2020年2月6日 | 虫
【特定外来生物】ヒアリの生態・被害・対策について
ヒアリは2017年6月、兵庫県で見つかって以来、愛知、大阪、東京と国内のさまざまな場所で確認され、その都度メディアなどを通じて注意喚起がなされました。これまでのヒアリの確認事例は、2019年6月18日の時点で14都道府県、計39事例となっています。
【参考】環境省 報道発表資料
そして、最新の報道では、東京港の青海ふ頭において9月、10月にヒアリが確認されたことを受けて追加調査を実施。その結果、多数の有翅女王アリを含むコロニーが確認され、2019年10月21日現在で14都道府県、計45事例になったことを環境省が発表しました。
そこで今回は、日本にまだ定着するヒアリの被害にあわないように、ヒアリに関する知識を深めるとともに、対策について解説していきます。
ヒアリの画像をご覧になりたい方はこちらから ⇒ ヒアリ特設サイト|フマキラー
ヒアリとは?
もともとは南米中部に生息するアリで、海外からのコンテナに積まれて移入してきたとされています。アルカロイド系の毒を持ち、刺されると強烈な痛みを伴うことから、外来生物法の「特定外来種」にも指定されています。
特定外来種とは…
もともと日本にいなかった外来生物の登場によって、地域の生態系や人々の健康、農林水産業などに被害を及ぼす、あるいは及ぼす恐れのある外来生物を「特定外来生物」として指定し、その飼育、栽培、保管、運搬、輸入などについて取り扱いを規制しています。
【参考】環境省 特定外来生物等一覧
名前の由来
ヒアリは漢字で書くと「火蟻」。英語では「fire ant(ファイヤーアント)」と呼ばれています。とても攻撃性が強く、名前の由来にもなっている「火」は、刺されると火傷のような激しい痛みを伴うことからその名がついたとされています。
生態
ヒアリは学名をSolenopsis invictaと言い、分類はハチ目(膜翅目)・スズメバチ上科・アリ科・フタフシアリ亜科・トフシアリ属のアリの一種。南米大陸原産で、同属に約200種類が知られています。食性は雑食で、成虫のエサは植物の芽や種子、小動物など(農業害虫)。性質は攻撃的で、周辺から別種のアリを追い出すほど。女王アリは1日およそ1,600個の卵を産み、約7年生きることからも、驚異の繁殖力を持っています。
特徴・形態
ヒアリの体長は働きアリで2.5mm~6.0mmと大きさにばらつきがあり、体色は赤褐色で腹部は暗色で艶があります。見分け方のポイントは、よく見かける黒くて小さいアリに対して、ヒアリはひとまわり以上大きく、赤みがかった色をしていること。そして、背中に小さなコブが2つついていることが挙げられます。この背中のコブはフタフシアリ亜科の特徴です。
巣の大きさ
巣は直径25~60cm、高さ15~50cmのドーム状のアリ塚で、深さは最大180cmにもなります。アリ塚が大きく目立つようになるまでには2~3年かかり、その間にヒアリはどんどん増えていくため、時間が経つほど根絶することは難しくなります。
生息場所
農耕地や公園、道路わき、牧草地、芝生、造成地などを好み、土で高さ15~50cm程度のドーム状のアリ塚(巣)をつくって生息します。アリ塚は地中で深く広がっていて、放射状に地下トンネルが十数メートル先まで伸び、そこにはたくさんの部屋があり、女王アリと無数の働きアリが集団生活しています。
活動時期・温度帯
活動時期は3~11月。暖かい気候を好み、30℃前後が最も活動や発育が活発化するため、春の終わり頃から夏にかけて活動のピークとなります。最も発育の早い32℃の場合、18~34日で卵から成虫に。幼虫は21℃以下では成長しないものの生存は可能とされています。30℃の室内で飼育した場合、寿命は60~120日。36℃以上になると成長が止まり、長時間高温にさらされると死亡します。
ヒアリによる被害
大きな顎と強力な毒針を持ち、特定外来種にも指定されているヒアリは、どんな恐ろしい被害をもたらすのでしょうか。ここでは、さまざまな被害について見ていきます。
人への被害
ヒアリは大きな顎で皮膚に咬みつき、腹部の毒針で刺します。スズメバチに近い毒性を持っているため、刺されると強い痛みが生じ、体質などによっては強いアレルギー反応(アナフィラキシーショック)で命を落とす危険性もあります。
ヒアリに刺されると患部が赤く腫れあがり、10~12時間後に膿胞(のうほう)が現れます。細菌性でない膿胞ができることがヒアリに刺された場合の特徴的な症状で、その後アレルギー性の低い人は患部にかゆみを感じる程度で、約2ヵ月ほどで治癒します。
ヒアリの毒
ヒアリの毒は約95%がアルカロイド系の毒で、刺されると火傷のような強烈な痛みを伴います。ヒアリの毒の強さはアリ類の中でもトップクラスで、その威力はアカカミアリの4倍。タンパク質系の毒も0.1%ほど含み、アナフィラキシーの原因にもなりえます。
ヒアリに刺されたら
万が一、ヒアリに刺されてしまった場合、慌てずに次の手順で対処します。
- 20~30分程度安静にして体調に変化がないか確認(ヒアリの毒の影響には個人差があります)
- 体調が悪化した場合、症状が急速に進むため、一番近くの病院を受診します。その際、「アリに刺されたこと」「刺された時間」「アナフィラキシーの可能性があること」などを伝えて、すぐに治療してもらうようにします。
- 体調が悪化しなかった場合でも、念のため早めに病院を受診するようにします。
植物・家畜への被害
農作物などをかじり、品質を低下させたり、収穫量を落とす原因となります。家畜を襲うこともあり、咬んだり刺したりすることで重い症状を起こすことがあります。アメリカでは、大豆の根、柑橘類の樹木、ジャガイモの塊茎などをかじられ、家畜であるニワトリのヒナ、牛の新生児などが襲われて死に至るといった被害も。
こうしたヒアリの被害により、農家をやめてしまう人もいると言います。また、輸入された商品などにヒアリが混入していた場合、物流にも大きな被害が生じます。
生態系への被害
ヒアリは攻撃的な性質のため、日本にもともといる在来種のアリを攻撃し、減少させる恐れがあります。またヒアリの繁殖によって、両生類や爬虫類、小型哺乳類を減少させ、生態系のバランスを壊してしまいます。
ヒアリの天敵は?
