2021年6月23日 | 園芸・ガーデニング
【サルビアの育て方】種まきの方法から水やり・切り戻し・施肥・冬越しの方法まで解説
初夏から秋までの間、鮮やかな花を次々と咲かせるサルビア。基本的に丈夫で暑さに強いため、育て方もそれほど難しくありません。今回は、サルビアの育て方を中心に、基礎知識と育て方のポイント、トラブルと対処法などについてご紹介いたします。
サルビアの基礎知識
はじめに、サルビアの基礎知識を身につけましょう。
サルビアの概要
シソ科アキギリ属(サルビア属)に分類されるサルビアは、「セージ(sage)」の呼び名でも知られます。もともと二年草や多年草、または低木ですが、冬の寒さに弱いものは一年草として扱われます。開花期は6~11月と長く、赤やピンク、紫、青、白、黄などの花色を観賞できます。
高さは20cmくらいから2m程度まで伸びるものもあり、品種によっては香りを楽しむこともできます。メキシコや南米を中心として世界各地に分布し、国内には10種が自生します。
栽培の歴史は紀元前までさかのぼり、一部の品種はかつて医療用に使われました。このため、「癒やす(いやす)」「救う」などを意味するラテン語の「salvare」が、サルビアの語源とされます。
よく見かける赤いサルビアは「サルビア・スプレンデンス」と呼ばれる品種で、1800年代にブラジルで発見された後にイギリスに渡り、国内には明治時代に伝わりました。
サルビアの種類
現在サルビアには、900を超える品種が知られます。一年草として扱われる品種には、上記サルビア・スプレンデンスのほか、「ブルーセージ」または「ブルーサルビア」と呼ばれる「サルビア・ファリナセア」などがあります。
多年草では、「チェリーセージ(サルビア・ミクロフィラ)」「パイナップルセージ(サルビア・エレガンス)」「メドーセージ」の名でも知られる「サルビア・ガラニチカ」などが流通します。なお、ハーブ類をセージと呼ぶ場合は、「コモンセージ(サルビア・オフィシナリス)」を指すことが一般的です。
ハーブについては、「ハーブ栽培は庭やベランダの虫除けにも最適!」「手軽に育てられるキッチンハーブの魅力」の記事をご覧ください。
サルビアの育て方【2つのポイント】
サルビアは育て方が簡単なので、次の2点を押さえれば心配ありません。
① 水切れと過湿に注意
サルビアのようによく花を咲かせる品種は、水の不足に気をつけてください。ただし、鉢植えは雨が続くと過湿になりやすいため、軒下(のきした)などに移動させましょう。
② 定期的に肥料を与える
初夏から秋まで長く花が咲くサルビアは、肥料を好みます。後述の方法を参考にしながら、定期的に肥料を与えてください。
サルビアの栽培で必要なもの
シャベルやジョウロ、園芸用のハサミなど基本的なツールのほかに、次のものを用意しましょう。
花だんまたはプランター
花だんは、日当たりと水はけのよい場所を選んでください。サルビアは、病気や生育不良などの連作(れんさく)障害が出にくい植物ですが、同じシソ科を植えた場所に続けて栽培するのは避けましょう。鉢やプランターで育てるときは、ネットに入れた鉢底石も必要です。
タネまたは苗
タネから育てるときは環境に合わせて品種を選び、タネまき用のトレイと土、園芸用のポット、霧吹きを用意しましょう。サルビアの苗を購入する場合は、茎が太く葉の緑が鮮やかなものを選んでください。苗につぼみがついているか、ポットの底から根が見えているかも、忘れずにチェックしましょう。寄せ植えにする場合は、高く伸びすぎない品種が適しています。
寄せ植えについては、「寄せ植えの基本と作り方。初心者でもおしゃれに仕上げるコツも解説!」「春の寄せ植えを楽しもう!おすすめの花や苗選びのポイントを解説」の記事でもご紹介しています。
土と肥料など
鉢やプランターでの栽培には、一般的な草花用培養土を使用して構いません。土を再利用するときは、石灰や腐葉土(ふようど)、たい肥などを用意して下準備をしましょう。サルビアには、粒状の化成肥料か液体の肥料を使用します。
支柱とビニタイ
先述のとおり、品種によっては高さ2mくらいまで生長します。支柱とビニタイで茎を支え、倒れないように管理してください。
サルビアの育て方
それでは、サルビアの育て方を順にご紹介いたします。
土の下準備
植えつける土は、下から掘り返して古い根や小石などを取り除き、日光に当てて消毒します。植えつけの2週間くらい前に石灰をまいて、酸性の土壌を中和させましょう。
その後、腐葉土やたい肥を加えてなじませ、植えつけの1週間くらい前に化成肥料も混ぜ込みます。プランターの土を再利用する際も、同様に準備してから植えつけてください。
タネまきの方法
