2019年11月1日 | 園芸・ガーデニング
冬におすすめの家庭菜園7選。気をつけたいポイントと合わせて解説
家庭菜園で野菜を育てられる季節は、春から秋だけに限りません。寒さに強い品種であれば、冬に収穫したり冬を越したりできます。この記事では、冬の家庭菜園におすすめの野菜を7種類ご紹介し、育て方や管理のポイントも併せて解説します。室内で育てる野菜も含め、冬の家庭菜園に挑戦してみませんか?
冬の家庭菜園のポイント
はじめに、冬の家庭菜園の管理のポイントを確認しましょう。
水やりとマルチング
畑はほとんど水やりをしませんが、プランターは土の表面が乾いたら水を与えます。霜が降りるときは、畑には「わら」などを土に敷く「マルチング」をほどこして保温しましょう。プランターは段ボールや「不織布(ふしょくふ)」などで覆うか、玄関などに取り込んでください。晩秋にタネをまくときは、不織布などで全体を保温して管理します。
害虫対策
一般的に冬は害虫の活動が弱まりますが、白菜やホウレンソウなどに「ハクサイダニ」がつくことがあります。毎年同じ場所で同じ野菜を作る「連作(れんさく)」を避け、家庭菜園で収穫した野菜の残りや雑草の処理などで予防できます。大量に発生したときは、殺虫剤を使用してください。そのほか、周辺の植物に越冬中のカイガラムシがいる場合があるので、冬の間に駆除をしましょう。
冬のガーデニングについては、「冬のガーデニングで気をつけるポイント」の記事も参考にしてください。
冬に収穫!家庭菜園おすすめ4選
それでは、冬に収穫できる家庭菜園の野菜を4種類ご紹介します。
① タネから育てるホウレンソウ
栄養価が高い冬の野菜で、タネまきから1カ月くらいで収穫できる品種もあります。
概要
ヒユ科に属し、ビタミンAやビタミンC、カルシウムや鉄分などを豊富に含みます。現在は、葉が大きくて丸い「西洋種」や、葉が細く根元が赤い「東洋種」と西洋種を交配したものが多く流通しています。肉厚の縮れた葉で甘みがある「寒締め(かんじめ)ちぢみホウレンソウ」や、アクが少ない「サラダ用ホウレンソウ」も家庭菜園で人気があります。
育て方
地域や品種にもよりますが、基本的には11月までにタネをまきます。ホウレンソウは酸性の土を嫌うので、あらかじめ石灰をまいて中和しましょう。タネが硬いので、家庭菜園ではタネを一晩水に浸した後、数日乾燥させて芽を出しておくと安心です。溝を作って1~数cm間隔でタネをまき、土をかぶせて不織布などで保温します。
本葉が1枚のときと植物の高さを指す「草丈(くさたけ)」が7~8cmのときに、元気な株を残す「間引き(まびき)」をします。追加の肥料を与え、倒れないように根元に土を寄せましょう。その後は状況によって間引きし、20~25cmくらいに生長したら収穫します。乾燥すると、アブラムシやハダニなどの害虫がつくことがあります。
② 冬の寒さに強い小松菜
栄養価が高く調理がしやすい冬の野菜で、1カ月くらいで収穫できる品種もあります。
概要
アブラナ科の小松菜は、カロテンやビタミンC、カルシウム、鉄分などを豊富に含み、生育中に寒さに当たるとより甘みが増します。国内では江戸時代から栽培され、徳川吉宗が東京都江戸川区の小松川地区で鷹狩(たかがり)をした際、汁の具で出された青菜を気に入り「小松菜」と命名した説が残ります。
育て方
11月以降にタネをまくときは、不織布などをかぶせて栽培しましょう。土に溝を作って1~1.5cm間隔でタネをまき、軽く土をかぶせます。間引きは、本葉が1~2枚の頃に3~4cm間隔に、草丈が7~8cmの頃に5~6cm間隔にします。小松菜は肥料を好むため、間引きの際や葉の色が薄くなったときに与えてください。
苗が倒れないように根元に土を寄せて管理し、20~25cmまで成長したら収穫できます。冬はほとんど害虫の被害はありませんが、葉などに白くふくらんだはん点ができる「白さび病」を発症することがあります。小松菜は連作の障害が出にくいので、家庭菜園でも続けて栽培できます。
③ 小カブはプランターも可
直径が5~6cmの小カブは、40~50日くらいで収穫できます。
概要
アブラナ科の小カブは葉も根も栄養価が高く、ビタミンAやビタミンC、鉄分やカルシウムなどを含有します。また、根には消化を助ける酵素の「アミラーゼ(ジアスターゼ)」が含まれています。カブは丈夫で育てやすい上に品種が豊富なため、栽培に慣れたら家庭菜園でもさまざまな種類をお楽しみください。
育て方
11月や翌年の2月頃にタネまきをするときは、不織布などをかぶせて栽培しましょう。肥料をほどこした土に溝を作ってタネをまき、軽く土をかぶせます。本葉が1枚の頃、2~3枚の頃、5~6枚の頃に間引きし、最終的な間隔は10cmくらいにします。小カブはすぐに生長するので、追加の肥料は与えずに育てましょう。
大きくなりすぎると割れたり「す」が入ったりするため、直径が5~6cmになったらすぐに収穫します。小カブは白さび病のほか、連作による「根こぶ病」を発症することがあります。
④ 室内で育てるスプラウト類
屋外の家庭菜園だけでなく、キッチンなどの室内でも野菜を育ててみましょう。
概要
