2020年11月27日 | 園芸・ガーデニング
寄せ植えの基本と作り方。初心者でもおしゃれに仕上げるコツも解説!
日ごろから、自宅でガーデニングを楽しんでいる方も多いことでしょう。しかし、「どこか物足りない」「何か目新しいものがほしい」と感じることはありませんか。
そのような方におすすめなのが、手軽に作ることのできるおしゃれな「寄せ植え」です。寄せ植えの鉢をひとつ置くだけで、庭やベランダ、玄関などの空間がパッと華やぎを増すのです。
今回は、寄せ植えの基本とコツを中心に、寄せ植え作りに必要なものと日々の管理、植物の知識とデザインのほか、おしゃれな寄せ植えを作る4つの手順を解説いたします。寄せ植えにはじめて挑戦する方は、ぜひ参考にしてください。
寄せ植えの基礎知識
はじめに、寄せ植えの基礎知識からご覧ください。
寄せ植えとは
寄せ植えとは、鉢やプランター、花だんに複数の植物を寄せて植える手法を指します。草花だけでなく樹木やハーブを組み合わせたり、同じ植物のなかで色や品種を変えたりしても、その美しさを楽しむことができます。
基本的に、寄せ植えの観賞ができる期間は2~3ヵ月です。開花期が短い種類であれば数週間や1ヵ月という場合もありますが、観賞の時期が終わった株を抜き取り、ほかの植物に植え替えて作り直すことも可能です。
寄せ植えのメリット
ひとつの鉢に複数の植物を植える寄せ植えには華やかさがあり、小さなスペースでも十分に楽しめる点が大きな魅力です。また、決まった型や形式がないため、基本とコツを押さえれば自由に組み合わせられることもメリットです。
さらに、季節やイベントに合わせて作ったり、添える小物類を選んだりする楽しみもあります。そのほか、植物の色の対比やグラデーションによる表現、高さや動きを生かした組み合わせなど、さまざまな応用も魅力のひとつです。
寄せ植えの基本~必要なもの
寄せ植えを作る際に必要なものをご紹介いたします。植物の選び方については、後の項目をご覧ください。
基本のツール
小型のシャベル、園芸用のはさみ、注ぎ口が細いジョウロなどを用意しましょう。状況に合わせて、すき間に土を入れる筒状の土入れ(土すくい)や、割りばしなども使います。作業をするときは、ガーデニング用の手袋や長靴、エプロン、マスク、帽子などもあるとよいでしょう。
ガーデニングのツールについては、「ガーデニングに必要な道具は?初心者が持っておきたい必需品や便利グッズ」の記事を参考にしてください。
鉢の選び方
丸いタイプの鉢やプランターは、1号の直径がおよそ3cmです。初心者の方は、直径が24cmほどの8号サイズに4~5株くらいを基本に植えつけましょう。横幅が65cmほどのプランターを使うときは、5株くらいを交互に(Wの形に)植えるのが目安です。
鉢の素材は、通気性のよい素焼き(テラコッタ)や、ガラス繊維を用いたグラスファイバー製をおすすめします。プラスチックやブリキなどの鉢は軽くて扱いやすい反面、通気性が悪いため夏場は蒸れる心配があります。
土と肥料など
土は市販の培養土で構いませんが、多肉植物の寄せ植えには専用の土を用意しましょう。肥料は、即効性のある液体肥料か、ゆっくりと効果が出る固形肥料を使用します。
鉢やプランターの底には、水はけをよくする鉢底用の石を、ネットに入れて敷いてください。
そのほか
倒れやすい植物を植えるときは、支柱と園芸用のビニタイも用意しましょう。ハンギングにするときは、チェーンやフック、アルミワイヤー、ペンチなども必要です。寄せ植えのデザインによっては、ガーデンピックなどの小物もそろえてください。
寄せ植えの基本~日々の管理
寄せ植えの基本として、管理の方法とコツを覚えましょう。
水やりと置き場所
鉢やプランターの寄せ植えは、土を観察して表面が乾いていたら水やりをします。目安としては、春と秋は毎朝1回、夏も毎日で朝夕1回ずつ、冬は数日に1回で午前中が基本です。花だんには水やりをしませんが、猛暑が続いて土が乾くときは早朝か夕方に与えましょう。
鉢やプランターは日光によく当て、悪天候の際は雨や風の当たらない場所か室内に移動してください。真夏の日差しは強いので、午前中だけ日が当たる場所をおすすめします。ハンギングは重量があるため、つるす場所に気をつけましょう。
花がら摘みと切り戻し
