ピートモスとは?特徴や使い方を知り酸性の土をつくろう

ピートモスとは?特徴や使い方を知り酸性の土をつくろう

ガーデニングなどに重宝する「ピートモス」をご存じでしょうか。苔(こけ)などの植物が堆積(たいせき)してできた天然の資材で、主に土壌の改良に用いられます。今回は、ピートモスの概要と効果、用途をご紹介し、栽培にピートモスを使用する植物と具体的な使い方、注意点などをわかりやすく解説いたします。

ピートモスの基礎知識

ピートモスの基礎知識

そもそもピートモスとは、どのようなものなのでしょうか。

ピートモスとは

ピートモス(peat moss)とは、苔などの植物が腐植(ふしょく)物質となって蓄積した泥炭(でいたん)を乾燥させたもので、強い酸性を示す「フミン酸(腐植酸)」を含有します。ミズゴケやヨシ、ヤナギ、スゲなどを土中の微生物が分解してつくり出した天然資材で、主にガーデニングで土壌の改良に使用します。2千年以上前の地層のものを「白ピート」、8千~1万年以上前の深い地層から採掘されるものを「黒ピート」と呼び、黒ピートの方が高品質で酸度も高めです。国内では、主に北海道や東北地方などで生産されます。

外国産のピートモスもさまざま流通しています。水分が少なく細かいカナダ産、水分が多めでやや目の粗い北ヨーロッパ産、ほかロシアや中国、樺太(からふと)産などで、その酸度は産地や製造方法によって異なります。

ピートモス購入時の留意点

ピートモスには、酸度を中性に調整してあるものと、調整していない「未調整」・「無調整」のものがあります。基本的に、酸度が調整されているものは土壌改良用に、未調整のものは後にご紹介するブルーベリーなどの栽培に使用します。

酸度を表す「pH(ピーエイチ)」の数値は、必ずしも商品に記載されているとは限りません。ピートモスを購入する際は商品の説明をよく読み、使用する目的に合わせて選びましょう。

なお、近年ではピートモスに代わる資材として、ココナッツを原料にした「ココピート」と呼ばれる商品も流通しています。使い方が似ていることから、ピートモスとして販売されるケースもあるので、よく確認してから購入してください。

流通の相場は、2Lで140円くらい、3Lで210円くらいからですが、外国産のものは大容量でやや価格が高い傾向にあります。

腐葉土(ふようど)・堆肥(たいひ)との違い

ガーデニング資材としてよく聞かれる「腐葉土」は、微生物の力で落ち葉や枝を発酵させたもので、pH6~7くらいの中性です。「堆肥」は、枯れた植物だけでなく動物の排せつ物なども原料にしてつくられたもので、一般的にはpH8~9くらいのアルカリ性です。

どちらも有機質を含む土壌改良材ですが、ピートモスとは使用する目的が異なります。

堆肥については、「【堆肥作りにチャレンジ!】自宅でできる堆肥の作り方」の記事も参考にしてください。

ピートモスの効果

ピートモスの効果

次に、ピートモスのもつ効果についてご紹介いたします。

土を酸性にする

未調整のピートモスは、pH3~4くらいの強い酸性を示します。酸性を好む植物を栽培するときに、土に混ぜて使用します。

土の保水性を高める

主に苔を原料としているため、吸水性が高いというメリットがあります。土に混ぜて使用すれば保水性が高まり、肥料の成分も長く蓄えることが可能です。

土の通気性を高める

繊維質を多く含むため、ふわふわとした感触が特徴です。適量のピートモスを土に混ぜると、通気性がよくなり根腐れの防止につながります。

土に有機質を加える

植物の生長には、栄養豊富な土が欠かせません。植物を栽培するときは、有機質を多く含むピートモスや腐葉土、堆肥を土に混ぜて下準備しましょう。

ピートモスの用途

ピートモスの用途

続いて、ピートモスの具体的な用途について解説いたします。

一般的な土壌改良剤として

一般的に、土壌を改良するときは酸度を調整したピートモスを使用します。未調整のものも、石灰を混ぜて中和すれば改良材として使えます。

酸性を好む植物の栽培に

酸性の土壌を好む植物には、未調整のピートモスを配合した土を使用します。よく知られたものは、ブルーベリー、ツツジやサツキ、ジャガイモ、山野草などです。

ブルーベリーなどの果樹については、「おうちで果樹を育ててみよう!園芸におすすめの果樹と育て方を解説」の記事をご覧ください。

アジサイの色を変えるとき

アジサイの花色は、土の酸度や土壌のリン酸含有量、アルミニウムイオンの吸収率などが影響して変化します。アジサイの色を青にしたいときは、ピートモスを加えて土を酸性に傾けると変化する可能性があるのでお試しください。

アジサイについては、「アジサイの七変化」の記事で詳しくお伝えしています。

バラの根の生長を促進

バラの栽培でピートモスを混ぜた土を使用すると、根の張り具合がよくなります。ただし、バラは弱酸性の土が適しているので、酸度を調整したピートモスを使いましょう。

タネまき用の土として

ふわふわとした感触で保水性のあるピートモスは、タネまき用の土としても適しています。酸度を調整したピートモスを用意し、園芸用のポットやトレイに入れて使用してください。