「スプラウト」とは野菜の新芽の総称で、栄養価が高くタネまきからすぐに食べられる点が魅力です。家庭菜園で育てるスプラウト類は、カイワレ大根やブロッコリー、ラディッシュやルッコラのほか、マメ科の「アルファルファ」などがおすすめです。スプラウト用のタネだけでなく、栽培用に一式そろったキットも販売されています。
育て方
平らな容器にキッチンペーパーなどを敷き、水を注いで十分に湿らせます。タネを均等にまき、カバーをかけて日が当たらない場所に置きます。室温は20度くらいを保ち、1日1回霧吹きで静かに水を与えましょう。発芽したらカバーを取り、品種に合わせて初めは日陰に置き、その後は日光に当てて指定の大きさになったら収穫します。
そのほか、キッチンで育てる野菜については「【簡単でおしゃれ!】キッチン菜園におすすめの野菜と育て方をご紹介」の記事をご覧ください。
冬越しさせよう!家庭菜園おすすめ3選
続いて、家庭菜園で冬越しができるおすすめの野菜を3種類ご紹介します。
⑤ 秋冬に植えつけるタマネギ
保存が効いてさまざまな料理に使えるタマネギは、家庭菜園でも栽培できます。
概要
ユリ科またはネギ科、ヒガンバナ科に属するタマネギは、ビタミンB類やカルシウム、鉄分などの栄養を含みます。目にしみる成分の「硫化(りゅうか)アリル」は、血流をよくしたりコレステロールを低下させたりするなど、さまざまな働きがあります。栽培の歴史は紀元前にさかのぼり、国内では黄色や赤のタマネギが流通します。
育て方
タネをまく場合は夏の終わりから準備をしますが、10月下旬になると苗が出回ります。草丈は20~25cmくらい、太さは5~7mmくらいのものを選び、タマネギ用に穴が空いたビニールマルチを使用して植えつけましょう。植えつけからおよそ1カ月後と、早春に追加の肥料をマルチングの穴から与えます。
5月以降に茎や葉が倒れたら、晴れた日に収穫して軒下(のきした)などで数日乾かし、束にしてつるして保管します。植えつけが遅れたり肥料の量が適切でなかったりすると、地下部分が生長せずに花の芽である「ネギ坊主」が多くできます。春以降はアブラムシなどの害虫がつきやすく、葉が淡い黄色になる「べと病」などにかかることがあります。
⑥ 10年育てられる?アスパラガス
生育がユニークなアスパラガスも、家庭菜園で育ててみましょう。
概要
ユリ科またはキジカクシ科に属するアスパラガスは、ビタミン類を豊富に含み、独特の風味と食感を楽しめる野菜です。国内では、1920年代に土をかぶせて光を当てずに育てる「ホワイトアスパラガス」の栽培と缶詰加工が始まり、1960年代以降に「グリーンアスパラガス」が流通しました。家庭菜園でも、1つの株をうまく育てれば10年ほど栽培できます。
育て方
市販の数年間育った苗を植えれば、翌年に収穫できます。植えつけの穴は、ポットの表面が地面から5cmほど下がる深さと、根を広げた直径に合わせて掘ります。草丈が約60cmに伸びたら周りに4本の支柱を立て、ひもを張って倒れないように保護しましょう。晩秋に茎が枯れたら根元を残してカットし、土を根元に盛って越冬します。
早春と5月頃に追加の肥料を与え、新芽が伸びたら収穫できますが、すべて刈り取らず翌年に備えてください。梅雨の前にはわらやもみ殻などで土にマルチングをほどこし、雑草の繁殖や真夏の乾燥を防ぎます。アスパラガスは、茎が茶色になって枯れる「茎枯病(くきがれびょう)」にかかりやすい傾向があります。
⑦ 栄養価の高いエンドウ豆
エンドウ豆は栄養価の高さと育てやすさが魅力です。
概要
冬の寒さに強いので家庭菜園でも育てやすく、栄養価が高い上に使い勝手がよい野菜として人気があります。
育て方
10月下旬になったら、石灰で中和した土に深さ3センチほどの穴を作り、4~5粒のタネをまきます。本葉が3枚くらいになったら間引きをして、2本を残します。草丈が10cmくらいの頃に越冬させ、マルチングや不織布をかぶせて管理しましょう。肥料はタネまき後1カ月くらいと開花前に与え、収穫までは1カ月に1回のペースで追加します。
つるが伸びたら支柱を立てて、からまないように誘引(ゆういん)してください。サヤエンドウやスナップエンドウに生長するまで育てるときは、豆苗を収穫しすぎないようにしましょう。春以降はアブラムシなどの害虫や、白い点が徐々に広がる「うどん粉病」などの被害に遭うことがあります。
豆苗については、「【栄養たっぷり!】豆苗(とうみょう)の栽培方法やレシピをご紹介」の記事でもご紹介しています。
なお、家庭菜園の野菜の管理には、フマキラーの「カダンセーフ」がおすすめです。カダンセーフは、食品成分由来の膜が病害虫を包んで退治。害虫は呼吸ができずに窒息死し、病原菌も栄養を得られず死滅します。屋内での使用や、お子様・ペットのいるご家庭でも安心してご使用いただけます。また活力成分の天然アミノ酸とAO(アルギン酸オリゴ糖)を配合していますので、病害虫対策だけでなく植物の生育もサポートする優れものです。
冬の間も家庭菜園を楽しもう
今回は、冬の家庭菜園で収穫できる野菜と冬越しをする野菜を7種類ご紹介しました。冬の家庭菜園は、毎日の温度や天候をチェックしてマルチングなどの対応をしましょう。病害虫は少なめですが、環境によっては被害に遭うことがあるので気をつけてください。冬の間は、室内の栽培もおすすめです。それぞれの野菜の特性を調べ、1年を通して家庭菜園を楽しみましょう!