【アリウムの育て方】栽培する方法や病害虫・花言葉を紹介

【アリウムの育て方】栽培する方法や病害虫・花言葉を紹介

細くすっと伸びた花茎に大きな球形の花が咲く美しい花「アリウム」。悠然と咲き誇るその姿とネギのような香りが特徴の個性的な花です。寒さや乾燥、病気に強く育てやすいため、初心者の方でも気軽に栽培できます。

今回は、アリウムの基礎知識と育て方のポイント、具体的な育て方やトラブルと対処法などについてご紹介いたします。

アリウムの基礎知識

アリウムの基礎知識

はじめに、アリウムとはどのような花なのでしょうか。詳しく説明します。

アリウムとは

アリウム(Allium)は、ネギ科ネギ属の多年生球根植物で、チューリップなどと同じ秋植えの球根です。和名は花ネギ。アリウムは以前ユリ科に属していた時期もあります。現在はにんにくやラッキョウなどの食用のものと同じネギ科とされていて、花を観賞する品種をアリウムと呼んでいます。そもそもアリウムはネギ属の学名(Allium)をそのまま読んだもの。ネギ属には数百種類があって、北半球の広い地域が原産です。

開花期は5~6月の初夏。ネギボウズのような個性的な花が品種によっては1ヵ月近くも咲き続けます。

アリウムには、「アリウム・ギガンチウム」のような花径が15cm、草丈は150cmにもなる大型のものと、「丹頂」のような花径3cmほどの小さなものまであります。品種により草丈も異なるので、使う目的や場所にあった品種を選びましょう。

秋植え球根については「おすすめの秋植え球根9選」、「【春にきれいに咲かせたい!】秋植え球根の植え方を紹介」の記事もご覧ください。

イングリッシュガーデンや切り花に

イングリッシュガーデンや切り花に

アリウムは切り花として、またイングリッシュガーデンの初夏の主役として世界中で愛されています。

細くすっとした花茎にソフトボールほどの大きな球形の花がつくアリウム・ギガンチウム、動きのある花茎の丹頂アリウム。個性的な見た目のアリウムはフラワーアレンジメントや生け花でも人気の初夏の切り花です。アリウムはネギのような香りが特徴です。切り花にするとき、香りには注意が必要ですね。

アリウムはイングリッシュガーデンでは初夏の主役として重宝されています。ちょうど春の花が終わった頃に開花し夏の花が咲くころまで咲き続けるため、庭の花の季節をスムーズにつなげてくれます。大型のアリウム・ギガンチウムをポンポンと並べて植えることで庭に楽しいリズム感が生まれ、小型のアリウムで奥行き感も演出できます。

アリウムの花言葉

アリウムの花言葉は、「夫婦円満」、「くじけない心」、「ただしい主張」というものの他に、意外にも「無限の悲しみ」というものもあります。

すっとまっすぐ花茎をのばすアリウム。それが悲しみにくれて立ちすくむ様子を連想させるため、この花言葉がついたと言われています。また、このまっすぐに花茎をのばす様子は「くじけない心」、「ただしい主張」という花言葉の由来ともされています。

ドストエフスキーの名言に、「愛情に満ちあふれた心には、悲しみもまた多いものである。」というものがありますが、まさにアリウムを表すかのような言葉です。

アリウムの育て方のポイント2つ

アリウムの育て方のポイント2つ

アリウムの育て方のポイントは、つぎの2つです。

①  開花後の対応

花が終わったら、茎を切り花がらを摘み取りましょう。花茎の付け根からはさみなどで切り取ります。そのまま花がらを置いておくと種ができますが、種から増やすには時間がかかりすぎるため、花がらを摘み取って球根を太らせましょう。大きなアリウムは梅雨の長雨に耐えられないことが多いため、梅雨に入る前に球根を掘りあげ乾燥させて保存します。

②  連作障害

アリウムは連作障害を起こす植物です。同じ場所で植え続けると花つきが悪くなります。大きなアリウムは掘りあげた後、秋には別の場所に植えます。同じ場所に植える場合は3年開けるようにしましょう。小さなアリウムは毎年掘りあげる必要はありませんが、3年ほど同じ場所に植えていて花付きが悪くなるようなら、別の場所に植え替えるようにしましょう。

連作障害については、「連作障害とは?連作障害を防いで野菜を育てる方法や予防策を紹介」の記事で詳しく紹介しています。

アリウムの栽培で準備するもの

アリウムの栽培で準備するもの

アリウムを栽培するときは、シャベルやジョウロなどの基本的な道具のほかに、次のものを用意してください。

花だんまたは鉢など

アリウムの栽培には、日当たりと水はけのよい場所が適しています。アリウムは連作障害を起こす植物なので、3年以内にネギ科の植物を植えていた場所は避けます。鉢やプランターで栽培するときは、通気性のよい素焼きなどのタイプがおすすめです。

土や肥料など

花だんの土づくりには、石灰やたい肥、腐葉土(ふようど)、粒状の化成肥料を用意します。水はけが悪いときは、軽石やパーライトを加えてください。鉢やプランターで栽培するときは、市販の草花用または球根用の培養土と、ネットに入れた鉢底石(はちぞこいし)を用意します。追加の肥料は、液体肥料を使用しても構いません。

球根

アリウムは球根から育てます。できるだけ分球していないものや、傷がなく、重量感のあるものを選ぶようにします。大きめのものを選びましょう。

【悠然と開花】アリウムの育て方

【悠然と開花】アリウムの育て方

それでは、アリウムの育て方を順にご紹介いたします。

土の下準備

庭や花だんに地植えするときは、球根を植え付ける2週間ほど前までに土を準備します。花だんの土を深く掘り返し、石や古い根などを取り除いて日光消毒します。石灰を混ぜて酸性の土を中和し、たい肥や腐葉土を加えてなじませます。アリウムは過湿に弱いため、水はけが悪い土には軽石やパーライトを加えましょう。

