2018年10月1日 | お役立ち情報
日本三大清流とは?代表される3つの河川の魅力や見どころを紹介!
日本には「○○川」といったように多くの河川が存在します。そしてこの河川ですが、観光シーズンになると非常に多くの人が訪れる人気スポットになることもあります。
特に全国的知名度が高いのが日本三大清流と呼ばれる四万十川(しまんとがわ・高知県)、長良川(ながらがわ・岐阜県)、柿田川(かきたがわ・静岡県)です。今回はこの日本三大清流に関する情報や疑問をさまざまな角度から徹底解説します。
清流ってどういう意味?
清流とは「清らかな水の流れ」を指す言葉です。実は全国には数多くの河川が存在しますが、清流の明確な定義や条件は存在しないとされています。
ただし「清流」という文字からもイメージできるように、何かしらの形で河川の水質が比較的良好で汚染が少ないと確認できたものが「清流」と呼ばれる傾向にあるようです。
国土交通省では毎年、一級河川の水質調査結果を発表しており、ここで「水質が最も良好な河川」に選ばれた河川を「清流日本一」と表現する場合もあります。また環境省の「名水百選」や「平成の名水百選」に選定された河川が清流と呼ばれることもあります。
ちなみに現在の日本三大清流と称される四万十川、長良川、柿田川は前述の国土交通省の水質調査においては、最も水質が良好と評価されているわけではありません。
つまり四万十川、長良川、柿田川の一級河川は水質以外に人を惹き付ける大きな魅力や特徴があるということです(もちろんこの三河川は水質もトップクラスにキレイです)。
日本三大清流の特徴や魅力~高知県・四万十川編~
ここからは日本三大清流に関する情報をさまざまな角度から解説します。まずは高知県を流れる一級河川、四万十川の特徴や魅力をご覧ください。
四万十川の基本情報
四万十川は高知県の西部を流れる渡川水系の本川で流域面積2186㎢、全長196kmを誇る四国最長の一級河川です。
ちなみに東京駅から静岡県藤枝市(中部地方に位置する都市)までが約195kmですから、四万十川は都道府県をまたぐほどの長さがあるということがわかります。
前述の環境省が選定した「名水百選」やJTBの雑誌「旅」が創刊750号を迎えるのを記念して開いたシンポジウムで選定した「日本の秘境100選」にも名を連ねています。
四万十川は政府の調査において、水質が際立って優れていると評価されたわけではありません。しかし、四万十川には支流も含めて47の沈下橋があり、地元の高知県では1993年に生活文化遺産として保存する方針を決定しました。
四万十川の特徴
四万十川は高知県高岡郡津野町の不入山(いらずやま)を源流とします。津野町船戸から標識を頼りに約30分ほど車で走ると「源流点石碑広場」に到着し、さらにそこから徒歩で15分ほど進むと、四万十川の源流点を示す標識が設置されています。
ここをスタート地点にする四万十川は、高知県中西部を逆S字を描くように蛇行しながら佐賀取水堰(上流)、広見川合流点(中流)、四万十市(旧中村市)の河口(下流)をゆっくり流れていきます。
ちなみに四万十川を流れる透明な清流は、窪川駅近くで四万十町内の下水道が流れ込むため、途中で清流とは呼べないような状態となります。
しかし、その後佐賀取水堰(通称:家地川ダム)で水の半分近くを抜かれるため、下水を含んだ水がほとんど下流に流れることがありません。この佐賀取水堰の働きにより、四万十川下流域は清流と呼べるような状態を維持できています。
また四万十川の特徴を解説する上で欠かすことができないのが沈下橋です。四万十川の沈下橋は本流に22本、支流を含めると全部で47本あります。
この沈下橋と呼ばれる橋は、鉄筋コンクリート造りで欄干(転落防止のために設けられた手すりなど)がなく、通常の水位より2m~3m上にかけられています。通常の水位の2m~3m上ですから、沈下橋は台風や大雨の増水時には水中に沈む設計になっています。
一見すると「それではダメなのでは?」と思うかもしれませんが、このような欄干がない設計にすることで、流木が引っ掛かるのを防いだり、土砂で橋が壊れるのを防ぐことができるそうです。
また沈下橋は一般的な橋と比べると、建設が比較的容易で低予算で造れるため、水量が豊富な河川が多い高知県ではよく目にすることができます。
