【ベゴニアの育て方】毎日のお手入れ方法や植え付け・増やし方を解説

【ベゴニアの育て方】毎日のお手入れ方法や植え付け・増やし方を解説

明るく華やかで、種類も豊富な点が魅力のベゴニア。直立した茎に大輪の花が咲くタイプや、シャンデリアのように枝が垂れるタイプ、葉の模様を楽しむタイプなどがあり、観賞する人々の心をひきつけてやみません。今回は、ベゴニアの基礎知識と育て方、トラブルと対処法などについて詳しくご紹介いたします。

ベゴニアの基礎知識

ベゴニアの基礎知識

はじめに、ベゴニアの基礎知識をご覧ください。

ベゴニアの概要

ベゴニアはシュウカイドウ科シュウカイドウ属(ベゴニア属)に分類される多年草または一年草で、熱帯やオーストラリアを除く亜熱帯の地域が原産です。開花期は種類によって異なり、ピンクや赤、白、オレンジ、黄、複色などの花を楽しめます。

ベゴニアは、雄花(おばな)と雌花(めばな)が異なる「雌雄異花(しゆういか)」の植物です。一般的には雄花が八重(やえ)咲き、雌花が一重(ひとえ)咲きで、それぞれが1つの株に咲きます。高さは小型のものから2mほどまで伸びる大型のものまであり、形状も品種によって異なります。

『ベゴニア』は、フランスの総督(そうとく)であったミシェル・ベゴンにちなみ、同国の植物学者シャルル・プリュミエによって名付けられました。

ベゴニアの種類

種類が非常に多く、野生種はおよそ2,000種、園芸種はおよそ15,000種にのぼります。ベゴニアは、大きく次の種類に分けられます。

ベゴニア・センパフローレンス

もっとも広く流通する品種。「四季咲きベゴニア」と呼ばれ、一年草として扱われます。開花期が4~11月と長く、育て方も簡単なので初心者の方におすすめです。

木立ち(こだち)性ベゴニア

茎が立ち上がるタイプの多年草のベゴニアで、シャンデリアのような形状を利用したハンギングも楽しめます。

球根ベゴニア

地下に球根を作る多年草のベゴニアで種類も多く、太い茎が立ち上がるタイプと茎が垂れ下がるタイプがあります。

エラチオール・ベゴニア

「リーガース・ベゴニア」と呼ばれる多年草のベゴニアで、バラのように華やかで見栄えのする花を咲かせます。

根茎(こんけい)性ベゴニア

名前のとおり、根のような太い茎が地をはう多年草のベゴニアで、葉の模様や形状、質感などを楽しめるタイプです。

シュウカイドウ

中国原産の多年草で耐寒性があり、国内でも各地に生息します。秋になると葉の付け根にできるムカゴが地面に落ち、地下に球根を作ります。

ベゴニアの歴史

球根ベゴニアについては、19世紀前半に南米のアンデス山脈に自生した7つの野生種がヨーロッパに導入された後、これらをかけ合わせた品種が誕生しました。19世紀末期には、園芸用品種の原型が確立したとされます。

国内では、1962年に同好会が発足して数々の品種改良がおこなわれ、1970年代にはベゴニアのブームがわきおこりました。

ベゴニアの育て方のポイント2つ

ベゴニアの育て方のポイント2つ

ベゴニアの育て方は、次の2点がポイントです。

① 咲き終わった花(花がら)の処分

ベゴニアの雄花は咲き終わると自然に落ちますが、放置すると病気の菌などが繁殖するおそれがあるため、拾って処分しましょう。咲き終わった雌花は、花が付いている茎(花柄:かへい)を手で折って取り除きます。

② 切り戻しの方法

生長して全体に茎が伸びてきたら切り戻して形を整え、株の中に風を通しましょう。切り戻す際は、葉が付いている節(ふし)の部分に出る葉芽(ようが・はめ)を残してください。全体を整える本格的な切り戻しは、夏が過ぎてからおこないます。

ベゴニアの栽培に必要なもの

ベゴニアの栽培に必要なもの

ベゴニアを栽培するときは、シャベルなどの基本的なツールのほかに次のものを用意しましょう。

花だんまたは鉢など

花だんで栽培するときは、種類に合わせて日なたまたは数時間だけ日が当たる半日陰(はんひかげ)の場所を選んでください。ただし、前年にベゴニアを栽培した場所は、病気などの連作障害(れんさくしょうがい)が出ることがあるので避けましょう。

