2021年5月19日 | 園芸・ガーデニング
【キバナコスモスの育て方】種まきや開花時期はいつ?花言葉も解説
鮮やかな黄色や赤、オレンジの花が魅力の「キバナコスモス」。コスモスの仲間のキバナコスモスは育て方が簡単なので、初心者の方も気軽に栽培することができます。今回は、キバナコスモスの概要や花言葉、育て方のポイント、具体的な育て方の手順、栽培時のトラブルと対処法などについてご紹介いたします。
キバナコスモスの概要
はじめに、キバナコスモスの概要をご覧ください。
キバナコスモスとは
キク科コスモス属に分類される一年草で、ピンクや白の花を咲かせる一般的なコスモスの仲間です。キバナコスモスの学名は「Cosmos sulphureus(コスモス・スルフレウス)」、一般的なコスモスは「Cosmos bipinnatus(コスモス・ビピンナツス)」で、属は同じでも品種が異なります。
キバナコスモスは、コスモスよりもやや小型でよく分岐して横に広がり、葉の幅が広い点に特徴があります。開花期は6~10月で、耐暑性があるので夏の間も旺盛に咲き続けます。原産地のメキシコでは、コスモスよりも標高の低い場所に自生します。
キバナコスモスの種類と歴史
キバナコスモスは、大正時代のはじめに渡来しました。当時の花は黄色のみでしたが、昭和に入り、岩手県の橋本昌幸氏が15年以上の年月をかけて赤い品種の「サンセット」を作出します。1966年、世界的な植物の審査会「オール・アメリカ・セレクションズ(AAS)」でサンセットが金賞を受賞すると、キバナコスモスは国内に広く普及しました。
そのほか、赤で背が高めの「ディアボロ」、黄色で背が高めの「サンライズ」、赤や黄色、オレンジなどの八重咲きで小型の「ロード系」、赤や黄色、オレンジなどのセミダブル(半八重)で小型の「サニー系」など、さまざまな品種があります。
なお、一般的なコスモスの黄色い花は、1980年に玉川大学の研究室で開発されたものであり、見た目は似ていますがキバナコスモスとは異なります。
黄色い花については、「黄色い花を咲かせよう!黄色い花の種類を春・夏・秋・冬の季節別に紹介」の記事もご覧ください。
キバナコスモスの花言葉
キバナコスモスの花言葉は、「野性的な美しさ」「野性美」「幼い恋心」の3つです。繊細な印象のコスモスに対して、キバナコスモスは生育が旺盛で暑さに強く、野性的なイメージがあります。また、色鮮やかで見た目が愛らしく、開花期が長いことも花言葉の由来と考えられます。
花言葉をイメージしながら、一輪挿しに生けて観賞する楽しみ方もおすすめです。
一輪挿しについては、「【一輪挿しでお部屋を華やかに!】一輪挿しの魅力や楽しみ方を紹介します」の記事でご紹介しています。
キバナコスモスの育て方【2つのポイント】
キバナコスモスの育て方のポイントは、次の2点です。
① 肥料を少なめに
肥料分の少ない、やせた土を好みます。花だんで栽培するときはたい肥や腐葉土(ふようど)のみで、追加の肥料は必要ありません。鉢やプランターの場合は、後述の方法で肥料を与えてください。
② 花がらを摘む
花期が長いため、咲き終わった花(花がら)はこまめに摘んで、株の衰弱や病気を予防しながら観賞しましょう。
キバナコスモスの栽培で必要なもの
キバナコスモスを栽培するときは、次のものを用意してください。
基本のツール
基本のツールとして、シャベルやジョウロ、園芸用のハサミなどが必要です。鉢やプランターに植えつける際には、「土入れ」と呼ばれる筒状の道具を使用してもよいでしょう。また、背が高く伸びる品種は、支柱とビニタイで支えることもあります。
花だんまたはプランター
花だんで栽培するときは、病気の予防のため前の年にキク科の植物を育てていない場所を選んでください。鉢やプランターで育てるときは通気性のよい素焼きなどを選び、鉢底石やネットも用意してください。
タネまたは苗
キバナコスモスはタネからでも育てやすいため、サイズや色などを考慮しながら好みの品種を選びましょう。タネを園芸用のポットにまくときは、ポットやタネまき用の土、霧吹きなども必要です。
市販の苗は、茎が太くしっかりと育ち、葉の色が鮮やかでつぼみがついているものを購入しましょう。タネを採る場合は、2株以上のキバナコスモスを植えつけてください。
土と肥料など
花だんの土の下準備には、石灰やたい肥、腐葉土が必要です。水はけが悪い場合は、赤玉土(あかだまつち)や軽石などを加えてください。鉢やプランターで栽培するときは、一般的な草花用の培養土と粒状の化成肥料を使うと便利です。
キバナコスモスの育て方
それでは、キバナコスモスの育て方を順にご紹介いたします。
土の下準備と植えつけ
花だんの土は、あらかじめ古い根や小石などを取り除き、下から掘り返して日光に当てて消毒します。苗を植えつける2週間前には、土壌を中和させるために石灰をまいてください。先述のとおり、キバナコスモスはやせた土を好むので、植えつけの1週間くらい前にたい肥や腐葉土を混ぜるだけで構いません。
