2022年8月15日 | 園芸・ガーデニング
ひまわりは夏の代表的な花!知られざる魅力や花言葉を紹介
真夏の太陽の下で、鮮やかに咲き誇るひまわり。夏の代表的な花として人気がありますが、栽培や観賞のほかにも多くの魅力があることをご存じでしょうか。
今回は、ひまわりの基礎知識と花言葉、知られざる魅力をご紹介し、ひまわりの育て方とおすすめの新種「アポロン」についても解説いたします。
ひまわりの基礎知識と花言葉
はじめに、ひまわりの基礎知識からご覧ください。
ひまわりの概要
ひまわりはキク科ヒマワリ属の一年草で、基本的には7~9月が開花期です。100を超える種類があり、高さは30cmくらいから3mくらいのものまでさまざまです。一般的な一重(ひとえ)咲きのほかにも、たくさんの花びらがついた八重(やえ)咲き、その中間の半八重(はんやえ)咲きがあります。
「ひまわり」の名前は太陽の位置に合わせてつぼみの向きが変わることから名付けられ、英語では「sunflower(サンフラワー)」と呼ばれます。ひまわりの花は、キク科特有の「舌状花(ぜつじょうか)」と呼ばれる周囲の花びらと「管状花(かんじょうか)」と呼ばれる中心部から成り、開花後は管状花が変化して種(たね)を作ります。
キク科の花については、「【菊(キク)の育て方】植え替えや挿し木の仕方は?病気・害虫対策も解説」「【キバナコスモスの育て方】種まきや開花時期はいつ?花言葉も解説」の記事をご覧ください。
ひまわりの歴史
ひまわりの歴史は古く、紀元前1500年ごろから栽培されていました。原産地は北アメリカで、当時の先住民は種を食用や医療用、染料に使用したとされます。16世紀ごろにスペインをはじめとするヨーロッパ各地へ広まり、やがてロシアや中国へ伝わりました。
1660年代に日本へ伝来したころは「丈菊(じょうぎく)」や「天蓋花(てんがいか)」などと呼ばれ、後に「日廻(まわ)り」に変化しました。漢字の「向日葵」はもともと中国語で、アオイ(葵)科の花が日光のほうを向いて咲くことに由来します。
ひまわりの花言葉
ひまわりの花言葉には、「あなただけを見つめる」「あなたを幸せにします」という愛情に関する内容のほか、「あこがれ」「崇拝」「情熱」「光輝」などがあります。また、下記のように本数によっても異なるので、贈る相手に合わせて選んではいかがでしょうか。
1本:「あなたは運命の人」
3本:「あなたを愛する」
4本:「あなたを一生愛し続ける」
6本:「あなたに夢中」
7本:「秘かな愛」
9本:「いつまでも一緒に」
11本:「最愛」
12本:「恋人になってください」「結婚してください」
99本:「永遠の愛」
なお海外では、ひまわりのような黄色い花を「魔除け」や「護身」、「無事を願う」などの意味にも使います。
黄色い花については「黄色い花を咲かせよう!黄色い花の種類を春・夏・秋・冬の季節ごとに紹介」の記事を参考にしてください。
ひまわりの知られざる魅力
続いて、ひまわりの知られざる魅力をご紹介いたします。
サンフラワーオイル
「サンフラワーオイル」とはひまわりの種を原料にして作られたオイルで、「ひまわり油」と呼ぶこともあります。種に圧力をかけてしぼる「圧搾(あっさく)法」のほか、食品添加物の溶剤を加えて抽出する「抽出(ちゅうしゅつ)法」と圧搾法を合わせた「圧抽(あっちゅう)法」で製造されます。
食用のサンフラワーオイル
サンフラワーオイルは、オレイン酸を多く含む「ハイオレイック」・中くらいの「ミッドオレイック」・リノール酸を多く含む「ハイリノール」に分かれます。また、サンフラワーオイルを含む食用油は豊富なビタミンE・あっさりとした味わいを特徴とし、農林水産省「食用植物油脂の日本農林規格」で厳しく取り決められたものが流通しています。
なお、平成30年2月時点の遺伝子組み換え食品は、ジャガイモなどの8品目に限られて認められています。したがって、サンフラワーオイルの原料となるひまわりは、遺伝子の組み換えがおこなわれていないものを使用しなければなりません。