植え付けの1週間前には化成肥料を混ぜておきます。鉢やプランターで栽培するときは、市販の球根用か草花用の培養土を使うと簡単です。

球根植え付けの方法

アリウムの球根は、8月の終わりから10月の半ばくらいに植え付けます。地植えのときは、大きなアリウムは間隔を40cmくらいに、深さは10cmくらいで植えます。小さなアリウムの植える間隔は5~10cmくらい、深さは5cmです。

大きなアリウムの球根を植える場合、球根の底に空気がたまってしまうことがあります。植え付けた後、しっかり手のひらや足で土を抑え込み、球根と土を密着させます。

鉢植えのときは、大きなアリウムは30~36cm鉢に1球、小さなアリウムは15~18cm鉢に5~6球植えとします。鉢の底に鉢底石を敷き、土の表面が鉢のふちより数cm低くなるよう土を入れます。土をかけ、球根の底に空気が貯まらないよう上からしっかり押さえて球根と土を密着させます。

最後にたっぷり水をあげます。培養土を使う場合は最初の給水が悪いので、何回かに分けてたっぷり水やりをしてください。

水やりのタイミング

球根を植え付けて数週間は、土の表面が乾いたらたっぷり水やりをしましょう。その後、冬の間は地植えでは水やりはほとんど必要ありませんが、降雨がない日が続くときは土の表面が乾いていれば水やりをしてください。鉢植えの場合は土の表面が乾いたらたっぷり水やりをしましょう。

春になり芽が出てくると、地植えでも鉢植えでも、土の表面が乾いたら水やりをするようにしてください。水をやり過ぎると、根腐れを起こすこともあり注意が必要です。

肥料の与え方

ネギ科の植物は肥料を好みます。特に大型のアリウムは多くの肥料が必要です。肥料が少なくなると花もひと回り小さくなってしまいます。追肥は生育が活発になる3月に緩効性化成肥料を土の中に混ぜ込むといいでしょう。その後は葉の色が薄くなったころ液体肥料を使用します。

アリウムには、開花後のお礼肥は必要ありません。

開花後の手入れ

花が終わると、花がらを摘みます。花茎の付け根からはさみなどで切り取りましょう。花が終わってからもしばらく葉が光合成を続け、球根に栄養がたまり大きくなります。

6~7月になると地上の葉が3分の2ほど枯れ始め休眠期に入ります。球根を掘り上げるのはそのタイミングです。大きなアリウムは掘りあげるようにしましょう。小さなアリウムは植えっぱなしでも大丈夫です。その場合は葉が完全に枯れたら水やりを停止します。

アリウムのトラブルと対処法

アリウムのトラブルと対処法

最後に、アリウムの栽培で気をつけたいトラブル、病害虫と対処法についてご紹介いたします。

根腐れ

アリウムに水をやりすぎると根腐れを引き起こします。進行すると株もとから腐って枯れてしまいます。根腐れを防ぐため、水やりは土の表面が乾いてから行ってください。葉の色が悪くなったなど異変があれば根腐れを疑って水やりを控え、様子を見るようにしましょう。根腐れに有効な対策はないので、予防が一番です。

アリウムの病害虫

アリウムの害虫にはアブラムシがあります。アブラムシは春と秋によく見られ、ウイルス性の病気を媒介します。春、アリウムの新芽によってきます。

アリウムで気を付ける病気には、モザイク病、黒斑病があります。モザイク病はアブラムシによってウイルスが媒介され、葉に黄色い縞(しま)のようなモザイク状の模様の症状がでます。発病した球根にはウイルスが残るので、株を抜き取ってビニール袋に入れて処分してください。モザイク病のウイルスは薬剤で対応ができないので、アブラムシなどの害虫の飛来を阻止すること、元気な株を育てることがまん延を防ぐポイントです。

また、天気が悪い日が続いたときや、水をやり過ぎたときに、葉に黒い点がでることがあります。黒い点が大きくなるなら、黒斑病(こくはんびょう)の疑いがあります。症状に変化が出るなら薬剤を散布し、病状が広がるときには患部を取り除きましょう。

植物の病気については「植物に発生するさまざまな病気。予防法と対処法とは?」の記事もご覧ください。

病害虫の対処法

アリウムの栽培には、フマキラーの「カダンプラスDX」をおすすめします。アリウムをはじめとする草花のほか、野菜や花木などに幅広く使用できる薬剤で、アブラムシやハダニなどに効果があります。また、浸透性の薬剤が植物の全体に行き渡るので、葉の裏にひそむ害虫も手軽に駆除可能。アブラムシの定着を防ぐため、モザイク病の予防にもなります。

アリウムの芽が伸び、アブラムシが発生する前の3月初めごろにあらかじめ散布しておけばアブラムシの寄り付きをおよそ1ヵ月間予防できます。

悠然と咲き誇るアリウムを庭の主役に

悠然と咲き誇るアリウムを庭の主役に

今回はアリウムの育て方を中心に、基礎知識やトラブルと対処法などをご紹介いたしました。球根を植えたら過湿にならないよう管理することが上手な育て方のポイントです。また、病気を予防するためにアブラムシのチェックと駆除も忘れずにおこなってください。

秋にはアリウムの球根を植え、悠然と咲き誇るアリウムを、あなたの初夏の庭の主役にぜひどうぞ。

「For your LIFE」で紹介する記事は、フマキラー株式会社または執筆業務委託先が信頼に足ると判断した情報源に基づき作成しておりますが、完全性、正確性、または適時性等を保証するものではありません。

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