2022年8月3日 | お役立ち情報
バイオマスマークとは?バイオプラスチックの特徴と分別方法も解説!
バイオマスマークという言葉を聞いたことはありますか?なんとなく聞いたことはあるけれど詳しくは知らない、そもそも全く聞いたことがないという方もいらっしゃるかもしれません。バイオマスマークの認知度はまだ低い状態です。
この記事では、バイオマスマークにはどのような意味があるのか、どのような商品に表示されているのかについて解説します。また、バイオマスを活用したバイオプラスチックの特徴を解説しつつ、分別方法についてもご紹介します。
バイオマスマークとは?
バイオマスマークとは、生物由来の資源(バイオマス)を活用し、品質及び安全性が関連する法規、基準、規格などに適合している、一般社団法人日本有機資源協会(通称:JORA)が認定する環境商品の目印です。このバイオマスマークの商品認定を受けるには、「バイオマスマーク商品認定審査申請書」をバイオマスマーク事業事務局へ提出し、書類審査に合格する必要があります。
バイオマスマークのデザインについて
バイオマスマークのデザインは、グリーンの「地球から伸びるクローバー」が元になっています。四つ葉のクローバーの葉の左側は、バイオマス製品(=Biomass Product)の頭文字Bの裏文字を、葉の右側はPを表しています。そして、クローバーの一部分が矢印になっており、その矢印は大気中のCO2(二酸化炭素)の増減に影響を与えない性質「カーボンニュートラル」を表しています。さらに、バイオマスマークに書かれている数字は「バイオマス度」を示しています。
このバイオマス度は一般社団法人日本有機資源協会(以下:JORA)で定められたもので、商品に含まれているバイオマス成分の割合を「%」で示しています。数字は10%以上から5%刻みに表示されており、バイオマスマークとして認定された商品に表示されます。また、商品ごとに認定番号も記載されています。この番号をJORAのwebサイト内の「認定商品検索ページ」で検索すれば、商品説明、事業者名等の詳細を確認できます。バイオマスマークと聞くとなじみがないという方も、もしかしたらバイオマスマークのデザインを見たら、このクローバーのイラストを見たことがある!という方もいらっしゃるかもしれません。
【参考】一般社団法人日本有機資源協会「バイオマスマークのデザインの意味」
どのような商品に表示されるのか?
バイオマスマークの認定商品は広範囲に及んでおり、レジ袋や食品容器などの日用品をはじめ、衣料品やインキ、緩衝材、事務用品、機械の部品、園芸用資材など多岐にわたります。
しかし、木材をそのまま使用した机や紙、原毛皮や骨、種子、花きなどといった粗製品はバイオマスを利用してはいますが、認定対象にはならず、食品や医薬品も対象外です。
意外に私たちの暮らしのなかで身近なものにも表示されており、分かりやすいところではコンビニやスーパーのレジ袋でこのバイオマスマークを見る機会が多いかもしれません。
バイオマスマークとバイオマスプラマークの違い
まず、それぞれ認定している協会が違います。バイオマスマークは、「一般社団法人日本有機資源協会(以下:JORA)」の認定マークで、バイオマスプラマークは、「日本バイオプラスチック協会(以下:JBPA)」の認定マークです。
簡単に説明すると、バイオマスマークは四つ葉のクローバーが目印、バイオマスプラマークは、Biomass Plasticの頭文字の「B」と「P」がマークになっているのが特徴です。
また、植物由来の割合も違います。JORAのバイオマスマークは、バイオマス度が10%以上なのに対し、バイオマスプラマークは、バイオマスプラスチック度が25%以上になります。
バイオマスを活用したバイオマスプラスチックの特徴
ここでは、バイオマスを活用したバイオマスプラスチックの特徴、主な用途、何からできているのかを解説します。
バイオマスプラスチックの定義と特徴
日本バイオプラスチック協会(通称:JBPA)では、バイオマスプラスチックを「原料として再生可能な有機資源由来の物質を含み、化学的又は生物学的に合成することにより得られる高分子材料」と定義しています。
バイオマスプラスチックは、大きく分けると2つに分けられます。それが、「全面的バイオマス原料プラスチック」と「部分的バイオマス原料プラスチック」です。「全面的バイオマス原料プラスチック」とは、原料がバイオマス100%のプラスチックです。いっぽう、バイオマスが100%ではなく原料の一部がバイオマスのものを「部分的バイオマス原料プラスチック」と呼んでいます。
レジ袋も有料化になり、今プラスチックごみが世界的な問題になっているのはご存知だと思います。部分的バイオマス原料プラスチックは、バイオマスは100%ではありませんが、一般的なプラスチック素材に比べれば環境負荷が小さなプラスチック素材といえるでしょう。
主な用途
主な用途は以下になります。
- 農業・土木資材
- 生ごみ回収袋
- 食品容器包装
- 衣料繊維
- 電気・情報機器
- OA機器
- 自動車
製品としては、自動車の座席シート、卵パック、食品トレー、浴用タオル、衣類、生ゴミ袋、耐熱食器容器、飲料ボトルラベル、ティーバッグ、クッション、人工芝、ジャケット、複合機/プリンターのドラムカバー、知育楽器などがあります。
「バイオプラスチック」と「バイオマスプラスチック」の違いは?
