世界にはどれくらいの種類のカブトムシがいるの?カブトムシの生態とともに紹介

世界にはどれくらいの種類のカブトムシがいるの?カブトムシの生態とともに紹介

昆虫採集は夏の楽しみのひとつ。子どもの頃、カブトムシ捕りに夢中になった人も多いのではないでしょうか。カブトムシは日本だけではなく、世界中に数多く生息し、体が大きいものや、ツノの形がユニークなものなどさまざまな種類がいます。

なかでも「ヘラクレスオオカブト」は、カブトムシ界の王様に君臨する圧倒的な存在として、日本でもすっかりおなじみの人気種です。いっぽう日本に生息するカブトムシについて種類を挙げられる人は、かなりのカブトムシ通と言えます。

これからのシーズン、カブトムシを捕りに出かけたり、カブトムシの飼育を考えている人のために、今回は日本や世界に生息するカブトムシについて、その種類やそれぞれの生態などについて紹介していきます。

日本に生息するカブトムシ

日本に生息するカブトムシ

日本でおなじみのカブトムシですが、その種類については意外と知られていないのではないでしょうか。ここでは、日本に生息するカブトムシ属(Trypoxylus)に属する代表的な3亜種について見ていきましょう。

ヤマトカブトムシ(カブトムシ)

いわゆる日本で言うカブトムシは、このヤマトカブトムシのことを言います。

分布 日本各地に生息。東南アジアから東アジアにも生息する。
生態 夜行性で昼間は樹木の根元などで休み、夜になると樹液を吸いにクヌギなどの木に集まる。
特徴 体長は30~80mm程度。体色は赤茶色~黒色をしている。
購入 ホームセンターやペットショップなどで500~600円前後で販売されている。
飼育の有無 飼育可能

クメジマカブト

クメジマカブトは絶滅危惧種に指定されている貴重種です。

分布 久米島に生息。
生態 めったに出会うことのない希少種。
特徴 体長は50mm程度。角が短く全体的に小柄。体色は黒色をしている。
購入 絶滅危惧種に指定されているため、ブリーダーによって育てられたブリード個体のみ購入可能。幼虫1匹1,000円前後。
飼育の有無 飼育可能。

オキナワカブト

土地開発などにより生息数が減り、さらに本土産カブトムシとの雑交が進んで純血種が少なくなった貴重種です。

分布 沖縄に生息。
生態 腐葉土を食べて育つヤマトカブトムシに対し、オキナワカブトは立ち枯れした倒木など朽ちた木を食べて育つ。
特徴 体長は30~50mm程度。角が短く全体的に小柄。体色は光沢のある黒色をしている。
購入 希少種のため、ブリーダーによって育てられたブリード個体のみ購入可能。1匹1,500円前後。
飼育の有無 希少種のため本土産との雑交・放虫はしないという意識のもと飼育可能。

世界に生息するカブトムシ

世界に生息するカブトムシ

世界に生息するカブトムシの種類は1,000を超すと言われています。ここでは、日本でもおなじみのヘラクレスオオカブトを含む代表的な種類について見ていきましょう。

ヘラクレスオオカブト

世界最大級の体に立派な角を備えた風貌から、ギリシア神話に登場する英雄「ヘラクレス」の名がついた、まさにカブトムシ界の王様的存在です。実はヘラクレスオオカブトは、角の太さや角についている突起の違いなどによって、たくさんの種類に分けられています。

分布 中南米を中心に広く生息。標高の高い場所に生息し、大型の個体は標高1000~2000mの高山帯に生息している。
生態 夜行性で飛翔などの活発な活動は夜間に行い、広葉樹の樹液などを吸汁する。雨が降ったあと活動が活発化する。寿命が半年~1年と長く、中には1年以上生きるものもいる。大きな胸角で敵を投げ飛ばす。
特徴 体長は一般には約50mm~約150mm程度だが、中には180mmに及ぶものもいる。大きな体と大きな胸角、前翅部分の黄褐色が特徴。湿度が下がると黄褐色が濃くなり、雨などに濡れたりすると黒褐色に変化する。
購入 最大級の人気種としてとても高価。大きいほど高くなり、150mmで5万円、160mmクラスでは10万円以上の値がつくこともある。
飼育の有無 幼虫であれば1000円前後で購入できるので、飼育するという選択があるが、幼虫期間が1年半以上と長く、飼育の難易度はやや高めと言える。

