2020年5月15日 | 園芸・ガーデニング
旅行中で水やりができない…どうすればよい?長期外出時の対処法をご紹介
家に毎日世話をしている植物があると、旅行中の水やりをどうしようか悩みますよね。この記事では、水やりの基本と帰宅後の管理のほか、旅行中の水やりの方法について2~3日、4~6日、1週間以上と日数別に解説し、旅行や外出の多いご家庭におすすめの植物もご紹介します。旅行中の植物のために、適切な水やりの方法を選んでさっそく準備に取り掛かりましょう。
水やりの基本と帰宅後の管理
はじめに、植物の水やりの基本と帰宅後の管理について説明します。鉢やプランターに植えた草花や野菜、樹木の場合、基本的には土の表面が乾いたときに水やりをします。ただし、真夏や開花の時期は毎朝水を与え、日照りが続くときには朝夕2回の水やりが必要なケースもあります。
花だんや畑に植えてある植物は、猛暑などでよほど乾燥したとき以外は水やりの必要がありません。また、鉢植えの観葉植物は土の表面が乾いたときや乾いて数日経ってから、多肉植物は土が完全に乾いたタイミングで水やりをします。
旅行から戻ったら植物の様子をチェックし、夏は夕方か早朝、冬は昼間に水やりを再開します。植物によっては葉に霧吹きで水をかける「葉水(はみず)」も行い、数日は気を付けて様子を見ましょう。万が一、旅行中に植物がしおれていても、世話を再開すれば復活することがあるのであきらめずに管理をしてください。
水やりについては、「花の水やりのコツ – 時間や頻度は?【ガーデニングの基本】」の記事でもご紹介しています。
2~3日の旅行中の水やり
それでは、2~3日の旅行中の水やりの方法からご紹介します。
土に挿す給水器
水を入れる容器が付いた給水器を土に挿し、ゆっくりと水やりをするタイプです。近年では、デザインや色、大きさが豊富に流通しており、水が染み出る部分が陶器製のものや、水が出る量を調節する弁が付いているものもあります。容器の大きさによって管理できる日数が異なるので、商品の説明をよく読んで購入しましょう。
ペットボトルの給水器(500ml)
水を入れたペットボトルに器具を取り付け、土に挿して使うタイプです。500mlのペットボトルに使用すれば、2~3日の旅行中も安心です。近年ではさまざまな種類が販売されており、100円ショップでも購入できます。ただし、商品によって水の染み出し方が異なるので、旅行の前に1度試すことをおすすめします。
腰水(こしみず)
数センチの水を張った容器に、植物の鉢の底を浸す方法です。本来はタネをまいたポットや水草(みずくさ)などの「水生(すいせい)植物」にほどこしますが、数日の旅行中や水切れの応急処置としても可能です。ただし、真夏の炎天下では張った水が温まるため、日陰で管理しましょう。腰水の日数が長いと根が腐敗するので、通常の世話では行いません。
そのほかの対策
そのほか、2~3日の旅行中におすすめの水やりの方法をいくつかご紹介します。どちらも対策だけでなく、直前に水を与えてから出かけましょう。
土の表面にマルチング
「マルチング」とは、鉢やプランターの土の表面に「わら」や「ココヤシファイバー」、新聞紙などを敷きつめる方法で、水分の蒸発を抑える効果があります。ただし、屋外の鉢は風が吹いたり動物が触ったりするとマルチングがずれて、旅行中に土の表面が出てしまう可能性があります。
日陰や浴室に置く
運べるサイズの鉢やプランターであれば、日光が当たらない日陰や玄関、ガレージなどに移動する方法もあります。室内に置けるサイズの鉢は、湿度が高めの浴室に置くこともできます。マルチングの方法と組み合わせてもよいでしょう。
ただし、気温の変化が大きい時期や冬の浴室は、夜になると急激に温度が下がる場合があるので避けてください。なお、しばらく日陰に置いていた植物を元の場所に戻す場合、急な環境変化に対応できず弱ることがあります。特に夏場は直射日光が強いため、日に当てる時間を1時間くらいから徐々に慣らしましょう。
鉢を二重にする
鉢やプランターをひと回り大きなサイズに重ね、すき間に保水性がある「水苔(みずこけ)」や「赤玉土(あかだまつち)」を入れる方法です。ある程度の水分の蒸発を防げますが、前もってサイズが合う鉢をそろえる必要があります。作業は手間がかかるので、準備は早めに取りかかりましょう。こちらもマルチングと組み合わせることが可能です。
鉢の底にぬれタオル
鉢やプランターの底に、水分をたっぷり含んだタオルを敷いておく方法です。小さめの鉢やプランターに向いており、底からゆっくり水分を吸いながら湿度を保ちます。ただし、特に真夏はタオルがすぐに乾く可能性があるため、日陰や玄関などに移動して管理しましょう。こちらもマルチングと組み合わせられます。
4~6日の旅行中の水やり
続いて、4~6日の旅行中の水やりについてご紹介します。
ペットボトルの給水器(2L)