鉢やプランターで育てるときは、ベゴニアの形状やサイズに合わせて選んでください。湿度が高い夏を乗り越えるには、通気性のよい素焼きの鉢をおすすめします。鉢植えの栽培には、ネットに入れた鉢底石(はちぞこいし)を用意すると便利です。ハンギングにする際は、フックやワイヤーなどもそろえましょう。

連作障害については、「連作障害とは?連作障害を防いで野菜を育てる方法や予防策を紹介」の記事をご覧ください。

土と肥料など

花だんで栽培するときは、たい肥と腐葉土(ふようど)、化成肥料を用意してください。鉢植えには、市販の草花用かベゴニア用の培養土、液体肥料または化成肥料を用意しましょう。

苗・種(たね)・球根

ベゴニアは、苗を購入して育てる方法がもっとも簡単です。ベゴニアの苗は、ツヤと厚みのある葉が多く付いているものを選びましょう。品種によっては種や球根から育てられるので、栽培に慣れたら挑戦してみてください。店頭で手に入りにくいものは、インターネット上の専門店で購入できます。

種をまくときは、ピートバンと受け皿、霧吹き、園芸用のポットを用意してください。ポットに種をまいて、底から水を吸わせる方法でも構いません。

支柱とビニタイなど

茎が直立するタイプや、全体に大きく育つタイプのベゴニアを育てるときは、支柱またはトレリス類とビニタイを用意しましょう。ある程度の高さまで生長したら、茎をビニタイで留めながら栽培します。また、夏の日差しが強すぎるときは、遮光ネットなどで日陰を作ってください。

【初心者におすすめ】ベゴニアの育て方

【初心者におすすめ】ベゴニアの育て方

それでは、一般的なベゴニア・センパフローレンスの育て方をご紹介いたします。

土の下準備

花だんで栽培するときは、土を深く掘り返して小石や古い根などを取り除き、日光に当てて消毒します。ベゴニアはやや酸性の土壌を好むので、石灰で中和させる必要はありません。植え付ける2週間ほど前にたい肥と腐葉土を加え、1週間ほど前になったら化成肥料を混ぜてなじませます。

鉢やプランターの古い土を使うときも、同様に下準備してから植え付けましょう。

酸性の土については、「ピートモスとは?特徴や使い方を知り酸性の土をつくろう」の記事で詳しくご紹介しています。

種まきの方法

発芽に適した気温は20~25℃くらいなので、十分に暖かくなってから作業してください。ピートバンを受け皿に入れ、吸水させてからパラパラと種をまきます。ベゴニアの種は発芽に光を必要とするため、種まきの後は土をかぶせません。

ピートバンを明るい日陰に置き、受け皿に水を足しながら発芽するまで乾燥させないように管理してください。温度が上がらないときは、ビニールをかぶせるか室内に置くなどして保温します。

発芽したら、徐々に日光に当てる時間を増やしましょう。水はけをよくするために受け皿の底に穴を開け、通常の方法で水やりをします。本葉が2~3枚まで育ったら、園芸用のポットに植え替えて栽培します。

植え付けのポイント

ベゴニア・センパフローレンスは、4~7月または9~10月が植え付けの適期です。花だんに植えるときは、株と株の間を15~20cmくらい空けましょう。苗の土の表面と地面を同じくらいの高さにして、株元がくぼまないように植え付けます。植え付けた後は、たっぷりと水を与えてください。

なお、ベゴニアはコリウスなどのカラーリーフと寄せ植えにすることも可能です。

寄せ植えについては、「寄せ植えの基本と作り方。初心者でもおしゃれに仕上げるコツも解説!」「春の寄せ植えを楽しもう!おすすめの花や苗選びのポイントを解説」の記事を参考にしてください。

日々の管理と肥料

花だんのベゴニアは基本的に水やりの必要がありませんが、猛暑などで土が乾きすぎるときは早朝に水を与えてください。鉢やプランターは、土の表面の乾き具合を見ながら水やりをします。春と秋は午前中に1回、夏は早朝と夕方の2回が目安です。

育て方のポイントでお伝えしたように、株の全体を観察して落ちた雄花や雌花の花がら、枯れた葉、弱った茎などをこまめに取り除きましょう。また、茎が長く伸びた部分や混み合う部分は、葉芽が付いている節の上で切って風通しをよくしてください。

