【トビズムカデという大きなムカデ】トビズムカデの生態を知り駆除・対策をしよう

【トビズムカデという大きなムカデ】トビズムカデの生態を知り駆除・対策をしよう

運動会の競技種目にもなっているムカデ競争。足首などを紐でつないで大勢で歩く様子をムカデにたとえたものですが、どのような虫なのかご存じでしょうか。

今回は、ムカデのなかでも大型のトビズムカデの生態をご紹介し、駆除の方法や対策をご説明いたします。

ムカデとは

ムカデは節足動物で、多足類に分類される虫です。節足動物とは、脊椎(せきつい)をもたず体節から成る生物のことで、体節ごとに一対の足があります。

ムカデの種類

ムカデ類はたいへん種類が多く、3ミリ程度の小さなものから30センチを超える大きなものまで、世界に約3千種、日本には約140種が生息しています。

【参考】「ムカデ類」ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典(ブリタニカ・ジャパン)

ひとの暮らしに近い虫、ムカデ

私たちの暮らしのなかには、かたちをムカデにたとえた生物やモノもあります。

ムカデの名をもつものいろいろ

生物では、「ムカデノリ」(岩の上に生える紅藻)、「ムカデガイ」(大蛇貝などの巻き貝の仲間)など、ムカデにちなんだ名前をもつものがあります。

また、香川県高松市には、12枚の紙を張って継いだ百足凧(むかでだこ)という変わり凧があります。

神話・伝説にも登場するムカデ

神話・伝説にも登場するムカデ

名前の一部に「ムカデ」と付くものが多いわけは、昔から日本にいた虫だからです。

ムカデは、神話の大国主神(おおくにぬしのかみ)が根の国に行った話にも出てきます。また、平安時代の武将、藤原秀郷(ふじわらのひでさと 別名:俵藤太)には、近江(現在の滋賀県)の三上山を七巻き半も巻く大ムカデを退治したという伝説があります。

本州最大のムカデ、トビズムカデ

大型のムカデ類が属するオオムカデ科には、トビズムカデのほか、アオズムカデ、アカズムカデ、2021年に新種とわかったリュウジンオオムカデ(別名 ヤンバルオオムカデ)があります。このうち日本で一番大きいのはリュウジンオオムカデで、本州最大なのがトビズムカデです。

トビズムカデはどのような虫なのか、ご説明いたします。

外見の特徴と名前の由来

成虫の体長は15センチにもなり、手の平を広げたときの指先から手首までぐらいの長さがあります。体色は暗緑色か黒色で、赤褐色の頭と、黄色やオレンジ色の足をもちます。個体差が大きいため、これとは異なる色の場合もあります。

トビズムカデは、漢字で「鳶頭蜈蚣」と書きます。名前の由来には、赤褐色の頭の色を“鳶(とび)色”と表現したからという説があります。また、ムカデを漢字で「百足」とも書きますが、実際のトビズムカデの足は21対です。

生息地と活動時期

生息地と活動時期

日本では、青森県以南の各地に生息しています。温かいところを好み、梅雨時から夏にかけて活発に動きます。寒くなると土の中などにもぐって過ごします。

トビズムカデの生態

寿命5~7年前後といわれるトビズムカデは、どのような一生を送るのでしょうか。

何を食べるのか

トビズムカデは肉食で、生きたクモや昆虫、ミミズなどの小動物を食べます。ネズミを捕食する例もあり、台所のゴキブリなどを食べて退治してくれる点では益虫ともいえるでしょう。目が退化していることから、触覚に頼って動きます。死んだ虫にはほとんど反応しないようですが、生きた虫には素早く襲いかかります。

どのように繁殖するのか

成虫は春から初夏にかけて、草むらや落ち葉の下などで50個ほどの卵塊(卵のかたまり)を産みます。幼虫は孵化(ふか)した後、脱皮を繰り返して成長します。

どこにいるのか

どこにいるのか

トビズムカデは夜行性です。日中は落ち葉や石、植木鉢の陰などに潜み、夜になるとエサを探して動き出します。物陰にいるときにはじっとして動かない印象がありますが、いったん活動をはじめるとかなり素早く動きます。

天敵は何か

エサになるのはクモや昆虫です。トビズムカデが食べることで、クモや昆虫などが増えすぎないという側面もあります。他方、トビズムカデを食べるのは鳥。トビズムカデも例外なく、自然界の食物連鎖に連なる一員なのです。

かまれると痛いムカデの害

トビズムカデは毒あごをもっており、かまれると非常に痛い虫です。ここでは、他のムカデを含めた「ムカデ咬症」(ムカデにかまれた症状)についてご説明いたします。

ムカデを詠んだ俳人

「ホトトギス」同人の山口誓子(せいし)には、ムカデを詠んだ句がいくつかあります。

「百足虫出づ海荒るる夜に堪へがたく」

ムカデは、夏の季語です。百足虫(ムカデ)にかまれたのか、あるいはかまれないようにと警戒したのか、「耐え難かった」という夏の夜が、ことさら印象に残る句です。

ムカデの毒

ムカデにはハチと共通する毒素があるため、かまれたときの症状はハチに刺された場合と類似しています。患部は赤く腫れ、強い痛みが長く続きます。

ムカデにかまれたときの治療法

医療従事者向けのサイト「m3.com」(エムスリー)では、ムカデ咬症の治療経験をもつ医師498人に対し、初期段階でどのような治療をしたのか尋ねています。

【参考】「ムカデ咬傷の初期治療、過半数が抗生物質含有ステロイド外用薬 『ムカデ咬傷の治療経験を教えてください』―Vol. 1」(m3.com)