【参考】
農林水産省「食用植物油脂の日本農林規格」
農林水産省「食用ひまわり油の脂肪酸組成は、どのようになっていますか。」
消費者庁「遺伝子組み換え食品」
そのほかのサンフラワーオイル
サンフラワーオイルには保湿の効果があるとされ、マッサージオイルやヘアケアの商品にも用いられます。また、肌に広がりやすく浸透しやすいことから、肌荒れなどのダメージにも効果が期待できます。
さらに、精油(エッセンシャルオイル)を希釈(きしゃく)する際のベースとなる「キャリアオイル(Carrier Oil)」にも使用されます。キャリアオイルは精油の成分を効率的に体内まで運ぶ役割があるため、アロマテラピーやエステなどに用いられます。
食用の種(たね)
ひまわりの種は栄養豊富で、たんぱく質やビタミンB類、ビタミンE、カリウム、亜鉛、鉄分などが含まれます。食用としては、外皮を取り除いたものが生やローストなどで販売されています。そのまま食べるだけでなく、サラダのトッピングやパン・ケーキなどにも使用できます。
なお、市販の一般的なひまわりには農薬などが使用されているため、種を食用にすることはできません。自分で栽培したひまわりの種を食べたいときは、「食用ひまわり」と記載されている種または苗を購入してください。
エディブルフラワー(食用の花)については、「【食べられる花】エディブルフラワーの種類や家庭でできる栽培方法」の記事で詳しくご紹介しています。
バイオ燃料や素材
バイオ燃料とは、植物・動物の死骸(しがい)や排せつ物といった生物由来の有機性資源(バイオマス)を原料とする再生可能な燃料を指し、二酸化炭素の排出量を軽減できることから、地球温暖化防止に役立つとして注目されています。
ひまわりの種からしぼった油を加工して製造するバイオディーゼル燃料(BDF)は、軽油の代替品として一部のバスやトラクターなどに利用されます。また、ひまわりの茎や葉を利用したバイオエタノール燃料の研究も進められています。
さらに、種のしぼりかすや茎、葉は動物の飼料に使用されるほか、これらを再利用して植物性のレザーや塗料、接着剤などに作り替える試みもおこなわれています。
緑肥(りょくひ)とコンパニオンプランツ
「緑肥」とは、刈った植物をそのまま田畑にすき込んで肥料にすることで、主にイネ科やマメ科の生育が容易な植物を使用します。ひまわりはキク科に分類されますが、古くから緑肥に用いられてきました。
生育中のひまわりは、土壌内で根と菌が共生するための菌を作る「菌根菌(きんこんきん)」を増やし、リン酸を可溶化して後に植える作物の吸収を促す役割を果たします。また、深く根を張ることから、水分が通りやすい状態に土を改善する効果ももちます。ひまわりを緑肥にするときは、開花前の茎が柔らかい時期にすき込むことが一般的です。
コンパニオンプランツとは、近くに植えると互いに生育を助け、病気などを予防する効果が期待される植物のことです。ひまわりはメロンと相性がよく、先述した土壌内効果のほか、大きい花で昆虫を呼び寄せてメロンの受粉を促す役割も果たします。
さらに、背が高く伸びるひまわりは病害虫や病原菌の侵入を防ぐ「バンカープランツ」として、田畑の周囲で栽培されることもあります。
コンパニオンプランツについては、「コンパニオンプランツを活用し野菜を栽培しよう!植え方や組み合わせ一覧」の記事で詳しくご紹介しています。
【初心者向け】ひまわりの育て方
ひまわりは育てやすいため、ぜひ初心者の方も栽培に挑戦してみてください。
種をまく場合
ひまわりの種まきは、地温が20~25℃くらいまで上がる4月下旬ごろが適しています。花だんや鉢には深さ2cmくらいの穴を掘って数粒をまき、土をかぶせてたっぷりと水を与えます。大きく育つ品種は、50~60cmくらいの間隔を空けて種をまいてください。