ヘラクレス・ヘラクレス

ヘラクレスオオカブトの中でも最大種で、特に胸角が太く長い種類。起よりも頭角の突起(2~4本)が手前にあることや、翅の黄褐色の中に見られる黒い斑点が小さくて細かいことも種を見分ける細かな特徴。カリブ海に浮かぶバセテール島やドミニカ島に生息し、名前を略して「ヘラヘラ」と呼ばれることもあります。

ヘラクレス・リッキー

エクアドルやペルーで見られる亜種で、ヘラクレス・ヘラクレスの次に大きくなる日本でも人気が高い種類です。胸角が細く、頭角が大きく湾曲して平たく、突起が1~2本と少ない点や、翅の色がやや暗く黄土色に見えるのが特徴です。

ヘラクレス・レイディ

カリブ海に浮かぶセントルシア島やマルティーク島に生息するこの種は、80mm前後の個体が多く(最大でも110mm)ヘラクレスの中では最小種であることから「ミニヘラクレス」とも呼ばれています。角が短く、ヘラクレス・ヘラクレスに似た翅の色が特徴です。

アトラスオオカブト

アトラスオオカブト

頭角と2本の胸角で大きな3本の角を持つユニークな種類です。世界最強の呼び声高いコーカサスオオカブトは、このアトラスオオカブト属の最大種。両者は生息地が重なるところがあることから、アトラスオカブトの最大サイズの亜種とされるものは、コーカサスオオカブトとの雑種ではないかと言われています。

分布 東南アジアに生息。主にマレー半島やインドシナ半島に生息する。
生態 攻撃的で気性が荒く、戦いの際に相手の体を真っ二つにしたり、交尾の際にメスを殺してしまうことがある。成虫の寿命は3~4ヵ月ほど。
特徴 胸角が2本あり、湾曲した頭角と合わせて大きな3本の角を持つ。体長は100mm程度で、体色は黒光りしている。
購入 個体数が多いことから1,000~5,000円程度と、外国産の中では安価で購入が可能。
飼育の有無 市販の昆虫ゼリーを食べるなど、基本的には日本のカブトムシと同じ育て方でOK。気性が荒くよくケンカをすることから、初心者の方は1ケースに1匹の飼育がおすすめ。

エレファスゾウカブト

角が短いためヘラクレスに及ばないものの、角を除けばヘラクレスより大きい世界最大級の種類です。

分布 メキシコに生息。
生態 体のサイズに比例してエサをたくさん食べる。性格はおとなしくて力持ち。幼虫期間は1年半以上と長く、成虫の寿命は約半年。
特徴 体長は50~130mm程度と角が短いためヘラクレスに及ばないものの、角を除けばヘラクレスより大きい世界最大級サイズで体重は最大で50gになることも。体色は茶~黄褐色をしていて、一部には表面に毛が生えているものもいる。
購入 ペアで2万円前後で購入可能。
飼育の有無 タフで穏やかな性格のため、海外産の中では比較的飼育しやすいが、エサは高タンパクのものが望ましく、エサ代がかかる。

ネプチューンオオカブト

ヘラクレスオオカブトに並ぶ大きさと強さを持った、日本でも人気が高い希少種です。

分布 アンデス山脈周辺の熱帯雨林に生息(コロンビア、ペルー、エクアドルに生息)。
生態 深夜から早朝にかけて活動し、雨が降ったあと活動が活発化する。成虫の寿命は半年~1年。幼虫期間が長く羽化までに2年半~3年かけて成長する。
特徴 体と同じくらいの長さの角を持ち、胸角の下部にはオレンジ色の毛が生えている。胸角の下には2本の突起がある。体長は最大で160mm以上に及び、体色は光沢のある黒色をしている。
購入 希少種ながら日本での人気が高く、ブリード個体数が多いことから、1万円以下で購入可能。サイズが大きいものには数万円の値がつけられる。
飼育の有無 高地性のため暑さに弱いことや、幼虫期間が長いこと、発酵の進んだエサを好むなど、難易度はかなり高い。

