2021年8月20日 | 園芸・ガーデニング
【8~9月に鑑賞する花の手入れ】初心者にもわかりやすく育て方や注意すべき害虫を紹介
暦の上で「立秋」を迎えても、実際にはまだまだ厳しい残暑が続きます。この時期は暑さに強い花を選び、適切な手入れをしながら秋まで観賞しましょう。
今回は、8~9月に楽しめる花を7種類ご紹介し、それぞれの概要や育て方と病害虫、秋まで観賞する際の花の手入れなどについて解説いたします。
8~9月に観賞できる花7選
それでは、8~9月にも楽しめる花を7種類ご紹介いたします。
ヒマワリ
夏の代表的な花、ヒマワリを秋まで観賞しましょう。
概要
- キク科ヒマワリ属
- 一年草
- 開花期:7~9月
ヒマワリと聞くと高さ1~2mの一重の花をイメージしますが、30cmくらいの矮性(わいせい)種から3mくらいまで伸びる大型のものまで流通します。花のサイズもさまざまで、八重咲きのタイプも楽しめます。タネを食用にしたり、タネから油を採取したりする品種もあります。花をドライフラワーにすれば、クラフトにも使用できます。
育て方と病害虫
鉢植えは、早朝と夕方に水やりをして乾燥を防ぎましょう。支柱を立てて栽培し、開花までは定期的に液体肥料を与えます。複数の花がつくタイプは、咲き終わった花(花がら)を摘み取ると長く観賞できます。株元に白いカビが生える白絹(しらきぬ)病や、ハダニ・ナメクジ・ハモグリバエ・アザミウマなどの被害には注意しましょう。
ヒマワリについては、「【ひまわりの育て方】さまざまな種類やサンフィニティを見ることのできる施設を紹介」、ドライフラワーについては「ドライフラワーの簡単な作り方を解説【インテリアやプレゼントにも最適!】」の記事で詳しくご紹介しています。
ポーチュラカ
「ハナスベリヒユ」とも呼ばれ、初夏から秋まで花を楽しむことができます。
概要
- スベリヒユ科スベリヒユ属(ポーチュラカ属)
- 一年草・二年草・多年草
- 開花期:5~10月
高さ10~20cmほどで、地面をはうようにしてどんどん広がります。花の色は赤やピンク、オレンジ、黄、白などと豊富で、日当たりのよい場所で育てれば次々と花を咲かせます。午後になると花を閉じる性質がありますが、近年では夕方まで咲く品種も開発されています。多肉質の葉に水分を貯蔵し、夏の暑さや乾燥に強い点が特徴です。
育て方と病害虫
多湿を嫌うため、土の様子を見ながらやや乾燥気味に育てましょう。日光が足りないと、ヒョロヒョロと徒長(とちょう)するので注意してください。こまめに花がらを摘み取れば、秋まで花を楽しめます。生育が旺盛なので、適宜せん定して風通しをよくしてください。トラブルは少なめですが、ナメクジの被害に遭うことがあります。
ペンタス
この夏は、星形の小さな花が集まって咲くペンタスを育ててはいかがでしょうか。
概要
- アカネ科クササンタンカ属(ペンタス属)
- 低木だが一年草とすることもある
- 開花期:5~10月
熱帯が原産で暑さに強く、夏の間も元気に花を咲かせます。花の色はピンクや赤、白、紫で、開花期が長い点もメリットです。もともとは低木で1.5mくらいまで育ちますが、冬越しが難しいため一年草として扱う場合もあります。近年では、矮性種や葉に斑(はん)の入る品種も流通します。
育て方と病害虫
夏の間の鉢植えは、朝と夕方に水やりをしてください。開花中は、2週間に1度のペースで液体肥料を与えます。花がらを摘み取り、伸びすぎた茎や混み合ったところは適宜せん定してください。生育の勢いが落ちたら、切り戻して秋の開花に備えましょう。灰色のかびがつく灰色かび病や、アブラムシ・チョウ目類の被害に注意してください。
灰色かび病については、「【被害が広がる前に対処しよう!】灰色かび病の症状と対策について」の記事をご覧ください。
ニチニチソウ
「ビンカ」とも呼ばれ、花だんだけでなく寄せ植えなどにしても楽しめます。
概要
- キョウチクトウ科ニチニチソウ属
- 一年草
- 開花期:5~11月
丈夫で育てやすく、夏の暑さや乾燥に強く開花期も長い点が大きな魅力です。花の色はピンクや赤、白、紫などがあり、近年ではフリンジ咲きや「風車(かざぐるま)咲き」と呼ばれるタイプも流通しています。矮性や背が高く伸びる高性(こうせい)、地をはうタイプのほふく性があるため、ガーデニングのデザインに合わせて選びましょう。
育て方と病害虫
日当たりと風通しのよい場所で栽培し、鉢植えは長雨などで加湿にならないように気をつけてください。花がらをこまめに摘み取り、散った花びらも取り除きましょう。通常より薄めにした液体肥料を、少なめに与えます。灰色かび病や葉などに灰緑色や褐色の斑が出る疫(えき)病に注意し、アブラムシを見つけたときはすぐに駆除してください。
寄せ植えについては、「寄せ植えの基本と作り方。初心者でもおしゃれに仕上げるコツも解説!」「春の寄せ植えを楽しもう!おすすめの花や苗選びのポイントを解説」、ガーデニングデザインについては「ガーデニングデザインで自宅のお庭をおしゃれな空間に!」の記事でもご紹介しています。
キキョウ
キキョウは古くから人々に愛され、万葉集や秋の七草にも登場する植物です。
