2022年1月23日 | 虫
クサギカメムシの特徴とは?生態や駆除・予防方法を解説
クサギカメムシという虫の名を聞いたことがあるでしょうか。庭木の手入れや家庭菜園の作業のときによく見かける虫で、野菜などに深刻な害を与えることがあります。
今回は、クサギカメムシの特徴や生態についてご紹介し、さらに、クサギカメムシを駆除・予防する方法についても詳しく解説いたします。
カメムシの仲間
クサギカメムシは、半翅目でカメムシ科の昆虫です。日本産のカメムシは約20のグループに分類されており、約1,000種が生息しています。
名前の由来
「クサギカメムシ」という名前は、この虫がクサギ(臭木)に付くことに由来します。クサギはクマツヅラ科で、実を染料に使ったり若葉を食用にしたりする低木で、葉に悪臭があることで知られています。なお、カメムシは体が六角形で、カメの甲羅に似た形をしていることから「亀虫」とよばれるようになりました。
分布
クサギカメムシは、北海道を除く日本全国に分布し、本州、四国、九州、琉球列島などに生息しています。
クサギカメムシの生態
ここではまず、クサギカメムシの生態についてご説明いたします。
外見の特徴
クサギカメムシの体長は16㎜前後で、カメムシの中ではサイズの大きい種です。暗褐色の体に黄褐色の点の模様があり、腹側は赤褐色をしています。
すみか
サクラやウメ、モモ、コクサ、クワなどの樹上で生活しています。涼しくなりはじめる秋口に人家に入り込み、屋根裏などで寒い冬を越します。
生活サイクル
クサギカメムシの活動時期は春から秋が中心で、寿命は一年ほどです。越冬した成虫は春になると活動をはじめ、栄養を蓄えて夏ごろに繁殖・産卵します。そして秋ごろに寿命を迎えて一生を終えます。
クサギカメムシが不快害虫とされる理由
クサギカメムシはしばしば「不快害虫」といわれますが、なぜなのでしょうか。ここではその理由をご説明いたします。
悪臭を放つ
クサギカメムシは、身の危険を感じると自分を守るために悪臭を放ちます。この強い臭いが嫌われる理由です。カメムシが分泌する液体は、皮膚にも悪影響のあることがわかっています。
【参考】カメムシ類について(2)(名古屋市健康福祉局衛生研究所生活環境部)
洗濯物に付いて汚す
クサギカメムシは、しばしば外に干してある洗濯物に付いて汚すことがあります。せっかく洗った洗濯物に汚れが付くのは困ったことで、これも嫌われる理由のひとつです。
農作物・植物への害
より深刻なものとして、農産物など植物への害があります。草花や野菜などほぼすべての植物に害を与えるので、重要な農業害虫といえます。
クサギカメムシは、寄生した植物の養分を吸いとって弱らせます。弱った植物は枯れたり、奇形の葉を出したりすることがあります。また、若い果実の汁を吸うことにより、成熟する前に落果・変形させるなど、商品としての価値を損なうケースもあります。
さらに、「てんぐ巣病」の原因になるファイトプラズマ菌を運んでいる疑いもあります。てんぐ巣病は、枝の一部がふくれてそこから小さな枝が群がって出る病害です。この病気にかかった枝には花がつかず、数年で枯れてしまうといわれます。
【参考】キリてんぐ巣病(国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所 九州支所)
クサギカメムシ対策
クサギカメムシは林や森林で繁殖して、近くの住宅地に飛来することが多くあります。生息場所そのものをなくすことはできない場合、どのような対策で防ぐことができるでしょうか。
人家に近づけない
クサギカメムシが嫌う忌避剤をスプレーして、人家に近づくのを防ぐ方法があります。家屋の外壁に忌避剤を噴霧すると、寄り付きを防ぐ効果が期待できます。
人家への侵入防止
