴をあけ、そこにティースプーン一杯くらいの粒状肥料を入れます。真夏の間は肥料を与えません。
摘芯・せん定と切り戻し
植え付けて間もないころに茎の頂点を切る摘芯(てきしん)をすると、わき芽がよく育ちボリュームのある株に育ちます。
また、育て方のポイントでもお伝えしたとおり、株が大きくなったころに切り戻しをします。春に植えるとちょうど梅雨時期が切り戻しの適期です。花芽を全部切り、傷んだ茎や下方の枯れた葉も取り除きます。混み合った部分は根元から茎をおとし、風通しを良くすると病気の予防にもなります。切り戻した後は追肥をすれば、ちょうど梅雨が明けるころにはまた元気に花を咲かせはじめます。
増やし方【挿し芽】
切り戻しやせん定で切った茎は、挿し芽で増やすこともできます。3節、2節あるものなら挿し芽にすることが可能です。
挿し込む枝は、土の内部に入れる部分の葉をすべて落とし、上部の葉は1、2枚ほどに減らします。最低1節以上、土に挿すのがポイントです。
種まき用培土を入れ、しっかりかん水した育苗ポットに挿してみましょう。挿し込んだ節からうまく根が出ると苗ができます。
マリーゴールドのトラブルと対処法
最後に、マリーゴールドのトラブルと対処法についてご紹介いたします。
マリーゴールドの病気
基本的に丈夫なマリーゴールドですが、多湿は苦手で雨にあたると灰色カビ病、青枯病などの病気になりやすくなります。
灰色かび病は葉や茎の色が悪くなり、灰色のかびが繁殖してしおれる病気です。青枯病は、急激に生気を失いしおれます。どの病気も早期発見がポイントで、異変が出た部分をすぐに取り除いてまん延を防ぎましょう。
灰色かび病については「【被害が広がる前に対処しよう!】灰色かび病の症状と対策について」の記事をご覧ください。
マリーゴールドの害虫
マリーゴールドには虫よけ効果がありますが、その効果はセンチュウとコナジラミ、ヤガ、アザミウマと限定的です。アブラムシ、ハダニ、ヨトウムシなどの害虫被害に遭いやすいので、気をつけましょう。発見したときには、すぐに駆除しましょう。
アブラムシについては、「アブラムシが発生する原因とは?アブラムシの退治方法と予防方法」、ハダニについては、「植物に寄生するハダニとは?ハダニの予防と駆除について解説」ヨトウムシについては「ヨトウムシ(夜盗虫)が発生する原因とは?ヨトウムシの退治方法と予防対策」の記事をご覧ください。
病気や害虫対策におすすめ
害虫と病気対策に、フマキラーの「カダンプラスDX」をおすすめします。植え付け時や害虫発生前にあらかじめ散布することでアブラムシを予防※1します。また予防効果は1ヵ月※2持続します。さらに弱った植物をいたわる活力成分も配合しています。
※1 花き類・観葉植物に発生するアブラムシに対して
※2 アブラムシに対して
かわいいマリーゴールドを育ててみたい
マリーゴールドは黄色やオレンジの元気な色で、夏の花壇を美しく彩ります。手入れも簡単で大きく育ち、つぎつぎと花が咲きますよ。簡単に増やすこともできますので、ぜひかわいいマリーゴールドを育ててみてください。