詳細は後述しますが、この四万十川の沈下橋は川や山など周囲の景観と見事にマッチしており、今では四万十川の代名詞として多くの人に注目されています。
四万十川の魅力・見どころ
四万十川は「高知観光に行ったら一度は行くべき」という声も非常に多い河川です。では具体的に四万十川の魅力や見どころはどこにあるのでしょうか?まず晴れた日の四万十川に足を運ぶと空と川の澄んだ青に心癒されます。
河岸にはコンクリートなど人工で造られた構造物もないため、圧倒的な自然の風景を目に焼き付けることができるのが四万十川の大きな魅力。また四万十川は本流にダムが設置されていないことから「日本最後の清流」とも呼ばれています。
もちろん前述の沈下橋も四万十川の魅力のひとつ。各沈下橋によって望むことができる景観は異なりますが、いずれも高知県の自然、歴史、風土、文化が詰まった里山の原風景を思う存分満喫することができます。
四万十川の沈下橋で特に人気といわれているのは、最下流にある佐田沈下橋です。菜の花が有名でもある佐田沈下橋は観光シーズンには多くの人で賑わいます。
その他、写真やポスターでもよく使用される岩間沈下橋、四万十川で3番目に長い沈下橋となる高瀬沈下橋などもおすすめです。
景観を楽しんだり、シンボルである沈下橋を巡る旅も楽しいですが、四万十川ではその他にもさまざまな楽しみがあります。
まずは子どもが楽しめる川遊びから。四万十川は清流と呼ばれるぐらいですから、水質も非常にキレイです。平成28年に国土交通省が行った一級河川の水質調査において、四万十川は全項目でAランクの評価を受けています。
Aランクは「顔を川の水につけやすい」という評価なので、子どもも安心して川遊びを楽しむことができます。
【参考サイト】国土交通省「平成28年 四国一級河川の水質現況のお知らせ」
また四万十川はすでに全国的に有名な観光スポットとして知られているので、海や川の定番でもある遊覧船も楽しむことができます。船内ではアユ、カワエビ、ウナギなど四万十川自慢の幸も堪能することが可能です。
その他では上流、中流、下流とエリアによって流れが変わる四万十川ではカヌーやカヤックも楽しめます。広大な四万十川では初心者向けのコースなどもあるため、小さな子どもやカヌー、カヤックが初めてという方でも気軽に取り組むことができます。
日本三大清流の特徴や魅力~岐阜県・長良川編~
続いては岐阜県を源に発する長良川の特徴や魅力をさまざまな角度から解説します。
長良川の基本情報
長良川は岐阜県郡上市の大日ヶ岳が水源となっており、三重県を経て揖斐川と合流、伊勢湾に注ぐ木曽川系の一級河川です。全長は166km、流域面積1985㎢となっており、濃尾平野を流れる木曽三川のひとつです(残り2つは木曽川、揖斐川)。
長良川も日本屈指の清流として有名であり、中流域が環境省の「名水百選」、岐阜市の長良橋から上流約1kmまでの水浴場が「日本の水浴場55選」「日本の水浴場88選」に選定されています。
ちなみに河川の水浴場で選定されたのは、全国に多数ある河川の中でも長良川だけです。このことからも長良川の水質がいかに良好であるかということがわかるのではないでしょうか。
この他、長良川は「長良川鵜飼」や「本流にダムが存在しない河川」としても知られています。
長良川の特徴
長良川の大きな特徴は先ほども取り上げましたが「本流にダムが存在しない」ことです。ダムがあると流れが緩やかになる河床には砂が堆砂します。そうすると本来は石や草の間に生息する生物やバクテリアが減少し、水質悪化につながる可能性が出てきます。
長良川にはダムがないため、ミネラルなど栄養豊富な水が下流までしっかり流れることができ、良好な水質を保つことができます。
これが長良川が清流と呼ばれる理由のひとつでもあります。その証拠に長良川は政府の調査において上流域で水質AA、中流域で水質Aの環境基準を達成しています。
【参考サイト】環境省「長良川」
長良川の魅力・見どころ
長良川は眺めているだけでも十分に心癒されますが、長良川最大の魅力、見どころといえばやはり伝統の「長良川鵜飼」です。鵜飼とは鵜を使ってアユなどの魚を獲る漁法です。鵜飼の歴史は非常に長く、1300年以上も続く伝統的な漁法でもあります。