バイオプラスチックとバイオマスプラスチックと聞くと、一見同じように感じます。実は、バイオプラスチックとは、「生分解性プラスチック」と「バイオマスプラスチック」をまとめた呼び名になります。
では、「生分解性プラスチック」と「バイオマスプラスチック」は何が違うのかというと、「生分解性プラスチック」は微生物の働きにより土の中など最適な微生物がいる環境下で分解が促進され、最終的には水とCO2(二酸化炭素)に分解されます。「バイオマスプラスチック」は植物などの再生可能な有機資源を原料とするプラスチックのことを指します。
よって、生分解性プラスチックでも石油由来のものもあれば、バイオマスプラスチックでも生分解しないものもあります。
「バイオマスプラスチック」は、何からできているの?
原料になるバイオマスは、植物由来でとうもろこしなどの穀物や、サトウキビなどから取り出される糖類、および、トウゴマなどの植物油類が主体となります。そうなると、人が食べるものを原料にするのはいかがなものか?という声も聞こえてきそうですが、使われているとうもろこしはデントコーンと呼ばれる家畜用飼料などに使用されるもので、直接的には人間の食料として使われていない種類になります。
サトウキビも砂糖を作る際に副生する廃糖蜜を使っています。また、トウゴマからとれるひまし油はもともと非可食です。人間が食べられない部分から作られているというのがおおきなポイントです。その辺りもしっかりと考えられています。
バイオマスプラスチックのメリット
バイオプラスチックは、燃焼した際にCO2(二酸化炭素)をはじめとする温室効果ガスを削減し、化石燃料の使用量の削減にも貢献してくれます。温暖化対策に最適な素材といえるでしょう。多くのバイオプラスチックは生分解性をもつので、微生物を使って分解する堆肥化が可能になります。
バイオマスプラスチックが100%配合の場合は費用面が高くなることなどもあるので、現状は通常のプラスチックにバイオマスプラスチックを配合して作られています。こちらは今後の配合率という点が課題になるでしょう。
バイオプラスチックの分別方法
ここからは、バイオマスプラスチックの分別方法について解説していきましょう。
何ゴミに分類されるのか?
バイオマスプラスチックは、プラスチックゴミに分類されるため、「プラスチックゴミ」として分別して廃棄して下さい。バイオマスプラスチックを焼却処分したとしても、排出される二酸化炭素は原料の植物が吸収した量と同じで、結果的に大気中の二酸化炭素の増減に影響を与えないという「カーボンニュートラル」が特性になります。
また、石油資源も消費することはありません。従来のプラスチックは石油資源を使うので、燃やすと地球温暖化の原因であるCO₂(二酸化炭素)を排出します。そこで、バイオマスプラスチックへの転換が重要課題となっています。
バイオマスのプラスチック以外の活用
バイオマスは、プラスチックとして利用する以外の活用方法もあります。それが、「バイオマス発電」です。一般的には、石油などの化石燃料を燃やすことで発電している火力発電ですが、このバイオマス発電は、木くずなどバイオマス燃料を燃やして熱せられた蒸気を使って発電します。
カーボンニュートラルの性質もあることから、環境負荷の小さい発電方法といわれ注目されています。また、通常はそのまま廃棄されるゴミなどを利用しており、ゴミの減少や再利用にもつながります。
まとめ
プラスチックは私たちの暮らしのなかにたくさんあり、身近なものとして欠かせない存在になっています。そのような中、世界で生産量も増え、地球温暖化やプラスチックの廃棄物問題など課題がたくさんあるのも事実です。
今回はバイオマスマークの意味やどのような商品に表示されているのか、またバイオマスプラマークとの違いをはじめ、バイオマスプラスチックの特徴や分別方法をご紹介しました。
これまでなじみがなかった方も、今後バイオマスマークやバイオマスプラマークの意味や活動を知ったことで、プラスチックによる世界的な問題や課題を身近に意識するきっかけとなり、解決に向けて個人でも貢献していきましょう。