子どもがプログラミングを学ぶステップを解説

子どもがプログラミングを学ぶステップを解説

自分で運転しなくても車が目的地まで連れて行ってくれたり、人間のようにロボットと会話が楽しめたり、ひと昔前には想像もつかなかったことが現実の世界で起こりはじめています。こうしたテクノロジーには人工知能=AI(Artificial Intelligence)が搭載されていますが、このAIはプログラミングによって動かされています。

こうしたテクノロジーの進化を背景に、プログラミングに興味を持つお子さんや、子どもにプログラミングを習わせたいという親御さんが増えています。「でも、プログラミングってよくわからない」という人のために、今回は、お子さんがどうやってプログラミングに興味を持ち、学んでいくかステップ形式で紹介していきます。

プログラミング教育が注目されている理由は?

プログラミング教育が注目されている理由は?

アメリカ前大統領のオバマ氏が、プログラミングはこれからの時代の必須スキルであるとし、「新しいゲームを買ったり、最新のアプリをダウンロードするだけじゃなく、自分で創りましょう」「スマートフォンで遊ぶだけじゃなく、プログラムしてみましょう」と、若者に向けてスピーチし話題となりました。

日本国内でも2016年4月、文部科学省より「2020年度からの小学校におけるプログラミング教育の必修化」が発表されるなど、以前にも増してプログラミング教育が注目を集めています。ここでは、その背景にあるものについて見ていきます。

2030年にITの人材が大幅に不足するという課題

経済産業省の試算によると、2019年をピークにIT関連業界への入職者は退職者を上回り、産業人口が減少に向かうことが予想されています。我が国の人口減少に伴い、2030年には、最大79万人ものIT人材不足が予測されることからも、IT人材の育成と確保は国全体が抱える課題と言えます。

仕事が無くなる不安、これからを生き抜くスキルとは?

また、経済誌でよく見かける「AIによって将来的に無くなる仕事」といった特集見出しを見るたび、「子どもが成長したときに仕事に就けるのか?」と不安を覚える親御さんも少なくないのではないでしょうか?ロボットに職を奪われるなどなんとも複雑な心境ですが、こうした背景には日本が抱える少子高齢化問題があります。

ITの発展やAIの登場によって、就業率が下がったり将来的に無くなる可能性のある仕事があるいっぽうで、いまやITやコンピューターとつながりが一切ない仕事はほとんどないと言えます。

オバマ氏が言うようにプログラミングスキルを身に付ければ、これまで供給されていたモノを自分で創造することができ、仕事の可能性も大きく広がります。これからの時代を生き抜く重要なスキルとして、ぜひお子さんにも身に付けさせてあげたいものです。

遊び感覚ではじめよう!プログラミングをはじめるステップ

これからプログラミングを学ぼうとするお子さんのなかには、「自分から進んで学びたい!」という子も、「親から言われて…」という子もいることでしょう。そこで、まずはゲームなど遊びを交えながら楽しく学べる環境がおすすめです。

【STEP 1】 プログラミングに興味を持たせるには?

STEP 1 プログラミングに興味を持たせるには?

「プログラミングって何?」って聞かれたら、大人でも一瞬ちょっと考えてしまいますよね。そこで、お子さんが大好きなゲームや、日常のなかにあるプログラミングされたモノを一緒に探してみましょう。

<家のなかにあるモノ(例)>

  • ゲーム
  • パソコン
  • スマホ
  • ロボット掃除機
  • 電子制御式炊飯器
  • 電子制御式レンジ
  • 人工知能デバイス など

<外で見かけるモノ(例)>

  • 駅の券売機
  • 銀行のATM
  • 自動販売機
  • 自動車
  • カラオケ装置 など

プログラミングとは何か日常にあるもので説明する

プログラミングとは、コンピューターにさせたいことの手順や内容を記した指示の集まりのこと。たとえば、駅の券売機や銀行のATMなどの場合、ボタンを操作するとご利用画面に切り替わり、お金を入れて切符を購入したりチャージしたり、ATMはお金を引き出したり預けたり、ができるもの。ロボット掃除機もスイッチ1つでお部屋をキレイに。こうしたすべてをコンピューターがプログラムを実行することで実現しているのです。

自宅でできる入門プログラムに親子で挑戦

自宅のパソコンやタブレットを使ってできるプログラミングの入門プログラムもあるので、お子さんと一緒にぜひやってみてください。

自宅でできる入門プログラムに親子で挑戦

代表的なプログラミング講座「Code Studio」は、対象年齢4歳からコース設定されているので小さなお子さんでも楽しめます。パーツを動かしてゲームのように課題をクリアしながら次のステージへ。プログラミングの楽しさと考え方に触れることができます。

株式会社しくみデザインが全世界155ヵ国で同時リリースしたiOSアプリ「Springin(スプリンギン)」は、本来テキストでつくるプログラミングを、視覚的なグラフィックの配置によってつくるもので「プログラミングの仕組み」を理解するのに最適です。iPhoneやiPadで描いた絵や写真を使い、性格や能力、関係性などをアイコンによってプログラミングしていきながら、ゲームなどのデジタル作品をつくりだせる、近年よく耳にする「ビジュアルプログラミング言語」に対応したクリエイティブツールです。

テレビでプログラミングを楽しく学習

ホワイジャパニーズピープルでおなじみ、お笑い芸人の厚切りジェイソンさんがMCを務める「Why!?プログラミング」は、大人も楽しめるプログラミングの教育番組です(NHK Eテレ 土曜午後7:45~7:55放送中)。プログラミングの概念を子ども視点でわかりやすく解説してくれています。