園芸用のポットを使用する場合は、同様に種をまいて乾燥しないように管理します。発芽後に本葉が出たら元気な1本を残してほかを抜き取り、本葉が3~4枚まで育ったら植え付けましょう。植え替えるときは、根を傷めないように丁寧に扱ってください。
日当たりと水やり
日光を好むので、鉢植えは日当たりのよい場所で管理しましょう。鉢植えの水やりは午前中におこない、夏の間は早朝と夕方に水を与えます。花だんに植えたひまわりには基本的に水やりをしませんが、猛暑で土が乾きすぎるときは早朝に水を与えてください。
そのほかの管理
茎が伸びてきたら、ビニタイを使用して支柱で支えながら栽培します。台風などの荒天時は、鉢植えを風雨の当たらない場所に移動しましょう。1つの茎に大きな花を咲かせるには、脇から出る芽を摘み取りながら栽培してください。
分岐するタイプのひまわりは、先端を摘芯(てきしん)すると枝が分かれてボリュームが出ます。多くの花が咲く品種は、咲き終わった花(花がら)をこまめに切り取ってください。肥料は、開花の前まで2週間に1度を目安にして与えましょう。
ひまわりの育て方については「【ひまわりの育て方】さまざまな種類やサンフィニティが見られる施設も紹介」の記事をご覧ください。
花と種の収穫
切り花を観賞するときは朝に収穫し、下部の葉を取り除いてバケツなどに入れた水の中で茎を斜めにカットします。一輪挿しなどには少量の水を入れ、水に触れる部分を少なくして活けると長持ちします。
ひまわりをドライフラワーにするときは、形がよいものを収穫しましょう。花を下向きにして風通しのよい場所につるすか、大きめの容器に花用シリカゲルとひまわりを入れて密封し乾燥させます。
種を収穫するときは花が茶色く枯れるまで待ち、種が黒くなったら花を切り取って陰干しします。大きくて硬い種を選んで収穫し、封筒などに入れて密封してから冷暗所で保管してください。
一輪挿しについては「【一輪挿しでお部屋を華やかに!】一輪挿しの魅力や楽しみ方を紹介します」、ドライフラワーについては「ドライフラワーの簡単な作り方を解説【インテリアやプレゼントにも最適!】」の記事を参考にしてください。
魅力的なひまわり「アポロン」
最後に、フマキラーが国内で独占販売するひまわりの新種「アポロン」の魅力についてご紹介いたします。
アポロンの概要と管理
「アポロン」とはギリシャ神話に登場する太陽の神の名前で、アポロンに恋する水の精が片思いに苦しみ、天空を見上げて立ち尽くした後にひまわりに姿を変えたという神話にちなんで付けられました。
アポロンは1株に150輪以上の花を咲かせる多花性のひまわりで、晩春から霜が降りる時期まで長く観賞できる点が特徴です。旺盛な生育力でどんどん分岐し、夏らしい鮮やかな黄色い花を次々と咲かせる魅力的なひまわりです。
ひまわりの栽培には
ひまわりの栽培には、フマキラーの「カダンセーフ」がおすすめです。ひまわりに発症したうどんこ病のほか、アブラムシやハダニにも効果があります。食品成分由来の膜が病害虫を包んで退治。害虫は呼吸ができずに窒息死し、病原菌も栄養を得られず死滅します。
屋内やお子様・ペットのいるご家庭でも安心してご使用いただけます。また活力成分の天然アミノ酸とAO(アルギン酸オリゴ糖)を配合していますので、病害虫対策だけでなく植物の生育もサポートする優れものです。
ひまわりの魅力を知ってもっと身近に
今回は、ひまわりの基礎知識や花言葉、知られざる魅力のほか、ひまわりの育て方とおすすめの新種「アポロン」についてご紹介いたしました。ひまわりは栽培や観賞だけでなく、サンフラワーオイルや食用の種、再利用の試みなどに広く活用される魅力的な植物です。
ちなみに、国内初の静止気象衛星である「ひまわり1号」が打ち上げられた7月14日はひまわりの日。今年の夏は、ひまわりの魅力を楽しみながら過ごしませんか。