鉢やプランターで育てるときは、草花用の培養土または上記と同様に下準備した土を使用します。株の間は20~30cm以上空け、植えつけた後にはたっぷりと水を与えましょう。
タネから育てるとき
タネまきは、気温が20~25℃くらいになる4~7月が目安です。時期をずらしてタネをまけば、長く観賞することができます。ポットで栽培する場合は、タネまき用の土を入れて数粒をまき、1cmほどの厚さの土をかぶせます。発芽するまでは、霧吹きで水を与えて乾燥させないようにしましょう。
花だんに直接まくときは、あらかじめ穴をあけて数粒のタネをまく「点まき」、板などで作ったすじにまく「すじまき」、花だんの全体にまく「ばらまき」の3つの方法があります。タネをまいたら、1cmほど土をかぶせて水を静かに与えてください。
発芽してすぐのころと双葉が出たころに、間引き(まびき)として育ちの悪い芽を抜きます。花だんでは、最終的に20~30cmほどの間隔で1本の芽を育ててください。ポットの苗も1本を残し、本葉が3~4枚になったら植えつけます。
水やりと日々の管理
花だんに植えたキバナコスモスには、ほとんど水やりの必要がありません。近年のような猛暑で日照りが続くときや極端に乾燥したときなどは、土の状態を見ながら早朝に水を与えてください。
一般的に鉢やプランターの植物は、土の表面が乾いたら午前中に水やりをします。真夏の間は、早朝と夕方に水を与えるとよいでしょう。なお、キバナコスモスは過湿を嫌うため、雨が降るときは軒下(のきした)などに鉢を移動させてください。
株の衰弱や病気を予防して長く楽しむためには、花がらをこまめに摘み取ることが大切です。花数が減ってきたら、半分くらいの高さに切り戻すと再び咲き出します。背が高く伸びる品種は、倒れないように支柱とビニタイで支えて育てましょう。
肥料の与え方
キバナコスモスはやせた土で育つため、花だんで栽培するときは追加の肥料を与えません。鉢やプランターには、月に1回くらいのペースで少量の化成肥料を与えますが、大きくなり過ぎたり葉が茂り過ぎたりするときは控えてください。
タネの採取
開花期が終わりに近づいたら、生育のよい花を残してタネを採取しましょう。花が枯れて茶色になり、タネができたら採取します。通気性のよい紙の袋などに入れて冷暗所で保存し、翌年の春以降に同様にまいてください。
ただし、タネを繰り返し採取すると徐々に花の色が変わる品種もあります。元の花色や性質を楽しむには、2年くらいを目安に新しいタネを購入してください。なお、キバナコスモスは自然に落ちたタネから発芽するケースもあるので、育て方を参考にしながら発育を見守りましょう。
キバナコスモスのトラブルと対処法
キバナコスモスに発生しやすいトラブルは次のとおりです。
キバナコスモスの病気
梅雨や長雨などで湿度の高い環境が続くと、葉や茎などに白い粉のようなかびがつく「うどんこ病」にかかることがあります。また、気温が低めで湿度が高い春から梅雨の時期には、葉や茎、花がらに灰色のかびが発生する「灰色かび病」にも注意が必要です。
葉や茎の混み合う部分をカットして風通しをよくするほか、こまめに花がらを摘んで病気を予防しましょう。被害の出たところは早急に取り除き、菌がまん延しないようにしてください。
うどんこ病については「【園芸の大敵!】うどんこ病とは?うどんこ病が発生する原因と対策について」、灰色かび病については「【被害が広がる前に対処しよう!】灰色かび病の症状と対策について」の記事で詳しくご紹介しています。
キバナコスモスの害虫対策
キバナコスモスの害虫には、アブラムシやハダニなどが挙げられます。アブラムシは、新芽やつぼみなどの汁を吸って弱らせるだけでなく、「すす病」や「モザイク病」などの病気を媒介することがあります。また、ハダニはクモの仲間で、葉の裏などに寄生して吸汁したり白い糸を張ったりして植物の生育を阻害します。これらの害虫を見つけたら、早急に駆除して被害の拡大を防いでください。
すす病については「すす病とは?すす病が発生する原因と対策について」、モザイク病については「モザイク病とは?モザイク病が発生する原因と対策について」の記事をご覧ください。
キバナコスモスの栽培には、フマキラーの「カダンセーフ」をおすすめします。キバナコスモスに発症したうどんこ病のほか、アブラムシやハダニにも効果を発揮します。食品成分由来の膜が病害虫を包んで退治。害虫は呼吸ができずに窒息死し、病原菌も栄養を得られず死滅します。屋内や、お子様・ペットのいるご家庭での使用も安心です。また、活力成分の天然アミノ酸とAO(アルギン酸オリゴ糖)を配合しており、病害虫対策だけでなく植物の生育もサポートする優れものです。
育て方が簡単なキバナコスモスを栽培しよう
今回は、キバナコスモスの育て方を中心に、基礎知識や育て方のポイント、トラブルと対処法などについてご紹介いたしました。キバナコスモスの育て方のポイントは、肥料を少なめにすることと花がらを摘むことの2点です。この夏は、鮮やかな花を咲かせるキバナコスモスを栽培してみませんか。