【STEP 2】 プログラミングができると、できるコト

前述のアプリやテレビ番組など自宅でのプログラミング学習で、プログラミングに興味が湧いてきたら第1段階はクリアです。次にプログラムができるようになると、どんな楽しいことが起こるのか、プログラミングの魅力をお子さんに伝えましょう。

自分で考えたオリジナルゲームがつくれる

子どもたちが大好きなゲームもすべてプログラミングで動いています。つまりプログラミングできるようになると、そのゲーム自体を自分で考えてつくることができます。はじめは簡単な動きでも、自分で考えたとなると楽しさも断然違います。どんどん経験を積んでいけば、シューティング系のゲームでも、対戦型格闘ゲームでも、ゲームのキャラクターを自分で考え、そのキャラクターを自由に動かせるようになります。

自分でアプリがつくれる

プログラミングができるようになると、オリジナルゲームの制作はもちろん、さまざまなアプリの開発にも携われます。お絵描きツールや翻訳ツールなどの便利なアプリのように、「こんなアプリがあったらいいな」を自分のチカラでカタチにすることができます。

ロボットや人工知能もつくれる

AIを搭載したロボットたちは、お店の案内係など、いまや実際の社会で活躍していますが、こうしたロボットたちを動かしているのもプログラミングです。二足歩行型のロボットや、人と対話できるロボットなど、将来、ロボットの制作にかかわることも夢ではありません。

大切なのはプログラミングで何かモノをつくりたい!という気持ち

大切なのはプログラミングで何かモノをつくりたい!という気持ち

プログラミングの魅力として、「プログラミングができるとこんなコトができるよ」ということについて紹介しましたが、実際にプログラミングを学んでいくうえでは、基礎知識や使用言語など覚えなければならないことが山ほどあり、途中で挫折するケースも少なくありません。そこで、大切にしたいのが「プログラミングで何かモノをつくりたい!」という気持ちです。

プログラミングを学びはじめていきなりゲームやロボットがつくれるわけではありません。偉大なクリエイターたちがそうであったように、はじめは単純な動きであっても自分が指示した(プログラミングした)通りに画面上のアイコンが動かせるなど、たった1つの動きであってもその驚きと感動は大きいものです。ぜひとも、こうしたかけがえのない感動の瞬間を大切にしてあげてください。

【STEP 3】 実際にプログラミングを学習しよう

実際にプログラミングを学習しはじめるとなると、プログラミングの基礎知識や使用する言語など覚えることはたくさんあります。そう聞くと、大人でもテンションを維持するのは難しいですよね。そこでいま、プログラミングの学習用ソフトとして注目されているのが、ビジュアルプログラミングでわかりやすい「Scratch(スクラッチ)」です。

マサチューセッツ工科大学のメディアラボが開発

Scratchとは、マサチューセッツ工科大学(MIT)のメディアラボが開発したプログラミング学習用ソフト。さまざまな言語に対応していて、世界のプログラミング教育の場で使用されています。前述のテレビ番組「Why?プログラミング」のなかでも、Scratchが使われています。

ビジュアルプログラミングでわかりやすい

一般的なプログラミングでは「コーディング」という、英字や数字を打ち込む作業が必要ですが、このScratchは直感的にわかりやすい「ビジュアルプログラミング」という形式が採用されています。プログラミングの指示を「ブロック」というイラストで行うことで、遊び感覚で簡単にプログラミングと接する工夫がなされています。

パソコンですぐに使える

このScratchはパソコンのWEBブラウザで簡単に、しかも無料で使用することができます。実際にScratchを使って世界中のユーザーがたくさんの作品をつくっています。

プログラミングを学ぶことで身に付くメリット

プログラミングを学ぶことは、将来的にゲームやアプリを開発したり、ロボット工学に携われたり、モノづくりで発揮されるスキルの修得はもちろんのこと、それ以外の分野でも役立つさまざまなスキルを身に付けることができます。

論理的思考

AIはまるで人間のように受け答えできますが、曖昧なニュアンスを苦手としています。このようにプログラミングにおいては、「こうしたら、こうする」といった明確な指示が必要です。たとえばゲームをプログラミングする場合、まずは「どういったゲームを作るか」という目的をはっきり決め、それを「どのように完成させるか」を考えます。こうした明確な指示や段取りを通じて、物事を筋道立てて考える論理的思考を身に付けることができます。

問題解決力

自分が考えたプログラムがその通りに実行されない。プログラミングにおいてこうしたエラーはつきもの。何度もトライ&エラーを繰り返してやっと思い通りに動くといったように、プログラミングを完成させるのはとても根気のいる作業です。こうした地道な作業を通じて、問題解決力も養われます。

豊かな想像力

プログラミングするうえでは、「●●をこうしたい!」という気持ちが大切です。子どもは大人にはない自由な発想力を持っています。プログラミングも簡単なゲームの開発からAIまで、無限の可能性を秘めています。プログラミングという無限のフィールドは、想像力も豊かに育みます。

「プログラミング」を親子の共通言語に。まずはいっしょにプログラミングに触れてみましょう!

これからの時代の必須スキルとして、「子どもにプログラミングを習わせたい」という親御さんも、まずはお子さんといっしょにプログラミングに触れてみることをおすすめします。「プログラミング」が親子で共通の趣味となれば、お子さんのやる気も断然アップしますし、お子さんが教室に通いはじめても話題についていけますね。プログラミングを通じて、これからの時代を生きるスキルと大いなる可能性を育ててあげてください。

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