2020年9月29日 | 園芸・ガーデニング
手軽に育てられるキッチンハーブの魅力
料理のアクセントに欠かせないハーブを、キッチンで手軽に育てることができたら便利ですね。今回は、キッチンハーブ栽培のメリットと育てる際に気をつけたい4つのポイント、そしておすすめのハーブ6種類をピックアップし、栽培時のトラブルや対処法もご紹介いたします。
緑のインテリアとして楽しむこともできるキッチンハーブを、あなたもぜひ育ててみませんか。
キッチンハーブを育てよう
文字通り、キッチンで育てることのできるキッチンハーブの栽培には、次のようなメリットがあります。
キッチンですぐに使うことができる
香りづけや彩り、消臭など、さまざまな目的で使用するキッチンハーブ。キッチンで栽培すれば、庭やベランダなどに収穫に行く手間が省けます。新鮮で香り豊かな緑の葉を、手際よく使うことができるというメリットがあります。
経済的にもおすすめ
一般的に、調理に使用するハーブは少量です。毎回スーパーなどで購入すると食費に影響が出るうえ、使い切れないこともあります。収穫の季節や量の調整さえできれば、自分で栽培する方が経済的で無駄がありません。
キッチンで育てる野菜については、「【簡単でおしゃれ!】キッチン菜園におすすめの野菜と育て方をご紹介」の記事もご覧ください。
インテリアとして楽しむ
かわいい鉢やプランターで育てれば、インテリアとしても楽しむことができます。大きい容器よりも小さめの方が、移動もしやすくおしゃれにまとまります。同じ容器で統一感を出したり、好みの雑貨と組み合わせたり、高さを変えて並べたりと、その楽しみ方は多彩です。
キッチンハーブ栽培のポイント4つ
ハーブは基本的に丈夫な植物ですが、栽培では次の4点を心がけましょう。
① 元気のよい苗を選ぶ
苗を購入するときは、鮮やかな緑色で茎が太く、根がしっかりと張っているものを選んでください。ヒョロヒョロしているものや葉が黄色いもの、虫食いがあるものは、よい苗とはいえません。購入後は、ひと回り大きな鉢に植え替えて育てましょう。
② 日当たりと水やり
窓のあるキッチンでは、鉢やプランターを窓辺に置いて日光浴をさせてください。窓がない場合、日中は屋外またはリビングなどの窓辺に置き、夕方になったらキッチンへ移動しましょう。水やりは土の表面が乾いたタイミングでたっぷりと与え、受け皿に出た水は処分します。
③ こまめに使おう
こまめに摘み取って、どんどん使うことをおすすめします。摘み取ることでほかの葉へと栄養が行き渡り、新しい茎の生長をうながすこともできます。ただし、葉を摘み取りすぎると光合成ができなくなるので、常に10枚くらいは残しましょう。購入したり収穫したりしても使い切れなかったハーブは、水を入れた容器に挿して一時的に保存できます。水は毎日入れ替え、数日のうちに使い切りましょう。
④ 水耕栽培をするとき
本格的な水耕栽培には市販のキットが便利ですが、ペットボトルを再利用した容器の使用も可能です。基本的には、容器の水がなくなったら注ぎ足しましょう。ハイドロボールや粒状の土、容器は清潔を保ち、説明書に従ってときどき栄養剤も与えてください。
おすすめのキッチンハーブ6選
初心者の方も育てやすいキッチンハーブを、6種類ご紹介いたします。
バジル
キッチンハーブの代表格ともいえるバジルは、イタリア名のバジリコと呼ぶこともあります。
概要
シソ科メボウキ属(オキウム属)のバジルは、熱帯アジアなどが原産で、国内では一年草として扱われます。カルシウムやカリウム、βカロテン、ビタミンK、葉酸などを豊富に含み、さわやかで甘い香りが特徴です。ペーストにしたり、冷凍または乾燥状態にしたりして保存できます。
育て方
タネまきは4~6月、植えつけは5~7月頃が適期です。収穫期は6~10月頃で、高さが20~30cmくらいになったら葉を収穫します。先端を摘み取ってわき芽を伸ばすと、新しい葉がどんどん育ちます。
本葉が10枚以上になったら、追加で有機質の肥料を与えましょう。花が咲くと葉が硬くなるため、つぼみはすぐに摘み取ってください。
イタリアンパセリ
一般的なパセリと同じ仲間で、葉が平らで切れ込みが深く、マイルドで食べやすい品種を指します。
概要
地中海原産の二年草で、セリ科オランダセリ属(ペトロセリウム属)に属します。カルシウムやカリウム、鉄、βカロテン、ビタミンC、Kなどを豊富に含みます。寒さに強く2年目も栽培できますが、葉が硬くなるので収穫は1年目がおすすめです。収穫量が多いときは、乾燥または冷凍状態で保存できます。
育て方
タネまきと植えつけが春の場合は5~10月に収穫、秋の場合は12月頃まで収穫できます。栽培開始の時期をずらせば、長く楽しむことが可能です。本葉が15枚くらいになったら葉の根元から収穫し、次の葉の生育をうながしましょう。
株が衰弱しないように、つぼみは摘み取ってください。耐寒性があるため、特に保温をしなくても越冬ができます。
ローズマリー
キッチンハーブだけではなく、アロマテラピーやクラフトの分野でも人気があります。
概要
シソ科マンネンロウ属(ロスマリヌス属)のローズマリーは、地中海沿岸が原産で低木に属します。カルシウムやカリウム、マグネシウム、鉄、ビタミンA、Cなどを豊富に含み、近年ではポリフェノールも注目されています。常緑で育てやすく、スッキリとした香りと小さな花を楽しむことができます。たくさん収穫したときは、乾燥させてサシェなどにも利用しましょう。
