ゼラニウムの歴史や種類を紹介。育て方や増やし方は?

ゼラニウムの歴史や種類を紹介。育て方や増やし方は?

ヨーロッパの街並みを彩る花として知られるゼラニウム。花期が長く、種類が豊富で育て方も簡単なため、古くから世界中の人々に愛されてきました。今回は、ゼラニウムの概要と歴史、種類をご紹介し、具体的な育て方やトラブルの対処法についても解説いたします。

ゼラニウムの基礎知識

ゼラニウムの基礎知識

はじめに、ゼラニウムの知識を深めましょう。

ゼラニウムの概要

ゼラニウムはフウロソウ科テンジクアオイ属(ペラルゴニウム属)に分類される常緑の多年草で、「テンジクアオイ」とも呼ばれます。かつてゲラニウム(geranium)属(フウロソウ属)に分類された経緯から、現在もゼラニウムと呼ばれます。

一般的なゼラニウムは3~12月と花期が長く、環境が整えば年間を通して観賞できる種類もあります。花の色は赤やピンク、白などで、一重(ひとえ)咲きや八重(やえ)咲きなどが楽しめます。葉に褐色などの紋(もん)が入るものや、葉の形状がモミジのようなものも流通します。

ゼラニウムの歴史

原産地は南アフリカのケープ地方です。かつてイギリスの植民地だったケープ地方から17世紀にオランダへ渡り、18世紀にはイギリスやフランスへ広まりました。日本に伝わったのは江戸時代末期で、当時の文献には元治元年(1864年)に愛知県の尾張(おわり)に入荷したと記録されています。

明治時代になると海外からさまざまな植物の輸入がはじまり、当時のゼラニウムは花よりも葉の模様が注目されました。とくに明治の終わりから人気が高まり、大正3年に新潟県の植木商が紹介すると各地で同好会が発足。大正4年、輸入された品種をもとにして国内で独自の栽培がはじまり、昭和の初期には再びブームがわき起こりました。

ゼラニウムの種類

ゼラニウムの種類は非常に多く、国内でもさまざまな園芸品種が手に入ります。主な種類は次のとおりです。

一般的なゼラニウム

一般的なゼラニウムは原種のPelargonium(以下P.)zonale(ペラルゴニウム・ゾナル)の仲間で、「モンテンジクアオイ」とも呼ばれます。「ゾナル」にはラテン語で「帯状の」という意味があり、葉に広がる環状の紋がある品種を指します。フマキラーのグループ会社である「FSブルーム」では、「チェリーアイス」「タンゴ」などを扱っています。

また、一般的なゼラニウムのなかでもP. zonaleP. inquinans(インクイナンス)などをかけ合わせたゼラニウムをP. hortorum(ホルトルム)と呼びます。FSブルームでは、「ホワイトtoローズ」「F1 ブルズアイ」などを扱っています。

アイビーゼラニウム

peltatum(ペルタタム)の仲間で、葉がアイビー(ツタ)に似ていることから「ツタバゼラニウム」とも呼ばれます。アイビーのように茎が伸びるため、トレリスに誘引(ゆういん)したりハンギングや寄せ植えで茎を垂らしたりして楽しめます。3~12月ごろが開花期で、FSブルームは「コンテッサ」などを扱っています。

寄せ植えについては、「寄せ植えの基本と作り方。初心者でもおしゃれに仕上げるコツも解説!」の記事で詳しくご紹介しています。

センデットゼラニウム

葉に香りがある品種で、「ニオイテンジクアオイ」とも呼ばれます。「ローズ系」の「ローズゼラニウム」、「フルーツ系」の「アップルゼラニウム」「レモンゼラニウム」など、「ミント・スパイス系」の「ペパーミントゼラニウム」などがあります。

「蚊連草(かれんそう)」の名前で販売されているものも、センデットゼラニウムの仲間です。開花期は4~7月ですが、一部の品種は冬まで楽しめます。センデットゼラニウムは、ハーブとして扱われることもあります。

ハーブについては、「ハーブ栽培は庭やベランダの虫除けにも最適!」の記事も参考にしてください。

ペラルゴニウム

cucullatum(ククラツム)とP. grandiflorum(グランディフロルム)のかけ合わせを中心に作り出された品種です。開花期は4~7月で、「ナツザキテンジクアオイ」や「リーガルゼラニウム」とも呼ばれます。ゼラニウムのなかではもっとも花が大きく華やかな点が特徴で、花びらに紋や線が入るものやフリル状に咲くものなどが楽しめます。

