2020年4月20日 | 感染症
【蚊の媒介による感染症】感染症の種類・症状・治療・予防について解説
蚊は世界でもっとも危険な生物と言われるほど、蚊に刺されたことで命を落とす感染症の被害が世界のさまざまな地域で起こっています。日本の感染症法で監視している蚊の媒介による感染症は、ジカウイルス感染症・デング熱・ウエストナイル熱・マラリア・チクングニア熱・黄熱・日本脳炎の7種類。
今回は、蚊媒介の感染症について見ていくとともに、それぞれの感染症について解説していきます。
蚊媒介の感染症とは
蚊媒介の感染症とは、人の健康を害す病原体を持った蚊に刺されることによって起きる感染症です。近年、日本でも症例が確認されたり、海外で大きなニュースとなった蚊媒介による感染症には冒頭の7種類があり、このうちデング熱、チクングニア熱、ジカウイルス感染症、日本脳炎、ウエストナイル熱、黄熱はウイルス疾患、マラリアは原虫疾患に分類されます。
蚊の媒介による感染症の種類
続いて、蚊媒介による感染症の種類についてその概要を見ていきます。
ジカウイルス感染症
発生地域 | 中南米・カリブ海地域、オセアニア太平洋諸島、アフリカの一部(カーボベルデ)、タイ |
---|---|
感染経路 | ネッタイシマカ、ヒトスジシマカなど (ヒト→蚊→ヒト) |
潜伏期間 | 2~12日 (多くは2~7日) |
症状 | 軽度の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、斑丘疹、結膜炎、疲労感、倦怠感など |
日本での報告有無 | なし |
治療 | 特別な治療法はなく、症状に応じて対症療法が行われる |
デング熱
発生地域 | 東南アジア、南アジア、中南米、カリブ海諸国、アフリカ |
---|---|
感染経路 | ネッタイシマカ、ヒトスジシマカなど (ヒト→蚊→ヒト) |
潜伏期間 | 2~15日 (多くは3~7日) |
症状 | 発熱で始まり、頭痛、眼窩痛、筋肉痛、関節痛 |
日本での報告有無 | あり
2014年に約70年ぶりの国内感染が報告されている 2016年には、海外から帰国した方がデング出血熱を発症し、死亡する事例が発生 |
治療 | 特別な治療法はなく、症状に応じて対症療法が行われる |
ウエストナイル熱
発生地域 | アフリカ、ヨーロッパ、中東、中央アジア、西アジア、米国など |
---|---|
感染経路 | アカイエカ、チカイエカ、ヒトスジシマカなど (鳥→蚊→ヒト) |
潜伏期間 | 2~6日 |
症状 | 発熱、頭痛、背部痛、筋肉痛、筋力低下、食欲不振、発しん |
日本での報告有無 | なし |
治療 | 特別な治療法はなく、症状に応じて対症療法が行われる |
マラリア
発生地域 | 東南アジア、アフリカ、中南米 |
---|---|
感染経路 | ハマダラカ (ヒト→蚊→ヒト) |
潜伏期間 | 7~40日 |
症状 | 発熱、悪寒、倦怠感、頭痛、筋肉痛、関節痛 |
日本での報告有無 | なし ※戦前には土着のマラリアが見られた |
治療 | 抗マラリア薬により行われる。感染地した地域、治療する国によって使用する薬剤が異なる |
チクングニア熱
発生地域 | アフリカ、南アジア、東南アジア |
---|---|
感染経路 | ネッタイシマカ、ヒトスジシマカなど (ヒトなど→蚊→ヒト) |
潜伏期間 | 3~12日 (多くは3~7日) |
症状 | 急性の発熱と関節痛、発しん |
日本での報告有無 | なし |
治療 | 特別な治療法はなく、症状に応じて対症療法が行われる |
黄熱
発生地域 | アフリカおよび南米の熱帯・亜熱帯地域 |
---|---|
感染経路 | おもにネッタイシマカ (ヒトやサル→蚊→ヒト) |
潜伏期間 | 3~6日 |
症状 | 発熱、頭痛、悪寒など。重症の場合は、再びの高熱、黄疸、出血傾向、意識障害など |
日本での報告有無 | なし |
治療 | 特別な治療法はなく、症状に応じて対症療法が行われる |
日本脳炎
発生地域 | 日本、中国、東南アジア、南アジア |
---|---|
感染経路 | コガタアカイエカ (豚→蚊→ヒト) |
潜伏期間 | 6~16日 |
症状 | 発熱、頭痛、吐き気、おう吐、めまい、意識障害 |
日本での報告有無 | 毎年10人前後 ※予防接種の開始により著しく減少 |
治療 | 特別な治療法はなく、症状に応じて対症療法が行われる |
【参考】東京都感染症情報センター 四類感染症の対象疾患となっている主な蚊媒介感染症
よく聞く他の感染症
よく聞く感染症に、インフルエンザ、ノロウイルス、O157、A・B型肝炎、結核、エボラ出血熱、コレラなどがありますが、これらは蚊媒介による感染症ではありません。
これらの感染症は、細菌やウイルスなどの病原体を咳やくしゃみによって唾などの飛沫を吸い込んでしまう「飛沫感染」や、ドアノブなど感染者が触れたモノに触れることでウイルスが付着してしまう「接触感染」によって発症する恐れがあり、ノロウイルスやO157などは食べ物を媒介して発症する恐れがある感染症です。
蚊媒介の感染症を予防するためには
蚊媒介による感染症は、感染するとほとんどが対症療法(そのときの症状を緩和するための治療のこと)が中心となります。つまり、特別な治療薬や特効薬がないため、蚊媒介の感染症は「感染しないための予防」がとても大切です。