アンケートに回答した医師の53.6%(267人)が、「ステロイド外用薬(抗生物質含有)」を用いたと答えています。

重篤なアレルギー反応も

注意が必要なのは、過去にムカデにかまれたことがある場合、再びかまれるとアナフィラキシーショック(全身性のアレルギー反応)を起こすケースがあることです。血圧低下や意識障害、失神を伴うので、すぐに医師の診察を受ける必要があります。ムカデにかまれたときには、傷口から毒を絞るようにして洗った後、早めに医師の診察を受けて処置してもらいましょう。

ムカデの害については、「危険な害虫ムカデ」の記事をご覧ください。

トビズムカデの退治法

かまれると非常に痛いトビズムカデ。少しでも害を減らすためには、トビズムカデが好む環境をなくし、殺虫剤や忌避剤を使うのが効果的です。特に、家の中に侵入しにくくする対策が必要といえるでしょう。

住みにくい環境づくり

住みにくい環境づくり

湿った場所を好む性質があり、家の中では洗面台や浴室などに入り込みます。活動的になる夏が来る前に、トビズムカデのすみかを減らす工夫をしましょう。日陰を作って水はけが悪くなる庭石や植木鉢、朽ちた木や落ち葉など、早めに家の周りから片付けておくのがおすすめです。

特に家の出入り口や窓の近くでは、トビズムカデの隠れる場所を作らない工夫や、入り込む隙間をふさいでおく注意が必要です。

トビズムカデの駆除

トビズムカデに効果がある薬剤には、さまざまな種類があります。場所や用途に合わせて効果的なものを選びましょう。

瞬間的に退治するなら

見かけたらすぐに退治したい場合は、「ムカデフマキラー」がおすすめです。「凍らせ、止めて、瞬殺!」。歩行不能成分でムカデを無力化(特許出願中)。反撃させることなく、すばやく動きを止めて逃がしません。室内での使用も可能です。家の周りや生息場所にあらかじめ処理しておくことで、室内への侵入を最大1ヵ月(※)防ぎます。

※降雨のあたらない場所に使用方法通り処理した場合。ムカデに対する待ち伏せ殺虫効果。期間は使用環境により異なります

ムカデフマキラーは、以下の虫に効果があります。
適用害虫:ムカデ、ゲジ、ヤスデ

広範囲に駆除するなら

庭などの広い範囲で駆除するなら、粒状でまきやすい「ムカデカダン誘引殺虫粒剤」がおすすめです。トビズムカデの好む毒エサでおびき寄せ、3種類の薬剤を配合して効果を高めた殺虫成分で駆除します。玄関やベランダなど、ムカデが家に入ってきやすい場所にまいておくと効果的です。

ムカデカダン誘引殺虫粒剤は、ムカデはもちろん、庭でよく見かけるナメクジやダンゴムシ、アリなどを駆除することが可能です。

適用害虫:ムカデ、アリ、ヒアリ、ダンゴムシ、ワラジムシ、ゲジ、ヤスデ、ナメクジ、カタツムリ、コオロギ

効果は1~2週間続きますが、雨に当たると持続期間が短くなるので、追加でまく必要があります。また、農薬ではなく殺虫剤なので、育てている植物などに触れないよう、花壇の外側で使用しましょう。

駆除したい対象に合わせて選ぶ

その他、フマキラーのムカデ用殺虫剤にはさまざまな種類があります。室内用には、スプレー剤のフマキラー「お部屋の虫キラーワンプッシュ」がおすすめです。50種以上の虫に効果があり、外見からは種類が特定できない場合などにも便利です。

また、フマキラー「ハチ・アブ バズーカジェット」は、噴射力の強いスプレー剤。離れた場所からでも最大12メートル先まで届き、ハチなどの危険な虫を退治するときに役立ちます。

殺虫剤は、目的の場所や同時に駆除したい虫との組み合わせなどに応じて、効果的に選ぶとよいでしょう。

ムカデ対策は、増やさない・侵入させない

ゴキブリなどを捕食するという意味でムカデは益虫でもあるのですが、かまれると非常に痛いので、屋内に侵入させない工夫をしましょう。エサになるゴキブリなどを駆除しておくのも対策のひとつですし、忌避効果のある殺虫剤を使うのも効果的です。

あらかじめ忌避・殺虫効果のある薬剤をまいておくことも有効ですから、庭仕事の際ムカデにかまれないようにする工夫として、ぜひ参考にしてください。

「For your LIFE」で紹介する記事は、フマキラー株式会社または執筆業務委託先が信頼に足ると判断した情報源に基づき作成しておりますが、完全性、正確性、または適時性等を保証するものではありません。

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