ちなみにこの漁法は現在でもいくつかの地域で受け継がれているとのことです。長良川鵜飼は織田信長など時の人に守られながら行われてきた岐阜県の夏の風物詩でもあります。
暗闇の中で赤々としたかがり火を燃やして行われる鵜飼は「生きた芸術」とも呼ばれています。
また、この鵜飼ですが用具一式が国の重要有形民俗文化財に指定されており、獲れたアユを皇居へ献上する「御料鵜飼(ごりょううかい)」も行われている大変由緒正しき古典漁法でもあります。
ぎふ長良川鵜飼は毎年5月11日~10月15日の期間中毎晩行われていますので、興味がある方は休日や大型連休を利用して足を運んでみてはいかがでしょうか。川岸からだけではなく、有料の観覧船からも鵜飼の様子を眺めることができます。
その他、長良川のアユは平成27年に「世界農業遺産」に認定されています。日本屈指といわれる清流で育った天然アユは絶品の一言。夏の長良川に行ったらアユを食べることをおすすめします。
日本三大清流の特徴や魅力~静岡県・柿田川編~
最後に東海地方、静岡県に位置する柿田川の特徴や魅力などをご紹介します。
柿田川の基本情報
柿田川は静岡県駿東郡清水町を流れる狩野川水系の一級河川です。全長は1.2kmとなっており、全国で最も短い一級河川として知られています。柿田川は大量の湧水を水源とする全国でも非常に珍しい川です。
この湧水の存在が全国に広まったため、柿田川は1985年に「柿田川湧水群」として「名水百選」に選定されました。また「地質鉱物」の枠で国の天然記念物にも指定されています。
柿田川の特徴
柿田川の源流となっているのは清水町伏見にある柿田川公園の「わき間」です。ここの湧水に源を発し、南へ流れていき、清水町役場付近の狩野川に合流します。柿田川湧水群の大きな特徴というのは「水量が非常に豊富」という点です。
その水量は何と1日約100トンともいわれており、柿田川の流水はほぼこの湧水群から成り立っています。この豊富な湧水は「東洋一の湧水量を誇る」ともいわれています。
ちなみにこの湧水ですが、富士山への雨水や雪解け水が三島溶岩流に浸透して、湧き出たものです。水温は年間を通して約15℃を保っており、流水量も安定傾向にあります。また柿田川には当河川特有の水中植物でもあるミシマバイカモが自生しています。
今でこそ日本三大清流のひとつに名を連ねている柿田川ですが、かつては湧水を求めて多くの工場が進出してきたため、水質が悪化し、魚も住めない状態になった時代もありました。
この状態を改善しようとした地元住民などは1980年に有志によるナショナルトラスト運動(自然環境などを保護するために住民がその土地を買い取ることで保存していく活動)を始め、今でもトラスト地の買い上げが続けられているといいます。
柿田川の魅力・見どころ
柿田川湧水群の源泉は河川を保護する目的で整備された柿田川公園に囲まれた形で存在していますから、さまざまな楽しみ方があります。
まず、公園内のわき間から流れ出した水の一部は湧き水広場に流れ込んでいるため、子どもの川遊びにもおすすめです。この広場は水深が非常に浅いので、小さな子どもでも楽しむことができます。
また園内には柿田川を眺めながら散策できる遊歩道も設置されているため、河川にありがちな足場の不安定さも心配する必要がありません。
その他、柿田川に来たら必ず足を運んでほしいのが展望台です。園内には第一展望台と第二展望台がありますが、どちらも水源の様子を上から観察することができます。特に第二展望台は真上から水源を観察できるのが魅力的。
晴れた日には水の色が美しいぐらいに青く見えますので、非常に心が癒されます。柿田川湧水群の水はウォーターサーバー用の飲料水としても使用されているので、水を汲みに訪れる人も多くいます。
空気も水も澄んだ日本三大清流で心癒されてみませんか?
今回は四万十川(高知県)、長良川(岐阜県)、柿田川(静岡県)の日本三大清流をさまざまな角度から解説しました。日本には多くの河川が存在しますが、今回ご紹介した3つの河川は全国的知名度が高く、観光地としても名高いスポットです。
日常生活の中では味わえない自然の雰囲気や空気を肌で感じられるのが魅力的。今度の休日、大型連休は空気も水も澄んだ日本三大清流に足を運び、心癒されてみてはどうでしょうか。