植物に寄生するハダニとは?ハダニの予防と駆除について解説

植物に寄生するハダニとは?ハダニの予防と駆除について解説

庭の樹木や草花、プランターの野菜の葉などに、肉眼で見えるか見えないかくらいの赤い小さな虫がついているのに気づいたことはありませんか。それは「ハダニ」である可能性が高く、植物の葉から栄養を吸収するため、放っておくと大切な植物が枯れてしまう恐れがあります。

そこで今回は、ハダニの生態や特徴、種類、また予防・駆除方法などについて解説していきます。

ハダニの生態・特徴

ハダニの生態・特徴

その名前からもわかるようにハダニはダニの仲間です。ダニは足に節を持つ節足動物ですが、昆虫ではなく鋏角亜門という「クモ」の仲間に分類されます。ダニと言うと、家の中にいて人を噛むイメージを持っている人も多いかと思いますが、実は人を噛むダニは全体の数パーセント。

そもそもダニは世界中に5万種以上いると言われていて、日本で生息が確認されているのは2000種類以上となります。なかでもハダニはハダニ科に属する植物寄生性のダニで、植物寄生するダニ(他にはフシダニ科、ホコリダニ科、コナダニ科などがいます)の中でもっとも農作物の被害が深刻な害虫として知られています。

生態

ハダニの多くは植物や野菜の葉に寄生し、種類によっては果実にも寄生して栄養を吸い取ります。ハダニは強い繁殖力を持ち、雌は1日に数個~10個程度の卵を産み、一生で100個程度の卵を産みます。

孵化した幼虫は脱皮を3回繰り返したのち成虫になりますが、成長の速度は温度と大きく関係しており、25℃の環境下では、わずか10日前後で卵から成虫になる個体もいます。種類によっては休眠するものとしないものがいて、休眠しないミカンハダニは、気温が高ければ一年中増殖する可能性あります。

特徴

体長はわずか0.3~0.8mmほど。雄よりも雌のほうが大きく、農業害虫には赤色をしたハダニが多く見られます。ハダニは英語で「Spider mite」と呼ばれるように、吐糸管から糸を出し、移動手段としてこの糸を活用するほか、寄生する植物や果樹などに糸で網を張ります。

こうすることで、天敵(テントウムシやヒメハナカメムシなど)や雨風から身を守るとともに、この網が張られていることで薬剤をかかりにくくしています。また、雌は交尾をせずに産卵できる産雄単位生殖(交尾をせずに雄だけを産む)を行うといった特徴があります。

活動時期

ハダニは高温で乾燥した環境を好み、気温が20~30℃の暖かい時期(3月~10月)に活動が活発化します。

生息場所

乾燥した環境を好むことから、軒下など雨の当たらない場所に発生しやすく、植物の葉の裏に寄生します。葉の上で一生を過ごすことが多く、なかには何世代も同じ葉の上で過ごすこともあると言います。

越冬する種類

休眠性のないミカンハダニに対し、ナミハダニ、カンザワハダニ、リンゴハダニは休眠性があるため越冬します。

ハダニの被害

ハダニの被害

ハダニは、植物、果樹、野菜などの葉に寄生して栄養を吸い取ることで、さまざまな被害が生じます。ここでは、農家の人たちを悩ますハダニの被害について見ていきます。

植物や作物への被害

ハダニに吸汁されると吸われた跡が白い小さな斑点になります。被害が進むと葉全体が白っぽくなるなど植物の生育に悪影響が現れ、花の色味が悪くなったり、開花期間が短くなったりします。さらに、ハダニが大量に発生すると、ハダニが出す糸で植物にクモの巣を張ったような状態になり、落葉したり蕾(つぼみ)の開花を妨げたり、草木や庭木の場合は観賞価値が下がってしまいます。

また、落葉果樹のリンゴや梨では「葉焼け」、柑橘類では「葉肉崩壊症」になり、色や形など見た目が悪くなったり、収穫量が減ったりします。

ハダニの種類によって加害作物は変わる

ハダニは寄生する作物によって種類が分けられていて、細かい分類で見ると全部で70種類が確認されています。ここでは、代表的な種類と加害する作物について見ていきます。

ナミハダニ

ナスやピーマンなどのナス科や、スイカやメロンなどのウリ科、イチゴなどを加害します。加害されると白い小さな斑点や褐色が生じたり、落葉したり、さらに被害が進むと生育に悪影響が出てきます。

赤色型のナミハダニは気温の低い場所では休眠しますが、施設栽培など高温下では発生し、露地栽培や雨除け栽培では梅雨明け以降、活動が活発化します。適温下においては、卵から成虫になるまで約10日と短く、発生すると短期間で高密度になるやっかいな存在です。