寄せ植えを長く楽しむコツは、咲き終わった花(花がら)や枯れた葉、弱った葉などをこまめに摘み取り、病気や株の衰弱を防ぐことです。
茎が伸びすぎた部分は、適宜カットして整えましょう。生育期には、切った下から新たに茎が伸びて開花する場合もあります。
肥料の与え方
肥料の与えはじめは、植えつけ後10日または2週間くらいにしましょう。固形の肥料は、1ヵ月に1回を目安に土の上に置きます。液体の肥料は指示通りに希釈するなどし、10日に1回くらいのペースで与えてください。
植え替えのタイミング
花期がすぎた株やバランスが崩れた株、弱った株などは抜いて植え替えましょう。多年草を残して一年草を入れ替えたり、全体を入れ替えたりしても構いません。基本的に、春に作ったものは夏の前、夏を越したものは秋ごろ、多年草は冬の前に植え替えます。
抜き取る株の周りにシャベルを入れ、絡まった根をはさみで切りながらていねいに取り出しましょう。新しい植物は、後述の手順を参考にして植えつけてください。
また、長く植えたままの寄せ植えは、新しい土で作り直して病気を予防しましょう。
寄せ植えのトラブルには
白い粉のようなものがつくうどんこ病や、灰色のかびが生える灰色かび病などのかびに注意してください。また、寄せ植えにはアブラムシやハダニなどの害虫がつくこともあります。毎日の観察を心がけ、トラブルを見つけたときはすぐに患部や害虫を取り除き、被害の拡大を防ぎましょう。
寄せ植えのトラブルには、フマキラーの「カダンセーフ」をおすすめします。カダンセーフは、寄せ植えに発症したうどんこ病や灰色かび病のほか、アブラムシやハダニにも効果があります。
食品成分由来の膜が病害虫を包んで退治。害虫は呼吸ができずに窒息死し、病原菌も栄養を得られず死滅します。屋内での使用や、お子様・ペットのいるご家庭でも安心してご使用いただけます。また活力成分の天然アミノ酸とAO(アルギン酸オリゴ糖)を配合していますので、病害虫対策だけでなく植物の生育もサポートする優れものです。
寄せ植えのコツ~植物の知識とデザイン
寄せ植えを楽しむために、植物の基本的な知識とデザインを身につけましょう。
性質を理解する
寄せ植えに使用する植物は、性質がさまざまに異なります。
植物の分類と花期
草花は、発芽から1年で枯れる一年草と、根が残って何年も生存する多年草に分かれます。本来多年草に分類される球根は、別に扱うことが一般的です。
一年草と多年草、球根、樹木は同じ鉢に植えることができますが、観賞する期間がすぎたら植え替えをしましょう。樹木や多年草は、メインやアクセントとして植えたままでも構いません。
なお、多年草のなかでも多肉植物は性質が異なるため、草花や樹木との寄せ植えは避けましょう。多肉植物については、「多肉植物の種類や上手な育て方についてご紹介」の記事を参考にしてください。
管理上の違い
植物は、日当たりや水分量などの好みがそれぞれに異なります。管理しやすい寄せ植えを作るコツは、なるべく性質が似ている植物を一緒に植えることです。下記のような組み合わせは、管理がしにくいので避けてください。
- 数時間だけ日が当たる場所や日陰を好む植物+日光を好む植物
- 次々に開花して水をよく吸う植物+乾燥を好む多肉植物やハーブなど
生育上の違い
植物には、背が高いものや低いもの、横に広がるもの、つる性のものなどがあります。寄せ植えを作るときは、個々の特徴を生かしたデザインを考えましょう。
なお、かなりボリュームが出るものや、生育が旺盛で根が張るものは、ほかの植物の生育を妨げることがあるので寄せ植えには向きません。
季節の植物を選ぶ
寄せ植えは、開花する季節に合わせて作りましょう。
春のおすすめ
春は、種類や色が豊富ななかから、好みの植物を選ぶことができます。春の一年草には、パンジーやビオラ、スイートアリッサム、ネモフィラ、ペチュニア、プリムラ、マリーゴールドなどがあります。多年草ではゼラニウムや宿根ロベリア、デルフィニウムなど、球根ではクロッカスやムスカリ、ヒヤシンス、スイセンなどが人気です。
アクセントとしては、アイビーや春に開花するツルニチニチソウなどがおすすめです。
春の花については、「春に咲く花10選 ~たくさんの花々に囲まれて思いっきり春を感じよう~」でもご紹介しています。
夏のおすすめ
