【ペチュニアの育て方】種まきの方法や初心者におすすめの品種も紹介

【ペチュニアの育て方】種まきの方法や初心者におすすめの品種も紹介

寄せ植えやハンギングなどで、カラフルな花を咲かせるペチュニアを見かけたことがあるのではないでしょうか。育て方が簡単なため、初心者の方も気軽に栽培できる花です。

今回はペチュニアの育て方を中心に、概要や育て方のポイント、トラブルと対処法などについてご紹介いたします。

ペチュニアの基礎知識

ペチュニアの基礎知識

はじめに、ペチュニアの基礎知識からご覧ください。

ペチュニアとは

ペチュニアはナス科ツクバネアサガオ属(ペチュニア属)に分類される多年草です。寒さに弱いため、国内では一年草として扱われます。かつてナス科タバコ属に分類されたことから、ブラジルの方言でタバコを意味する「petun(ペチュン)」に由来して名づけられました。

ペチュニアは育て方が簡単で種類も多く、花期が3~11月と長いのも大きな魅力です。上に伸びる「立ち性」と地をはうタイプの「ほふく性」があり、どちらも草丈(くさたけ)は10~30cmくらいです。次々と花を咲かせることから、寄せ植えやハンギングにも向いています。

寄せ植えについては、「寄せ植えの基本と作り方。初心者でもおしゃれに仕上げるコツも解説!」「春の寄せ植えを楽しもう!おすすめの花や苗選びのポイントを解説」の記事もご覧ください。

ペチュニアの歴史

18世紀、フランスの植物の専門家が、南米で自生する「ペチュニア・アキシラリス」を発見しました。その後、ヨーロッパに伝わった「ペチュニア・インテグリフォリア」との交配により、多くの品種が作り出されました。

日本に伝来したのは、江戸時代末期のことです。花びらを外側から囲む「がく」の形状が羽つきの羽に似ているため、「ツクバネアサガオ(衝羽根朝顔)」の別名ももちます。

ペチュニアの八重(やえ)咲きは、元来突然変異で出現するだけでした。その後国内で変異の仕組みが解明され、日本のメーカーが独自の商品を開発して1930年代に発表。1985年ころから品種改良がいっそう盛んになり、現在はヨーロッパなどでも園芸用品種の需要が高まっています。

ペチュニアの種類

タネから育てる「実生(みしょう)系」のほか、近年では挿し芽で増やせる「栄養系」の品種が多く開発されています。花びらは一重と八重があり、花のサイズは小輪から大輪まで多彩です。色はピンクや赤、白、青、紫、黄などのほか、2色が混ざるもの、スジが入るものや縁(ふち)の色が異なるもの、白い点が出るものなどが流通します。

育つスピードや分岐の多さ、病害虫への強さなどは品種によって異なるので、初心者の方は分岐しやすく病害虫に強いとされる苗を選びましょう。

ペチュニアの育て方【2つのポイント】

ペチュニアの育て方【2つのポイント】

ペチュニアの育て方は、次の2点が大切なポイントです。

① 日々の花がら摘み

開花した後の「花がら」を摘み取る作業が必要です。見た目だけでなく、病気を予防するためにも日々の花がら摘みは欠かせません。

② 摘芯(てきしん)と切り戻し

ほとんどの品種は、先端を切る「摘芯」によって茎を分岐させるとより多くの花がつきます。また、ある程度の時期が過ぎたら、全体を半分ほど切り戻すと再び開花を楽しむことができます。

ペチュニアの栽培に必要なもの

ペチュニアの栽培に必要なもの

ペチュニアを栽培するときは、シャベルやジョウロ、園芸用のハサミなどのほか、次のものを用意してください。

花だんまたはプランター類

花だんで栽培するときは、日当たりのよい場所を選びましょう。ただし、病気や生育不良を引き起こす「連作(れんさく)障害」を防ぐため、前年にナス科の植物を植えた場所を避けて栽培してください。

鉢やプランターで育てる場合は、目的に合わせた形状やサイズを選びましょう。一般的に、鉢植えはネットに入れた鉢底石(はちぞこいし)を敷きますが、ハンギングではバスケットにココヤシファイバーを設置したものなどを使うことがあります。鉢をつるすときはフックやワイヤー、チェーンなども用意しましょう。