蚊に刺されないように注意する
蚊媒介による感染症予防は、蚊に刺されないようにすることがいちばん。蚊が近寄りにくく、近寄っても刺されにくくすることで、蚊に刺される頻度を大きく減らすことができます。ここでは、そのポイントについて見ていきます。
蚊の出そうな場所を避ける
蚊は日光を避けた水辺に卵を産みつけます。池や沼など日あたりの悪い水辺や、庭の水が入ったバケツや雨水がたまった場所なども要注意。さらに、草などが生い茂っている場所や公園の木陰などにも多く潜んでいます。
服装に気を配る
蚊が刺す範囲を少なくするためにも、長袖・長ズボンなどを着用して肌の露出を抑えるようにしましょう。汗をかきやすい首まわりも刺されやすい部位のため、なるべく襟の付いたものを着用し、色は白などの明るめのものがおすすめです。
夏場はサンダルを履く機会が多くなりますが、蚊が多い場所に行くときは指先まで覆ってくれる靴を履くようにしましょう。
虫よけ剤を使用する
虫よけ剤にはディートやイカリジンなど蚊が苦手とする成分が配合されています。汗をかくシーズンは、虫よけ剤の成分が流れ落ちてしまう可能性が高いため、こまめに塗り直すことがポイント。製品にもよりますが、2~3時間ごとに塗り直すと良いでしょう。使用時は必ずメーカーが推奨する使用法を守るようにしてください。
フマキラーの天使のスキンベープ プレミアム[イカリジン配合]は、新虫よけ成分「イカリジン」の濃度を15%まで高めたことで、虫よけ効果が長時間(6~8時間)持続します。お肌にやさしく、赤ちゃんから大人まで使える虫よけです。エアゾールタイプの天使のスキンベープ プレミアムは、パウダー入りでベタつかず、イヤなニオイもないので、虫よけを塗るのを嫌がるお子様でも気持ちよく使えます。ミストタイプの天使のスキンベープ ミスト プレミアムは、潤水成分ヒアルロン酸Naを配合していて、やさしい使い心地です。
殺虫剤を使用する
近寄ってくる蚊を退治(駆除)するには、殺虫剤の使用がおすすめです。殺虫剤には室内タイプや、屋外の庭木や茂みでも効果を発揮できるタイプなど複数の種類があります。製品によって使用場所や効果の持続時間なども異なるため、目的に合わせて選ぶようにしましょう。防除用医薬部外品と記載があり、適用害虫に「蚊」と記されているものを使用しましょう。
フマキラーのフマキラーAダブルジェットプレミアは、効き目成分を高濃度に配合したプレミア処方のエアゾールタイプの殺虫剤です。ノックダウン成分と致死成分量を3倍(※)に増やすとともに、虫に付着しやすい45ミクロンの粒子径を採用することで、少ない噴霧量でもしっかりと効果を発揮。汚れの原因となるオイル量を大幅にカットすることで、ベタつかず室内でも安心して使用でき、イヤなニオイもつきません。
※当社従来品との比較、原液100mlあたりの含有量として
ワクチンを接種する
インフルエンザの予防にワクチンを接種する人も多いですが、蚊媒介の感染症もワクチンを接種することで発病のリスクをある程度抑えることができます。しかし、蚊媒介の感染症すべてにワクチンがあるわけではありません。
蚊媒介感染症に有効なワクチンは黄熱ワクチン、日本脳炎ワクチンの2種類。デング熱に関しては、複数の国の規制当局から認可されていますが、日本国内で利用可能なワクチンは存在しません。
「感染症から日本を守れ」フマキラーの高濃度虫よけ剤開発秘話
世界では、マラリアやデング熱、西ナイル熱やジカウイルス感染症など蚊が媒介する感染症が、毎年約70万人もの命を奪っています。日本の蚊の数十倍も薬剤抵抗性が強いインドネシアやブラジルなどの蚊から身を守るために、フマキラーは海外の研究開発拠点で研究をスタート。
現地の蚊を駆除する蚊取り線香を新開発するなど、殺虫剤の効力を徹底的に高め、人々を感染症から守る活動を続けてきました。
そして2014年8月、70年ぶりに日本国内でデング熱が発生。蚊による被害を防ぐためにも、直接肌に吹きかける人体用虫よけ剤は有効な手段のひとつですが、それまで日本で販売されていた人体用虫よけ剤では、有効成分の「ディート」は医薬品で12%、防除用医薬部外品では10%以下、2015年に国内で認可された新有効成分の「イカリジン」は防除用医薬部外品で5%の濃度しか認可されていませんでした。
しかし、この国民生活の危機に、厚生労働省が人体用虫よけ剤についてはディート濃度を30%、イカリジン濃度を15%まで高めた製品を承認する方針を決定。
この決定を受け、フマキラーが高濃度製品の開発に取り組んだ結果、早期承認を取得し、蚊の発生シーズン中の発売(医薬品スキンベープミストプレミアム、天使のスキンベーププレミアム、天使のスキンベープミストプレミアム)に漕ぎつけました。
この異例とも言えるスピード発売は、日本国民の重大な危機に対し、国と民間企業がお互いの力を合わせ、本気で立ち向かったからこそ実現したものと言えます。
蚊を媒介とする感染症との戦いにおける高濃度虫よけ剤の開発は、「ひとの命を守る」を経営理念に掲げ、長年に渡り世界中で危険な害虫と戦い続けてきたフマキラーの悲願であり、それまで生活を快適にする道具だった殺虫剤の役割を「命を守る必需品」に変えるきっかけとなりました。