育て方
タネまきと植えつけは春または秋、収穫は4~11月頃が適期です。丈夫で生育が旺盛なので、伸びすぎた枝はせん定を兼ねてカットし、挿し木にして増やしてもよいでしょう。ただし、1年目に葉を摘みすぎたときや、植えた鉢が小さすぎるときは、生長に影響の出ることがあります。
収穫だけの目的であれば、追加の肥料は必要ありません。
ミント
種類が多く丈夫なキッチンハーブで、和名の「ハッカ」としても親しまれています。
概要
シソ科ハッカ属のミントはヨーロッパなどが原産で、和ハッカとセイヨウハッカに大別されます。さらにセイヨウハッカは、優しく甘い香りのスペアミント系と、強くスッキリとした香りのペパーミント系に分類されます。カルシウムやカリウム、マグネシウム、鉄、ビタミンA、Cを多く含み、ほとんどが多年草なので長く楽しむことができます。
育て方
タネまきと植えつけは春または秋、収穫は4~10月頃まで可能です。生育が旺盛なので、せん定を兼ねてどんどん収穫し、伸びすぎたときは半分くらいの高さまで切り戻します。1年に1回を目安に、ひと回り大きな鉢に植え替えてください。
肥料は、2カ月に1回くらいのペースで与えましょう。乾燥させれば、サシェなどにも利用できます。
ミントなどのハーブについては、「ハーブ栽培は庭やベランダの虫よけにも最適!」の記事も参考にしてください。
レモンバーム
ミツバチが好む花といわれ、ミントに似た葉の形とレモンのようなさわやかな香りが特徴です。
概要
南ヨーロッパなどが原産のレモンバームは、シソ科コウスイハッカ属の多年草です。こぼれダネでよく増え、寒さや暑さにも強く、初心者にも育てやすいハーブです。カルシウムやカリウム、マグネシウム、鉄、ビタミンCを多く含み、お菓子やハーブティー、アロマテラピーなどに古くから使われています。
育て方
タネまきと植えつけは春または秋で、収穫は4~10月頃です。土の乾燥に気をつけ、霧吹きで葉にも水を与えましょう。先端を摘むと、脇から芽が出て葉が茂ります。花が咲くと葉の香りが弱まるため、開花の前に半分の高さに切り戻してください。
切り戻した後は、肥料を与えましょう。生のまま冷凍したり、乾燥させたりして保存ができます。
パクチー
アジア料理に欠かせないキッチンハーブとして、女性に人気があります。
概要
セリ科コエンドロ属のパクチーはコリアンダーやシャンツァイとも呼ばれ、パクチー・ラオはディルの名で知られます。独特のスパイシーな香りが特徴の葉には、カルシウムやカリウム、鉄、βカロテン、ビタミンKなどが豊富に含まれ、タネも香辛料として使われます。収穫後は、根元を湿らせて冷蔵庫で数日ほど保存ができます。
育て方
タネまきと植えつけは春または秋、収穫期は5~11月頃です。時期をずらして栽培すれば、長い期間にわたって収穫できます。花が咲くと株が弱るため、つぼみはこまめに摘み取りましょう。
生長が速く1カ月半ほどで収穫できるので、追加の肥料は必要ありません。また、一年草のパクチーは、水耕栽培で毎年タネをまいて育てることも可能です。
パクチーについては、「【初心者も安心!】パクチー(コリアンダー)の育て方と簡単レシピを紹介」の記事もご覧ください。
キッチンハーブのトラブルには
キッチンハーブを栽培する際のトラブルと対処法についてご紹介いたします。
気をつけたい病気
室内の栽培では、日光不足で徒長(とちょう)したり、土にカビが発生したりすることがあります。日中は窓辺に鉢を移動して、数時間ほど日光浴をさせましょう。カビの部分は使い捨てのスプーンなどで取り除き、様子を見ても改善しないときは新しい土に植え替えてください。
屋外で日光浴をさせた場合、風や虫の媒介によってうどんこ病などにかかることがあります。1日に1度は葉を観察し、病気の疑われる部分があれば、すぐに取り除いてまん延を防いでください。
害虫を見つけたら
ハーブにつきやすい害虫には、アブラムシやハダニ、ヨトウムシ、アオムシなどがあげられます。鉢を外に出して日光浴させる場合は、防虫ネットなどをかぶせると安心です。また、購入の際すでに虫がついていたり、土の中に虫がひそんでいたりした場合は、室内栽培でも被害にあうおそれがあります。
キッチンハーブの病害虫対策には、食品の成分を用いたフマキラーの「カダンセーフ」がおすすめです。カダンセーフは、食品成分由来の膜が病害虫を包んで退治。害虫は呼吸ができずに窒息死し、病原菌も栄養を得られず死滅します。屋内での使用や、お子様・ペットのいるご家庭でも安心してご使用いただけます。また活力成分の天然アミノ酸とAO(アルギン酸オリゴ糖)を配合していますので、病害虫対策だけでなく植物の生育もサポートする優れものです。
新鮮なキッチンハーブをおいしくいただこう
今回は、キッチンハーブの魅力を取り上げ、概要と育て方のポイント、おすすめのハーブと栽培時のトラブルや対応についてご紹介いたしました。
キッチンハーブの栽培は、日によく当てること、土の様子を見ながら水やりをすること、こまめに収穫して使用することが大切です。キッチンハーブをインテリアとして楽しみながら、新鮮な葉をおいしくいただきましょう!