ヒアリの天敵は、ヒアリの原産地であるアマゾンに生息する「ノミバエ」というハエ。ノミバエは腹部にトゲがあり、そのトゲをヒアリに突き刺して200個近い卵を産みつけて寄生させます。ヒアリの体内で孵化した幼虫は体液を吸って成長し、ヒアリの頭に移動。脳を食べ、幼虫から分泌される酵素によって頭部を溶かし、ヒアリは死に至ります。アメリカではヒアリ対策としてノミバエを導入しているようです。
ヒアリの対策
ヒアリの被害にあわないためには、ヒアリに近づかない・近づけさせないのが一番。ここでは、ヒアリの予防や駆除する方法について紹介していきます。
寄せ付けない・刺されないために
ヒアリは造成地なども好んで営巣するため、自宅周辺で発見する恐れがないとは言えません。そこで、ヒアリを家の中に侵入させないためにも、「家の窓やドアを開けたままにしない」「隙間を作らない」「ヒアリのエサとなる生ゴミ(ポテトチップスなど油分を含んだもの)を家の周囲に置かない」ようにしましょう。また、野外での作業時には手袋を忘れずに。体を登りにくいように靴やズボンにベビーパウダーを振りかけるという方法もあります。
ヒアリを見つけたら
もしヒアリを見つけた場合、絶対に触らず、環境省ヒアリ相談ダイヤルか、都道府県の環境部局に連絡するようにしましょう。
駆除・退治方法は
次にヒアリを駆除・退治する方法を紹介します。
熱湯をかける
ヒアリは熱湯に弱いため、ヒアリの駆除には「熱湯をかける」という方法があります。直接かからないと死滅しないため、ヒアリの体にしっかりと熱湯をかけましょう。
殺虫剤を使用する
ヒアリには専用の殺虫剤を使用し、確実に死滅させましょう。フマキラーで販売している、ヒアリの駆除に有効な殺虫剤をいくつかご紹介します。
<アリフマキラー>
アリフマキラーは、優れた殺虫力をもつ天然成分の除虫菊エキス「ピレドリン」を配合。従来品比2.7倍の高いノックダウン効果と致死効果を発揮します。しかも、-60℃(※)の冷却効果で速効性がアップ。アリの侵入を防ぐ天然忌避成分の配合により、約1週間効果が持続します。
※降下温度(条件によって異なります)
<巣のアリ退治 液剤>
巣のアリ退治 液剤は、巣の仲間同士で触れ合うというアリの習性を研究。アリ同士が触れ合うたびに、殺虫成分「フィプロニル」の効き目がどんどん伝わり、連鎖殺虫でやっかいなアリを巣ごと一掃します。巣や行列に直接まくだけの液剤タイプ。植物にかかっても安心の水性タイプです。
<ウルトラ巣のアリフマキラー>
ウルトラ巣のアリフマキラーは、連鎖殺虫成分「フィプロニル」を配合。薬剤を巣に持ち帰ったアリが仲間と分け合うことで巣全体に効き目が広がり、連鎖殺虫でやっかいなアリを巣ごと一掃します。あちこち置ける10個入りでアリとの遭遇率が大幅にアップ。エサにはアリの大好物を配合し、アリを強力に誘引します。また、容器入りのため雨が降っても使用でき、段差や傾斜を減らしたバリアフリー容器でアリが入りやすくなりました。
<アリ・ムカデ粉剤>
アリ・ムカデ粉剤は、除虫菊からとった天然殺虫成分(※)「ピレトリン」で、アリやムカデをはじめとする、さまざまな害虫をすばやく殺虫します。「殺虫粉」を、水をはじくシリコーンオイルで特殊コーティングすることで、雨が降っても、高い侵入防止効果が長時間持続します。
※殺虫原料の85%が天然成分
2017年、神戸市で発見されたヒアリの緊急防除においては、フマキラーの液体タイプとベイトタイプの製品が使用されました。
目の前のアリを駆除するには、アリ用エアゾールの「アリフマキラー」「アリカダン」、アリの巣ごと駆除するには、アリ用液剤の「巣のアリ退治 液剤」「アルゼンチンアリ 巣ごと退治液剤」「カダン アリ全滅シャワー液」、またはアリ用ベイト剤の「ウルトラ巣のアリフマキラー」「アリカダン ウルトラ巣のアリ退治」「アルゼンチンアリ ウルトラ巣ごと退治」、さらにアリの侵入を予防するには、アリ用粉剤の「アリ・ムカデ粉剤」「アルゼンチンアリ殺虫&侵入防止粉剤」「アリカダン粉剤」など用途によってさまざまな製品を取り揃えています。
まとめ
ヒアリが移入し定着した国々では、ヒアリの駆除を行っていますが、根絶させることは困難を極めます。ヒアリの被害が広がらないようにするために、早期発見と早期防除が重要です。
ヒアリは攻撃性が強く、腹部の毒針で刺されると、激しい痛みがあり、死に至ることもある危険な生物です。ヒアリを発見した場合には、各地域の公共団体などに通報するようにしましょう。