観葉植物の栽培にも

ほぼ無菌で清潔なため、室内で栽培する観葉植物用の土にも利用できます。植物の種類にもよりますが、酸度を調整したピートモスと赤玉土(あかだまつち)、鹿沼土(かぬまつち)、パーライト、バーミキュライトなどを配合して使用します。

観葉植物については、「インテリアグリーンで室内の雰囲気をおしゃれに!おすすめのインテリアグリーン12選」の記事をご覧ください。

熱帯魚の飼育用に

ピートモスには、水槽の水を弱酸性にする働きもあります。飼育に適した専用のピートモスを使用するか、石灰が配合されていない未調整のピートモスを煮沸消毒し、目の細かいネットなどに入れてから水槽に投入します。

ピートモスの使い方

ピートモスの使い方

それでは、ピートモスの使い方についてご紹介いたします。

吸水させる方法

ピートモスの多くは、乾燥させて圧縮した状態で販売されています。そのまま土に混ぜると水分を吸いにくいため、あらかじめバケツなどにピートモスと水を入れて十分に吸水させてから使用してください。

配合は植物に合わせて

栽培する植物に合わせて配合しましょう。ここでは、ピートモスの配合例をご紹介いたします。

一般的な草花

一般的な草花の土は、赤玉土:腐葉土を7:3または6:4とするのが目安で、pH5.5~6.5の弱酸性が適しています。一般的な草花を栽培するときは、pH6くらいの調整済みピートモスを使用します。土がアルカリ性の場合は、赤玉土:腐葉土:ピートモスを5:3:2くらいに調整してみましょう。

花だんの土を使用する場合は、花だんの土:赤玉土:腐葉土:ピートモスが3:2:3:2の配合でも構いません。ハンギングでは軽さを重視して、赤玉土:バーミキュライト:ピートモスを4:3:3くらいにすることもあります。

なお、草花の栽培にはフマキラーの「カダン ぜいたく培養土 草花用5L」をおすすめします。元肥(もとごえ)と堆肥、虫よけ、根腐れ防止の4つの効き目成分を配合した新しい培養土です。リン酸が多めに含まれているため花つきもよく、すぐに植えつけられる点もメリットです。

酸性の土を好む植物

酸性の土を好む植物を栽培するときは、未調整のピートモスを使用してください。

ブルーベリー

品種にもよりますが、ブルーベリーの土にはpH4.3~5.5くらいが適しています。配合の目安は、ピートモス:鹿沼土が5:5または6:4くらいです。初心者の方は、「ブルーベリー用の土」と書かれた商品を使用してもよいでしょう。

ツツジやサツキ

ツツジ類の土には、pH 4.5~5.5くらいが適しています。品種に合わせて、鹿沼土:ピートモスが6:4くらい、または赤玉土:鹿沼土:ピートモス:バーミキュライトが4:3:2:1の割合を目安にしてください。ブルーベリー用の土の中には、ツツジ類に利用できる商品もあります。

ジャガイモ

ジャガイモの土には、pH 5~6くらいが適しています。畑の土を下準備する段階で酸度を測り、上記の範囲内であれば石灰を加える必要はありません。アルカリ性に近い場合は、土の容量の3割くらいを目安としてピートモスを混ぜてください。初心者の方は、「ジャガイモ用の土」または「野菜用の土」を使うと簡単です。

山野草

山野草が好む土は、pH5~7くらいです。一例としては、赤玉土:鹿沼土:ピートモスを3:3:4に配合して使用します。山野草も専用の土が販売されているので、品種に合わせて購入しましょう。

酸度計の使い方

植物に合わせて配合を終えたら、pHを調べる酸度計を使用して数値を確認してください。酸度計は、針で数値を示すタイプとデジタルで表示するタイプがあり、どちらも配合した土に挿して使用します。数値が7のときは中性、それよりも数値が高いときはアルカリ性、低いときは酸性を示しています。

ピートモスを使う際の注意点

ピートモスを使う際の注意点

最後に、ピートモスを使用する際の注意点をご確認ください。

吸水させてから使用

先述のとおり、ピートモスは乾燥した状態で販売されているため、使用する前に十分に吸水させましょう。そのままではパラパラとして保水性が悪く、土に混ぜても思うような効果を発揮できません。

酸度の数値を確認

一般的な草花の栽培に未調整のピートモスを使用するときは、必ず石灰を混ぜて中和してから配合し、酸度計で数値を確認のうえ植えつけてください。酸性の土を嫌う植物に酸度の高いピートモスを使用すると、生育に支障をきたすおそれがあります。

過湿による根腐れ

保水性の高いピートモスを多く混ぜすぎると、加湿になって植物の根が腐り、栄養や水分の吸収が妨げられることもあります。特に鉢やプランターで栽培するときや、乾燥を好む植物を育てるときは土の配合に気をつけましょう。

ピートモスを上手に活用して植物を育てよう

ピートモスを上手に活用して植物を育てよう

今回は、天然の資材「ピートモス」をピックアップし、基礎知識と効果や用途、具体的な使い方などについてご紹介いたしました。ピートモスは保水性や通気性などに優れた土壌改良用資材で、商品によって酸度が異なります。使用の際は十分に吸水させてから適量を配合し、酸度計で測定してから植物を植えつけましょう。

「For your LIFE」で紹介する記事は、フマキラー株式会社または執筆業務委託先が信頼に足ると判断した情報源に基づき作成しておりますが、完全性、正確性、または適時性等を保証するものではありません。

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