ハイブリッドゼラニウム

ゾナル系とアイビーゼラニウムをかけ合わせて作られたものです。耐暑性があり、暑い夏の間も観賞できます。花が大きく数も多いため、ボリュームが出る点も魅力です。

開花期は春~秋で、FSブルームでは「アメリカーナNEO」「カリオペ」などを扱っています。

ゼラニウムの育て方のポイント2つ

ゼラニウムの育て方のポイント2つ

ゼラニウムの育て方のポイントは、次の2点です。

① 過湿を避ける

ゼラニウムは過湿の環境を嫌うので、水やりの回数や長雨に気をつけてください。とくに鉢植えは常に土が湿っていると、根腐れ(ねぐされ)や病気の発症につながります。

② 花がらを摘む

ゼラニウムは、複数の花がボール状に集まって咲きます。咲き終わった花(花がら)をこまめに摘み取って、病気や株の衰弱を防ぎましょう。

ゼラニウムの栽培に必要なもの

ゼラニウムの栽培に必要なもの

ゼラニウムを栽培するときは、シャベルなどの基本的なツールと次のものを用意してください。

花だんまたはプランター類

花だんは日当たりと水はけがよく、なるべく西日の当たらない場所が適しています。ただし、病気や生育不良などの連作障害を防ぐため、前年にゼラニウムを植えた場所では栽培しないでください。鉢やプランターは通気性のよい素焼きなどの素材を選び、ネットに入れた鉢底石(はちぞこいし)も用意しましょう。

連作障害については、「連作障害とは?連作障害を防いで野菜を育てる方法や予防策を紹介」の記事で詳しくご紹介しています。

土と肥料など

花だんの土は、後にご紹介する手順で準備してください。石灰やたい肥、腐葉土(ふようど)などを用意し、水はけの悪い所には軽石やパーライトなどを加えます。下準備には粒状の化成肥料、追加で与えるときは化成肥料または液体肥料を使用します。鉢植えには、市販の草花用の培養土を用意すると簡単です。

タネまたは苗

タネから育てるときは、タネとタネまき用の土、小分けになったセルトレイ、園芸用のポット、霧吹きを用意します。苗は茎がしっかりとして太く、葉の色が濃いもの、新芽が出ているものを選んでください。

支柱とビニタイなど

背が高く伸びるタイプは、支柱を立てて栽培することをおすすめします。一般的な支柱でも支えられますが、横に広がるタイプはアサガオなどを栽培する際の輪がついた「あんどん仕立て」の支柱を用いてもよいでしょう。真夏の日差しから保護するときは、遮光ネットがあると便利です。

初心者も安心!ゼラニウムの育て方

初心者も安心!ゼラニウムの育て方

それでは、ゼラニウムの育て方を順にご紹介いたします。

土の下準備

花だんの土は、下から掘り返して根や小石などを取り除き、日光に当てて消毒します。ゼラニウムは酸性の土を嫌うため、石灰を混ぜて中和させましょう。たい肥と腐葉土を加え、水はけが悪いときは軽石やパーライトなども混ぜます。

苗を植えつける1週間ほど前に、化成肥料を加えて下準備してください。プランターの土を再利用するときも、同様に準備します。

タネまきの方法

種類にもよりますが、ゼラニウムのタネまきは4~5月または9~10月におこないます。タネがさやに入っているときは取り出し、土を入れたトレイに1粒ずつまきます。薄く土をかぶせて霧吹きなどで湿らせ、乾燥しないように管理してください。

発芽後は過湿にならない程度に水を与え、本葉が1~2枚ほど出たらポットに植え替えます。2~3ヵ月ほど育ててから花だんなどに植えつけましょう。

植えつけと水やり

花だんに植えるときは、株の間を15cm以上空けてください。鉢植えにするときは、4号(直径約12cm)鉢に1株、65cmくらいの幅のプランターには2~3株が目安です。植えつけた後はたっぷりと水を与えましょう。

ゼラニウムは過湿を嫌うため、花だんの水分は雨水だけで構いません。鉢植えは土の表面が乾いたら午前中に水を与え、やや乾燥気味に育てましょう。ただし、夏の間は水不足にならないように気をつけてください。

手入れのポイント

育て方のポイントでお伝えしたとおり、ピンセットなどで花がらを摘み取る作業が欠かせません。房の全体が咲き終わったら、茎の根元を押さえて茎を折り、房ごと取り除きます。

夏の日差しが強すぎるときは、遮光ネットをかぶせたり、午前中だけ日の当たる場所に鉢植えを移動したりして対処します。長雨や台風のときは、鉢植えを軒下(のきした)などに移動して過湿を防ぎましょう。

肥料と切り戻し

鉢植えのゼラニウムは、春と秋に追加の肥料を与えてください。化成肥料は月に1回、液体肥料は1~2週に1回を目安にします。生長して茎が伸びすぎたときは、下部の新芽を残して切り戻しましょう。基本的に、切り戻しは真夏と冬を避けて春や秋におこないます。ボリュームを出すときは、先端を切り取る摘芯(てきしん)をすることもあります。