概要
- キキョウ科キキョウ属
- 多年草
- 開花期:6~10月
日本をはじめとするアジアに自生しますが、国内では数が減り絶滅危惧(きぐ)種に指定されています。明治時代までは黄色や緑色の花もあり、花びらの形状も多彩に楽しめました。現在は紫・ピンク・白がメインで、花びらは二重(ふたえ)と八重(やえ)のみです。なお、トルコギキョウはリンドウ科に属するため、キキョウの仲間ではありません。
育て方と病害虫
水はけのよい土を好むので、花だんは盛り土をしてから植えましょう。生長したら支柱で支え、月に数回のタイミングで液体肥料を与えてください。鉢植えは土の表面が乾いたら水を与え、根詰まりしないように毎年植え替えます。株元から腐敗する立枯(たちがれ)病や、ハダニ・ウリハムシなどの害虫に気をつけましょう。
根詰まりについては「根詰まりとは?根詰まりサインや失敗しない植え替え方法を解説」、ハダニについては「植物に寄生するハダニとは?ハダニの予防と駆除について解説」の記事もご覧ください。
マリーゴールド
育て方が簡単で、残暑の厳しい時期にも鮮やかな花を楽しむことができます。
概要
- キク科マンジュギク属(タゲテス属)
- 一年草、一部は多年草
- 開花期:4~12月
小型で分岐の多いフレンチ・マリーゴールド、背が高く大輪の花を咲かせるアフリカン・マリーゴールド、その両方を交配させた品種もあります。ボリュームがあるため、花だんや寄せ植えでは華やかな雰囲気を楽しめます。土壌内のセンチュウの予防に効果が期待できることから、コンパニオンプランツとしても利用されます。
育て方と病害虫
夏の間の鉢植えは早朝と夕方に水やりをして、定期的に肥料を与えてください。花がらをこまめに摘み取り、株の衰弱と病気の予防に努めましょう。生育の勢いが落ちた株は、夏の終わりに切り戻すと秋に再び花を楽しめます。灰色かび病や、ヨトウムシ・ハモグリバエなどの被害に注意してください。
コンパニオンプランツについては、「コンパニオンプランツを活用し野菜を栽培しよう!植え方や組み合わせ一覧」の記事でもご紹介しています。
インパチェンス
ニチニチソウと似ていますが、属する科や葉の形が異なります。
概要
- ツリフネソウ科ツリフネソウ属(インパチェンス属)
- 一年草
- 開花期:5~11月
開花期が長く、花の色は白やピンク、赤、オレンジ、2色の混ざるタイプが楽しめます。花びらには一重や八重、その間の半八重(はんやえ)があり、葉に斑が入る品種も流通します。ボリュームを生かして、寄せ植えやハンギングにするのもおすすめです。半日陰でも育ちますが、基本的には日当たりのよい場所で管理してください。
育て方と病害虫
開花後は自然に花が落ちるので、拾い集めて病気の予防を心がけましょう。肥料は、月に1度のペースで化成肥料を与える程度で構いません。株の勢いが衰えたときは、いったん半分くらいまで切り戻すと秋に再び花を楽しめます。葉の裏に白いかびがつくインパチェンスべと病や、ヨトウムシの被害に気をつけましょう。
べと病については、「べと病とは?べと病が発生する原因と対策について」の記事を参考にしてください。
8~9月に花を観賞する際のポイント
最後に、8~9月の花の基本的な手入れについてご紹介いたします。残暑が厳しい時期の鉢植えは、基本的に早朝と夕方に水やりをします。花だんの乾燥が続いたときは、早朝に水を与えてください。西日が当たる場所は日よけネットをかけるか、鉢を移動するなどして対処しましょう。
台風や豪雨のときは、鉢植えを安全な場所や室内に移動すると安心です。花だんの植物には周囲に支柱を立て、ネットや不織布(ふしょくふ)などで囲う方法がおすすめです。低~中くらいの高さの植物には、不織布などをかけて石やレンガで固定してもよいでしょう。
8~9月の間も、花がらの摘み取りや伸びすぎた部分のせん定が欠かせません。暑さに強いとされる植物も、夏を乗り越えた後は少々衰弱しています。品種によっては半分くらいまで切り戻し、秋の開花に備えるとよいでしょう。日々の観察を欠かさず、病害虫が疑われる部分はすぐに取り除いてください。
8~9月に観賞する花の管理には、フマキラーの「カダンセーフ」がおすすめです。灰色かび病のほか、アブラムシやハダニにも効果を発揮。食品成分由来の膜が病害虫を包んで退治。害虫は呼吸ができずに窒息死し、病原菌も栄養を得られず死滅します。
屋内での使用や、お子様・ペットのいるご家庭でも安心してご使用いただけます。また活力成分の天然アミノ酸とAO(アルギン酸オリゴ糖)を配合していますので、病害虫対策だけでなく植物の生育もサポートする優れものです。
8~9月に観賞できる花を楽しもう
今回は、8~9月に楽しめる花の概要と育て方や病害虫、この時期に観賞する植物の手入れのポイントなどをご紹介いたしました。暑さが厳しい間は鉢植えの水切れに気をつけ、花がら摘みやせん定、病害虫のチェックなどの作業を日課としましょう。
品種によっては、切り戻して株を休ませると秋に再び開花します。夏を乗り越えた花々に適切な手入れをほどこして、初秋までじっくりと鑑賞をお楽しみください。