ケンタウルスオオカブト

大型のカブトムシが少ないアフリカにおいて最大の種類です。

分布 アフリカ大陸中西部に生息。
生態 雄が樹液のあるエサ場を守り、雌を獲得するという生存戦略を持つ。成虫の寿命は数ヵ月程度と短い。
特徴 体長は40~80mmのものが多く、中には100mm程度に成長するものもいる。胸角の根元に2つの突起がある。体色は光沢のある黒~赤褐色をしている。
購入 数千円から購入可能。大型のものは1万円以上になる。
飼育の有無 比較的容易に大型が羽化するので外国産の入門におすすめ。

サタンオオカブト

ネプチューンオオカブトより小型ですが、姿がよく似た種類の高級カブトムシです。

分布 南米のボリビアに生息。
生態 標高1000~2800mの熱帯雨林に生息。活動時間は深夜から明け方までと短い。成虫の寿命は半年~1年程度。幼虫期間が長く2年近くかかることもある。
特徴 体長は55~115mm程度で、胸角には色鮮やかな毛が密生している。体色は光沢のある黒色をしている。
購入 かつては幻のカブトムシと言われ100万円を超す高値で取引されていたことも。ブリード品で購入しやすくなったとはいえ、ペアで2万円~大型のものは数万円と高額。
飼育の有無 幼虫期間が長いことから根気を要する。

カブトムシに関する豆知識

カブトムシに関する豆知識

「なんでカブトムシって言うの?」「なんのために角があるの?」など、ここではカブトムシに関する豆知識をいくつか紹介します。

名前の由来

カブトムシの頭が、武士がかぶる兜(カブト)のように見えたことに由来しています。

英語で言うと

カブトムシの英語はBeetle(ビートル)。世界的に有名なイギリスのロックバンド「ビートルズ」は、BeetleとBeat(拍子)を掛け合わせた造語がバンド名になっています。

仲間の虫は?

カブトムシはコガネムシの仲間です。正式には、コウチュウ目(鞘翅目)・コガネムシ科・カブトムシ亜科・真性カブトムシ族に分類される昆虫の種の標準和名です。

視力はいいの?

カブトムシはほとんど視力がないと言われています。カブトムシは夜行性のため、視力より触角でニオイを感じることに特化したと考えらえています。

角の役割

雄同士が戦って強い子孫を残すために角ができたと考えられています。

世界に何種類いるの?

世界には約1,300種のカブトムシがいると言われています。そのうち大きな角があるのは50種程度と言われています。

どんなところにいるの?

山や雑木林など。クヌギやコナラなどの樹液が出る木に集まります。時期は7月中旬から8月中旬に多く見られます。

何を食べるの?

カブトムシは甘いものが大好きです。樹液のほかにも桃やリンゴなどを食べたり、バナナをエサにしてカブトムシを捕まえる方法もあります。

なぜ飛ぶの?

カブトムシが飛ぶ理由は、樹液の出ている木を探したり、結婚相手を探すためだと言われています。雌は卵を産む場所を探すために飛びます。

飼育方法

飼育ケースにおが屑や発酵マットを入れて、止まり木やエサ台を用意します。エサは昆虫ゼリーがおすすめ。オガやマットが乾燥しないよう毎日霧吹きで水をスプレーしましょう。

まとめ

日本のカブトムシの場合、卵の期間が約10日間、幼虫で9ヵ月、蛹で10日前後、成虫になってからの寿命は約1ヵ月半。いっぽう、外国産のカブトムシのなかには幼虫期間が2年近いものや、成虫になってから1年以上生きるものもいます。

これは「体の大きさに比例して寿命が長い」という自然界の法則に関係していると言え、カブトムシを飼育する場合、十分なスペースを設けたり、こまめにお手入れすることで、若干長生きさせられる可能性もあります。ぜひ、正しい飼育方法でカブトムシの観察を楽しんでください。

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