2020年9月26日 | 園芸・ガーデニング
おうちで果樹を育ててみよう!園芸におすすめの果樹と育て方を解説
自宅で果樹を育てて、新鮮な実を収穫してみませんか?今回は、園芸におすすめの果樹を9種類紹介し、育て方と管理のポイントについてご説明いたします。初心者の方も栽培しやすいものや、鉢植えの可能な品種など、園芸の目的に合わせてお好みの果樹をお選びください。
園芸におすすめの果樹~育てやすい品種
はじめに、初心者の方が栽培しやすい果樹からご紹介いたします。
ラズベリー
ラズベリーは、ベリー類の中でも育てやすい品種のひとつです。
概要
バラ科キイチゴ属のラズベリーは、暑さや寒さに強く病害虫の被害が少ないため、初心者の方も育てやすい果樹です。ラズベリーは1本でも実が成る「自家結実性(じかけつじつせい)」の果樹で、実の色は赤や黄色、黒、紫と豊富です。
収穫期は6~7月ですが、夏と秋に収穫できる品種もあります。木の高さを表す樹高は1~1.5mほどで、紅葉した後に落葉します。
育て方
日当たりのよい場所で栽培し、トゲに注意しながらシュートと呼ばれる新しい枝をトレリスなどに誘引(ゆういん)しましょう。5~6月の開花期に、筆などで人工授粉をすれば実がよくつきます。せん定は冬に行い、収穫が終わった短い枝を根元からカットしてください。
肥料は冬と開花期、収穫後に与えます。トラブルは少なめですが、まれにカイガラムシやアブラムシなどがつくこともあります。バラ科のベリー類は、後にご紹介するジューンベリーのほか、ブラックベリーやいちごなどがおすすめです。
いちごについては、「【プランターでいちご栽培!】初めてでも上手にできる甘くておいしいいちごの育て方」の記事も参考にしてください。
ビワ
ビワも病害虫の被害が少ないため、園芸におすすめの果樹です。
概要
バラ科ビワ属に分類され、自家結実性ですが収穫まで5~6年以上かかります。生長後はどんどん伸びるので、好みの高さに整えましょう。収穫期は5~7月で、手入れをすれば大きな実が収穫できます。耐寒性は弱めですが、近年では寒さに強い品種も流通しています。
樹高は2~5mほどで、常緑樹のため冬も緑の葉を楽しむことができます。
育て方
日当たりのよい場所で栽培し、枝を横方向に誘引しながら育てます。大きい実をつけるには、余分な花の芽を取り除く「摘蕾(てきらい)」や、余分な実を取り除く「摘果(てきか)」をします。最終的には1つの房の実を3~5個にして、害虫対策用の袋をかけましょう。収穫期が過ぎたら、伸び過ぎた枝をせん定します。肥料は花が咲き終わった後、収穫後、また9月ごろに与えてください。
トラブルは少なめですが、まれにがん腫(しゅ)病や灰斑(はいはん)病などの病気や、モモチョッキリなどの被害にあうことがあります。
イチジク
イチジクも園芸におすすめの果樹で、植えつけから2年ほどで収穫できます。
概要
クワ科イチジク属(フィカス属)のイチジクは「無花果」の文字通り、実の中で花が咲く「隠頭花序(いんとうかじょ)」の仕組みをもちます。自家結実性の果樹で、品種によって6~8月または8~10月、もしくはその両方で実の収穫ができます。
寒さに弱いため、寒冷地では鉢植えにして冬は室内に移動しましょう。樹高は2~5mほどで、紅葉した後に落葉します。
育て方
日当たりのよい場所で栽培し、1年目は高さを50cmほどに切り戻して新しい枝を伸ばします。翌年は余分な芽を取り除く「芽かき」や、メインの枝の先端を切る「摘芯(てきしん)」をするとたくさんの実が成ります。収穫後は、品種によってせん定の方法が異なるので気をつけてください。肥料は開花期と収穫後に与えましょう。
イチジクは疫病やさび病、カミキリムシなどの被害にあうことがあります。
園芸におすすめの果樹~シンボルツリーにするなら
続いて、シンボルツリーにおすすめの果樹をご紹介いたします。
オリーブ