タネまたは苗

タネは、色やサイズなどの好みに合わせて品種を選んでください。ペチュニアのタネまきには「ピートバン」と呼ばれる資材か、セルトレイとタネまき用の土を用意します。タネは非常に小さいので、扱いに注意しましょう。

苗は3月くらいから出回りますが、梅雨の期間の過湿が心配されるため、初心者の方は7月ころの購入をおすすめします。苗は葉の緑色が鮮やかで茎が太く、グラグラしないものを選んでください。つぼみがついているものやポットの底から根が見えているものは、生育がよい証拠です。

土と肥料など

花だんの土の下準備には、たい肥や腐葉土(ふようど)、ピートモスなどを用意してください。ペチュニアは弱酸性の土を好むので、土の酸度を測る酸度計があるとよいでしょう。鉢やプランターの栽培には、市販の草花用またはペチュニア用の培養土を使うと便利です。

肥料は、粒状の化成肥料か液体肥料を使用します。泥はねを防ぐには、敷きわらや腐葉土などでマルチングを施すとよいでしょう。

ピートモスについては「ピートモスとは?特徴や使い方を知り酸性の土をつくろう」、マルチングについては「園芸におけるマルチングとは?効果や使用方法、注意点をわかりやすく解説」の記事を参考にしてください。

初心者におすすめ!ペチュニアの育て方

初心者におすすめ!ペチュニアの育て方

それでは、ペチュニアの育て方を順にご紹介いたします。

土の下準備

花だんの準備は、土に混ざった石や古い根、落ち葉などを取り除き、下から掘り返して日光に当てて消毒します。植えつける2週間くらい前に、たい肥と腐葉土を加えてください。土を酸度計で測定し、アルカリ性に偏っているときはピートモスを加えて調整します。

植えつけの1週間ほど前になったら、化成肥料を混ぜます。鉢やプランターの古い土を使うときも、同様に準備してください。

タネまきの方法

タネまきは、土の温度が20~25℃くらいに上がる3~5月が適しています。9月にまくこともありますが、冬越しになるので初心者の方は難しいでしょう。ピートバンを使用するときは、資材をトレイに入れて吸水させてからパラパラとタネをまき、ビニール袋などをかぶせて保温します。

ペチュニアのタネは光を必要とする「好光性種子(こうこうせいしゅし)」なので、セルトレイに土を入れてタネをまいた後は土をかぶせません。セルトレイは、水を入れた大きめの容器に浸して下から吸水させます。どちらも発芽後は日光に当て、混み合った部分の芽を間引(まび)いて抜き取ってください。

生長後は、それぞれの葉が触れるくらいの間隔を空けて間引くとよいでしょう。本葉が2~3枚になったら、1本ずつ丁寧に掘り出して園芸用のポットに植え替えます。本葉が10枚くらいまで生長したら、花だんやプランターなどに植えつけてください。

植えつけのポイント

4~5月くらいに植えつけ、梅雨入りまでに根を張らせる方法もありますが、初心者の方は梅雨明けから9月くらいに植えて秋まで楽しむ計画がよいでしょう。株の間は20~25cmほど空け、苗の土が花だんなどの土の表面より深くならないように植えつけてください。

鉢植えの目安としては、幅65cmくらいのプランターに2~3株、直径15cmくらいの鉢に1株です。植えつけた後は、株元にマルチングを施しましょう。

日々の管理

鉢植えのペチュニアは、土の表面が乾いていたら午前中に水を与えます。春や秋はやや乾燥気味でも構いませんが、夏は水分が蒸発しやすいので早朝と夕方に水やりをしましょう。雨が続くときは、軒下(のきした)などに移動させて過湿を防いでください。花だんのペチュニアには基本的に水やりをしませんが、猛暑で乾燥が続くときは早朝に水を与えます。

先述のとおり、花のよく咲くペチュニアは花がら摘みの作業が欠かせません。せん定を兼ねて、花がらがいくつかついた茎ごと切り取ってもよいでしょう。多くのペチュニアの葉や茎から出るベタベタした粘液には、アリやアブラムシから身を守る役割があります。