先述したペットボトルに器具を取り付けるタイプと同じですが、容器は2Lサイズを使用します。水の量が多いので、4~6日の旅行中でも給水が可能です。ただし、容器が大きい上に重たくなるため、小さい鉢やプランターにはおすすめしません。前もってテストを行い、ペットボトルが倒れないように固定するなどの工夫が必要です。
毛細管現象を利用した給水器
液体に紙や管などを入れたときに、じわじわと水分を吸い上げる「毛細管現象(もうさいかんげんしょう)」を利用したタイプです。水を入れた容器を鉢やプランターの脇に置き、吸い上げる綿(めん)などの布やひもの片側を水中に、もう一方を土の中に挿して給水します。近年では、容器と布やひもがセットになった商品を多く見かけます。
こちらも水の吸い上げや給水の量が予測できないため、旅行中に使用するときは事前にテストをしてから出かけましょう。容器は鉢の後ろ側に隠せるので、旅行中だけでなく店頭やオフィスなどでも使える方法です。ペットボトルと布などを使った手作りの給水器を使用するときも、前もってテストをしておきましょう。
1週間以上の旅行中の水やり
次に、1週間以上の旅行中の水やりについてご紹介します。
ガーデニング用の保水材(ほすいざい)
保水材とは、鉢やプランター、花だんの土に混ぜて水分量を保ち、水やりの回数を減らす資材です。保水材はガーデニングの環境に合ったタイプを選び、説明書に従って使用しましょう。
液状のタイプ
植物の根元に直接散布するタイプで、広い場所にほどこすときは薄めて使うことも可能です。環境にもよりますが、夏以外であれば水やりの期間は10日ほど空けられます。植物の成長を促し、肥料や殺虫剤も並行して使用できる点もメリットです。成分は徐々に分解されて土にかえるので、環境汚染の心配もありません。
粒状のタイプ
おむつなどに使われる「吸水性ポリマー」を利用した保水材で、小さい粒を土に混ぜるタイプです。植え付けの際に粒を土に混ぜるか、すでに植えてある植物には周囲の土に開けた複数の穴に粒を入れて使用します。季節や環境にもよりますが、水やりの期間は10日ほど空けられます。植物の成長を促す効果もあり、粒は徐々に分解されて土にかえります。
ゲル状のタイプ
吸水性ポリマーに水分を含ませ、ジェル状にした保水材もあります。鉢やプランター、花だんの土に直接混ぜてから植物を植えるタイプや、水で薄めたものを根元に与えるタイプがあります。季節や環境にもよりますが、水やりの期間は1週間~10日ほど空けられます。混ぜる量や使用方法は、それぞれの商品に従ってください。
タイマー付きの散水機
庭やベランダなどに、たくさんの植物を置いて育てているご家庭におすすめの方法です。従来のコンセントを使うタイプに加え、近年では乾電池やソーラーパネル式で電源が必要ない散水機も販売されています。さらに、付属のタンクに水をためておき、水道と接続をしないタイプもあります。タイマー付きの散水機は、広さや環境、予算に合わせて選びましょう。
知人や代行サービス会社に頼む
旅行中の水やりは、家族や友人、知人、近所の人に頼むというのも良いでしょう。実際に植物を見ながら世話をしてもらえる上、旅行中でも電話やメールなどで状況を聞けるため、安心な点がメリットです。帰宅後は、お土産とともにお礼を伝えましょう。
また、旅行中は家事代行サービスや園芸専門の代行サービスに水やりを頼む方法もあります。料金は、作業代のほかに出張交通費を加算するのが一般的です。前もって鉢やプランターの数を伝え、見積もりを出してもらいましょう。旅行中に鉢やプランターを預けられる業者もあるので、自宅から近いところを探してみてください。
留守がちの家におすすめの植物
最後に、留守にすることが多いご家庭におすすめの植物をいくつか紹介します。先述したように、草花などを植えた鉢やプランターは水やりの回数が多く、特に夏場は朝と夕に水を与える場合もあります。外出が多いご家庭では、そのたびにご紹介した方法で水やり対策を行い、旅行中も心配しなければなりません。
しかし、観葉植物の水やりは3~5日に1回くらいのタイミングなので、留守がちのご家庭でも管理がしやすいです。また、多肉植物は葉や茎に水分をためる組織を持つため、土が完全に乾くまで水やりをしません。空けられる日数は鉢の大きさや環境、季節にもよりますが、どちらも直前に水やりをしてから出かけましょう。
観葉植物については、「インテリアグリーンで室内の雰囲気をおしゃれに!おすすめのインテリアグリーン12選」、多肉植物については「多肉植物の種類や上手な育て方についてご紹介」の記事も参考にしてください。
旅行中の水やりはこれで安心!
今回は、一般的な水やりの頻度と旅行中の水やりの方法を日数別に解説し、留守がちのご家庭で管理しやすい植物についてもご紹介しました。旅行中の水やり対策は、家を空ける日数と環境に合った方法を選び、事前に1度テストをすることをおすすめします。帰宅後の管理についても、再度確認しておきましょう。水やりの準備ができたら、どうぞお気を付けてお出かけください!