園芸で人気のオリーブは、銀色の葉とスタイリッシュな樹形が魅力のひとつです。
概要
モクセイ科オリーブ属に分類され、種類の多いオリーブは、暑さや寒さ、乾燥にも比較的強く、育てやすい果樹です。実をつけるには、異なる品種を2本栽培しましょう。収穫期は10~11月で、実は塩漬けやピクルスなどに加工できます。樹高は2m以上で、常緑樹のため冬も葉の美しさを楽しむことができます。
育て方
弱アルカリ性の土を用意し、日がよく当たる場所で栽培しましょう。オリーブは、新しい枝の中間から先端に花の芽がつきます。結実しにくいときは、5~6月の開花期に人工受粉をしましょう。せん定は春に行い、古い枝や枯れた枝などをカットして風通しをよくしてください。実の豊作と不作が交互に起こる「隔年結果(かくねんけっか)」の品種は、摘果をして実の数を調節します。肥料は冬と開花期、収穫前に与えましょう。
オリーブは病害虫が少なめですが、炭疽(たんそ)病やハマキムシ、オリーブアナアキゾウムシなどの被害にあうことがあります。
ジューンベリー
近年、園芸ではジューンベリーの人気が高まっています。
概要
バラ科ザイフリボク属のジューンベリーは、収穫だけでなく樹形と花の美しさ、紅葉を楽しむことができます。暑さや寒さに強くトラブルが少ないため、初心者の方におすすめの果樹です。収穫期は6月で、赤い実の美しさにも人気があります。樹高は2~9mですが小さく育つ品種もあり、紅葉した後に落葉します。
育て方
ジューンベリーは、午前中の数時間ほど日が当たる場所であれば育ちます。自家結実性で、収穫までは7~8年ほどかかることがあります。せん定は落葉後に行い、長く伸びた枝や不要な枝、根元から出る枝を切り落とす程度でかまいません。肥料は、冬に「寒肥(かんごえ)」として与えます。
病害虫の被害はほとんどありませんが、まれにアブラムシがつきます。アブラムシについては、「アブラムシが発生する原因とは?アブラムシの退治方法と予防方法」の記事も参考にしてください。
カキ
古くから親しまれているカキも、シンボルツリーにおすすめの果樹です。
概要
カキノキ科カキノキ属に分類され、耐寒性があるため全国で栽培できます。ただし、寒い地域では実の渋みが抜けない場合もあります。植えつけから3年ほどで収穫ができ、自家結実性ですが2本を植えて育てるとよく実がつきます。樹高は2~5mで、紅葉した後に落葉します。
育て方
日当たりのよい場所で栽培し、メインの枝を決めて整えながら管理すると、適度な樹高を保ちます。花の芽は前年に伸びた枝の先につくので、開花前に切らないように気をつけましょう。開花期に人工授粉をすると、よりたくさんの実がつきます。実を大きくするときは、摘蕾や摘果をして数を調節してください。肥料は冬と夏、収穫期に与えましょう。
うどんこ病や落葉病などの病気や、ハマキムシ、ヘタムシなどの害虫がつくことがあります。うどんこ病については、「【園芸の大敵!】うどんこ病とは?うどんこ病が発生する原因と対策について」の記事でもご紹介しています。
園芸におすすめの果樹~鉢植えでも育つ種類
ベランダなどで育てるときは、鉢植えでも栽培できる果樹がおすすめです。
ユズ
柑橘(かんきつ)類の中でも、手軽に育てられるユズは初心者の方におすすめです
概要
ミカン科ミカン属に分類され、暑さや寒さに強くトラブルも少なめです。自家結実性で、植えつけから4年ほどで収穫できます。近年では、枝のトゲや実のタネがない品種も流通しています。収穫期は9~12月下旬と長く、未熟の実も果汁を使用できます。樹高は1.5m以上で、常緑樹のため冬も葉の緑を楽しむことができます。
育て方
鉢植えは日当たりのよい場所に置き、2年に1度のタイミングで植え替えます。3年目に摘蕾や摘果をして、その後の結実に備えましょう。生育してからのせん定は基本的に春に行い、伸び過ぎた枝や混み合った部分をカットします。肥料は冬と開花後、収穫期に与えましょう。
