2020年2月20日 | お役立ち情報
関東と関西の違いまとめ。食・言葉・習慣などさまざまな違いを紹介!
話し方はもちろんのこと、うどんやそばのつゆは濃い口か薄口か?などの味の好みから、全国展開するお店の呼び方まで、何かとその違いがクローズアップされがちな関東と関西。さらには、文化や生活習慣まで、どうしてここまで違うのか、というほど関東と関西には不思議な違いがたくさんあります。陸続きの同じ国にいながらも、どうしてこうもはっきりとした違いがあるのでしょうか。
そこで今回は、関東と関西の違いについて、その違いが生まれた背景も織り交ぜながら、紹介していきます。
(※これからご紹介する違いはあくまで一般論であり、全ての方々に該当する訳ではありません。予めご理解くださいませ。)
関東と関西についておさらい
本題に入る前に、まずは関東と関西についておさらいしておきましょう。関東は本州の東部に位置し、一般的には、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県の1都6県を指して関東地方と呼びます。
いっぽうの関西は、大阪府、京都府、兵庫県、滋賀県、奈良県、和歌山県の2府4県とする場合と、三重県を含めた2府5県とする場合や、さらに福井県、鳥取県を加えた2府7県とする場合があるようです。
東と西の境界は?
関東と関西の「関」とは関所のこと。つまり、関東は関所の東の地域、関西は関所の西の地域という意味になります。
関所の東側「関東」
1都6県を関東地方と呼ぶようになったのは江戸時代の頃。「箱根の関所(神奈川と静岡の県境)」、「小仏の関所(神奈川と東京と山梨の県境)」、「碓氷の関所(群馬と長野の県境)」とそれぞれの関所から見て東側にある地域を「関東」と呼ぶようになりました。
平安時代の関東
関所を東と西に分けたのに、なぜ関東と関西の間に中部地方があるのか、日頃から気になっていた方もいるのではないでしょうか。実は平安時代の関東は、「不破の関所(岐阜県)」、「鈴鹿の関所(三重県)」、「愛発の関所(福井県)」で分かれていたので、現在の長野県、山梨県、愛知県などもすべて関東地方に含まれていたのです。
関所の西側「関西」
関西の境界となる関所は、平安時代に関東の境界でもあった「不破の関所(岐阜県)」、「鈴鹿の関所(三重県)」、「愛発の関所(福井県)」となるわけですが、関所の西側が「関西」と呼ばれるようになったのは、明治時代以降と言われています。
中国で皇帝たちが住む周辺地域を「畿内(きない)」と呼んだことから、日本の中心だった西側の地域は、明治時代になって日本の中心が関東に移るまで「畿内」と呼ばれていました。
食文化の違い
東西の味の特徴をひと言で表すと、関東は濃い口、関西は薄口。これには歴史的な背景が大きく関係しています。
歴史的背景
江戸時代の頃、関東では武士が好む濃い味や、職人が仕事の合間にサッと食べられるものとして寿司など、手間のかからない食べ物が広まりました。いっぽう関西は、公家の上品な伝統食や、上方商人の洒脱(しゃだつ)な食が人気に。京都には古くから全国の特産品が集まっていたため、バリエーションも豊富でした。
土壌の違い
作物が育つ土壌も味付けに大きく影響しています。もともと関東の土壌は、火山灰が堆積してできた「関東ローム層」で知られる粘土質の土壌。作物の生成に必要な栄養分が少ないうえ、台地や高台が多いことから農業用水の確保も難しく、水の高度も高めで農業に不向きな環境でした。いっぽう関西は柔らかな粘土質の土壌で、水は軟水。
こうした土壌の違いによって、育つ野菜にも違いが生まれ、関東の野菜は色が濃く香りが強いものが多く、関西の野菜は甘みがあって香りが控えめになっていると言います。
濃い口・薄口
関東・関西の食文化の違いは、まず料理の味付けに欠かせない「しょう油」の色(濃さ)に見ることができます。関東は色が濃く、旨味もしっかりときかせた濃い口しょう油。関西は、色が薄く上品な薄口しょう油がおなじみです。しょう油は日本の伝統調味料として昔から受け継がれてきた発酵食品。しょう油は、東西それぞれの食文化に大きく影響を与えていると言えます。
鰹だし・昆布だし
和食の基本とも言える「だし」を見てみると、水の高度が高い関東は、だしが出やすく濃い口のしょう油と相性がいい「鰹(かつお)」だし。軟水の関西では、短時間でも良質のだしがとれるとあって「昆布」だしが主流となっています。
卵焼き
関東で卵焼きと言えば、甘い味付けが一般的ですが、関西ではだしをきかせて塩でしっかり味付けしています。
すきやき
すきやきを作ろうとして、東西の違いで論争になった人たちもいるのではないでしょうか。関東では先に割り下を用意しておき、肉を焼いたら割り下を注いで肉や野菜を煮込んでいくスタイル。いっぽう関西では、肉を焼いたら直接砂糖としょう油を入れて味付けしながら、野菜を加えて煮込んでいくスタイル。その都度、味を調整するのが関西の特徴です。
納豆
関東では朝の食卓でなじみの納豆も、関西ではあの独特のニオイを敬遠する人が多いようです。理由のひとつに、関西のあっさりとした料理といっしょに納豆が置かれると、特有のニオイが際立つのだとか。それでも最近では、健康によいということで少しずつ関西でも納豆を食べる人が増えてきているようです。
汁ものの位置
食文化の流れでおまけの話をひとつ。みそ汁などの汁ものは、関東では右手前に置きますが、関西では左奥に置くのが一般的とされています。味付けの違いや、調理の仕方、食べ方などの違いは、テレビなどでも紹介されますが、関東と関西で食卓の汁ものの配置まで変わるなんてご存知でしたか。