屋内に入り込むのを防ぐには、侵入経路をふさぐ方法があります。換気扇口や排気口などに忌避剤をスプレーする、窓や扉の隙間をすきまテープで埋めるなど、クサギカメムシが入りにくいように工夫することができます。
虫が嫌うにおいで忌避効果を期待
強い香りをもつ植物は、受粉のために虫を誘引する場合だけでなく、食害する虫や菌から身を守るときにその香りを生かしています。メントールやメントン、プレゴンなど、ハッカ系の香りを嫌う虫は数多くあり、カメムシも同様にミントの香りが苦手です。スペアミントを使った実験でも、ミントのにおいを避けようとする動きが確認されました。
【参考】「悪臭カメムシはミントが苦手」高校生が論文、大学から優秀賞(京都新聞)
カメムシ科のクサギカメムシについても、侵入しやすそうな場所にミントを植える、ミントの鉢植えを置く、ミントの香りのスプレーをまくことで忌避する効果が期待できるかもしれません。
洗濯物の被害防止
低温に弱いカメムシの仲間にとって、衣類は暖をとるのに格好の場所です。しかし、きれいに洗って干している洗濯物を汚したり悪臭を付けたりされては困ります。
涼しい時期やカメムシをよく見かける時期には、外に洗濯物を干さない・洗濯場の周りにあらかじめ忌避剤をスプレーしておくなどの対策をしておくと、これらの害を減らすことができるでしょう。
クサギカメムシを予防・駆除する方法
次に、こういった害をもたらすクサギカメムシを予防・駆除する方法についてご説明いたします。
植物への害の予防
クサギカメムシから庭木や家庭菜園の野菜を守る方法をご紹介いたします。
防虫ネットを活用する
庭木や家庭菜園の野菜などを防虫ネットで覆い、クサギカメムシを寄り付かせないようにする方法が有効です。
虫が付いた葉は取り除く
クサギカメムシの卵が産みつけられているのを見つけたときには、なるべく早く葉っぱを取り除くことで、さらなる被害を防ぐことができます。
こまめに庭を手入れする
クサギカメムシを見つけた場合は、害が広がる前に対処する必要があります。成虫の存在に早く気づくためにも、庭の植物は余分な枝・葉を取り除いておきましょう。
クサギカメムシをまとめて退治
庭木や野菜に取り付いたり、洗濯物を汚したりするクサギカメムシをまとめて退治するには、フマキラーの「カダン カメムシバリア」が便利です。
4つのノズルから同時に薬剤が出て、網戸や窓ガラス、玄関灯などに集まったクサギカメムシを広範囲に退治。速乾性があるのでべたつきにくく、窓ガラスに使いやすいのも特長です。スプレーした液が植物にかかっても問題ないため、安心して使うことができます。
さらに予防効果もあり、あらかじめスプレーしておくと、およそ3ヵ月(※)程度クサギカメムシの寄り付きを防ぐ効果が期待できます。
※降雨のあたらない場所に使用方法どおり処理した場合。期間は使用環境により異なります。
クサギカメムシの害を防ぐには
今回は、クサギカメムシが悪臭を放ったり、洗濯物に付いたりするために不快害虫とされていることをご説明いたしました。また、草花や野菜など、ほぼすべての植物に害を与える点で、重要な農業害虫のひとつであることも解説いたしました。対策として、虫類一般が好まないミントの香りや、忌避効果のあるスプレー剤の噴霧によって、クサギカメムシが寄り付きにくくする効果が期待できます。
あらかじめ対策しておくことで、害虫による家屋や植物への害を予防したり、より少なくしたりすることができます。そのためにも虫の生態や特徴を知っておくことが、適切な対応策を考える上で役立つといえるでしょう。
なお、カメムシが大量発生する原因とは?カメムシの退治方法と予防対策の記事では、カメムシの仲間(クサギカメムシのほか、マルカメムシ、アオクサカメムシ、ホオズキカメムシなど)が大量発生する条件や退治する方法・予防方法をご紹介しています。カメムシの駆除を考える際、ぜひ参考にしてください。