カイガラムシやアブラムシに気をつければ、管理はそれほど難しくありません。
キウイフルーツ
つる性のキウイフルーツは、鉢植えで育てても見栄えのよい果樹です。
概要
マタタビ科マタタビ属に分類され、高温多湿の環境でよく育ち、トラブルも少なめです。雄と雌の木を一緒に育てるか、雌の株を人工授粉させると、2年ほどで結実します。収穫は10~11月、環境によっては12月頃までの長い期間楽しめます。
つるは3m以上に伸びますが、鉢植えにすれば育ち過ぎを防ぐことができます。秋に紅葉し、冬になると落葉します。
育て方
日当たりのよい場所で栽培し、鉢植えは数年に1回のタイミングで植え替えましょう。つるは、支柱を四方に立てたあんどん仕立てやトレリスなどに絡ませます。1年目に生長した枝の下からわき芽が伸び、節(ふし)の部分に花の芽がつきます。摘蕾や摘果をして実の数を調整し、収穫した実は1週間ほど保管してから食べます。せん定は冬に行い、実がついた節から先の芽を3~5つ残して先端を切ります。肥料は開花後と収穫前に与えましょう。
果実軟腐病などにかかることがありますが、害虫の被害はほとんどありません。
ブドウ
ブドウは、大型のプランターでも栽培できます。
概要
ブドウ科ブドウ属に分類され、植えつけた翌年から収穫ができる品種もあります。主なものは欧州種と米国種、欧米の雑種ですが、初心者の方は育てやすい米国種を選びましょう。自家結実性の果樹で、収穫期は8~10月頃です。
つるは3m以上に伸び、窓辺のグリーンカーテンとしても使用できます。ブドウの紅葉は美しく、冬になると落葉します。
育て方
日当たりのよい場所で栽培し、鉢植えは数年に1回のタイミングで植え替えましょう。つるはトレリスなどに誘引し、節の芽かきをして芽を1つ残します。開花したら、一部の花を切って房につく実の数を調整してください。1つの鉢に3~4房を目安にして、実は袋をかぶせるか専用のキャップをつけて保護します。せん定は1~2月に行い、前年に伸びた枝の根元から4節くらいを残して春に備えましょう。肥料は、開花後と収穫期に与えます。
べと病やさび病、褐斑(かっぱん)病などの病気や、コガネムシ、ブドウトラカミキリなどの害虫の被害にあうことがあります。
べと病については、「べと病とは?べと病が発生する原因と対策について」の記事もご覧ください。
果樹を育てる際のポイント
園芸で果樹を育てるときには、次の内容に注意しましょう。
共通の管理事項
トラブルを避けるには、病害虫に強い品種や、異なる樹木を癒着(ゆちゃく)させた「接ぎ木(つぎき)」の苗を選ぶことをおすすめします。鉢植えで果樹を育てる場合は、土をよく観察して表面が乾いたら水やりをしてください。基本的には朝に水やりをしますが、真夏や乾燥が続くときは夕方にも与えます。
それぞれの果樹に合った肥料を与え、せん定や芽かき、摘蕾、摘果などの作業をして実を育てましょう。毎日の観察を心がけ、病害虫を発見したときはすぐに取り除いてまん延を防いでください。
果樹におすすめの薬剤
収穫した実を食べる植物を育てるときは、化学成分を使用しない薬剤を用意すると安心です。
フマキラーの「カダンセーフ」は、食品成分由来の膜が病害虫を包んで退治。害虫は呼吸ができずに窒息死し、病原菌も栄養を得られず死滅します。屋内での使用や、お子様・ペットのいるご家庭でも安心してご使用いただけます。また活力成分の天然アミノ酸とAO(アルギン酸オリゴ糖)を配合していますので、病害虫対策だけでなく植物の生育もサポートする優れものです。
園芸におすすめの果樹を育てよう
今回は、園芸におすすめの果樹を目的別に9種類紹介し、育て方と管理のポイントを解説いたしました。初心者の方は、病害虫に強い品種を選んで管理しましょう。病害虫が発生したときは、早急に対処して被害を最小限に抑えてください。
自分の手で果樹を育て、新鮮な果実を収穫する園芸ならではの魅力と感動を、あなたも味わってみませんか?