挿し木の方法

切り戻しや摘芯で切り取った茎の先は、挿し木にして増やせます。茎を10cmくらいの長さで切り、上部に小さめの葉を3~4枚残しましょう。園芸用ポットに挿し木用の土を入れて湿らせ、茎を挿します。

数時間ほど日光の当たる半日陰に置き、乾燥しないように管理してください。2週間ほどで発根したら、水やりの回数を減らしてしおれない程度に保ちます。徐々に日光に当たる時間を増やし、しっかりと根が張ったらプランターなどに植えつけましょう。

植え替えのタイミング

ゼラニウムを何年も同じ鉢に植えたままにしていると、鉢の中で根がいっぱいに育ってしまいます。「鉢の底から根が出ている」「新芽が小さい」などの症状が出たら、根詰まりを起こしていると考えられます。根詰まりは生長に支障をきたすため、ひと回り大きい鉢に植え替えてください。

植え替えは、春または秋におこないます。現在よりもひと回り大きい鉢と新しい土を用意しましょう。ゼラニウムを鉢から取り出して、傷んだ根や長い根などを切ります。植え替え後は水をたっぷりと与え、数日は直射日光の当たらない場所で様子を見てください。その後は、徐々に日に当たる時間を長くしながら通常の管理に戻します。

根詰まりについては、「根詰まりとは?根詰まりサインや失敗しない植え替え方法を解説」の記事で詳しくご紹介しています。

冬越しの方法

耐寒性のあるタイプのゼラニウムは、屋外で冬越しができます。鉢植えは日当たりのよい場所に置き、水やりの回数を減らしてやや乾燥気味に管理してください。霜が降りる日や雪の降る日は軒下に移動し、不織布(ふしょくふ)などで鉢を覆って保温しましょう。

寒さに弱い品種や、寒冷地で栽培している鉢植えは室内に取り込みます。花だんのゼラニウムは、腐葉土や敷きわらなどでマルチングを施すと安心です。

冬の管理については「冬のガーデニングで気をつけるポイント」、マルチングについては「園芸におけるマルチングとは?効果や使用方法、注意点をわかりやすく解説」の記事をご覧ください。

ゼラニウムのトラブルと対処法

ゼラニウムのトラブルと対処法

最後に、ゼラニウムの栽培で起きやすいトラブルと対処法についてご紹介いたします。

ゼラニウムの病気

茎の根元が褐色や黒に変色して、徐々に上部が腐敗する「茎腐病(くきぐされびょう)」にかかることがあります。また、枯れた葉や花に菌が付着して広がる「灰色かび病」、葉にモザイクのような模様が出る「モザイク病」にも注意してください。

病気が疑われる部分を見つけたら、早急に取り除いてまん延を防ぎましょう。状況によっては、薬剤をまいたり株を抜き取ったりする作業も必要です。

灰色かび病については「【被害が広がる前に対処しよう!】灰色かび病の症状と対策について」、モザイク病については「モザイク病とは?モザイク病が発生する原因と対策について」の記事も参考にしてください。

ゼラニウムの害虫

ゼラニウムには、アブラムシやハマキムシ、ヨトウムシなどがつくことがあります。害虫も見つけ次第すぐに駆除して、被害の拡大を防いでください。とくに、アブラムシは、モザイク病の原因となるウイルスを媒介するおそれがあるため、早めの対応が必要です。

これらの病害虫を防ぐには、フマキラーの「カダンセーフ」をおすすめします。ゼラニウムに発症した灰色かび病のほか、アブラムシやハダニにも効果を発揮します。食品成分由来の膜が病害虫を包んで退治。害虫は呼吸ができずに窒息死し、病原菌も栄養を得られず死滅します。屋内での使用や、お子様・ペットのいるご家庭でも安心してご使用いただけます。

また活力成分の天然アミノ酸とAO(アルギン酸オリゴ糖)を配合していますので、病害虫対策だけでなく植物の生育もサポートする優れものです。

種類が豊富なゼラニウムの育て方を覚えよう

種類が豊富なゼラニウムの育て方を覚えよう

今回はゼラニウムの概要や歴史、主な種類をご紹介し、具体的な育て方やトラブルの対処法についても解説いたしました。ゼラニウムの育て方は、湿度と花がら摘みに注意すればそれほど難しくありません。種類も非常に多く、多彩な楽しみ方ができるゼラニウムを、お好みに合わせてお選びください。

「For your LIFE」で紹介する記事は、フマキラー株式会社または執筆業務委託先が信頼に足ると判断した情報源に基づき作成しておりますが、完全性、正確性、または適時性等を保証するものではありません。