2020年6月19日 | 園芸・ガーデニング
褐斑(かっぱん)病とは?褐斑病が発生する原因と対策について
今回は、植物の病気の中でも代表的な「褐斑病」をご紹介します。褐斑病は名前の通り葉などに褐色(かっしょく)の斑点が出ることが特徴で、野菜や果樹、草花などの植物に幅広く発症します。褐斑病の概要と発症しやすい植物、対処法と予防法について知識を深め、大切に育てている植物を守りましょう。
斑点が特徴の褐斑病
はじめに、褐斑病の基礎知識を簡単にご紹介します。
褐斑病とは
褐斑病は、カビ(糸状菌・しじょうきん)が原因の葉などに褐色の斑点が生じる病気です。野菜や果樹、花木、草花などのあらゆる植物が被害に遭いやすく、特にウリ科やマメ科、キク科、イネ科などに多く発症します。褐斑病は春から秋にかけての湿度が高い環境で多発し、繁殖する気温は菌によって異なります。
褐斑病の菌は20種類以上が確認されており、植物全般に繁殖するサーコスポラ(Cercospora)属のほか、花木や草花などに繁殖するセプトリア(Septoria)属、ウリ科などに繁殖するコリネスポラ(Corynespora)属などがあります。これらの菌は、冬の間は落ち葉や枝、幹などにひそんで越冬し、翌年の春以降に再び繁殖します。
褐斑病の症状
一般的に褐斑病に感染すると、最初は数ミリの褐色の点がつき、だんだんと黒い輪の模様を伴った褐色の円形やだ円形、多角形の斑点に変化します。湿度が高い環境では斑点の上に白や黒のカビがつくケースもあり、葉だけでなく茎やつるなどに斑点が出る植物もあります。
褐斑病が進行すると、斑点の部分が破れて見栄えが悪くなります。さらに症状が重くなると、葉が黄色くなったり全体が枯れたりして落葉し、株の生育が妨げられます。野菜や果樹に被害が広がると実が十分に育たず、品質が落ちて収穫量が減ります。
庭木や草花が感染したときも同様に生育が衰え、花だんや生垣、シンボルツリーでは観賞価値が落ちるので早急に対処しましょう。被害の状況によっては、翌年の新芽にも影響が出ることもあります。
褐斑病の原因
先述したように、褐斑病は糸状菌の繁殖が原因で発症します。落ち葉などで越冬した菌は、春になると胞子を作り、風や雨によって周囲に飛散します。その結果、周辺の植物に菌が付着し、葉などに褐色の斑点を形成しながら繁殖します。
また、土の中にひそんだ褐斑病の菌が降雨や水やりによって跳ね上がり、下部の葉に付着して感染するケースもあります。そのほか、株と株の間を空けずに植えつけたり、生長して葉や枝が茂りすぎ風通しが悪くなると、褐斑病の菌が繁殖する原因につながります。
さらに、水はけが悪い土は常に湿った状態なので、土の中で根が傷んで株が弱り、病気が発症するリスクが高まります。
褐斑病にかかりやすい植物
次に、褐斑病が発症しやすい植物をまとめました。
野菜類
野菜類は、ウリ科のキュウリやカボチャ、マメ科のインゲン、ソラマメ、ダイズ、ラッカセイなどのほか、ナス、アスパラガス、ホウレンソウ、トウモロコシなどがあります。
家庭菜園で育てる野菜については、「ガーデニング初心者におすすめしたい手軽に栽培できる野菜10選」をご覧ください。
果樹類
果樹は、スイカやメロン、ブドウ、リンゴ、ナシ、ビワなどが挙げられます。同じ果樹の中でも、褐斑病が発症しにくい品種もあります。
花木・草花など
花木や草花では、バラやツツジ、シャクナゲ、ヒマワリ、キク、カーネーション、スターチスなどがあり、レッドロビンやシマトネリコなどの庭木にも発症することがあります。
褐斑病が発症したときの対処法
それでは、褐斑病が発症した際の対処法をご紹介します。
患部を取り除く
褐斑病と思われる症状が出た部分は、すぐに摘み取って取り除いてください。患部には褐斑病の菌が付着しているので、放置せずにビニール袋に入れてゴミに出すか、離れた場所の土に埋めるなどして確実に処分します。早い時期に病気を見つけて対処すれば繁殖を防げるため、日々の観察を心がけてください。
薬剤の散布
広い範囲で褐斑病の症状が見られるときは、園芸用の薬剤を散布しましょう。褐斑病に限らず、植物の病気に対して薬剤を使用するときは、異なる種類をローテーションしながら定期的に散布することがポイントです。同じ薬剤を長く使用すると、菌が成分に対して耐性をつけやすいので注意してください。
フマキラーのカダンプラスDXは菊(きく)に出た褐斑病におすすめです。カダンプラスDXは、野菜や果樹、庭木などのあらゆる植物に使用できる病害虫対策剤で、菊(きく)の褐斑病に効果があるだけでなく、アブラムシやアオムシなどの害虫の駆除に可能です。パワフルトリガーで広い範囲に散布でき、浸透する成分が植物の全体に行き渡って効果を発揮します。
褐斑病を予防する方法
最後に、褐斑病の発症を防ぐ方法を具体的にご紹介します。
植えつけと環境
褐斑病は湿度が高い環境で発症しやすいため、植えつけるときは株と株の間を広く空けて通気性をよくしてください。タネから育てるときは、数回に分けて間引き(まびき)をして、密集した環境を避けます。間引きでは元気に生長している株を残しましょう。生長して葉や枝が混み合ってきたら、せん定をして風を通しましょう。
褐斑病だけでなく、前年に病気が発症した場所の土は、専用の薬剤で消毒してから使用しましょう。また、同じ場所に同じ科の植物を植える連作(れんさく)は、病気にかかるリスクが高まるので避けてください。
マルチングと肥料
先述したように、降雨や水やりによる泥はねが原因で褐斑病の菌に感染するケースもあります。植えつける際はあらかじめビニール製のマルチングをほどこしたり、株元にわらなどを敷いたりすれば土のはね返りを防げます。
植物に肥料を多く与えすぎると、徒長(とちょう)してヒョロヒョロの株に育ち、病気にかかりやすくなります。反対に肥料が少ないと、全体に栄養が行き渡らず、元気な株に生長しません。それぞれの植物の育て方を調べ、適切に肥料を与えながら健康な株が育つように心がけましょう。
湿度の調整
植物が快適に生育できるように、湿度を調整する工夫も大切です。土の水はけが悪いときは、下準備の段階で軽石や赤玉土(あかだまつち)、バーミキュライトなどを加えて改良しましょう。広さがある畑では、土を盛り上げる畝(うね)を作ってから植えつけると適度な湿度を保てます。
鉢やプランターの植物に水やりをする際は、植物の上からでなく株元に丁寧に与えて泥はねを防ぎましょう。梅雨などで長く雨が続くときは、鉢を軒下に移動し、雨が当たらないようにしてください。ハウスで栽培している場合は、換気や送風をして中に湿気がこもらないようにしましょう。
植物の病気については、「植物に発生するさまざまな病気。予防法と対処法とは?」の記事でもご紹介しています。
早期発見で褐斑病のまん延を防ごう
今回は、ガーデニングの悩みのひとつである褐斑病について、基礎知識とかかりやすい植物、対処法や予防法について具体的にご紹介しました。褐斑病は多湿の環境で発症しやすいため、栽培の環境や管理の方法を見直し、日々の観察で早期発見をすることが大切です。
褐斑病の知識を身につけ、早い時期に適切な対応をして被害の拡大を防ぎましょう。