カンザワハダニ

お茶の葉をはじめ、ウリ科やナス科、マメ科の作物やイチゴなどを加害。特に管理温度が高い施設栽培のメロンやスイカの被害が多く見られます。加害されると白い小さな斑点が生じ、やがて褐色が生じて、枯死。露地栽培や雨除け栽培では、梅雨明け以降に活動が活発化します。

施設栽培では3月以降発生が多く見られますが、管理温度が高いスイカやメロンのハウスでは冬でも繁殖。卵から成虫になるまで約10日と短く、発生すると短期間で高密度になります。

ミカンハダニ

ミカンなどの柑橘類のほかにも、梨、桃などの果樹や、イヌツゲなどを加害します。加害された葉は、葉緑素が抜けて白い小さな斑点が多数生じ、葉全体が白っぽくなります。多発すると、落葉や樹の生育に悪影響を及ぼし、商品価値を低下させる恐れがあります。

卵から成虫までの発育期間が約2週間。一年に12世代以上を繰り返すうえ、休眠しないため常に存在し冬でも暖かい日には活動をします。

リンゴハダニ

リンゴや梨、桃やスモモ、杏子などの果樹を加害します。葉の表と裏両面に寄生。多発すると葉表に小さな白い斑点や葉裏に褐色が生じ、形や色などに影響が出て、商品価値を低下させる恐れがあります。

秋に多発した場合は、越冬卵が果実のていあ部(がくのついている凹んだ部分)付近に多数付着します。

ハダニが発生する原因・発生しやすい条件とは

ハダニが発生する原因・発生しやすい条件とは

ハダニはいつどのようにしてやってくるのでしょうか。ここでは、ハダニが発生しやすい条件について見ていきます。

クモのように糸を出し、風に乗ってやってくる

自宅の庭やベランダの植物にハダニが寄生していないからといって油断はできません。ハダニは、公園や道端の雑草、雑木林など、いろいろなところに生息していて、クモのように糸を出しながら風に乗ってやってきます。

気温が高く乾燥した環境を好む

ハダニは暖かくて乾燥した環境を好み、特に梅雨明け後のカラッとした時期は要注意です。

家の軒下など雨の当たらないところ

ハダニは乾燥した場所を好むため、ベランダや軒下で雨があたらない場所や、室内の観葉植物などにも発生しやすくなります。

ハダニの駆除・予防対策

ハダニの駆除・予防対策

ハダニは小さくて特に気になる存在ではありませんが、自宅や自宅周辺など身近な場所にいて、風に乗ってやってきます。暖かくて乾燥した環境であれば、短い期間で一気に増える可能性があるため、まずは増やさないための予防を行うことが重要です。

ここでは、植物や作物に発生した場合の駆除方法と合わせて紹介します。

植物の乾燥を防ぐ

暖かくて乾燥した環境を好むハダニは、水に弱いとも言えます。そこで、植物への水やりの際、葉の裏側にも水をかけることで、発生を抑える効果が期待できます。室内の植物には、霧吹きなどで葉に湿度を与えてあげましょう。こうすることでハダニの発生予防はもちろん、もし葉に寄生していた場合、ハダニを水で流すこともできます。

周りの雑草を除去する

大切に育てている植物や作物にハダニが寄生しないように、ハダニの棲みかとなり得る環境を少なくするのもひとつの手です。自宅の庭や周辺の雑草を除去することで、寄生される可能性を減らすことができます。

セロハンテープやガムテープで取り除く

発生した数が少ない場合は、セロハンテープやガムテープの粘着を使ってハダニを取り除く方法があります。ハダニは葉の裏にいるため、テープを葉の裏側にくっつけて、葉を傷めないようにゆっくりと剥がしましょう。

殺虫剤を使用する

ハダニが大量発生した場合には、殺虫剤が効果的です。とは言え、大切に育てている植物や、食用に育てている作物に殺虫剤は使いたくないという人も多いのではないでしょうか。

フマキラーの「カダンセーフ」は食品成分生まれの殺虫・殺菌剤で、食品成分由来の膜が病害虫を包んで退治。害虫は呼吸ができずに窒息死し、病原菌も栄養を得られず死滅します。屋内での使用や、お子様・ペットのいるご家庭でも安心してご使用いただけます。また活力成分の天然アミノ酸とAO(アルギン酸オリゴ糖)を配合していますので、病害虫対策だけでなく植物の生育もサポートする優れものです。

まとめ

葉に白い小さな斑点が見つかったら、それはハダニが発生している可能性が高いと言えます。葉の裏側をよく見て、見つけたら早めに駆除しましょう。

手軽な予防策としては乾燥した環境をつくらないこと。葉の裏側までしっかりとこまめに水やりすることで、ハダニが住みにくい環境にすることができます。

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