夏の前の切り戻しは簡単に済ませ、9月ごろに株の根元から新しい芽が出てきたら、古い茎を切って全体を整理しましょう。夏の日差しが強すぎるときは、遮光ネットをかぶせるか支柱に渡すなどして日陰を作ります。

鉢植えのベゴニアは、春と秋に肥料を施します。化成肥料は月に1回、液体肥料は10日に1回くらいを目安にしてください。

冬越しの方法

ベゴニア・センパフローレンスは一年草として扱われますが、寒さが厳しくなる前に花だんの株を掘り上げ、鉢に植えて室内で管理すると冬を越せる場合があります。鉢植えのベゴニアも室内に取り込み、最低でも7℃以上を保ってください。

室内ではストーブやエアコンの直風に注意し、昼間は窓辺などに置いて日光に当てます。夜は窓や壁から離れた場所に移動し、室温が下がるときは鉢の周囲に不織布(ふしょくふ)や新聞紙を巻くとよいでしょう。冬は生育が衰えるので、水やりをやや控えて土を乾燥気味に管理します。

植え替えのタイミング

2年以上植えたままの鉢や、根詰まりを起こして底の穴から根が見える鉢などは、春または秋に植え替えましょう。植え替える際は、ひと回りまたはふた回り大きなサイズの鉢と新しい土を用意します。はじめにベゴニアを鉢から丁寧に取り出して、根の周りの土を軽く落としてください。

新しい鉢に鉢底石と土を入れ、株を置いて深さを調節してから周囲に土を入れます。割りばしなどを使用して、隙間にもしっかりと土を入れてください。水をたっぷりと与え、数日は日陰で様子を見てから徐々に日が当たる時間を増やします。

根詰まりについては、「根詰まりとは?根詰まりサインや失敗しない植え替え方法を解説」の記事をご覧ください。

ベゴニアの増やし方

ベゴニア・センパフローレンスや木立ち性ベゴニアなどは、挿し木(さしき)で増やすことが可能です。まだ開花していない茎を選び、葉芽が付いた節から2~3節の長さに切ったものを使用します。

土に挿す部分の葉を取り除き、水を入れた容器に1時間ほど挿して吸水させましょう。トレイなどに挿し芽用の土を入れ、霧吹きで湿らせてから茎を挿します。半日陰の場所に置いて、発根するまで乾燥しないように管理してください。品種によっては、水に挿して発根させてから土に植える方法も可能です。

ベゴニアのトラブルと対処法

ベゴニアのトラブルと対処法

最後に、ベゴニアに起こりやすいトラブルと対処法についてご紹介いたします。

ベゴニアの病気

春と秋には、葉に白い粉のようなかびが付くうどんこ病にかかることがあります。また、梅雨など長雨の時期は、葉に褐色の病斑(はん)が出る灰色かび病に気を付けてください。どちらも異変が出た部分を早急に取り除き、まん延を防ぎましょう。

うどんこ病については「【園芸の大敵!】うどんこ病とは?うどんこ病が発生する原因と対策について」、灰色かび病については「【被害が広がる前に対処しよう!】灰色かび病の症状と対策について」の記事で詳しくご紹介しています。

ベゴニアの害虫

春を迎えると、アブラムシの被害に遭いやすいので注意してください。アブラムシは植物の汁を吸うだけでなく、病気を引き起こすウイルスを運ぶことがあるため、早めの駆除を心がけましょう。

ベゴニアの栽培には、フマキラーの「カダンプラスDX」をおすすめします。ベゴニアをはじめとする草花のほか、野菜や花木などに幅広く使用できる薬剤で、アブラムシやハダニなどに効果があります。浸透性の薬剤が植物の全体に行き渡るので、葉の裏にひそむ害虫も手軽に駆除できます。

植え付けた後や害虫が発生する前にあらかじめ散布しておけば、アブラムシの寄り付きをおよそ1ヵ月間予防できます。

ベゴニアの育て方と魅力を知ろう

ベゴニアの育て方と魅力を知ろう

今回はベゴニアの育て方を中心に、基礎知識やベゴニアの種類、トラブルと対処法などについてご紹介いたしました。

スタンダードなタイプを選び、花がら摘みや切り戻しの方法を覚えれば、育て方は初心者の方でもそれほど難しくありません。栽培に慣れてきたら、好みや環境に合わせて豊富な種類の中からお選びください。

「For your LIFE」で紹介する記事は、フマキラー株式会社または執筆業務委託先が信頼に足ると判断した情報源に基づき作成しておりますが、完全性、正確性、または適時性等を保証するものではありません。

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