発芽温度は20℃くらいなので、十分に気温が上がる5月に入ってからタネをまきましょう。トレイにタネまき用の土を入れて、列を作ってまく「条まき」またはパラパラと均一にまく「ばらまき」にします。「好光性(こうこうせい)」のサルビアは発芽の際に光を必要とするため、5mmくらいの厚さに土を軽くかぶせてください。
発芽するまではこまめに霧吹きで水を与え、乾燥しないように新聞紙などをかぶせて日陰で管理してください。発芽後は日光に当てて、毎日水を与えましょう。混み合ってきたら弱った芽や細い芽を抜き取って間隔を空け、元気なものを残して育てます。
本葉が出たころに、少量の液体肥料を与えても構いません。本葉が2~4枚になったら1本ずつポットに植え替え、根をしっかりと張らせて丈夫な苗に育てましょう。ポットの底から根が見えたころ、花だんやプランターなどに植えつけます。
植えつけのポイント
高さ20~30cmのサルビアは、25~30cmほどの間隔を空けて植えつけます。大型の品種は30cm以上の間隔を取ってください。幅65cmくらいのプランターには2~3株、直径15~18cmの5~6号鉢には1株が目安です。
植える穴を深く掘りすぎないように気をつけ、苗の表面の土と花だんやプランターの土が同じくらいの高さになるように植えましょう。
日々の管理と剪定など
鉢やプランターでは、土の表面が乾いたら午前中に水やりをします。土が乾燥しやすい夏の間は、早朝と夕方の2回水を与えましょう。先述のとおり、雨が続くときは過湿になりやすいため、鉢を軒下などに移動させます。花だんのサルビアは基本的に降雨のみで問題ありませんが、猛暑で土が乾燥しすぎるときは早朝に水やりをしてください。
花が咲き終わったら、花のついた穂全体を切り取って株の衰弱を防ぎましょう。また、茎が混み合う部分をこまめに剪定し、風通しをよくして病気の予防に努めてください。8月中旬~下旬にいったん3分の1くらいの高さまで切り戻すと、秋に再び開花します。
肥料の与え方
鉢植え植物の肥料が切れると、下部の葉が黄色に変色することがあります。特にサルビアは肥料を好むので、定期的に施してください。すぐに効果を出したい場合は、液体肥料を1~2週間に1度のペースで与えます。ゆっくりと定期的に効かせたい場合は、化成肥料を月に1度のペースで与えましょう。
ただし真夏はやや生育のスピードが衰えるため、追加の肥料は必要ありません。
増やし方とタネの採取
剪定や切り戻しで切った若い茎を、挿し木(さしき)に利用することも可能です。茎をいったんコップの水に挿して吸水させた後、清潔な土に挿して乾燥しないように管理しましょう。しばらくして新芽が出てきたら、ポットに植え替えて育てます。株元から新芽が出る品種は、株分けで増やすことも可能です。
タネを採るときは、開花期の終わりの花を残します。枯れたころに花穂を切り取り、数日干してから中のタネを出してください。サルビアのタネは小さいので、扱いに気をつけましょう。タネは通気性のよい紙の封筒などに入れ、冷暗所で保管します。
冬越しの方法
一年草として扱われるもののうち寒さに強い品種は、5℃以上を保てば冬を越すことがあります。花だんのサルビアは高さ3分の1くらいまで切り戻し、腐葉土や敷きわらなどでマルチングして冬を越しましょう。鉢やプランターのサルビアも切り戻し、日当たりのよい軒下などに置きます。冬の間も、土の表面が乾いたら水やりをしてください。
気温の下がる日は、鉢に不織布(ふしょくふ)や新聞紙などを巻いて保温するか、室内に取り込みます。多年草のサルビアも同様に霜に当てないようにすれば、屋外で越冬できます。
マルチングについては、「園芸におけるマルチングとは?効果や使用方法、注意点をわかりやすく解説」の記事を参考にしてください。
サルビアのトラブルと対処法
基本的に丈夫で病気の被害も少なめですが、アブラムシやハダニ、ヨトウムシ、オンシツコナジラミなどの害虫がつくことがあります。発見したときには、すぐに駆除しましょう。ハダニは乾燥が続いたときに発生しやすいため、霧吹きで葉に水を与えて予防してください。
なお、サルビアの栽培には、フマキラーの「カダン シャワー液 1000ml」をおすすめします。高温・低温や日光不足などのストレスを軽減するアルギン酸オリゴ糖と、サルビアなどの花色を鮮やかにするアミノ酸ほかの栄養分を配合。薄めずそのまま土にかけるだけで、植物がイキイキと美しく育ちます。
育て方が簡単なサルビアは豊富な種類を楽しもう
今回はサルビアの育て方を中心に、基礎知識と育て方のポイント、トラブルと対処法などについてご紹介いたしました。サルビアは育て方が簡単なので、水切れと過湿、肥料の与え方に注意すれば特に心配はありません。
この夏は、種類が豊富で花を長く楽しめるサルビアを育ててみてはいかがでしょうか。