言葉の違い
関東と関西でそれぞれ方言の違いはありますが、動詞や名詞、お店の略語まで、東西にあるさまざまな違いについて見ていきましょう。
捨てる・ほかす
ゴミを処分するとき、関東では「捨てる」と言いますが、関西では「ほかす」と言います。関東の人が「これ、ほかしといて」と言われたら、きっとそのまま放っておけばよいと思ってしまう方が多いのではないでしょうか。
しまう・なおす
おもちゃで遊んでいる子どもに、遊び終わったらおもちゃを元あった場所に片づけるように言うときなど、関東では「(おもちゃを)しまって」と言うのに対し、関西では「(おもちゃを)なおして」と言います。
刺される・咬まれる
蚊の被害にあうことを、関東では「刺される」と言いますが、関西では「咬まれる」と言います。
マック・マクド
日本でもおなじみのハンバーガーチェーンのマクドナルドを略して、関東では「マック」、関西では「マクド」と呼ばれています。
肉まん・豚まん
豚・牛・鶏など肉の種類にはいろいろありますが、関西で肉と言ったら一般に牛肉のことを指します。そのため関東で言う「肉まん」は、関西では「豚まん」と呼ばれています。
文化の違い
関西にはよく昔から「笑い」の文化があると言われるように、住んでいる当人たちにしてみたらごく当たり前のようなことも、東西で比べてみると意外な違いがあることに気づきます。
周波数の違い
ラジオやレンジなど電子機器の周波数ですが、関東は50Hz(ヘルツ)なのに対し、関西は60Hz(ヘルツ)と異なります。これは昔、送電を直流から交流に変える際に、東京がドイツから50Hz仕様の発電機を輸入したのに対し、大阪はアメリカから60Hzの発電機を輸入したためと言われています。
【参考】なぜちがう周波数ができてしまったの?~周波数について~ [関西電力]
銭湯の入り方・浴槽の位置の違い
関東の人が関西の銭湯に、関西の人が関東の銭湯に行ってまず驚くのが、浴槽のある位置。関東では洗い場の奥に浴槽があり、富士山などが描かれた壁の真下で湯船につかるのが一般的。いっぽう関西では、浴槽が銭湯の中央に位置していることが多です。
浴槽への入り方にも違いがあって、関東でははじめに体をしっかり洗ってから浴槽に入るのに対して、関西では桶で体にかけ湯をして浴槽に入る文化のため、かけ湯がしやすいように、関東よりも桶の深さを浅くして、軽くしているという話もあります。
タクシーの色
関東で見かけるタクシーは、黄色や緑、オレンジなどを主体とした、ひと目でタクシーだとわかる配色をしていて、しかも、タクシー会社の区別も車体に施された色やデザインである程度判断できます。いっぽう関西のタクシーはと言うと、全体的に黒色をしています。一説には、黒い車=高級感というイメージから、大阪万博の頃に黒いタクシーが増えたと言いますが定かではないようです。
バスの料金
バスに乗るとき、関東では前から乗って先に料金を払い、降りるときは後ろから降りるケースがほとんど。関西では料金後払いで後ろから乗って前から降りるケースが多いようです。
畳の大きさ
関東の畳は「江戸間」と呼ばれ、サイズは1757×879mm。これに対し、関西の畳は「京間」と呼ばれ、サイズは1909×954mmと江戸間よりもひとまわり大きなつくりをしています。6畳を平米数で比べてみると、江戸間が9.266㎡に対し、京間は10.927㎡。関東から関西へ、関西から関東へ引っ越しされる人は、実際に部屋の広さを確認することをおすすめします。
生活習慣の違い
テレビなどの街頭インタビューなどでも、関西の人たちには、初めて会う人たちにも気さくに話しかけ、会話を楽しむ習慣があります。そんなノリのいい人が多い関西と関東では、毎日のちょっとした出来事や祝い事にも、さまざまな違いがあるようです。
店員さんへの接し方
カフェやレストランなどに行った際、関東では必要に応じて、店員さんに話しかけますが、関西ではなんでもないようなことでも店員さんに話しかけるという場面は珍しくありません。もちろん人にもよりますが、店に入ったら、まずは店員さんと世間話を楽しむ、関西にはそんなフレンドリーな雰囲気があります。
女性専用車両
朝のラッシュ時に女性専用車両を設ける路線は、関東でも関西でも増えてきています。違いはその車両の位置。関東で女性専用車両と言えば、編成の端が一般的。ところが、関西の路線には編成の真ん中あたりが女性専用車両になっていることがあるのでご注意を。
こどもの日に食べるもの
鯉のぼりやかぶと人形を飾り、我が子の成長を祝う「こどもの日」。この日に食べるものは、関東では柏餅がおなじみですが、関西ではちまきを食べる習慣があります。ちまきと言ってももち米を使った中華ちまきではなく、甘いお餅が入った和菓子のちまきです。童謡の「背くらべ」にも、「ちまき食べ食べ兄さんと~」としっかり登場していますね。
数時間で行ける別世界で、新鮮な発見をしてみませんか
今回ご紹介した「関東と関西の違い」以外にも、ご自身で体験した東西の違いがあると思います。関東と関西を代表する東京–大阪間は、新幹線で約2~3時間で行き来できる距離なのに、そこにはそれぞれ文化や生活習慣が異なる世界があるなんて、ちょっと不思議な感じがしてきませんか。
異なる文化や生活習慣に触れたとき、驚きやとまどいとともに、そこには必ず新鮮な発見もあるはず。実際に東西を行き来して、さまざまな違いを見つけてみてはいかがでしょうか。