摘芯と切り戻し

品種によっては、植えつけから2週間後くらいに先端を摘芯します。摘芯すると、切り口の下から新しい茎が伸びて花がつき、ボリュームが出ます。摘芯の後も、混み合った部分や枯れた茎などを切り取って風通しをよくしてください。どんどん分岐するタイプは摘芯せず、混み合った部分を整理するくらいで構いません。

春に植えつけた株は、梅雨入り前に全体を半分くらいの高さに切り戻してください。夏に植えた株も、花がある程度咲いたら切り戻すと再び新しい茎が伸びて花がつきます。切り戻しの後も、余分な茎が伸びたときは切り取って蒸れを防ぎましょう。適切な手入れをすれば、11月くらいまで花を楽しむことができます。

肥料の与え方

ペチュニアは肥料を好むため、鉢植えには定期的に肥料を与えてください。化成肥料は1ヵ月に1度、液体肥料は2週間に1度くらいが目安です。花だんのペチュニアも、下の葉が黄色くなるときは追加の肥料を与えます。ただし、真夏に生育が弱まったときは肥料をいったん控え、気温が下がったころに再開してください。

挿し芽の方法

ペチュニアは発根しやすい植物なので、挿し芽に挑戦してみましょう。挿し芽に適した時期は4~7月ころです。若く元気な茎を選び、葉を数枚つけて7cmほどの長さで斜めに切り取ってください。

水を入れた容器に茎を挿し、30分から1時間ほど吸水させます。挿し芽用またはタネまき用の土を湿らせて、茎を挿します。茎に発根用の促進剤をつけてから挿してもよいでしょう。日陰に置いて、霧吹きなどで水を与えながら管理してください。

新芽が出たら、丁寧に掘り上げてポットに植え替えます。数日は明るい日陰に置き、その後は日光に当てる時間を徐々に増やして慣らしましょう。本葉が10枚くらいまで生長したら、花だんなどに植えつけてください。

冬越しをする場合

近年では寒さに強い品種も登場しているので、管理に慣れたらペチュニアの冬越しに挑戦しましょう。花の時期が終わったら、全体を3分の1くらいの高さまで切り戻します。鉢は日の当たる場所に置き、土の表面が乾いたら水やりを続けてください。

霜の降りる日は鉢に不織布(ふしょくふ)や新聞紙を巻くか、玄関などの室内に取り込みます。冬越しに成功した株は、春に新芽が出てきます。

ペチュニアのトラブルと対処法

ペチュニアのトラブルと対処法

最後に、ペチュニアに起こりやすいトラブルと対処法についてご紹介いたします。

ナメクジやアブラムシ

梅雨から夏の間は、ナメクジに新芽や葉を食べられる心配があります。周辺にキラキラと光るラインが残っているのはナメクジの仕業ですから、注意が必要です。また、アブラムシは葉や茎の汁を吸うだけでなく、病原体を媒介するおそれがあるので気をつけましょう。これらの害虫を見つけたときは、すぐに駆除して被害を防いでください。

灰色かび病やうどんこ病

雨の続く季節は、花がらや枯れた葉などに灰色かび病が発生することがあります。また、春や秋の乾燥した時期には、葉や茎に白い粉のような菌がつくうどんこ病にかかりやすいので気をつけてください。異変を見つけたらすぐに取り除いてまん延を防ぎましょう。

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活力成分の天然アミノ酸とAO(アルギン酸オリゴ糖)を配合していますので、病害虫対策だけでなく植物の生育もサポートする優れものです。

育て方が簡単なペチュニアは初心者におすすめ

育て方が簡単なペチュニアは初心者におすすめ

今回は、ペチュニアの基礎知識や具体的な育て方、トラブルと対処法などについてご紹介いたしました。ペチュニアの栽培では、日々の花がら摘みと摘芯、切り戻しが大切なポイントです。初心者の方は、分岐しやすく病害虫に強い品種を選ぶとよいでしょう。

種類が多く、寄せ植えやハンギングなど楽しみ方も多彩なペチュニア。この夏は、庭やベランダをカラフルなペチュニアで彩りませんか。

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