夏の寄せ植えは、暑さに強い品種を選ぶことが大切です。夏の一年草には、マリーゴールドやセンニチコウ、バーベナ、サルビア、トレニア、ヒャクニチソウ、ペチュニア、アメリカンブルー、インパチェンスなどがあります。アクセントとしては、ワイヤープランツ、コリウス、ヒューケラなどが挙げられます。
秋のおすすめ
秋は、落ち着いた色合いの寄せ植えがおすすめです。一年草にはコスモスやヒャクニチソウ、スイートアリッサム、プリムラ、ケイトウなど、多年草にはリンドウやナデシコ、宿根(しゅっこん)アスター、オキザリスなどがあります。
アクセントとしては、シロタエギクやアサギリソウなどのシルバーリーフ類やススキなどがよいでしょう。
冬のおすすめ
冬の寄せ植えは、寒さに強い品種を選んでください。一年草にはパンジーやビオラ、ノースポール、プリムラなど、多年草ではクリスマスローズやハボタンなどがあります。球根ではガーデンシクラメンやスイセンなど、樹木ならばユリオプスデージー、コニファー類などが挙げられます。
アクセントとしては、アイビーやハツユキカズラ、シロタエギクなどがおすすめです。
冬の寄せ植えについては、「【寒さに負けない!】冬の寄せ植えにおすすめの植物12選」の記事も参考にしてください。
おしゃれなデザインとは
初心者の方は、中心や後方に背が高い植物を配置し、手前や周囲に小さい植物を植える三角形のデザインを基本に作りましょう。慣れてきたら、左右で同じ植物を植えるシンメトリーや、ドーム状にボリュームを出すデザインなどにも挑戦してください。
おしゃれな雰囲気に仕上げるには、樹木やつる性の植物、カラーリーフなどを添えるのがコツです。店頭の寄せ植え商品や、雑誌・インターネットで見かけるものを参考に、すてきなデザインを考えてみてください。
寄せ植えのコツ~4つの手順
ここまでご紹介した内容をふまえて、4つの手順で寄せ植えを作りましょう。
① デザインをイメージ
はじめに、下記を参考に寄せ植えのデザインをイメージします。
- 置き場所・・・玄関の前、庭、ベランダなど
- 目 的・・・ハロウィンやクリスマス、お正月など
- テイスト・・・明るい、シック、エレガントなど
- 形 状・・・三角形やドーム型、ハンギングなど
② 鉢や付属品を選ぶ
次に、置き場所やテイストなどを考慮しながら、鉢のサイズや素材、色を選びましょう。ハンギング用には、チェーンやフックでつるすタイプ、スリットが入ったタイプ、バスケットにココヤシファイバーをセットしたものがあります。飾りつけをするときは、ガーデンピックなども用意してください。
③ 植物を選ぶ
続いて、鉢の雰囲気に合わせて主役の植物と周囲に植える植物を決めましょう。花の色は、似たような色合いの同系色でまとめる方法と、同系色のなかにポイントとして反対色を入れる方法があります。
エレガントに仕立てるときは八重咲や大輪の華やかな花、ナチュラルにするときは葉がメインの植物を加えることがコツです。つる性の植物は、鉢の手前やサイドに植えましょう。これまでの内容を参考に、植物の性質や生長後の姿も考慮しながら選んでください。
④ 植えつける
それでは、下記の手順に沿っておしゃれな寄せ植えを作りましょう。
- ネットに入れた鉢底石を鉢の底に入れる
- 鉢の深さの3分の1くらいまで土を入れる
- 苗をポットに入った状態で置き、配置を確かめる
- 主役の苗をポットから取り出し、根を軽く崩して土の上に置く
- 周囲の苗も同様に置く
- 苗のすき間にていねいに土を入れる
- 割りばしを土に挿して前後や左右に動かし、苗のすき間にしっかりと土を入れる
- 鉢の縁から数cm下まで土を入れる
- 土の表面を軽く押さえてなじませ、根元に水をたっぷりと与える
- 植えつけて数日は日陰に置く、または1~2時間だけ日なたに置いて管理する
基本とコツを覚えておしゃれな寄せ植えを
今回は、寄せ植えの基本とコツを中心に、管理のポイント、植物やデザインの知識、寄せ植え作りの手順をご紹介いたしました。
寄せ植えは、植物の性質が似ているものを組み合わせて作り、日々の管理を欠かさずにこまめなお手入れをすることが大切です。慣れてきたら、全体のデザインを考えながら、開花期の終わった花を別なものに植え替えるなど、自分なりの工夫を凝らしてみましょう。
基本とコツを身につけて、季節ごとのおしゃれな寄せ植えを楽しんでください。